goo blog サービス終了のお知らせ 

堤卓の弁理士試験情報

弁理士試験に関する情報を提供します。

2023年10月3日 弁理士試験 代々木塾 特許法184条の4第1項

2023-10-03 06:25:42 | Weblog
2023年10月3日 弁理士試験 代々木塾 特許法184条の4第1項


(外国語でされた国際特許出願の翻訳文)第百八十四条の四
1 外国語でされた国際特許出願(以下「外国語特許出願」という。)の出願人は、条約第二条(xi)の優先日(以下「優先日」という。)から二年六月(以下「国内書面提出期間」という。)以内に、前条第一項に規定する国際出願日(以下「国際出願日」という。)における条約第三条(2)に規定する明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。以下この条において同じ。)及び要約の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、国内書面提出期間の満了前二月から満了の日までの間に次条第一項に規定する書面を提出した外国語特許出願(当該書面の提出の日以前に当該翻訳文を提出したものを除く。)にあつては、当該書面の提出の日から二月(以下「翻訳文提出特例期間」という。)以内に、当該翻訳文を提出することができる。


〔解説〕


 PCTに基づく国際出願であって国際出願日を認められたものは、各指定国において国際出願日から正規の国内出願としての効果を有することとされているが(PCT11条(3))、PCTは一方で、出願人は指定官庁・選択官庁に対し、所定の期間内に翻訳文等の提出をしなければならない旨を規定することができる旨を規定する(PCT22条、39条)とともに、その手続が所定の期間内にとられないときは、国際出願の国内出願としての効果は指定国において当該指定国における国内出願の取下げの効果と同一の効果をもって消滅すると規定している(PCT24条(1)(ⅲ)、39条(2))。
 このようなPCTの規定に対し、翻訳文の提出を求めないという選択も可能であるが、日本国においては、権利は日本語で設定されることとなっていることから、日本国としては翻訳文を求めることとし、その旨を明確にするとともに、提出された翻訳文の取扱いについて定めたのが184条の4である。


・184条の4第1項(翻訳文の提出)


 外国語特許出願については、所定の期間内に所定の翻訳文を特許庁長官に提出しなければならない。日本国は日本語で特許権を発生させることとしているからである。


<翻訳文の提出期間>
 翻訳文の提出期間は、原則として、優先日から2年6月以内の国内書面提出期間内である。PCT22条(1)の優先日から30月の期間に対応するものである。


 PCT第二十二条 指定官庁に対する国際出願の写し及び翻訳文の提出並びに手数料の支払 
(1)出願人は、優先日から三十箇月を経過する時までに各指定官庁に対し、国際出願の写し(第二十条の送達が既にされている場合を除く。)及び所定の翻訳文を提出し並びに、該当する場合には、国内手数料を支払う。出願人は、指定国の国内法令が発明者の氏名又は名称その他の発明者に関する所定の事項を表示することを定めているが国内出願をする時よりも遅い時に表示することを認めている場合において、それらの事項が願書に記載されていないときは、当該指定国の国内官庁又は当該指定国のために行動する国内官庁に対し、優先日から三十箇月を経過する時までにそれらの事項を届け出る。
(2)国際調査機関が第十七条(2)(a)の規定に基づき国際調査報告を作成しない旨を宣言した場合には、(1)に規定する行為をすべき期間は、(1)に定める期間と同一とする。
(3)国内法令は、(1)又は(2)に規定する行為をすべき期間として、(1)又は(2)に定める期間よりも遅い時に満了する期間を定めることができる。


 優先日とは、PCT2条(ⅹⅰ)により、国際出願が優先権の主張を伴う場合は優先権の主張の基礎となる出願のうち最先の日、国際出願が優先権の主張を伴わない場合は国際出願日である。


 PCT第二条 定義
 この条約及び規則の適用上、明示的に別段の定めがある場合を除くほか、
(ⅹⅰ)「優先日」とは、期間の計算上、次の日をいう。
(a)国際出願が第八条の規定による優先権の主張を伴う場合には、その優先権の主張の基礎となる出願の日
(b)国際出願が第八条の規定による二以上の優先権の主張を伴う場合には、それらの優先権の主張の基礎となる出願のうち最先のものの日
(c)国際出願が第八条の規定による優先権の主張を伴わない場合には、その出願の国際出願日


