2023年10月3日 弁理士試験 代々木塾 特許法184条の4第1項
(外国語でされた国際特許出願の翻訳文)第百八十四条の四
1 外国語でされた国際特許出願(以下「外国語特許出願」という。)の出願人は、条約第二条(xi)の優先日(以下「優先日」という。)から二年六月(以下「国内書面提出期間」という。)以内に、前条第一項に規定する国際出願日(以下「国際出願日」という。)における条約第三条(2)に規定する明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。以下この条において同じ。)及び要約の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、国内書面提出期間の満了前二月から満了の日までの間に次条第一項に規定する書面を提出した外国語特許出願(当該書面の提出の日以前に当該翻訳文を提出したものを除く。)にあつては、当該書面の提出の日から二月(以下「翻訳文提出特例期間」という。)以内に、当該翻訳文を提出することができる。
〔解説〕
PCTに基づく国際出願であって国際出願日を認められたものは、各指定国において国際出願日から正規の国内出願としての効果を有することとされているが(PCT11条(3))、PCTは一方で、出願人は指定官庁・選択官庁に対し、所定の期間内に翻訳文等の提出をしなければならない旨を規定することができる旨を規定する(PCT22条、39条)とともに、その手続が所定の期間内にとられないときは、国際出願の国内出願としての効果は指定国において当該指定国における国内出願の取下げの効果と同一の効果をもって消滅すると規定している(PCT24条(1)(ⅲ)、39条(2))。
このようなPCTの規定に対し、翻訳文の提出を求めないという選択も可能であるが、日本国においては、権利は日本語で設定されることとなっていることから、日本国としては翻訳文を求めることとし、その旨を明確にするとともに、提出された翻訳文の取扱いについて定めたのが184条の4である。
・184条の4第1項(翻訳文の提出)
外国語特許出願については、所定の期間内に所定の翻訳文を特許庁長官に提出しなければならない。日本国は日本語で特許権を発生させることとしているからである。
<翻訳文の提出期間>
翻訳文の提出期間は、原則として、優先日から2年6月以内の国内書面提出期間内である。PCT22条(1)の優先日から30月の期間に対応するものである。
PCT第二十二条 指定官庁に対する国際出願の写し及び翻訳文の提出並びに手数料の支払
(1)出願人は、優先日から三十箇月を経過する時までに各指定官庁に対し、国際出願の写し(第二十条の送達が既にされている場合を除く。)及び所定の翻訳文を提出し並びに、該当する場合には、国内手数料を支払う。出願人は、指定国の国内法令が発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めている場合において、それらの事項が願書に記載されていないときは、当該指定国の国内官庁又は当該指定国のために行動する国内官庁に対し、優先日から三十箇月を経過する時までにそれらの事項を届け出る。
(2)国際調査機関が第十七条(2)(a)の規定に基づき国際調査報告を作成しない旨を宣言した場合には、(1)に規定する行為をすべき期間は、(1)に定める期間と同一とする。
(3)国内法令は、(1)又は(2)に規定する行為をすべき期間として、(1)又は(2)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を定めることができる。
優先日とは、PCT2条(ⅹⅰ)により、国際出願が優先権の主張を伴う場合は優先権の主張の基礎となる出願のうち最先の日、国際出願が優先権の主張を伴わない場合は国際出願日である。
PCT第二条 定義
この条約及び規則の適用上、明示的に別段の定めがある場合を除くほか、
(ⅹⅰ)「優先日」とは、期間の計算上、次の日をいう。
(a)国際出願が第八条の規定による優先権の主張を伴う場合には、その優先権の主張の基礎となる出願の日
(b)国際出願が第八条の規定による二以上の優先権の主張を伴う場合には、それらの優先権の主張の基礎となる出願のうち最先のものの日
(c)国際出願が第八条の規定による優先権の主張を伴わない場合には、その出願の国際出願日
ただし、国内書面提出期間の満了前2月から満了の日までの間に国内書面を提出したときは、国内書面の提出の日から2月以内の翻訳文提出特例期間内に所定の翻訳文を提出することができる。審査効率を低下させる品質の不十分な翻訳文の提出を防止するためである。
翻訳文提出特例期間は、PCT22条(3)(国内法令の例外)に対応するものである。
かっこ書において「(当該書面の提出の日以前に当該翻訳文を提出したものを除く。)」と規定したのは、翻訳文の再提出は認めないこととするためである。
<翻訳文の対象となる書類>
翻訳文の対象となる書類は、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲、図面の中の説明及び要約である。
図面については、図面の中の説明がある場合に限り、図面の中の説明の翻訳文を提出しなければならない。
願書については、様式が国際的に統一されているので、翻訳文を提出する必要はないこととした。
