彦四郎の中国生活

中国滞在記

「京都は喫茶店文化の町でもある」―喫煙可能の喫茶店で読書に耽る(ふける)楽しみ―三条通り界隈

2019-08-12 14:00:32 | 滞在記

 8月8日、京都アニメーション制作映画のポスターが展示されている京都文化博物館に行くため、京阪電鉄「祇園四条駅」で下車し、四条大橋を渡って四条通を歩き烏丸四条に。そこにある三井住友銀行両替センターで中国元を日本円に両替。そこから文化博物館方面に歩く。この日も京都の午後は38度の猛暑日。太陽の陽射しが痛く感じるし汗も止まらない。途中、お店のかき氷の看板が見えて、たまらず店に入ってしまった。京町屋を再生したみごとな店だった。「CAKE WORKS」という名前の落ち着いた雰囲気の店。テーブル数も1・2階の空間を使っているので多くゆったりとしている。店の前の公園の木々の緑も美しい。イチゴミルクかき氷は大盛りで とても美味しいが700円あまりと高額。しかし、これを食べて 暑さの中を歩きとおした身には しばしの休憩がとれた。

 店を出て公園でタバコを一服。しばらく歩くと、新しくできた京町屋っぽい大きな建物があったので、「何の建物だろうと中に入ってみると、なんとスーパーマーケット」だった。おしゃれなスーパーマーケットだ。ここ京都の街中は、京町屋を再生したさまざま店が多くなってきているように思う。

 しばらくさらに歩くと三条通が見えてきた。京都郵便局三条店のりっぱな赤レンガの建物や、これも赤レンガ造りの京都文化博物館別館の建物が見える。文化博物館の別館(旧・日本銀行京都支店)で京アニのポスターをしばらく見ていた。本館に行き、1階にある路地(さまざまな店がある)を歩く。京都文化博物館を出て、三条通を東に歩く。さまざまな伝統的町屋建物の商店や洋風建築のしゃれた店などもこの通りには立ち並ぶ。

 「イノダコーヒー三条店」の洋風の建物があった。有名な喫茶店だが、初めて入る店だった。「喫煙できますか?」と聞いたら、「スペースは一応わけてありますが、喫煙可能です。」とのこと。

 まあるい大きなテーブル席のなかに、料理人風の白い服と白い帽子をかぶった職人風の人が3人。珈琲職人さんという感じだ。タバコを吸わないで話に興じているお客さんや、タバコを吸いながら雑誌や新聞を見ているひとたちなど、この丸テーブルにはいろいろなお客さんが。どんなコーヒーを注文しようかメニューを見ると、「創業からのブレンドコーヒー・アラビアの真珠 580円」とあったものを注文した。しばらく読書しながら、タバコを吸い過ごす。

 歩いて1~2分のところにイノダコーヒー本店もあるようなので行ってみた。完全に町屋の商家といった建物だった。創業はけっこう昔なのだろう。開店時間は午前7:00~午後8:00までと、地元の人たちが朝に来て、ここでパンとコーヒーの朝食をとりながら、たばこを吸いながら新聞や雑誌を読むという文化が今も息づいている。

 ちょっとレトロな建物、店内には和装の商品が並べられていた。町屋ばかりでなく、和洋折衷された店の佇まいをみせる建物もけっこう多いこの三条通り界隈。これも和洋折衷の黄色っぽい建物のビルディング。この小さなビルは1928ビルと呼ばれている。もともとは毎日新聞京都支社があった建物。地下一階には、「cafe Indepandants」という前衛的な喫茶店がある。小さな通りをはさんだ向かいには、2階建ての新しいTULLYS COFFEがある。ここに入ってみた。広い広いゆったりとした 床は木造りも空間。

 ほとんどのお客さんは、パソコンを持ち込み、仕事をしたり勉強したり読書をしたりしている。学習室・勉強室といった雰囲気の喫茶店。喫煙室スペースは机は4つとカウンターがあるだけだが、なかなか読書にも集中できるスペースだった。1時間余りをここで過ごした。