 ただし、国内書面提出期間の満了前2月から満了の日までの間に国内書面を提出したときは、国内書面の提出の日から2月以内の翻訳文提出特例期間内に所定の翻訳文を提出することができる。審査効率を低下させる品質の不十分な翻訳文の提出を防止するためである。
 翻訳文提出特例期間は、PCT22条(3)(国内法令の例外)に対応するものである。
 かっこ書において「(当該書面の提出の日以前に当該翻訳文を提出したものを除く。)」と規定したのは、翻訳文の再提出は認めないこととするためである。


<翻訳文の対象となる書類>
 翻訳文の対象となる書類は、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲、図面の中の説明及び要約である。
 図面については、図面の中の説明がある場合に限り、図面の中の説明の翻訳文を提出しなければならない。
 願書については、様式が国際的に統一されているので、翻訳文を提出する必要はないこととした。




代々木塾の講座案内


代々木塾HP Https://www.yoyogijuku.jp/


2023口述逐条問題集


2024塾長短答講座(通信)全33回 7月~3月
2024塾長論文講座(通信)全33回 7月~3月


2024論文事例問題講座
2024特許法逐条講座
2024パリ条約逐条講座
2024PCT逐条講座


2024短答答練会(通信)2024年1月~3月
2024論文答練会(通信)2024年1月~3月


2025論文短答入門コース(通信)2024年5月~12月
2025論文入門コース(通信)2024年5月~12月
2025短答入門コース(通信)2024年5月~12月



2023年10月2日 弁理士試験 代々木塾 講座案内

2023-10-02 06:29:01 | Weblog
2023年10月2日 弁理士試験 代々木塾 講座案内

2024短答答練会(通信)※割引料金で受付中
2024年1月~3月 全12回 毎週金曜日夕方配信
毎回、1時間30分で30問の問題を解答していただきます。
各科目について条文の順番に出題いたします。
過去問と同じ問題は、なるべく出題しないようにいたします。
過去問からみると、新作問題となるような問題をなるべく出題いたします。
条文の理解を確認するための問題を多く出題いたします。
解説講義はありませんが、詳細な解答解説を提供いたします。

2024論文答練会(通信)※割引料金で受付中
2024年1月~3月 全12回 毎週金曜日夕方配信
論文の解答を作成する実践的な論文答練会です。
特実法→意匠法→商標法(1ラウンド・3回)を4回(全12回)繰り返します。
毎回、出題範囲を限定します。小問形式の事例問題をメインに出題します。
毎週金曜日の夕方に問題と解答用紙(PDFファイル)の保存先のURLをメールで送信いたします。自宅で解答を作成していただきます。
毎回、解答解説(5~8頁程度)に基づいて40~60分程度の音声のみによる解説講義をいたします。

2024短答条文解析講座(通信)全30回
配信日 2023年5月6日(土)~12月9日(土)(夏期休講あり)
条文の理解を深めるための講義形式の講座です。
条文の順番に短答試験の観点から条文の意味内容を解説します。
短答試験は、条文が決め手となります。
令和5年改正法に対応した内容にバージョンアップします。

2024特許法逐条講座(テキストのみ)
特許法について条文の順番に逐条解説を作成します。
短答条文解析講座は、簡易版ですが、この特許法逐条講座は、詳細版となります。
最近の短答試験は、特実法20問のできいかんで合否が決まることが多いようです。
そこで、短答条文解析講座とは別に、詳細版として特許法逐条講座を開講します。2024論文事例問題講座(テキストのみ)全22回
論文試験に中々合格できない方にお勧めです。
形式にこだわらないで、充実した内容の論文の解答の作成方法を習得できます。
テキストには、1回あたり、大問が4問含まれています。
大問1問には、小問2~5問含まれています。
解説講義はありませんが、テキストの解説は、詳細ですので、テキストのみで十分に理解できます。
令和5年改正に対応したテキストを作成します。

