彦四郎の中国生活

中国滞在記

東京に行く❶―上野界隈—中国の大学に勤めていた友人たちや留学生と会う―JICでキルギスのことを

2019-08-16 18:11:03 | 滞在記

 8月6日、朝の9時ころの新幹線で京都を出発して一泊二日の予定で東京に向かった。東京での予定は、国際親善交流センター(JIC)の東京本社に行き、中央アジアのキルギスタンの学校に関する話を聞くこと、中国福建省などの大学で教員をしていた友人たちに会うこと、そして、中国から東京に留学している学生に会うこと、東京国立科学博物館での恐竜展を見学することなどだった。

 JICの担当者と午後1時に会って話を聞く予約をしていたので、東京駅から丸の内線に乗り四谷(よつや)三丁目駅に向かう。JICの代表取締役の伏田さんが直々に説明をしてくれた。午後4時過ぎにJR上野駅に着き、上野公園の西郷隆盛銅像を見る。銅像横には亜熱帯植物であるデェイゴの赤い花が咲いていた。

 不忍池には蓮が大きな葉と花を咲かせていた。ここまで大きく育った蓮の葉は、蓮の本場中国でもなかなか見られない。おそらくここの蓮は、生育にそれなりの世話(池の土の)をしているのだろう不忍池周辺や上野公園界隈にはいつもここで野宿をして暮らしている人たちがいる。その中には女性たちもいる。

 不忍池の畔の常宿にしているビジネスホテルに着き、さっそくシャワーを浴びた。この日の東京は38度の酷暑日。喫煙可能の常宿の部屋からは不忍池とその周辺が眼下に見える。午後5時半に、東京在住で、かっては中国の大学で教員をしていた目黒さん・藤田さんと上野駅で待ち合わせをし、上野の飲食街末吉町の「味噌座」という店で、再会の乾杯をして いろいろな話をする。かってこの二人とは中国福建省の福州で、時々会ってはいっしょによく飲んだ友人(ポンヨー)たちである。

  翌朝の7日、上野不忍池の畔にあるカフェレストラン「黒門」に行き、珈琲をゆっくと飲み過ごす。この喫茶レストランは喫煙可能なので、上野に来たらよく通う。上野公園とも目と鼻の先だ。私は東京という街は わりと好きである。特にここ上野界隈は好きだ。上野公園・博物館や美術館、東京大学本郷キャンパス、不忍池、アメ横、上野駅、そして近くには浅草。知性と庶民性とが混在した町・上野界隈。

 大阪と違って知性とか文化性と庶民性とかを感じる街である。庶民性の中にも、「いき(意気)・粋(いき)」を感じる。大阪の庶民性にはこの「いき」が感じられない。野宿をしている人にもこの「いき」が上野では感じられる。かっての大阪は、「いき」がそれなりにあったが、今は維新勢力と吉本興行によってだめになってきた街だ。何が「カジノ」だ、いまごろ「万博」やって何になる。

 喫茶店「黒門」に置いてあった「東京案内」の雑誌をペラペラと見る。「江戸文化の粋を感じる―江戸文化に触れる」というページを見る。国技館(相撲)、歌舞伎座(歌舞伎)、浅草演芸ホール(寄席・芸能)、そして新宿末廣亭(落語・曲芸・漫才・奇術)。東京のお笑い芸能は「笑いの中に知性」があるが、大阪の吉本には「品のない 付和雷同な馬鹿笑い」が主流だ。笑いの中に真面目さがない。東京の新宿には「ルミネTHEよしもと」があり、京都にも「京都よしもと」があるが、地元東京や京都での受けは いまいち芳しくないのが救いといえば救いだが。 