 喫茶店を出て、三条通りをさらに東に向かうと、「三条名店街」のアーケード。南の通りは、「京極商店街」や「新京極商店街」のアーケドが続き人通りが多い。三条名店街のアーケードを過ぎると、三条河原町の交差点。さらに東に行くと いつもよく行く「コメダコーヒー三条店」や「小川珈琲」がある。そして鴨川にかかる三条大橋に。

 京都の三条通りは東西にとても長い。東は東山山麓の蹴上(けあげ)から、西は嵐山の天龍寺山門まで続く通りだ。ずっと西に行くと桂川に突き当たるので、ここから川沿いに西北方向にゆるくカーブして嵐山にいたる。実は、三条通りには「西日本で最もアーケードが長い商店街」がある。「京都三条会商店街」だ。東は堀川通から西は千本通まである。まっすぐ歩いても20分ほどかかる長さだ。かってマラソンランナーとして著名な野口みずきさんは、毎朝早朝にこの商店街を走り練習していたことが語り草にもなっている。祇園祭の期間中にある「祇園祭還幸祭」の神輿(4基のうちの1基)は、八坂神社からここまで ねり歩きながら渡御して1週間あまりはここに鎮座し、7月24日に八坂神社に戻って行く。

 京都は喫茶店文化が根付いている街だと思う。名店とよばれて長く親しまれている喫茶店も多いし、京都が創業というチェーン店も多い。京都市とその周辺には30あまりの大学があり、人口の1割にのぼる15万人が大学生として住み、通学する町だ。学生たちにとっても喫茶店は必要な場所。ここでタバコを吸い読書もする。

 『京都で珈琲』という本がある。小冊子という感じの小さな本。数ある京都の喫茶店の中で、30軒ほどの店が紹介されている。「イノダコーヒー本店」、四条河原町からほど近い「御多福珈琲」や「喫茶ソワレ」や「フランソワ喫茶室」、今出川千本交差点の南にある「珈琲・静香」、出町柳にある「名曲喫茶・柳月堂」、京都大学の図書館別館ともよばれる「cafe 進々堂 京大正門前」などなどが紹介されている。私が学生時代によく行って、読書やレポート・卒業論文を書いたりしていた喫茶店は、このうちで「進々堂」と「柳月堂」だ。ほかには、「フランソワ喫茶室」や四条木屋町にあったが今はない「喫茶・ミューズ」や そして今もある喫茶「築地」。

 京都にはさまざまなところに、すばらしい喫茶店が ほかにもいっぱいある。例えば、吉田山やその山麓にある「茂あん」や「吉田山荘喫茶室」などなど。京都は喫茶店文化が早くから花開いた町でもある。

 今、全国どこででも見られる「コメダ珈琲店」。喫煙室もあり読書したり仕事をしたりするのにとても利用しやすい喫茶店。創業は1968年で、第一号店は名古屋発祥の喫茶店チェーン店だ。

 中国では珈琲を飲む文化は 最近始まったばかりで、珈琲が飲める店は とても少ないし、また値段も高い。中国の茶館文化はなかなか珈琲館を寄せ付けない。

 

 


中国の国家戦略をよく知らない人が語る「憲法九条改悪反対」の講演会―中国の戦略を知る3冊はこれ

2019-08-12 08:36:03 | 滞在記

 纐纈厚(こうけつ あつし)氏の講演会が7月27日(土)の午後2時からあるというポスターちらしを見て、話を聞いてみたいので、会場の京都弁護士会館に行くことにした。主催は京都弁護士会、共催は日本弁護士会、「憲法改正問題に取り組む全国アクションプログラム」の取り組みの一つのようだ。纐纈氏の演題は「自衛隊の実態から探る 自衛隊加憲論の問題点」となっていた。

 ポスターちらしの講演紹介では、纐纈厚氏1951年岐阜県生まれで私より一歳年上だ。現在、明治大学特任教授、前山口大学副学長、山口大学名誉教授、政治学博士となっている。専門は「近現代日本政治史・現代政治社会論、対アジア関係史」と書かれている。現在までに30冊あまりの単著書(共著ではなく)を書いているようだ。また、新聞などにも たびたび意見文やインタビュー記事が掲載されているようでもある。

