彦四郎の中国生活

中国滞在記

東京へ行く❷—早朝の東京大学散策―日本と中国の「大学キャンパス・歴史的建築群美麗比較」

2019-08-17 09:50:47 | 滞在記

 8月7日の早朝、上野不忍池近くの東京大学キャンパス(本郷キャンパス・弥生キャンパス・浅野キャンパス)に散歩に出かけた。東京大学キャンパスの小さな門は午前6時に開門、大きな門は午前7時頃に開門する。早朝の不忍池から岩崎邸や中華料理店・東天紅や横山大観記念館の方面を見る。それらの建物の後方に東京大学のキャンパスが広がっている。ここ上野には東京芸術大学のキャンパスもある。

 午前6時前に「無縁坂」(さだまさしの[名曲・無縁坂]の坂)を歩き「鉄門」に着く。江戸時代の幕府の官学校・昌平黌が東京大学の前身だが、東京大学がここ上野に隣接した本郷地区にキャンパスを移転したのは明治9年(1876)のこと。その当時の大学正門がこの鉄門だった。ここから東京大学散策を始めることに。 

 東京大学医学部と東大医学部付属病院群の建物。医学部本館の建物の装飾がなかなか美しく壮麗だ。日本の大学の医学部本棟としては最も美麗で歴史性のある建物だろうと思う。大学構内を歩くと、いたるところに歴史的な建築群が現れる。建物群が大きく高い樹木に覆われている。

 本郷キャンパスの中心にあるのが「三四郎池」。本郷キャンパスは江戸時代には、前田家・加賀百万石の広大な江戸屋敷があった場所だった。その加賀藩屋敷の庭園跡が三四郎池となっている。東大の建物カラーの黄土色(おうどいろ)の歴史的建物が続く。安田講堂の近くの大きな楠の木が枝を広げている。安田講堂が朝日に照らされている。ここから正門には銀杏(いちょう)並木が長く続く。

 樹木に覆われた建物群を歩き続けると、白いアーチ型の建物棟がずっと見渡せる場所がある。見事な建築群だ。正門に行くとまだ開門はされていなかった。銀杏並木の向こうに安田講堂が見える。

 東京大学の歴史的建築群の特徴の一つに、建物入り口のアーチ型がある。なかなかおしゃれというか、「西洋型建築の特徴を部分的に取り入れている和洋折衷の歴史的建造物」が多い。このような建造物は、本郷・浅野・弥生キャンパスだけで100棟くらいあるのではないだろうか。見事な残存・保存・改修率だと思う。

 正門近くの大学掲示板に、「ニトリ寄付講座」というポスターが貼られていた。「東急電鉄・ゲオ・富士フィルム・ニトリ・良品計画(無印)・ペッパーフードサービス」の六社の会長や社長や常務執行委員などが 9/27から11/1までの毎週金曜日に 講演・講座を行う企画のようだ。「日本アジア学」というアジア諸国現地訪問型の東大企画ポスターもあった。

 東京大学の赤門(あかもん)。もともとは加賀藩屋敷の門。ローマ風の建造物もある。建物群のちょっとした飾り(意匠)がなかなかいい。1時間ほど本郷キャンバスを散策していたら、午前7時ころになり、太陽が完全に高くなり始めてきた。汗が出始めたがハンカチをホテルに置き忘れてしまっていた。早くホテルに戻りシャワーを浴びたくなったので、本郷キャンパスに隣接する弥生キャンパスや浅野キャウパスには 今回は廻らずホテルに戻ることに。

 東京大学は、ここ上野の近隣の3キャンパスの他に、東京には駒場キャンパスがある。これら4つのキャンパスを合わせるとかなり広大な大学構内面積を誇ることとなる。日本の大学で最も広大な構内面積をもつのは北海道大学だが、ここ東大も広い。