 東京上野公園の国立科学館では「2019 恐竜博」が、国立博物館では「三国志展」が、美術館では「松方コレクション―マネ・モネ・ルノワール展」などをやっている。上野界隈では、「夏祭り―7/13~8/12」で東北三大祭り(さんさ祭[岩手]、ねぶた祭[青森]、竿灯祭[秋田])のパレードが行われるようだった。「下町上野ふるさと盆踊り大会 8/17・18」「江戸まち芸術祭8/18~10/26」などなどのポスターが街角に掲示されていた。上野公園でアンデス民謡の演奏をしている前で、このあたりで野宿生活をしているおじいちゃんが音楽に合わせて踊っていた。なんとも庶民的というかホッとする光景というか。この日の午前中に、「2019恐竜展」に行った。

 午後1時半にJR新宿駅で中国からの留学生・陳佳秀さんに会い昼食を一緒にとりながら いろいと話をした。。私の教え子の一人で、現在は上智大学大学院の2回生の学生である。出身は中国河南省の洛陽。午後4時ころに東京駅から新幹線に乗り京都に戻った。

 

 

 

 


日本最大級80万冊を出品、今年は第32回目となる「下鴨納涼古本まつり」(於:京都下鴨神社・糺の森)

2019-08-16 08:59:07 | 滞在記

 8月11日の午後3時から、京都河原町御池の地下街「ゼネスト御池・河原町広場」にて、「第24回全国学生学生邦楽フェスティバル」の前日祭(デモンストレーション)が午後3時から開かれるというので会場に行ってみた。本番は12日に、京都文化博物館別館(旧・日本銀行京都支店)を会場に開催される予定。参加大学は43校。

 20分間ほど演奏を聴いていたが、あまりにも 緊張感もないお粗末な運営や演奏内容にあきれてしまい、座っていたお客は次々と席を立って行った。私と妻も「もう行こうか」と会場を後にして、バスで下鴨神社に向かった。

 新聞の記事に「日本最大級80万冊出品―第32回 下鴨納涼古本まつり―8月11日~16日」とあったので、邦楽会場を後にして、妻と初日の11日午後4時頃に京都下鴨神社の糺(ただす)の森に行くことにした。この日の京都市の気温は日中38度ごえの酷暑。糺の森は木陰が多く、せせらぎの流れもあり、多少は暑さも遮られるがそれでも汗が流れる。ここ下鴨神社糺の森では、8月17日から9月2日の夕方・夜に「糺の森 光の祭」が行われるようだ。

 古本まつりの会場にはけっこうたくさんのお客さんが来ていた。出店している店の数は32軒とのこと。昨年はもっと多く42軒があったようだ。古本だけでなく、絵葉書や古写真、ポスターや浮世絵などなども売られていた。

 若い女性や男性の客もたくさん見られた。ゆかた姿で古書を見ている女性の姿も美しい。私はこの日、2冊の古本を買った。『名城をゆく―北ノ庄城・丸岡城・一乗谷館(福井県)』は200円、『抗日解放の中国―エドガー・スノーの革命アルバム』は500円。エドガー・スノーは『中国の赤い星』の著者として有名。買った本は、当時の写真がとても多く中国の近現代史学習の参考になる。

 8月12・13日は、街頭紙芝居や読み聞かせなどのイベントも古本まつりで行われる。

 古本市のちらしがあった。「京都まちなか古本市―9/27〜29」「京都 秋の古本まつり 百万遍知恩院 ―10/31~11/4」。京都は学生の街だけあって、東京の神田・神保町と並んで今も古書店が多い。大阪での、「天神さんの古本まつり 10/11~15」「四天王寺 秋の大古本祭り―10/4〜9」などのちらしもあった。

 帰りの京阪電車の中に、最近よく見るポスターが2枚。「プロミスのアプリローン」のポスター。読んでみると「携帯電話でお金を気軽に簡単に借りれます」という広告。24時間いつでもどこからでも、初めての利用者は30日間無利子ですと書かれている。すぐにあなたの口座に振り込まれますよとうたう。気軽で便利な金貸しはこわいなあ。

