tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

矢張り深刻なアメリカ経済の回復

2009年10月29日 12時28分26秒 | 経済
矢張り深刻なアメリカ経済の回復
 アメリカ経済の回復は一進一退のようです。まだまだ長く厳しいプロセスが必要のように思われます。

 投資銀行の業績が回復して、公的資金を返済の意向などといわれますが、おそらく相変わらず別途の資金調達やキャピタルゲインによる収入が中心でしょう。これは経済回復ではなく、借金やギャンブルで当てて国からの借金を返済するだけです。

 ですから、リテイルを中心に、実体経済への金融業務を中心にしている地方中小金融機関は大変苦しく、倒産が100件を超えたとのことです。かつてS&Lは500件も倒産したのだから、それに比べれば・・・、などという政府関係者もいるようですが、まともな神経とは思えません。

 アメリカ経済が回復するということは、アメリカがキャピタルゲインや借金で世界から再び巨額の資金を調達して、国としての資金繰りをつけるということではなく、アメリカの実体経済が、生産力を回復し、国として経常赤字を減らす方向、政府として赤字財政を改善する方向に向かうという事でしょう。おそらく何十年もかかるのでは。

 これには、アメリカ国民が本気になって実体経済の中で財やサービスの生産に、しかも国際競争力のある財やサービスの生産のために本気になって働くことが必要でしょう。
 当のアメリカ人は多少その気になっているのかもしれません。しかし、経済学者、経済評論家、特に金融関係の人たちが、アメリカ経済の回復をそうした目で見ているのでしょうか。

 金融さえ回って、アメリカの株価が回復すれば、それでアメリカ経済の回復であるような意見が、多く聞かれるような気がしてなりません。

 実体経済が健全に回復しなければ、ダウ平均も上がらないといった形にならなければ、かつての世界で最も健全な経済を誇ったアメリカ、 証券の価値が実体経済の価値基準として機能したアメリカへの復帰は本物にはならないでしょう。

 マネーに偏りすぎて、実体経済を忘れた、経済のあり方、経済学、経済評論などなどを世界経済の健全な発展に役立つようなものに、改めて見直し、考え直していくのでなければ、アメリカ経済の本当の回復や、世界経済の安定への視点を誤るような気がしています。