 日本の700あまりの「大学キャンパス・歴史的建築群美麗比較」をした場合、ベスト3にあげられる大学は「北海道大学・京都大学・東京大学」があげられる。日本の7帝大は他に「東北大学・名古屋大学・大阪大学・九州大学」があるが郊外への新キャンパスなどへの移転にともないキャンパスとしての魅力はあまりない。7帝大に次ぐものとして「一橋大学・東京工業大学・筑波大学・神戸大学・広島大学」などがある。この中で一橋大学と東京工業大学と神戸大学のキャンパスはそれなりに魅力はある。

 私立大学のベスト4は、「同志社大学(今出川キャンパス)・関西学院大学・国際基督教大学・早稲田大学」のキャンパス。特に、同志社と関学は建物と周囲の環境が、歴史的にも魅力を放つ大学キャンパスだと思う。慶応大学の日吉キャンパスの建物や京都・龍谷大学の大宮キャンパスの歴史的建築群はそれぞれ見事だが、なにせキャンパスがとても小さい。他に、国立岩手大学や奈良女子大学のキャンパスは小ぶりだが美しい。また、私立の立教・学習院・青山学院の各大学キャンパスもそれなりにいいと思う。

 それらに比して、有名ではあるが、明治大学や法政大学の都心キャンパスは、大学キャンパスというよりも大企業の本社のようなたたずまいである。大学キャンパスの情緒性にはほとどとおい大学なので、ここの留学生はかなりの違和感を感じながら通学しているのではないかと思う。

 中国には2800あまりの大学があるが、その半数余りは1990年代以降に新設されたものだ。中国の大学と日本の大学とを比較すると、中国の大学はそのほとんどが広大な構内敷地面積をもつことだ。つまり、日本の大学のほとんどはとても狭く、また、いくつものキャンパスに分かれている(たこ足キャンパス)場合が多い。中国から日本の大学に留学する学生は、その日本の大学の狭さに愕然とする者も多い。中国の大学が広い理由の一つには、大学構内に学生寮の建築群が延々と続くからでもある。(全員が学生寮に入るシステム)

   私が福建省で勤務している閩江大学(1958年創立)や2年前に勤務していた福建師範大学(1910年創立)も北海道大学くらいの広さがある。それからもう一つの違いは、中国の大学は正門の大きさや立派さにこだわりが強いといった点だ。日本の大学は門へのこだわりが少ないので、これまた中国から日本への留学生はがっかりする者も多い。

 中国の大学のキャンパスの美しさを特集した『中国最美高校』と書かれた雑誌がある。中国では大学のことを「高校」とも呼ぶ。小学校は「小学」、中学校は「初中」、高校は「高中」、そして大学は「高校」または「大学」または「学院」。中国の大学で最も美しいキャンパスベスト3は、「厦門(アモイ)大学」(福建省廈門市)、「武漢大学」(湖北省武漢市)、「湖南大学」(湖南省長沙市)とされている。(上記写真の左より2枚目は厦門大学、3・4枚目は武漢大学、5・6枚目は湖南大学)   このうち廈門大学と湖南大学には行ったが、壮麗な美しい伝統的な建築群が多い大学だった。

 北京大学や清華大学のキャンパス、山東大学や南京大学などの大学キャンパスもすばらしい。(上記写真 左より1・2枚目は北京大学、3・4枚目は清華大学、5・6枚目は南京大学と山東大学)  北京大学はどちらかというと中国の伝統的建物建築群で清華大学は西洋風建物群が多い。北京大学には東京大学の赤門とよく似たような門がある。おそらく、中国2800の大学中、キャンバスの光景がそれなりに美しいと思える大学は500校以上はあるのではないかと思う。

 日本と中国の大学の双璧をなす「東京大学・京都大学」と「北京大学・精華大学」だが、キャンパスの歴史性や建物群の壮麗さ美麗さという点での比較では、どちらに軍配が上がるかは微妙で甲乙つけがたいが、やや東大・京大のほうに分があるかなあと、4つの大学に行ってみて感じている。