 もう一枚は、「京都先端科学大学」の広告ポスター。「あれぇ!こんな名前の大学ってあったっけ???」と、家に帰ってインターネットで調べてみたら、「京都学園大学」が大学名を変更したようだ。京都学園大学は京都市の北部にある亀岡市の郊外にある文科系大学。最近、京都市内の太秦天神川に新しい校舎を建てて新キャンパスも作ったのは知っていたが、校名を変えたのは知らなかった。

 開学50周年とそれなりの歴史はある大学だ。最近は文科系以外の学部も時代に合わせて増設したようで、現在は それまでの経済・経営学部、人文学部の他に健康医療学部とバイオ環境学部の二つを増設、2020年には工学部も増設計画とのこと。ただ、2019年入試の偏差値は35~40と まだとても低い。日本の私立大学も学生を集めるための経営はなかなか大変だ。それにしても学部内容からして、最近はやりの「先端科学技術大学」の名前をつけるのはちょっと違うだろうにとは思う。

 10年ほど前までは、大阪国際大学とか東京国際大学とか吉備国際大学とか、日本全国津々浦々に「○○国際大学」という名称がやたら流行った時期もあった。いずれも偏差値が35~40の大学。数年前に岡山県高梁市の吉備国際大学の学務課にいって大学の学生たちについて聞いたことがあったが、学生数4000人のうち1500人あまりが中国などアジアからの留学生だった。街中の居酒屋店主に大学の留学生たちのことを聞いてみたら、「いやっ、留学生たちは大学の授業よりも 岡山市まで電車で行ってアルバイトばかりしてますわ」とのことだった。

 この8月上旬から中旬にかけて台風7号・8号・9号・10号が立て続けに発生した。このうち台風9号は 沖縄諸島への影響はあったものの、日本列島には向かわず中国浙江省の温州市(私が住む福建省福州市の少し北にあり近い)に上陸した。上陸時の最大瞬間風速50mと猛烈な風と雨で、100万人以上の人々が避難、大きな被害をもたらしたと報道されいてた。近年の気候変動にともない、これまで台風の上陸が少なかった中国にも最近は台風上陸が多くなってきた。2年前の9月の台風時、人口700万人が住む福州市の市街地中心部の道路は冠水し、大きな道路という道路は川だらけになった。中国の道路は側溝・排水路がほぼないので、なおさらこのようなことになる。

 

 

 


立命館大学「言語研」公開シンポジューム―中国「新疆ウイグル自治区」新疆師範大学教員の友人と話す

2019-08-16 05:00:21 | 滞在記

 8月5日(月)の午後、立命館大学衣笠キャンパスで、立命館大学大学院言語教育研究科(立命・言語研)の公開シンポジュームが開催されたので参加した。言語研には2009年4月から3年間在籍して、2012年3月に修了した研究科。残念ながら、著名な社会言語学者で当時の私の修士論文指導教官だった東照二教授(当時は米国・ユタ大学教授、立命館大学大学院教授)は、今はもう立命館大学にはいない。

 シンポジュームの講演者は4人。①早津恵美子(東京外国語大学教授)「ヴォイス教育と研究」、②遠山千佳(立命館大学教授)「談話文法から語彙習得へのアプローチ」、③有田節子(立命館大学教授)「日本語の構造から見えてくること」、④Wesley  Jacobsen(ハーバート大学教授・立命館大学客員教授)「ハーバード大学・日本語プログラムの紹介」。

 遠山教授は、私が大学院在学中に講義を受けたこともある「言語習得論」を専門としている教員。なかなか優れた講義をしていた印象がある。この日、遠山教授の講演のあと、「会話能力の習得と助詞の習得との関係」について、日本及び中国の大学での教学経験から、私なりの意見を述べさせてもらった。

