tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

混迷の世界経済を読みきれるか

2011年10月06日 11時50分33秒 | 経済
混迷の世界経済を読みきれるか
 世界経済はいよいよ混迷の度を深めているようです。
 アメリカではウォール街に反発するデモが起き、ギリシャでは、相変わらず緊縮財政に不満のデモ、ユーロ不安はイタリアに飛び火、お邪魔虫の格付け会社がイタリア国債の3段階下げ、ユーロは1ユーロ100円へ・・・・・。

 アメリカ社会には基底に保守勢力があり、経済好調ならば何も起こりませんが、今は様相が違ってきました。
 金融操作で世界中から金を集め、分不相応の暮らしをしていたのが剥げ落ち、実力の範囲での生活になるプロセスが、否応なしに始まろうとしているのです。デモでは金融が怪しからんといっていますが、今まで金融で潤っていたことが解っているのでしょうか。
 悪いのは、本来の金融システムではなく、マネー資本主義のギャンブル金融ビジネスだという区別もデモ隊の主張のには見られません。

 ギリシャも、基本的は同じです。多くの国民は、ユーロ加盟国に迷惑をかけないようにすべきで、自分たちは分相応の生活も仕方がないと思っているのかもしれませんが、サイレント・マジョリティーの声は聞こえず、政権は、デモ隊にかまけているように見えます。

 イタリアでは今後、どんな展開になるのでしょうか。いずれにしても、経常赤字の国は、基本的に、他国に支えられた生活をしている、つまり他国に迷惑をかけているのだ、という事を、実体経済の面から、政権が国民に確り説明している例はあまり聞きません。
 ユーロを離脱してドラクマに戻れば、ドラクマの価値は半分ですという説明(もと首相)は、その通りでしょうが、これは、ユーロにとどまる限り、ギリシャの国際競争力回復は無理、という事と裏返しでしょう。

 しかし、一方ではユーロ安で、大いに潤っている国や企業があることも事実で、経常赤字国をユーロから追い出せば、ユーロは大幅高になり、残った国は昔のように高コスト国になって、スタグフレーションで呻吟するのでしょう。このあたりの損益計算の論議もあってしかるべきですが、全く聞かれません。

 国際投機資本は、経済の小さな穴に指を突っ込んで大きくし、政府がそれにつぎを当て、今や、世界経済や一国経済という服はつぎだらけになって、どれが元の生地か解らなくなってしまったようです。

 しかし良く見れば解る筈です、元の生地は「実体経済」です。実体経済を健全化すれば、つぎを当てる必要はなくなります。自由経済には復元力があります。これが、各国政権担当者の責任であり、国際経済社会安定のための最低限のディシプリン(規律)であり、日本的にいえば、「礼儀」でしょう。

 実体経済の綻びを態々大きくしたり、隠したりすることでキャピタルゲインの獲得に狂奔するギャンブラーたちにはご退場願うべきなのでしょう。方法は簡単です。金融取り引きのレバレッジを、さし当たって『1』にすればいいのです。