2024PCT逐条講座(テキストのみ)
PCTについて、条文の順番に逐条解説を作成します。
その際、関連する規則についても、詳細に解説します。
短答条文解析講座は、簡易版ですが、このPCT逐条講座は、詳細版となります。
最近の短答試験では、PCT規則を理解していないと正解を出せない問題が増えています。
そこで、短答条文解析講座とは別に、詳細版としてPCT逐条講座を開講します。

2024塾長短答講座(通信)全33回
2023年7月~2024年3月
演習と解説講義をミックスした講座です。
論文試験の終了後からスタートします。
2024年度の短答試験を確実に突破したい方にお勧めの講座です。
出題範囲は、特実法、意匠法、商標法、条約、著作権法、不正競争防止法の順番とします。
開催形式は、通信のみです。

2024塾長論文講座(通信)全33回
2023年7月~2024年3月
前期 全9回  2023年7月~9月
中期 全12回 2023年10月~12月
後期 全12回 2024年1月~3月
前期は7月14日からスタートしました。
前期、中期、後期ごとにも、お申込みができます。
演習と解説講義をミックスした講座です。
前年度の塾長論文ゼミとほぼ同様の内容です。
2024年度の論文試験を確実に突破したい方にお勧めの講座です。
特実法→意匠法→商標法のサイクルで繰り返します。
毎回、出題範囲は限定します。
開催形式は、通信のみです。
毎週金曜日の夕方に問題と解答用紙の保存先のURLを送信いたします。



2023年10月2日 弁理士試験 代々木塾 特許法184条の3

2023-10-02 06:26:47 | Weblog
2023年10月2日 弁理士試験 代々木塾 特許法184条の3


(国際出願による特許出願)第百八十四条の三
1 千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約(以下この章において「条約」という。)第十一条(1)若しくは(2)(b)又は第十四条(2)の規定に基づく国際出願日が認められた国際出願であつて、条約第四条(1)(ⅱ)の指定国に日本国を含むもの(特許出願に係るものに限る。)は、その国際出願日にされた特許出願とみなす。
2 前項の規定により特許出願とみなされた国際出願(以下「国際特許出願」という。)については、第四十三条(第四十三条の二第二項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。


〔解説〕


 特許協力条約(PCT)に基づく国際出願は、国際出願日が認められると各指定国において国際出願日から正規の国内出願としての効果を有するとされ、国際出願日は各指定国における実際の出願日とみなされること(PCT11条(3))から、日本国において特許を受けようとして日本国を指定国に含む国際出願であってPCT11条(1)若しくは(2)(b)又は14条(2)の規定に基づく国際出願日が認められたものは、PCT11条(3)、特許法26条の規定により当然に特許法による特許出願としての効力を有することとなる。
 このような効力を有する日本国を指定国に含む国際出願を国内出願と同じように特許法上の手続につなげるために設けたのが184条の3である。
 また、184条の3の規定により日本国に対する特許出願とみなされる国際出願(国際特許出願)の内容は、まず国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載されたものにより特定されることが明確にされている。


・184条の3第1項(国際出願日にされた特許出願とみなす)


 184条の3第1項は、指定国に日本国を含む国際出願の日本国における取扱いを特許協力条約(PCT)に従って明確にしたものである。


 PCT規則4.9 国の指定、保護の種類、国内及び広域特許
(a)願書の提出は、次の事項を構成する。
(ⅰ)国際出願日に条約に拘束される全ての締約国の指定
(ⅱ)第四十三条又は第四十四条が適用される指定国において、その国を指定することによつて得られる全ての種類の保護を求める旨の表示
(ⅲ)第四十五条(1)が適用される指定国において広域特許を求める旨及び、第四十五条(2)が適用される場合を除き、国内特許を求める旨の表示
(b)(a)(ⅰ)の規定にかかわらず、二千五年十月五日において、締約国の国内法令が、当該国の指定及び当該国で効力を有する先の国内出願に基づく優先権の主張を伴う国際出願により、当該先の国内出願が取下げと同一の効果をもって消滅することを定めている場合には、当該指定官庁が当該国の指定に関してこの規定が適用される旨を二千六年一月五日までに国際事務局に通告すること及びその通告が当該国際出願日になお効力を有することを条件として、当該国でされた先の国内出願に基づく優先権を主張する全ての願書は当該国を指定しない旨の表示を伴うことができる。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。


