tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

合理性の感じられない消費税軽減税率論議

2015年11月25日 10時46分35秒 | 政治
合理性の感じられない消費税軽減税率論議
 与党内の話ですが、消費税率を10パーセントに引き上げる際の軽減税率で自民と公明間が揉めています。

 軽減税率の適用を生鮮食品だけにしようという自民党と、加工食品にまで広げるべきだという公明党の論争です。
 コップの中の嵐のようなことかもしれませんが、お互いの主張の本来の目的がどうも良く解りません。

 消費税10パーセント負担は、低所得者には重いから、毎日消費しなければならない食料品のような生活の基本にかかわるようは品目には軽減税率を適用して、低所得者の負担を軽くいたいというのが本来の軽減税率の趣旨でしょう。

 自民党の生鮮食品だけというのは、財源がないからという意識が強いことの結果のようです。
 本来、生鮮食品というのは、天候などに左右され、価格が乱高下するもので、不作なら高騰、出来すぎればキャベツをトラクターで踏みつぶすといった報道記事なども出ます。何時でも価格が高いわけではありません。

 一方最近の報道に見られますように、加工食品の価格は、デフレでなければコンスタントに上がる傾向があります。これは人件費コストがかなり入っているからです。

 低所得者と言われる人たちが、生鮮食品か、加工食品か、どちらを多く購入しているのでしょうか。
 ニュースやルポで見聞きするのは、時間も金も体力もない場合の多い低所得家庭では、調理に手のかからない加工食品を多用している様子もうかがえます。

 何を基準に線引きをするのか、線引きの合理性がどこにあるのか、そのあたりが、論争の中で全く見えていません。

 一方、加工食品を含め、軽減税率を広く適用しようということになりますと、これは、所得の高い所帯が、より多くの恩恵を得るような感じもします。もちろん贅沢品などは除外するのでしょう。それにしても、高所得所帯には、本来軽減税率などは適用する必要がないはずではないでしょうか。

 本当に低所得所帯に恩恵をということであれば、所帯収入に関係なく、品目別で一律に軽減税率という考え方そのものが、不適切な部分を持っているようです。

 与党としては早期に決着させたいということのようですが、低所得所帯のための 消費税軽減税率という問題は、何が本当の合理性なのかという視点を、本気で考えているようには思われないのですが。

 4000億円の財源があるなら、きちんと消費税増税の目的である社会保障制度の一環として適切な使い方をするほうが、よほど合理的でしょう。