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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

トランプ、金正恩、シンガポール

2018年06月12日 21時56分56秒 | 国際関係
トランプ、金正恩、シンガポール
 トランプさんが選んだのでしょうか、米朝会談の場所はシンガポールになりました。そして今日、マスコミが「歴史的」という米朝会談が行われました。

 主役の両氏のパフォーマンスは大したもので、あの表情から見れば、これで北東アジアの懸案は解決といった感じですが、マスコミや識者からは疑問点や問題点が沢山出て来ています。

 金王朝の3代目として、何としてでも王朝維持を果たさなければ、先が見えない金正恩さんと、四面楚歌とまでは言わないまでも、内外ともに問題の多いトランプさん、この2人の考え(思惑?)が一致したという事でしょうか。ついこの間の悪口雑言の言い合いから、急転直下友好親善という段取りになったというのが現実でしょう。

 それでも、もし瓢箪から駒で、本当に北東アジアの平和と安定が実現するのであれば、それは素晴らしいことで、まさにその点に世界の注目が集まっています。

 会談の場所シンガポールはかつてリークアンユーさんが、まさに開明専制君主として、国を導き、「日本に学べ」等と言いながら、アジアの貧しい後発国から、人口400万の小国ですが、今や1人当たりGDPが日本の5割増しという豊かな国です。

 一方、アメリカと対等に振る舞った金正恩さんの北朝鮮は人口2400万ですが、GDPは鳥取県の県民所得程度という「核を持つ貧しい国」です。
 核を持とうなどとは考えもせず、世界に稀に見る経済発展を果たした国の姿を目の当たりにして、金正恩さんは一体何を感じたでしょうか。

 米朝会談では、恐らくと予想されたように「共同声明」が出されました。「北朝鮮の体制維持」と「朝鮮半島の非核化」は、確かに盛り込まれました。
 ここまではいわゆる「総論賛成」ですから容易とは言いませんが到達可能でしょう。問題はその実現に至るプロセスがどんな展開になるかでしょう。

 アメリカは世界の覇権国として力の発揮はするでしょう、しかし経済援助の問題になれば、それは韓国、日本に依存すると言って憚りません。
 北朝鮮の体制維持という言葉の中には、朝鮮戦争の終結だけでなく、国内秩序の維持も含まれているのではないでしょうか。独裁者には不安が付きまといます。

 金正恩さんの対米平和友好ムードと裏腹に、北朝鮮の国営メディアは日本の拉致問題提起について「解決済み」とし「日本だけが友好ムードに水を差す」悪意に満ちた発言をしています。論調は以前のままです。

 考えてみれば、トランプさんも、国連決議を世界に守れと言ったり自らは無視したり、国際文書にサインしながら、あとから取り消したりしていますし、北朝鮮もトランプさんをして「我々は何度も騙されてきた」と言わせています。

 そういったことは全て「水に流して」今回は「嘘偽りはありません」という具合になるのでしょうか。
 「水に流して」という言葉は日本にしかないと聞いたことがありますので、米朝会談の今後の進展に大いに期待しながらも、矢張り心配です。