 PCT規則4.9(a)(ⅰ)により、国際出願の願書に指定国を記載する必要はない。国際出願をすると、国際出願日にPCT締約国となっている全ての締約国が指定されたものとみなされる。
 逆にいうと、国際出願の願書において指定国を限定することができない。1の国のみの指定を含む国際出願は、できないことを意味する。


 PCT規則4.9(b)により、国際出願において優先権の主張を伴う場合において、自国に関して、国内優先権の主張に該当し、先の出願が取り下げられたものとみなされるときは、国際出願の願書において自国の指定を除外することができる。現在(2022年9月)、そのような締約国は、ドイツ、韓国、日本の3か国のみである。
 日本国の特許庁に特許出願Aをし、特許出願Aに基づく優先権の主張を伴う国際出願Bをするときは、日本国に関しては国内優先権の主張となるため(41条1項)、国際出願Bの願書において日本国の指定を除外することができる。その結果、特許出願Aのみなし取下げ(42条1項)を回避することができる。国際出願Bにより他の締約国においては特許権を取得することができ、日本国においては特許出願Aにより特許権を取得することができる。


 PCT第十一条 国際出願日及び国際出願の効果
(1)受理官庁は、次の要件が受理の時に満たされていることを確認することを条件として、国際出願の受理の日を国際出願日として認める。
(ⅰ)出願人が、当該受理官庁に国際出願をする資格を住所又は国籍上の理由により明らかに欠いている者でないこと。
(ⅱ)国際出願が所定の言語で作成されていること。
(ⅲ)国際出願に少なくとも次のものが含まれていること。
(a)国際出願をする意思の表示
(b)少なくとも一の締約国の指定
(c)出願人の氏名又は名称の所定の表示
(d)明細書であると外見上認められる部分
(e)請求の範囲であると外見上認められる部分
(2)(a)受理官庁は、国際出願が(1)に掲げる要件を受理の時に満たしていないと認める場合には、規則の定めるところにより、出願人に対し必要な補充をすることを求める。
(b)受理官庁は、出願人が規則の定めるところにより(a)の求めに応ずる場合には、当該補充の受理の日を国際出願日として認める。
(3)第六十四条(4)の規定に従うことを条件として、(1)(ⅰ)から(ⅲ)までに掲げる要件を満たし、かつ、国際出願日の認められる国際出願は、国際出願日から各指定国における正規の国内出願の効果を有するものとし、国際出願日は、各指定国における実際の出願日とみなす。
(4)(1)(ⅰ)から(ⅲ)までに掲げる要件を満たす国際出願は、工業所有権の保護に関するパリ条約にいう正規の国内出願とする。


 PCTに基づく国際出願制度は、所定の言語で作成した1つの出願書類を1つの受理官庁に提出することにより、全てのPCT締約国において出願したものとみなすこととする制度である。


 国際出願日が認められた国際出願であって、指定国に日本国を含むものであって、特許出願に係るものは、国際出願日にされた特許出願とみなされる(184条の3第1項)。
 なお、実用新案登録出願に係るものは、実用新案法48条の3第1項により、国際出願日にされた実用新案登録出願とみなされる。


 PCT第四十三条 特定の種類の保護を求める出願
 指定国又は選択国が発明者証、実用証、実用新案、追加特許、追加発明者証又は追加実用証を与えることを国内法令に定めている場合には、出願人は、当該指定国又は当該選択国に関する限り、国際出願が特許ではなく発明者証、実用証若しくは実用新案を求める出願であること又は国際出願が追加特許、追加発明者証若しくは追加実用証を求める出願であることを規則の定めるところによつて表示することができるものとし、その国際出願は、出願人のこのような選択に従つて取り扱われる。第二条(ⅱ)の規定は、この条及びこの条の規定に基づく規則
の規定については、適用しない。


