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京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

『カラヴァッジョ』日曜美術館

2016-04-23 16:12:54 | 美術・博物館


先日放送された日曜美術館『 カラヴァッジョ』です。
世界に先駆けて日本で初めて公開された、闇のなかに画かれた聖女の絵「法悦のマグダラのマリア」が来日しています。
イタリアの巨匠の幻の傑作で、画家の名はミケランジェロ・メリージダ・カラヴァッジョ(1571ー1610)です。
16世紀の終わりローマに彗星のごとく現れ、西洋絵画の歴史を一変させた天才にして殺人者です。





番組で紹介されたカラヴァッジョの絵をお届けします。
北イタリアで育ちミラノで修行した カラヴァッジョがローマにやってきたのは1590年代中頃です。
ローマは当時カトリック教会の建設ラッシュ、成功を夢見る芸術家たちが各地から集まってきました。
写実のうまい画家として頭角を現した頃の作品

「女占い師」1597年

手相を見るふりをして指輪を盗んでいる光景




貧しかった カラヴァッジョを見いだし、絵に没頭できる環境を提供したのは、
フランチェスコ・デル・モンテ枢機卿です。
そうした環境で生まれた作品

「バッカス」1597ー98年頃

ローマの神話に登場する酒の神です。
熟した果物の前に怪しい表情を浮かべる青年は カラヴァッジョ自身だと言われています。














サンタ・マルア・デル・ポポロ聖堂に画かれたカラヴァッジョの作品

「聖ぺテロの磔刑」1601年

光を自在に操り闇の中に一瞬を浮き彫りにした作品
キリストの第一の弟子ぺトロが十字架にかけられるそのとき、
処刑人はもくもくと作業を続けています。





「聖パウロの回心」1601年

突然神の声を聞き落馬したパウロが両手を広げ光を浴びています。
異教徒のパウロがキリストに帰依した一瞬です。





一方 カラヴァッジョは画家としての成功とは裏腹に生活は乱れていきます。
暴力沙汰をいくつも引き起こし、あげくのはてに決闘で殺人まで起こしてしまいます。
ローマを抜け出した カラヴァッジョに死刑宣告がだされます。
天才画家は一夜にして逃亡者になったのです。
最初に逃げ込んだのはコロンナ家の屋敷です。

このときに画かれた作品

「法悦のマグダラのマリア」1606年





キリストの死と復活を見届けたと言われる聖女です。
それまでカトリックでは娼婦であったという伝承から罪深い女性とされながら、
魅力的な肉体をもつ怪しげな美女として表されてきました。
カラヴァッジョは祈りの果てに神と繋がった一瞬を闇に溶けていくように画いています。
まるで闇に救いを求めているようです。





「悔悛するマグダラのマリア」1595年頃

カラヴァッジョにはもう一枚のマグダラのマリアの絵があります。
ローマにきた直後に画かれた作品です。
カラヴァッジョ特有の柔らかい手の特徴は一致しています。





「エマオの晩餐」1606 年

カラヴァッジョが殺人を冒した直後に画かれた作品です。





「ロレートの聖母」1606年頃

巡礼者の前に突然聖母が現れた一瞬です。









マグダラのマリアを画いた後、ナポリ、マルタやシチリアに逃亡を続けます。
その最中に画かれた作品

「キリストの笞打ち」1607年





「ダヴィデとゴリアテ」1610年頃





恩赦を得ようと騎士になることを望みたどり着いたマルタ島で
カラヴァッジョは生涯最大の作品にとりくみます。

「洗礼者ヨハネの斬首」1608年

画面の大部分を闇が覆っています。
キリストに洗礼を授けたと言われるヨハネは信仰を守るため斬首された直後の絵です。
生と死が交差する一瞬を闇が見つめているようです。









「聖ウルスラの殉教」1609年
この絵は闇が主役です。




「ラザロの復活」1609年

病気で死んだラザロをキリストが呼びかけ生き返る奇跡の一瞬
カラヴァッジョは闇にキリストを画いています。





カラヴァッジョは四年にわたる逃亡の末38年の生涯を終えます。
そのカラヴァッジョが最後まで持っていたとされる作品がマグダラのマリアです。



国立西洋美術館(上野)で「 カラヴァッジョ展」が開催されています。
6月12日までです。













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