tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

デフレと与謝野・柳沢構想

2011年02月04日 11時11分33秒 | 経済
デフレと与謝野・柳沢構想
 消費需要を中心とした内需拡大、GDPを使い残さない日本経済の運営の問題を考えようというところへ、新しい情報が飛び込んできました。

 今回はことの性質上、個人のお名前を出して論じなければならないことになりますが、今朝から報道されている「社会保障改革に関する集中検討会議」についてです。

 菅総理を議長、与謝野経財相を議長補佐にした税と社会保障の一体改革案を纏めるための会議ですが、以前、自民党税制調査会長もやられた柳沢さんが、与謝野さんの頼みもあって重要な助っ人として参加されるという事で朝日新聞が、インタビューしていました。

 政党や人脈がどうかなどはこのブログとしては全く関係ない事で、問題は日本経済を救うのに役に立つかどうかですが、どうしても気なることが書かれていました。

 柳沢さんは、「財政再建は待ったなし、国債の格付けを下げられただけでなく、デフレも収束しそうにない、外国の日本を見る目も変わってしまった。根底にあるのは猛烈な財政赤字だ。・・・・」と仰言っているようです。

 マスコミの報道が本人の意思を正確に伝えているかどうかは解りませんが、これで見ると、財政赤字を減らし、財政を再建していけば、国債の格付けを下げられるようなこともなく、デフレも収束していく、とお考えのように、私には読めてしまうのです。 もし「財政を再建すればデフレも収束する」といったご理解であれば、そこには、もう少しその実現のための条件などの説明(例えば、社会保障の安定で国民が安心し、消費を増やすから日本の万年経常黒字はなくなるなど)がないといけないような気がします。

 単純に財政も健全化、経常収支も万年黒字といった状況ですと、日本はますます円高になりやすくなり、それは即、更なるデフレに苦しむ可能性を高くする、ということになるでしょう。財政の健全化は、あくまで中間目標で、最終目標は「日本経済の健全な成長」でなくてはなりません。

 そうならないためには、税社会保障の一体改革(つまりは国民負担率の引き上げ)をやりながら、消費支出を中心に内需を拡大し、GDPを使い切り、経常国際収支を均衡させる(あるいは他の先進諸国並に多少赤字にするぐらいの)政策が確りと併行しないといけないのではないでしょうか。

 国際投機資本が跳梁する今日の変動相場制の世界と、日本経済が健全性を謳歌できた固定相場制(あるいは安定相場)の世界とでは、一国の経済行動の原理は全く違うはずです。

 財政、国際経常収支の健全性、マネー資本主義、円高、デフレ経済、マイナス成長、雇用・将来不安、国民貯蓄の動向といった循環的に影響し合う条件を、総合的、有機的に見た上で、部分、部分の政策を、全体との関係で考えていかないと問題が解けないような難しい世の中になっているように感じるのですが。