京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

病の起源『うつ病』

2013-10-28 06:42:35 | 科学・宇宙・歴史


NHKで以前より『病の起源』が放送され、私は興味深く拝見しています。




番組の概要は、およそ700万年前にアフリカで人類が誕生しますが、その起源は 、 四足歩行していた霊長類と別れ 、二本の足で歩き始めたことにあります 。その後 、人類は自由な手を器用に使いこなすことで 、 脳を巨大化させ 、 高度な文明を築き上げてきました 。ところが 、皮肉なことにこの進化の過程で 、 私たちの体には “ 負の宿命 ”とも言うべ き 「 病の種 」が埋め込まれていたというのです 。
人類にとって宿命とも言える病気を進化の観点から追求するのが「 病 の起源」です。 2008年に放送した前シリーズでは 、「睡眠時無呼症」「骨と皮膚の病」「腰痛」「読字障害」「糖尿病」「アレルギー 」が取り上げられました 。
今回の新シリーズでは 、いま世界の多くの人々が 苦しんでいる「が ん」「 脳卒中」「心臓病」「うつ病 」 を取り上げています 。
先日の放送は「うつ病」です。




働き盛りを襲い自殺に追い込むなど 、深刻な社会問題になっている「うつ病」の世界の患者数は3億5千万人に達し 、日本でもこの10年あまりで2倍に急増し、患者は100万人に達しています。





人はなぜうつ病になるのか。そのメカニズムが動物の研究からも進んでいます。魚、チンパンジーもうつ病になると言うから驚きです。
そして人類は、進化する過程でうつ病を抱え込んでいたということです。
うつ病とは、悲しみや気持ちの落ち込み、あるいは意欲がわかなかったり、興味を失うなどの症状が2週間以上続くとうつ病と診断されるそうです。
うつ病のメカニズムは、最近の研究で脳に異常があることがわかってきました。
脳の一部が萎縮しているというのです。





萎縮の原因は扁桃体でした。
番組では奥野さんといううつ病患者の検査結果が紹介されました。





うつ病患者は扁桃体の活動が強く、そのせいで、恐怖や不安といった症状が強くなるそうです。





なぜ 私 たちはうつ病になるのか。その秘密は、意外にも5億2千万年前に誕生した魚の研究から明らかになってきました 。 魚でも 「ある条件 」を作ると、天敵から身を守るために備わった脳の扁桃体が暴走し うつ状態になることがわかってきたのです 。魚には天敵から身を守る部位、扁桃体が生まれました。




実験では、水槽の中に魚とその天敵を一緒に水槽にいれます。するとある時期から魚がうつ状態になるといいます。うつ状態の魚はストレスホルモンが大量に出ていました。










更に2 億2千万年前に誕生した哺乳類は 、扁桃体を暴走させる新たな要因を生みだました 。群れを作り、外敵から身を守る社会性を発達させたことが 、孤独には弱くなりうつ病になりやすくなっていたというのです 。
うつ病発症のメカニズムは、強い不安や恐怖などが続くと扁桃体が過剰に働き、全身にストレスホルモンが大量に分泌されます。
ストレスホルモンが脳に及ぶと神経細胞に必要な栄養物質が減少、すると栄養不足になった神経細胞が縮んでしまうというのです。
その萎縮が意欲や行動の低下を招いたというわけです。
すなわち、天敵から身を守るために生まれた扁桃体の暴走が、うつ病を引き起こしていたということです。
チンパンジーもうつ病になるそうです。
仲間から隔離されるとチンパンジーは、重いうつ病になるそうです。

さらに、恐怖の記憶がうつ病の原因になるそうです。
扁桃体と海馬が連動することで強い記憶が生まれ、衝撃的な記憶はうつ病の原因となる扁桃体を激しく活動させます。
人類はさらに進化の過程で言葉が生まれ、その言葉によって扁桃体がさらに刺激を受けるようになりました。












アフリカの一部部族(ハッザ)にはうつ病に無縁だそうです。その理由は、この部族の人たちは、集めた食料をほぼ100%みんなで平等にわけあうからだそうです。






お金をわけあう実験結果で、人間はお金で損をすると扁桃体が激しく活動します。得をするばあいも同様で、一方、公平な場合は扁桃体がほとんど反応しません。





狩猟社会から農耕社会に、文明社会になり、階級に応じて分配されると平等社会が崩れます。この時代に人びとのストレスは著しく増加し、現代まで続いているというわけです。





うつ病と職業の関係では、専門職と技能職ではうつ病は少なく、営業事務職、非技能職が多い結果がでています。










番組では、うつ病の最新治療として、DBS脳深部刺激という治療方法、TLC生活改善療法
で社会的結び付きを強め、定期的な運動も行う治療方法が紹介されました。




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2 コメント

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Unknown (京都で定年後生活)
2013-10-28 09:06:16
先生、ご指摘ありがとうございます。
私も見ながら、内心ストーリー展開が少し強引だなと思っていました。専門家の先生の御意見ですっきりしました。患者数の件でも、なるほどと思いました。

京都で定年後生活より

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NHKの「病の起源」に失望 (「へんちき論」管理人)
2013-10-28 07:17:39
京都で定年後生活さん、おはようございます。

NHKの「病の起源」は私も見ました。楽しみにしていたのですが、「うつ病」にかんしては期待を裏切られました。

もしかしたら、この番組はNHKの人が作ったのではなく、海外の製作者が作ったのではないでしょうか?というのは、ストーリーの運びが強引なんです。NHKだったら、このような無理な番組構成はしないだろうと勝手に思いました。

一例をあげると、まず「魚のうつ病」が出てきましたよね。必要以上に天敵の恐怖にさらされ続けると扁桃体に異常を生じるという話でした。ここで扁桃体がうつ病の座であるかのように語られました。

話はそこから一転して、狩猟社会から農耕社会になって「平等」が失われたことが「うつ病の源」のように語られました。だったら、不平等な地位に置かれた人は全員うつ病にならなくてはなりません。

それよりもっとおかしいのは、「不平等」と「扁桃体」には、どんな関係があるのでしょうか?繋がりがまったく語られませんでした。

科学の世界は、定説が確立されるまではいろんな説が出てきます。今回の「うつ病」の番組は、いろんな説を無理やり組み合わせたような感を免れませんでした。

いつものNHKなら、こんなに説得力がない構成にはしないのになぁ、と思った次第です。

昨日の「人間は直立したから、心臓に負担がかかるようになった」という話も、進化の機微を軽視していて、ホントかよと思いました。(直立はしたけれども、心臓や交感神経は進化していないような話の運び方でした。)

朝から不平のようなことを申し上げて、すいません。

(ところで、うつ病の患者数がここ20年ほどで増えたのは、病者が増えたのではありません。精神科への偏見が少なくなったので発見が増えただけです。ここにも統計のマジックがあります。)
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