 PCT規則49の2.1 特定の種類の保護の選択
(a)出願人は、第四十三条が適用される指定国において国際出願が特許の付与ではなく同条に規定する他の種類の保護を求める出願として取り扱われることを希望する場合には、第二十二条に規定する行為を行う時に、指定官庁に対しその旨を表示する。
(b)出願人は、第四十四条が適用される指定国において国際出願が第四十三条に規定する二種類以上の保護を求める出願として取り扱われることを希望する場合には、第二十二条に規定する行為を行う時に、指定官庁に対しその旨を表示する。該当する場合には、主として求める種類及び補助的に求める種類を明示する。
(c)(a)及び(b)に規定する場合において、出願人は、指定国において国際出願が追加特許、追加証、追加発明者証又は追加実用証として取り扱われることを希望する場合には、第二十二条に規定する行為を行う時に、関連する原出願、原特許、原付与を表示する。
(d)出願人は、指定国において国際出願が先の出願の継続出願又は一部継続出願として取り扱われることを希望する場合には、第二十二条に規定する行為を行う時に、指定官庁に対しその旨を表示し、関連する原出願を特定する。
(e)出願人が、第二十二条に規定する行為を行う時に、(a)に規定する明示の表示されていないが、出願人により支払われた第二十二条に規定する国内手数料が、特定の種類の保護の国内手数料に相当する場合、当該手数料の支払は、出願人が国際出願が当該種類の保護を求める出願として取り扱われることを希望する旨の表示とみなし、指定官庁は、その旨を出願人に通知する。


 日本国において、特許出願とするか、実用新案登録出願とするかは、国内書面(184条の5第1項)を提出するときに確定する。
 すなわち、国内書面の【出願の区分】の欄に、「特許」と記載すれば、特許出願とみなされ、「実用新案登録」と記載すれば、実用新案登録出願とみなされる。


 国際出願日が認定されない国際出願は、日本国の特許出願とみなされることはないが、国際出願日が認定された国際出願であっても、取り下げられたものとみなす旨の宣言がされた場合(PCT12条(3)、14条(1)(b)、(3)(a)、(4))、出願人が国際出願を取り下げた場合、日本国の指定を取り下げた場合は、PCT24条(1)により、特許出願の取下げと同じ効果をもって消滅する。


・184条の3第2項(43条の適用除外)


 国際特許出願については、43条(パリ条約による優先権主張の手続)は適用しない。


 PCT第八条 優先権の主張
(1)国際出願は、規則の定めるところにより、工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国において又は同条約の締約国についてされた先の出願に基づく優先権を主張する申立てを伴うことができる。
(2)(a)(b)の規定が適用される場合を除くほか、(1)の規定に基づいて申し立てられた優先権の主張の条件及び効果は、工業所有権の保護に関するパリ条約のストックホルム改正条約第四条の定めるところによる。
(b)いずれかの締約国において又はいずれかの締約国についてされた先の出願に基づく優先権の主張を伴う国際出願には、当該締約国の指定を含めることができる。国際出願が、いずれかの指定国において若しくはいずれかの指定国についてされた国内出願に基づく優先権の主張を伴う場合又は一の国のみの指定を含む国際出願に基づく優先権の主張を伴う場合には、当該指定国における優先権の主張の条件及び効果は、当該指定国の国内法令の定めるところによる。


 PCT規則4.1 必要的及び任意的な内容並びに署名
(a)願書には、次の事項を記載する。
(ⅰ)申立て
(ⅱ)発明の名称
(ⅲ)出願人及び、代理人がある場合には、代理人に関する表示
(ⅳ)指定国のうち少なくとも一の国の国内法令が国内出願をする時に発明者の氏名又は名称を表示することを定めている場合には、発明者に関する表示
(b)願書には、該当する場合には、次の事項を記載する。
(ⅰ)優先権の主張
(ⅱ)4.12(ⅰ)並びに12の2.1(b)及び(d)に規定する先の調査に関する表示
(ⅲ)原出願又は原特許の表示
(ⅳ)出願人が選択する管轄国際調査機関の表示
(c)願書には、次の事項を記載することができる。
(ⅰ)いずれの指定国の国内法令も国内出願をする時に発明者の氏名又は名称を表示することを定めていない場合であつても、発明者に関する表示
(ⅱ)優先権の主張の基礎となる出願が受理官庁である国内官庁又は政府間当局に出願されている場合には、優先権書類の作成及び国際事務局への送付についての受理官庁に対する請求
(ⅲ)規則4.17に規定する申立て
(ⅳ)4.18に規定する陳述
(ⅴ)優先権の回復の請求
(ⅵ)4.12(ⅱ)に規定する陳述
(d)願書には、署名をする。


