tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

資本生産性

2008年11月06日 12時06分45秒 | 経営
資本生産性
 生産性というと、通常は、労働生産性、つまり従業員一人当たり年間にどれだけの生産(自動車何台とか、付加価値何円とか)を上げたかを指しますが、これは、従業員数を分母にした場合で、そのほか、土地を分母にすれば、1ヘクタールで小麦が何トン収穫とか、1億円の投資で、年間に何円の収入を得たかなども、土地生産性、資本生産性といった形で生産性概念の中に入ります。

 昔から言われますように、生産の3要素は「土地・労働・資本」というそれぞれの生産要素あたりの生産性が定義できるわけです。
 
 一方、分子の生産のほうは、自動車何台とか、鉄鋼何トンとかといった形の「物的生産性」で分析する場合もありますが、自動車の種類や鉄鋼の質が同じでないと厳密な比較は出来ません。 
 そんなわけで、どんな場合でも共通に分析できるという意味で、製品を売って得た付加価値を使うのが、経営分析では一般的です。

 こうして、資本生産性というのは通常、年間の付加価値生産額を、その会社の使用総資本、あるいは有形固定資産(生産設備)で割ったもの使って分析を行います。
 使用総資本で割った場合は、売掛債権や棚卸資産、投資資産などの効率(生産性)も入った資本の生産性になりますし、有形固定資産で割った場合には、工場や機械、店舗など投資した設備の生産性になります。

 この数字は通常あまり変化しません。ただし、売掛債権の回収を早くしたり、ジャストインタイムで在庫を圧縮したり、現有設備の有効活用を図ったり、遊休資産を処分したり、投資有価証券を見直したりすることで、着実な改善は可能です。

 「失われた10年」の中では、「バランスシート調整」という形でこれが進められ、生産性向上に貢献しました。(注参照)
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 <注>
資本生産性    ×    資本装備率     =  労働生産性
↓                ↓
(付加価値/総資本)×(総資本/従業員数)  =  労働生産性