 これまで纐纈厚という名前を知らなかったが、おそらく京都弁護士会や日本弁護士会が主催する講演会の講師なので「憲法九条改憲反対」の立場で日本の安全保障を論じる人かと推測された。「東アジアを巡る日本の安全保障問題を巡って 現実・現状を踏まえての どんな話をするのか、興味や少しの期待」があった。当日はかなり激しく雨が降る日だった。

 主催者代表のあと、纐纈氏の講演が始まった。聴衆に語りかけるような話しぶりはなかなか上手だ。この日、150人ほどの講演会参加者があったかと思う。そのほとんどは、「憲法九条改正」に反対している日本共産党や立憲民主党などの支持者かと思う。若い人(20代)の参加者もあったが5名ほどか。講演内容で多くを費やしたのは、「自衛隊の文民統制」を巡る問題だった。安全保障を巡る中国のことにも触れていた。後日の8月3日付け「京都民報」(日本共産党系地方新聞)には、この講演会についての記事を以下の文章で掲載していた。まず見出しは「文民統制が形骸化―米軍と一体で大軍拡に―京都弁護士会・纐纈厚氏が公演」

 ……明治大学特任教授の纐纈厚氏が「変貌する自衛隊・崩壊する文民統制」と題して講演しました。纐纈氏は侵略戦争の反省から憲法九条が生まれ、その後、米国の世界戦略の変化の中で自衛隊が創設され、「文民統制(シビリアン・コントロール)」が形成されてきた歴史を解説しました。日本の「文民統制」システムが、自衛隊の軍備増強や米軍との一体化・世界戦略に組み込まれる中、「政府や自衛隊の中で、『文民統制』の原則が形骸化しつつある」と指摘。こうした中で、憲法九条に自衛隊を明記することは、自衛隊を将来的に軍隊として容認し、戦前の軍部再登場につながると述べ、「軍事では未来は切り開けないことを再認識すべき。日米安保体制のもとで軍拡化していくのではなく、日本国憲法に基づき非武装中立の道を選択すべきだ」と強調しました。(※以上が京都民報の講演内容に関する文章)

  講演内容では、「文民統制」の問題については、纐纈氏の話はおおむね理解もするし共感したり学べることも多々あった。さすが、自衛隊研究の第一人者の一人でもある。しかし、残念なことに、70年間続く中国共産党政権が今持っている国家戦略に対しての認識を「あまり研究も勉強もしていない人だなあ」と 話を聞いていて思った。あまりに中国の世界覇権国家戦略について知らないというか寛容というか、現状認識をしていないというか…。これで、「対アジア関係史」を専門の一つとし、よく憲法問題や安全保障問題を 堂々と講演できるものなのだなあ思った。

 要するに、「中国という国は"話せばわかる国"だ―平和関係が相互にもちえる国だ」というおめでた認識なのである。中国という国は、けっしてそんな国ではないことは断言できる。中国の国家戦略研究と洞察を踏まえることなくして、日本の安全保障と憲法九条の問題の"実際に役に立つ話"としてはあまり意味をなさない。たんなる「憲法擁護、平和がいいよ」という希望的観測だけの講演会というものは聴く値打ちはあまりない。とりわけ東アジアの現実・現状を十分に研究認識したうえでの、「それでもやはり、憲法九条の改正には反対する」という話でなければ 「講師とそれをよしとする聴衆の人々のひとりよがり」だ。熱心に憲法擁護を信奉するの講演会参加者にはそれで満足かもしれないが、ほとんど多くの日本国民はそれで納得・支持するわけがない。