 PCT規則4.10 優先権の主張
(a)第八条(1)に規定する申立て(「優先権の主張」)は、工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国において若しくは同条約の締約国について又は同条約の締約国ではないが世界貿易機関の加盟国である国において若しくは同条約の締約国ではないが同機関の加盟国である国についてされた先の出願に基づく優先権を主張することによつて行うことができる。優先権の主張は、願書において行うものとし、先の出願に基づく優先権を主張する旨の陳述及び次の事項を記載することによつて行う。
(ⅰ)先の出願の日付
(ⅱ)先の出願の番号
(ⅲ)先の出願が国内出願である場合にあつては、その出願がされた工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国又は同条約の締約国ではないが世界貿易機関の加盟国である国の国名
(ⅳ)先の出願が広域出願である場合にあつては、適用される広域特許条約に基づき広域特許を与える任務を有する当局
(ⅴ)先の出願が国際出願である場合にあつては、その出願がされた受理官庁
(b)(a)(ⅳ)又は(ⅴ)の規定に基づき要求される記載に加え、(ⅰ) 先の出願が広域出願又は国際出願である場合にあつては、優先権の主張には、その先の出願がその国についてされた一又は二以上の工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国の国名を記載することができる。
(ⅱ)先の出願が広域出願であり、かつ、当該広域出願について適用される広域特許条約の締約国のいずれかが工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国又は世界貿易機関の加盟国のいずれでもない場合にあつては、優先権の主張には、その先の出願がその国についてされた国のうち少なくとも一の同条約の締約国又は同機関の加盟国の国名を記載する。
(c)第二条(ⅵ)の規定は、(a)及び(b)の規定については、適用しない。


 国際出願において、PCT8条により、優先権の主張を伴うことができる。
 PCT8条(2)(a)は、パリ条約の優先権が適用される場合について規定し、PCT8条(2)(b)は、国内優先権(41条1項)が適用される場合について規定している。


 国際出願における優先権の主張は、国際出願の願書において行うこととされている。
 そこで、国際出願における優先権の主張については、43条(パリ条約による優先権主張の手続)は適用しないこととした。
 なお、国際出願における優先権の主張が、日本国に関して国内優先権(41条1項)の主張に該当するときは、184条の15第1項において、41条4項は適用しないこととしている。


 43条の2(優先期間徒過の救済)は、184条の3第2項において適用を除外していないので、国際特許出願についても、43条の2(優先期間徒過の救済)が適用される。


 青本・特許法43条の2
〔趣旨〕
 一項は、四一条一項一号の改正と同趣旨によるものである。すなわち、パリ条約四条D(1)の規定による優先権の主張について、その主張を伴う特許出願を優先期間内にすることができなかったことについて正当な理由(※令和3年改正により「故意ではない」に改正された。)があり、かつ、優先期間の経過後一定期間内に当該特許出願をした場合の救済措置を規定するものである。当該期間は、四一条一項一号と同様に「経済産業省令に定める期間」として規定することとした。
 二項は、一項の規定による優先権の主張に際し必要な諸手続については、四三条の規定を準用して行うことを規定するものである。
 なお、当該救済措置は、国際特許出願、実用新案登録出願及び国際実用新案登録出願についても適用される(一八四条の三第二項、実用新案法一一条一項及び同法四八条の三第二項)。