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(外国語でされた国際特許出願の翻訳文)第百八十四条の四
1 外国語でされた国際特許出願(以下「外国語特許出願」という。)の出願人は、条約第二条(xi)の優先日(以下「優先日」という。)から二年六月(以下「国内書面提出期間」という。)以内に、前条第一項に規定する国際出願日(以下「国際出願日」という。)における条約第三条(2)に規定する明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。以下この条において同じ。)及び要約の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、国内書面提出期間の満了前二月から満了の日までの間に次条第一項に規定する書面を提出した外国語特許出願(当該書面の提出の日以前に当該翻訳文を提出したものを除く。)にあつては、当該書面の提出の日から二月(以下「翻訳文提出特例期間」という。)以内に、当該翻訳文を提出することができる。
〔解説〕
PCTに基づく国際出願であって国際出願日を認められたものは、各指定国において国際出願日から正規の国内出願としての効果を有することとされているが(PCT11条(3))、PCTは一方で、出願人は指定官庁・選択官庁に対し、所定の期間内に翻訳文等の提出をしなければならない旨を規定することができる旨を規定する(PCT22条、39条)とともに、その手続が所定の期間内にとられないときは、国際出願の国内出願としての効果は指定国において当該指定国における国内出願の取下げの効果と同一の効果をもって消滅すると規定している(PCT24条(1)(ⅲ)、39条(2))。
このようなPCTの規定に対し、翻訳文の提出を求めないという選択も可能であるが、日本国においては、権利は日本語で設定されることとなっていることから、日本国としては翻訳文を求めることとし、その旨を明確にするとともに、提出された翻訳文の取扱いについて定めたのが184条の4である。
・184条の4第1項(翻訳文の提出)
外国語特許出願については、所定の期間内に所定の翻訳文を特許庁長官に提出しなければならない。日本国は日本語で特許権を発生させることとしているからである。
<翻訳文の提出期間>
翻訳文の提出期間は、原則として、優先日から2年6月以内の国内書面提出期間内である。PCT22条(1)の優先日から30月の期間に対応するものである。
PCT第二十二条 指定官庁に対する国際出願の写し及び翻訳文の提出並びに手数料の支払
(1)出願人は、優先日から三十箇月を経過する時までに各指定官庁に対し、国際出願の写し(第二十条の送達が既にされている場合を除く。)及び所定の翻訳文を提出し並びに、該当する場合には、国内手数料を支払う。出願人は、指定国の国内法令が発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めている場合において、それらの事項が願書に記載されていないときは、当該指定国の国内官庁又は当該指定国のために行動する国内官庁に対し、優先日から三十箇月を経過する時までにそれらの事項を届け出る。
(2)国際調査機関が第十七条(2)(a)の規定に基づき国際調査報告を作成しない旨を宣言した場合には、(1)に規定する行為をすべき期間は、(1)に定める期間と同一とする。
(3)国内法令は、(1)又は(2)に規定する行為をすべき期間として、(1)又は(2)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を定めることができる。
優先日とは、PCT2条(ⅹⅰ)により、国際出願が優先権の主張を伴う場合は優先権の主張の基礎となる出願のうち最先の日、国際出願が優先権の主張を伴わない場合は国際出願日である。
PCT第二条 定義
この条約及び規則の適用上、明示的に別段の定めがある場合を除くほか、
(ⅹⅰ)「優先日」とは、期間の計算上、次の日をいう。
(a)国際出願が第八条の規定による優先権の主張を伴う場合には、その優先権の主張の基礎となる出願の日
(b)国際出願が第八条の規定による二以上の優先権の主張を伴う場合には、それらの優先権の主張の基礎となる出願のうち最先のものの日
(c)国際出願が第八条の規定による優先権の主張を伴わない場合には、その出願の国際出願日
ただし、国内書面提出期間の満了前2月から満了の日までの間に国内書面を提出したときは、国内書面の提出の日から2月以内の翻訳文提出特例期間内に所定の翻訳文を提出することができる。審査効率を低下させる品質の不十分な翻訳文の提出を防止するためである。
翻訳文提出特例期間は、PCT22条(3)(国内法令の例外)に対応するものである。
かっこ書において「(当該書面の提出の日以前に当該翻訳文を提出したものを除く。)」と規定したのは、翻訳文の再提出は認めないこととするためである。
<翻訳文の対象となる書類>
翻訳文の対象となる書類は、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲、図面の中の説明及び要約である。
図面については、図面の中の説明がある場合に限り、図面の中の説明の翻訳文を提出しなければならない。
願書については、様式が国際的に統一されているので、翻訳文を提出する必要はないこととした。
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