6月9日に100万人集会・デモに参加後 日本に来日し、明治大学駿河台キャンパス講堂で「香港のこと」について報告と訴えを行った香港の女子学生がいた。2014年の「雨傘運動」の中心人物の一人だった周庭さん。日本のテレビ報道でき、「香港を守りたい」「香港が想像できない場所になる。権利・自由だけでなく身の安全も保障されません」との訴えが放映されていた。
G20サミット大阪の開催に合わせて、「香港の自由と民主化を守る行動―日本と香港の学生の 学生による共同主催―6月27日 19:00~難波高島屋前」なども行われた。
6月19日、中国の王毅外相による中国政府の香港情勢に関する「見解発表」が行われ、人民日報に掲載された。見出しは「王毅:請収回的你们黑手、香港事務是中国内政」というものだった。この見解は、日本のテレビでも報道されていた。「声を大きくして言いたい。(西側諸国は)伸ばした黒い手を引っ込めてほしい。あなたたちの干渉を容認しない。」との内容だった。
6月末のG20サミットの中、ウイグル民族の人権擁護を訴えるリーダー的存在のでアメリカに亡命中の女性が来日。集会での訴えや街頭でのデモと訴えを行った。そして、雨の中、関西国際空港に習近平国家主席を乗せた飛行機が降りたった。人民日報もこれを一面記事で報道。
中国国内では、6月9日と6月16日の100万人・200万人という 2000年代に入ってからは 中国でも前代未聞の香港のニュースは、新聞でもインターネットでも、テレビでもほとんど伝えられなかった。ただ、伝えられたのは、王毅外相の見解発表や林鄭月娥長官の6月9日後の「デモを暴動と非難する」シーンなどが簡単に伝えられるだけだった。多くの人々がデモ行進や集会をしている映像や具体的なデモ参加者の数字などは一切報道されなかった。
中国のSNSには、デモへの参加者について、「香港デモの参加者はお金を受け取ってデモに参加している。デモに参加するだけなら〇〇元、中国批判を声高に叫べは〇〇元、警官隊と激しくやり合えば〇〇元を受け取っている。」として、「この写真は、お金を受け取っている場面の映像だ。」と まことしやかな?ニセ?写真?を掲載しているものがあった。
7月上旬には香港在住の市民たちによる、「中国政府・香港政府支持」と中国国旗を掲げての集会があった。これらは、中国では大きく取り上げられて報道されていた。まあ、完全な報道規制とプロパガンダである。中国国民は、「なぜデモが起きているのか」の理由を知るということは一般にはできず、「香港のデモ参加者への不信感や憎悪」を植え付けられるだけとなっていると思う。
許可がおりない中でとりおこなわれた6月21日の「条例案反対」の集会やデモには29万人が参加した。この日の夜、黒い服を着ていたデモ参加者たちが地下鉄の駅構内などで、白いTシャツを着て角棒をもった男たちの一団に次々と襲われ45人が負傷させられた。襲った男たちは「黒悪集団(中国ではそうよばれる。習近平政権になってこれへの取り締まりを国民運動として強力に進めてきていたのだが)黒悪集団=マフィア。」の集団だ。彼らを香港政府や中国政府は利用したこととなる。これは、学生運動や労働運動を弾圧させるために1960年代には日本でも行われたことだが。
デモ隊の一部が過激化して香港立法府の建物に乱入したことが7月1日に起きた。これは、香港市民たちからも批判をされもした。これらはおそらく、「暴徒」として中国ではテレビや新聞でも大きく映像とともに取り上げられていた。
6月中旬以降、香港では一本のインターネット動画「まな板の上―恐怖の未来」が注目され、何百万人もの香港人が閲覧したようだ。この動画は、日本国内ではインターネット記事動画を通じて視聴することができた。「逃亡犯条例」の改正が行われた香港のようすを描いた短編の動画映画だ。豚肉店の店主が中国本土で取り調べをうけで罪に問われ拘束されることなどが描かれている作品。
日本では、「香港における政府当局による強権的な動きを牽制するため、日本版『香港人権・民主主義法案』の議論を開始することを日本の国会議員に求める署名」が数人の呼びかけ人により、6月13日からインターネツト上でとりくまれている。しかし、まだ広がりは少ない。
日本では、新聞やテレビでは この2カ月半以上 香港情勢についての報道は多く、日本国民の関心度はかなり高いかと思われるが。しかし、立憲民主党や日本共産党などの野党勢力は、このことに関する報道や見解などには消極的。これは北朝鮮や韓国の問題に対する問題の指摘の消極性と軌を一にしていることだ。とても残念なことだが。自民党の安倍政権も政権党として「一定の憂慮」は表明しているがそれだけだ。強く中国に働きかけることはしていない。