8月8日、京都アニメーション制作映画のポスターが展示されている京都文化博物館に行くため、京阪電鉄「祇園四条駅」で下車し、四条大橋を渡って四条通を歩き烏丸四条に。そこにある三井住友銀行両替センターで中国元を日本円に両替。そこから文化博物館方面に歩く。この日も京都の午後は38度の猛暑日。太陽の陽射しが痛く感じるし汗も止まらない。途中、お店のかき氷の看板が見えて、たまらず店に入ってしまった。京町屋を再生したみごとな店だった。「CAKE WORKS」という名前の落ち着いた雰囲気の店。テーブル数も1・2階の空間を使っているので多くゆったりとしている。店の前の公園の木々の緑も美しい。イチゴミルクかき氷は大盛りで とても美味しいが700円あまりと高額。しかし、これを食べて 暑さの中を歩きとおした身には しばしの休憩がとれた。
店を出て公園でタバコを一服。しばらく歩くと、新しくできた京町屋っぽい大きな建物があったので、「何の建物だろうと中に入ってみると、なんとスーパーマーケット」だった。おしゃれなスーパーマーケットだ。ここ京都の街中は、京町屋を再生したさまざま店が多くなってきているように思う。
しばらくさらに歩くと三条通が見えてきた。京都郵便局三条店のりっぱな赤レンガの建物や、これも赤レンガ造りの京都文化博物館別館の建物が見える。文化博物館の別館(旧・日本銀行京都支店)で京アニのポスターをしばらく見ていた。本館に行き、1階にある路地(さまざまな店がある)を歩く。京都文化博物館を出て、三条通を東に歩く。さまざまな伝統的町屋建物の商店や洋風建築のしゃれた店などもこの通りには立ち並ぶ。
「イノダコーヒー三条店」の洋風の建物があった。有名な喫茶店だが、初めて入る店だった。「喫煙できますか?」と聞いたら、「スペースは一応わけてありますが、喫煙可能です。」とのこと。
まあるい大きなテーブル席のなかに、料理人風の白い服と白い帽子をかぶった職人風の人が3人。珈琲職人さんという感じだ。タバコを吸わないで話に興じているお客さんや、タバコを吸いながら雑誌や新聞を見ているひとたちなど、この丸テーブルにはいろいろなお客さんが。どんなコーヒーを注文しようかメニューを見ると、「創業からのブレンドコーヒー・アラビアの真珠 580円」とあったものを注文した。しばらく読書しながら、タバコを吸い過ごす。
歩いて1~2分のところにイノダコーヒー本店もあるようなので行ってみた。完全に町屋の商家といった建物だった。創業はけっこう昔なのだろう。開店時間は午前7:00~午後8:00までと、地元の人たちが朝に来て、ここでパンとコーヒーの朝食をとりながら、たばこを吸いながら新聞や雑誌を読むという文化が今も息づいている。
ちょっとレトロな建物、店内には和装の商品が並べられていた。町屋ばかりでなく、和洋折衷された店の佇まいをみせる建物もけっこう多いこの三条通り界隈。これも和洋折衷の黄色っぽい建物のビルディング。この小さなビルは1928ビルと呼ばれている。もともとは毎日新聞京都支社があった建物。地下一階には、「cafe Indepandants」という前衛的な喫茶店がある。小さな通りをはさんだ向かいには、2階建ての新しいTULLYS COFFEがある。ここに入ってみた。広い広いゆったりとした 床は木造りも空間。
ほとんどのお客さんは、パソコンを持ち込み、仕事をしたり勉強したり読書をしたりしている。学習室・勉強室といった雰囲気の喫茶店。喫煙室スペースは机は4つとカウンターがあるだけだが、なかなか読書にも集中できるスペースだった。1時間余りをここで過ごした。
喫茶店を出て、三条通りをさらに東に向かうと、「三条名店街」のアーケード。南の通りは、「京極商店街」や「新京極商店街」のアーケドが続き人通りが多い。三条名店街のアーケードを過ぎると、三条河原町の交差点。さらに東に行くと いつもよく行く「コメダコーヒー三条店」や「小川珈琲」がある。そして鴨川にかかる三条大橋に。
京都の三条通りは東西にとても長い。東は東山山麓の蹴上(けあげ)から、西は嵐山の天龍寺山門まで続く通りだ。ずっと西に行くと桂川に突き当たるので、ここから川沿いに西北方向にゆるくカーブして嵐山にいたる。実は、三条通りには「西日本で最もアーケードが長い商店街」がある。「京都三条会商店街」だ。東は堀川通から西は千本通まである。まっすぐ歩いても20分ほどかかる長さだ。かってマラソンランナーとして著名な野口みずきさんは、毎朝早朝にこの商店街を走り練習していたことが語り草にもなっている。祇園祭の期間中にある「祇園祭還幸祭」の神輿(4基のうちの1基)は、八坂神社からここまで ねり歩きながら渡御して1週間あまりはここに鎮座し、7月24日に八坂神社に戻って行く。
京都は喫茶店文化が根付いている街だと思う。名店とよばれて長く親しまれている喫茶店も多いし、京都が創業というチェーン店も多い。京都市とその周辺には30あまりの大学があり、人口の1割にのぼる15万人が大学生として住み、通学する町だ。学生たちにとっても喫茶店は必要な場所。ここでタバコを吸い読書もする。
『京都で珈琲』という本がある。小冊子という感じの小さな本。数ある京都の喫茶店の中で、30軒ほどの店が紹介されている。「イノダコーヒー本店」、四条河原町からほど近い「御多福珈琲」や「喫茶ソワレ」や「フランソワ喫茶室」、今出川千本交差点の南にある「珈琲・静香」、出町柳にある「名曲喫茶・柳月堂」、京都大学の図書館別館ともよばれる「cafe 進々堂 京大正門前」などなどが紹介されている。私が学生時代によく行って、読書やレポート・卒業論文を書いたりしていた喫茶店は、このうちで「進々堂」と「柳月堂」だ。ほかには、「フランソワ喫茶室」や四条木屋町にあったが今はない「喫茶・ミューズ」や そして今もある喫茶「築地」。
京都にはさまざまなところに、すばらしい喫茶店が ほかにもいっぱいある。例えば、吉田山やその山麓にある「茂あん」や「吉田山荘喫茶室」などなど。京都は喫茶店文化が早くから花開いた町でもある。
今、全国どこででも見られる「コメダ珈琲店」。喫煙室もあり読書したり仕事をしたりするのにとても利用しやすい喫茶店。創業は1968年で、第一号店は名古屋発祥の喫茶店チェーン店だ。
中国では珈琲を飲む文化は 最近始まったばかりで、珈琲が飲める店は とても少ないし、また値段も高い。中国の茶館文化はなかなか珈琲館を寄せ付けない。