  纐纈氏の講演がひとまず終わり、「司会者が質問や意見がある人はいませんか。時間の関係で2〜3人の人の質疑応答は可能かと思います。」とのことだったので、最初に意見及び質問をした。「纐纈さんの自衛隊シビリアンコントロールの実態と危惧については、よくわかりました。この点については、私も纐纈さんの見解に賛同します。私は今日までの6年間、中国の大学に教員として赴任しています。中国共産党支配下の中国政治、中国民族、中国社会などについて ずっと研究もしてきました。私の中国観や中国共産党の長期戦略など、つまり中国に関する見方は、纐纈さんの見方とは違います。纐纈さんの中国に対する見方は充分ではないと感じます。中国共産党政権の東アジア及び世界に対する覇権は今後もさらに拡大するものと見ています。このことを 正確に踏まえずして、単なる憲法擁護論議・安全保障の問題は本当には語れないと思います。この点、纐纈さんはどうお考えですか。」と意見と質問を述べた。

 これに対して、纐纈氏は、「このような意見・質問は時にはありますが‥」と言いながら、かなり感情的になり持論を力説していた。あまりこのような指摘に対しては聴く耳もたぬという感じの応答だった。中国に関する研究や見方が不勉強、つまり自信のなさの表れかとも感じる答弁だった。纐纈氏もこれだけの人かと残念に思った。安全保障・憲法問題の底が浅いのである。 

 今年の1月10日に、「京都退職教員の会・新春のつどい」で、300人あまりの参加者を前に、記念講演があった。講師は京都大学法学部教授の高山氏(女性)。バイオリンを抱えてやってきた彼女の「憲法擁護・九条改憲反対」の講演は、「これで京大教授がつとまるのか」と思えるような空虚な内容だった。「こんなん、法学部4回生の卒業論文レベルの講演やん」。講演後にロビーに行き、質問をしたが、質問を振り払うように質問に答えず去って行った。この高山氏に比べれば、今回の纐纈氏はまだ内容はそれなりにあったと思うが、要するに二人に共通していることは、「中国共産党の覇権戦略を事実として認識すれば、十八番(おはこ)の主張ができにくくなるから、それに関しては 深く研究せず 見ざる聞かざる言わざるの思考停止をしている」というように感じに思える。残念ながらであるが、護憲派と呼ばれる人たちが主催するの講演会にはこのような不勉強な講演者が多いのかもしれない。

 中国という国、中国という民族、中国という国の歴史の本質、中国共産党一党支配政権の本質、そして今後の中国共産党政権の世界戦略を理解する際に、「ここ2〜3年に出版された最も重要な必読文献(著作)のベスト3をあげよ」と言われた場合、次の3冊がある。この3冊は中国に関する深い洞察がそれぞれにある本だと思う。

 まず、『Chaina 2049―秘密裏に遂行される世界覇権100年戦略』(マイケル・ピルズベリー著)。本書はマイケル・ピルズベリーのCIAにおける経験に基づいて書かれ、CIAのディレクスターズ・エクセプショナル・パフォーマンス賞を受賞した。「パンダハガー(親中派)」のひとりだつた著者が、中国の軍事戦略研究の第一人者となり、親中派と袂を分かち、世界の覇権を目指す中国の長期的戦略に警告を鳴らすようになるまでの驚くべき記録である。本書が明かす中国の真の姿は、孫氏の教えを守って如才なく野心を隠し、アメリカのアキレス腱を射抜く最善の方法を探し続ける極めて聡明な敵だと指摘する。

 著者は米国における中国専門家として著名であるばかりでなく、米国政府の対中政策に1970年代以来最も深く関わってきた人物の一人の対中政策の歴史も克明に振り返り考察している総括的な中国論である。その本人が本書の冒頭で、米国は中国の国家戦略の根底にある意図を見抜くことができず、騙され続けてきたと告白する。この告白は衝撃的である。これほど中国に精通し、歴代の中国国家主席など、中国要人と交流のあった著者さえ中国に欺かれ続け、それを知らずに歴代米国政権が対中政策をピルズベリー博士の助言や勧告に基づいて進めてきた事実を知って今更のごとく驚愕させられる。現在の米国トランプ政権の対中政策の方針変更に基づく「対中貿易戦争」は、本書の影響が大きく影響を与えていることは想像にかたくない。