 ハーバート大学日本語プラグラムで教鞭をとっているWesley教授の「ハーバート大学日本語プラグラム」についての説明は興味をもって聞けた。

 立命館大学の「立命館土曜講座」の歴史はとても長い。その月ごとのテーマを設けて毎週土曜日に開催している。無料・申し込み不要の市民参加型の講座。この7月のテーマは「中国一帯一路構想と世界」で、一回目が「中国一帯一路とアジア」、二回目が「中国一帯一路とアフリカ」、三回目が「中国一帯一路と世界経済」、四回目が「中国一帯一路と世界秩序」。それぞれの回の講師は違う人。8月のテーマは「戦争の歴史に学び、戦争の今を考える」。8月24日の回は「満蒙開拓団の歴史は問いかける」とあった。私の父は満蒙開拓団の一員として中国に渡り、1945年の8月にソ連のシベリアに数年抑留された人だ。講座の話を聞きに行ってみようかと思っている。

 8月9日、京都四条河原町のレストランにて、久しぶりに中国の大学に勤めている教員仲間の亀田さんと会って2時間ほど話をした。彼は中国東北部(黒竜江省・吉林省・遼寧省)での大学教員歴が多かった人だが、現在は中国西部のウイグル族が多く暮らす「新疆ウイグル自治区」の省都(自治区都)・ウルムチにある「新疆師範大学」の外国語学部の教員をしている。

 新疆ウイグル自治区は、中国政府当局によるウイグル族への人権問題で世界的に関心をもたれている場所だが、現地のようすはどうなんだろうかと そこに暮らし仕事をしている亀田さんの話はいろいろ参考になった。聞けば、ウルムチの街中は とりわけ外国人に対しても警戒は厳重のようだ。現在、大都会のウルムチに暮らす日本人は 亀田さんを含めてたったの2人しかいないと思うと話していた。

 中国当局の住民や旅行者への監視は「テロ対策」もありとても厳しく、街中でなにげない風景の写真を撮っていたら、軽機関銃をもつた武装警官に囲まれ職務質問をされたこともあったという。「写真撮影=要注意人物」と、こんなようすなので、日本人など外国からの観光客は ほぼ見られなくなったことや、広大な大学構内(学生数2万あまり)に何箇所もあった門は1箇所になり、毎回のこの門を入るときは荷物チェックを受け、さらに、教員宿舎のある建物に入る時も荷物チェックがあるとのこと。また、担当している教科(講義)が5つもあるようで、その講義準備や大学側への膨大な諸書類提出の大変さが想像された。

 一帯一路政策の中国西部の中心拠点都市ウルムチや東西の民族の交叉路となっているカシュガルには、一度は行ってみたいが なかなか旅行に行くのは厳しいかなあ‥‥。まずは、シルクロードの旅は、「敦煌―嘉峪関(万里の長城の西のはて)」かと思っている。カシュガルの南西の国境近くにある古城(石頭城)にもぜひ行きたいのだが。

 この8月1日、京都市の銀閣寺近くの家から、バスと電車を乗り継いで、娘が孫娘の栞(2歳半)と遙(7カ月)をつれて、私の京都(八幡)の自宅に初めて里帰りをした。孫たちは初めての「じいじ・ばあば」の家訪問である。昼前に来てばあばとカレーライスをつくり過ごした。そして夕方には銀閣寺の家まで娘や孫たちを車で送った。

 8月9日午後5時から1時間、京都駅前にある関西電力京都支社前で「キンカン行動」に参加。キンカン行動とは、キン(金曜日)カン(関西電力)、つまり毎週金曜日に関西電力京都支社前で、「関西電力の4か所の原子力発電所(若狭湾の原発銀座)」を廃炉にすることを訴える行動のこと。原発に関しては、一概に否定はしていなかったが、1年ほど前から「やはり原発廃止かな」に考え方が変わってきている。私の故郷の海(越前海岸・若狭湾の南越前町)にも原発が身近にある。

  1時間あまりの酷暑の中での行動のあと、京都駅構内の「がんこ寿司」で13人の人たちと食事会をもち、お互いの近況を語ったりもした。