皆様すでに御承知の事と思いますが、型どおり最初に付加価値分析を何のためにやるのか考えてみましょう。
付加価値は、我われの生活を豊かで快適なものにするための原資です。付加価値の分析は、付加価値の由来や構成、付加価値の分配なども含みますが、既に「付加価値を正確に理解しましょう」や「労働分配率論議」で取り上げています。
という事で、ここでは先ず、どうすれば付加価値の創出がより効率的に行われ、付加価値が増えて、望ましい結果に近付けるかを検討する事にしたいと思います。
それが巧くいかなかったときに、なぜ巧くいかなかったか、原因を知るためにも、勿論活用できます。
ですからここでは、より大きな付加価値を生産(創造)するためにはどうすればいいかの検討が中心です。
以前も触れましたが、2人で働いたら、1人の場合の2倍の付加価値が生産されたといっても、特に感心されたりはしないでしょう。1人で付加価値生産を1.5倍にしたら、これは大変なことです。
ですから付加価値分析は、具体的には「付加価値労働生産性」=1人当たりの付加価値をいかにして増加させるかを目指すことになり、付加価値労働生産性向上への取り組みという事になります。
そこで、通常付加価値分析で使われる公式というのは、「付加価値労働生産性の分析」という事になります。付加価値労働生産性(以下付加価値生産性)の公式ですから、その基本形は
付加価値生産性 = 付加価値額/従業員数 という事になります。
付加価値は人間が、資本を活用して創りだすものです。それは企業としては生産額=売上高として計上され、その中から、外部購入費用(他企業から購入した財とサービス)を差し引いたものがわが社の創出した付加価値となります。もう少し詳しく言えば、わが社という経済活動の場で巧みに組織化された、人間と資本の組み合わせが実現した(創出した)経済価値という事でしょう。
したがって、この分析は、人間(従業員:これは社長まで含みます)をベースに、トータルの企業活動としての売上高、活用した資本の大きさ、使用した原材料の価格あるいは量などが関係してきます。
というわけで付加価値分析(付加価値生産性分析)では、通常次の2つの公式を使います。
第1公式 付加価値生産性 = 付加価値/売上高 × 売上高/従業員数
第2公式 付加価値生産性 = 付加価値/使用資本 × 使用資本/従業員数
私は、もう1つ付け加えたいと思います。
第3公式 付加価値生産性 = 付加価値/使用原材料 × 使用原材料/従業員数
次回以降、これらの公式を使って、いかに生産性の向上を考えるかを検討したいと思います。そこではいろいろな生産性の概念が登場することになると思います。