 「著者ピズルベリー氏 緊急来日で話題沸騰! 日経新聞、朝日新聞、東京新聞、BSフジ"プライムニュースほか、多数のメディアが大注目―いま解き明かされる 習近平政権の"手の内"―」とこの本の背表紙には書かれていた。中国を知るための必読の一冊である。

 次に、『中国製造2025の衝撃』(遠藤誉 著)[PHP社]。「習近平はいま何を目論んでいるのか 日本での中国研究の第一人者による 日本人が知っておくべき驚愕の事実」「中国の半導体と宇宙開発が世界を制する!」「中国製造2025が完遂すれば、中国はアメリカを越える。2025年こそは世界が変わる分岐点である。」と本書は紹介されている。読んでみると、やはり中国の世界覇権が急ピッチで進んでいることがわかる。著者の遠藤誉氏(女性)は、現代中国の研究者・中国ウォッチャーとしては信頼のおける第一人者かと思う。

 そして、『日中文化社会比較論―日中相互不信の深層』(河原昌一郎 著)[彩流社]。日中文化の異質性と衝突の深層を、日中それぞれの「家族」「村」、「社会と民族性」を比較研究、その相違性について述べる。「日中関係」「現代の中国―国際秩序に対する脅威」「中国とどう向き合うか」などについて述べる。たぐいまれな「中国論」の一冊がついに出たというのが本書である。つまり、「なぜ 中国人は、中国という国は、このような力の論理に基づいた行動をとるのか!」ということが とても深く解明されたのがこの書籍だ。

  ◆中国の国家戦略のことことをよく知らず、一つ覚えのように「憲法改悪反対」を講演する人たちには、是非に読んでもらいたい3冊だ。中国のことを 真面目に知ってほしいし、研究してみてほしいと願う。「教えるとは学ぶこと 学ぶとは誠実を心に刻むこと」(ルイ・アラゴン)の言葉を振り返ってほしい。

 2年前に出版された本だが、『日本人のための平和論―Peoples  Peace』(ヨハン・ガルトウング著)もなかなか優れた著書だ。「数々の国際紛争を調停してきた平和学の世界的権威が、いま 日本のため緊急提言!」「北朝鮮問題、領土問題、拡大する中国の覇権、暴走するトランプ・アメリカ」という国際情勢のなかで、日本がとるべき道について述べている一冊だ。国民が国を守るための防衛意識をもつことの重要さも。

 最近出版された『日本共産党政権奪取の条件』(日本共産党大阪選出衆議院議員・清水忠史氏[共産主義者]とジャーナリスト・適菜収氏[保守主義者]の対談)[KKベストセラーズ]も一読の価値ありだ。日本の防衛・安全保障・憲法問題についての討論内容はとても優れた対談となっている。

 8月4日の朝日新聞の朝刊社説「日米安保を考える―9条との両立に価値がある」は、それなりに今の日本国民の少なくても6割が賛成しうる・同感しうる社説記事かと思う。これも読む価値ありと思う。私も基本的にはこの社説に同感する。

   まだ読んではいないが、日本共産党中央委員会に勤務していて、2000年代には日本共産党外交委員会の責任者を務めていた松竹伸幸氏が『改憲的護憲論』(集英社新書)を2017年に出版しているらしい。購入して読んでみる価値のある一冊かもしれない。

 『中国と中国人』(岡田武彦全集第20巻)[明徳出版]という本を読んだ。この全集が出版されたのは2009年だが、岡田氏が実際に執筆したのは1970年代の初頭とかなり昔だ。しかし、当時の中国古典研究の第一人者の一人だけあって、孫子や孔子や韓非子や王陽明などの研究に関してはすごい人だ。その人が、毛沢東はじめ、現代中国人、現代中国共産党指導部が、この「儒教・法家・道家」などの中国古典思想の影響を受けているか、とりわけ「孫子」の影響の強さを述べている。これは、必読推奨3冊にあげて紹介した『中国2049』の著者も『日中社会比較論』の著者も かなり述べていることだ。つまり、中国人、及び、中国共産党政権の思考・戦略を理解するには、とりわけ「孫子」の思想を知るべきだと。