法務大臣閣議後記者会見の概要(令和4年2月15日(火))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00281.html
「1件目は、法制審議会の答申についてです。
昨日、法制審議会の総会が開催され、4つの答申を受けました。
まず、民事訴訟手続について、訴えの提起から判決までを全面的にIT化すること等を内容とする答申をいただきました。
また、今回の答申外の事項ではありますが、離婚訴訟における和解や離婚調停においてウェブ会議による参加で離婚の成立を可能とするための法改正を併せて行うことも検討しています。
民事訴訟以外の民事・家事関係の裁判手続のIT化に向けては、別途、法制審議会に諮問したところですが、ウェブ会議による離婚成立などについては、これまでの議論状況等も踏まえ、早期に法改正を実現することが望ましいものと考えています。
法務省としては、速やかに国会に法律案を提出すべく、引き続き準備を進めてまいります。
次に、民法等の改正について、親子法制の見直しを内容とする答申をいただきました。
答申に盛り込まれた無戸籍者問題の解消を目的とする民法の嫡出推定制度に関する規定等の見直しや、児童虐待を防止する観点からの親権者の懲戒権に関する規定の見直しは、いずれも国民生活における重要な課題に対応するものと考えています。
次に、調停に関しては、裁判所の決定により、裁判外の調停で成立した和解合意に執行力を付与する制度を創設することなどを内容とする答申をいただきました。
答申の内容は、紛争解決に関する最新の国際水準に対応するとともに、国内の重要課題である養育費の履行確保を含め、調停の活性化にも資するものと認識しています。
民法等の改正及び調停に関する答申についても、それぞれ所要の法律案を、できる限り早期に国会に提出できるよう準備を進めてまいります。
さらに、刑事法制関係として、組織的犯罪処罰法のマネー・ローンダリング罪の法定刑を引き上げることを内容とする答申をいただきました。
今後、答申の内容を踏まえ、内閣官房をはじめとする関係省庁と連携しながら、できる限り早期に国会に提出できるよう、準備を進めてまいります。」
〇 法制審議会の答申に関する質疑について
【記者】
古川大臣は昨日2月14日、法制審議会から嫡出推定の見直しや民事裁判の手続を全面IT化することなどを盛り込んだ改正要綱について答申を受けました。
この点についての改めての意義と、法制審議会から答申を受けながら、この中の一部は開会中の通常国会への法案提出が見送られていますが、こうした重要法案の提出が見送られている現状についての受け止めを教えてください。
【大臣】
答申の意義については、先ほど申し上げたとおりであり、いずれの答申も時宜にかなった適切な内容になっているものと受け止めています。
民事訴訟手続のIT化に関する答申に関しては、今国会に法律案を提出する予定です。
また、他の答申についても、先ほど申し上げたように、いずれも重要な課題を解決するためのものであり、できる限り早い時期に、改正法案を国会に提出したいと考えています。