tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

デフレと円高:最悪状態の日本経済

2009年11月27日 16時59分13秒 | 経済
デフレと円高:最悪状態の日本経済
 アメリカ経済のサブプライム破綻(リーマンショック)から1年を過ぎて、世界経済は、いくらか落ち着きを取り戻したようです。不安定ながらも、米、欧、アジアの株式市況も多少持ち直し、中国は経済回復に自信を示しています。

 日本も新エネ、省エネなどの技術革新を中心に、企業の業績も回復の兆しを見せるかと期待され、現に雇用情勢も底打ちの様相を見せてきたところでしたが、このところの円高、株安で日本経済は更なる打撃を受けそうです。放置すれば最悪の状態を招く危険もなしとしません。

 世界中株高なのに日本株ばかり低迷などといわれますが、日本だけがこのようなことになる理由はなんでしょうか。最も基本的な問題点を挙げるならば、それは円高でしょう。
 「ドル安」は傾向としては世界の共通認識でしょう。しかし、現状は、円が逆に独歩高の気配で、ユーロに対しても、ついこの間の135円辺りから128円台になっています。

 5パーセントの円高は何を意味するのでしょうか。これは、日本国内の要素費用(人件費、資本費)と凡ての価格が一律に5パーセントアップしたということです。仮に$1=90円が85円になれば、賃上げゼロでも、国際的には5.9パーセント賃上げしたのと同じことになリ、ただでも高い日本の物価が一律5.9パーセント値上げされたのと同じことになるのです。

 この影響は、マスコミが好んで取り上げるような輸出企業にとどまりません。通信料金も、航空運賃も、その他あらゆる物価、サービス料金、JR運賃もホテル代もすべてが、国際的は5.9パーセント引き上げられたことになるのです。そして国際競争力を取り戻そうとして5.9パーセント分の値下げ努力をしようとすれば、それはダイレクトに賃金や雇用に影響します。

 プラザ合意による円高を20年かけて必死のコストダウンで乗りきり、ヨーロッパ水準にまで物価を下げてきた日本、自国通貨切り上げの恐ろしさを 世界一知っている日本のはずですが、何故、円高に対して「強い」意思表示が出来ないのでしょうか。

 今日、日々の為替レートは実体経済によって決まるのではなく、投機資金の思惑によって決まります。明確な意思表示をしない円は、国際投機資本の格好なオモチャにされるのが落ちでしょう。そしてそのシワ寄せを受けるのは、われわれ日本人です。

 巨大な個人金融資産を持つ日本です。しかしそれは日本人が自らの将来ために蓄えたもので、国際金融資本に与えるエサではないのです。
最も恐ろしいのはデフレと円高のスパイラルでしょう。この問題は次回にします。