「私は今 中国の大学で教員をしています」と言うと、「恐竜学について教えているんですか」と聞いてくる人が少なからずいる。「いいえ、日本語教育や日本学に関する授業・講義を担当しています」と答える。1980年代の後半から10年間あまりは日本各地、特に福井県・岐阜県・石川県にまたがる手取層での古生物の発掘調査に参加させてもらい、その時にできた日本の古生物研究者たちとの人脈により1994年から10年間ほど、アメリカ・モンゴルの恐竜化石発掘調査団に参加させてもらった。
2001年には、当時 世界的な恐竜雑誌だった『DINO PRESS』(英語版と日本語版がある・A3版)に、私と伊藤孝雄さんの共同執筆した「モンゴル・ゴビ砂漠 恐竜発掘調査の記録」が 12ページ分のカラー写真と文章が掲載されることに。
また、2003年には雑誌『理科教育』にも、雑誌の冒頭を飾る多くの写真や文章の「モンゴル・ゴビ砂漠恐竜発掘調査の記録」が掲載されもした。これは1996年~2002年までのモンゴルでの発掘調査記録の集大成であった。2004年には「京都新聞」で、「夢進行形―太古のロマン体験―恐竜化石発掘調査に携わる小学校教諭 寺坂義彦さん」という見出しの記事が掲載。このような経過があったので、「中国で恐竜学を講義しているんですか」という問いかけがされたりもする。
アメリカとモンゴルの計8回にわたる発掘調査を通じて、何人かの古生物学研究者たちとも知り合いになり、その後も親しくしてもらった海外の研究者もいる。モンゴル地質アカデミーのナルマンダフ博士やカナダのフィリップ・カリー博士などだ。1996年のモンゴルでの調査の時は、NHKのディレクターとカメラマンが調査団に同行し、その年の秋に45分間のBS番組として放映されたりもした。
数回にわたったモンゴル・ゴビ砂漠の調査では、中国との国境付近まで行くことも多かった。千メートルを越える山々の峰を越えるとそこは中国甘粛省の嘉峪関や敦煌、新疆ウイグル自治区の町・ハミが近かった。
日本人の著名な古生物研究者たちとも知り合うこととなった。国立科学博物館の小畠郁夫博士や富田幸光博士、福井県恐竜博物館の東洋二博士や京都大学の瀬戸口烈士博士など。モンゴルでの発掘調査から帰国すると彼らに会って報告をしたり意見交換をした。
アメリカ・サウスダコタ州のブラックヒルズ地質研究所の研究者たちとも親しくしてもらった。彼らがとともに発掘調査した世界最大のティラノサウルス・「スー」は今、シカゴ博物館に展示されている。