 PCT規則49の3.2 指定官庁による優先権の回復
(a)国際出願が先の出願に基づく優先権の主張を伴い、国際出願日が当該優先期間の満了の日の後であるが、当該満了の日から二箇月の期間内である場合には、指定官庁は、(b)の規定に基づく出願人の請求によつて、当該指定官庁が適用する基準(「回復のための基準」)が満たされていること、すなわち、優先期間内に国際出願が提出されなかつたことが、次のいずれかの場合によると認めたときには、優先権を回復する。
(ⅰ)状況により必要とされる相当な注意を払つたにもかかわらず生じた場合
(ⅱ)故意ではない場合
 各指定官庁は、これらの基準のうち少なくとも一つを採用し、また基準の両方を採用することができる。
(b)(a)の規定に基づく請求は、次のとおりとする。
(ⅰ)第二十二条に規定する期間から一箇月の期間内に又は、出願人が第二十三条(2)の規定に基づき指定官庁に明示の請求を行つた場合には、指定官庁が当該請求を受領した日から一箇月の期間内に、当該指定官庁に提出する。
(ⅱ)当該優先期間内に国際出願を提出されなかつたことの理由を記載するとともに、(c)の規定に基づき要求される申立てその他の証拠を公表することが望ましい。
(ⅲ)(d)の規定に基づき要求される回復請求のための手数料を添える。
(c)指定官庁は、事情に応じて相当の期間内に(b)(ⅱ)に規定する理由の記述を裏付ける申立てその他の証拠を要求することができる。
(d)(a)の規定に基づく請求の提出は、回復請求手数料の指定官庁への支払を条件とすることができる。
(e)指定官庁は、(a)の規定に基づく請求の全部又は一部に関し、拒否しようとすることについて事情に応じて相当の期間内に意見を述べる機会を出願人に与えることなく、これを拒否しない。指定官庁による拒否しようとする書面は、(c)の規定に基づく申立てその他の証拠を提出する求めとともに出願人に送付できる。
(f)指定官庁が適用する国内法令が、優先権の回復に関して、出願人の立場からみて、(a)及び(b)の規定に基づく要件よりも有利な要件を規定する場合には、当該指定官庁は、優先権を決定する場合に、当該(a)及び(b)の規定に基づく要件に代わり、国内法令の規定に基づく要件を適用することができる。
(g)各指定官庁は、当該指定官庁が適用する回復のための基準、要件、該当する場合には(f)の規定に従つて適用される国内法令、及びこれに関する後の変更を国際事務局に通知するものとする。国際事務局は、当該情報を速やかに公報に掲載する。
(h)二千五年十月五日において(a)から(g)までの規定が指定官庁によつて適用される国内法令に適合しない場合には、当該指定官庁がその旨を二千六年四月五日までに国際事務局に通告することを条件として、これらの規定は、当該国内法令に適合しない間、当該指定官庁については、適用しない。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。




代々木塾の講座案内


代々木塾HP Https://www.yoyogijuku.jp/


2023口述逐条問題集


2024塾長短答講座(通信)全33回 7月~3月
2024塾長論文講座(通信)全33回 7月~3月


2024論文事例問題講座
2024特許法逐条講座
2024パリ条約逐条講座
2024PCT逐条講座


2024短答答練会(通信)2024年1月~3月
2024論文答練会(通信)2024年1月~3月


2025論文短答入門コース(通信)2024年5月~12月
2025論文入門コース(通信)2024年5月~12月
2025短答入門コース(通信)2024年5月~12月



2023年10月1日 弁理士試験 代々木塾 意匠法10条7項、8項

2023-10-01 05:20:29 | Weblog
2023年10月1日 弁理士試験 代々木塾 意匠法10条7項、8項


(関連意匠)第十条
7 関連意匠の意匠登録出願があつた場合において、当該意匠登録出願が基礎意匠(当該関連意匠に係る最初に選択した一の意匠をいう。以下同じ。)に係る関連意匠(当該基礎意匠の関連意匠及び当該関連意匠に連鎖する段階的な関連意匠をいう。以下同じ。)にそれぞれ該当する二以上の意匠の意匠登録出願であつたときは、これらの意匠については、第九条第一項又は第二項の規定は、適用しない。


8 前項に規定する場合において、第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた自己の意匠のうち当該基礎意匠に係る関連意匠(当該関連意匠の意匠登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、若しくは当該関連意匠の意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したとき、又は当該関連意匠の意匠権が第四十四条第四項の規定により消滅したとき、無効にすべき旨の審決が確定したとき、若しくは放棄されたときを除く。)と同一又は類似のものは、第一項の規定により意匠登録を受けようとする意匠についての第三条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項第一号又は第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。




〔解説〕


・7項(9条1項又は2項の適用除外)


 関連意匠の意匠登録出願が2以上あったときは、本意匠に類似する関連意匠であるか、関連意匠にのみ類似する関連意匠であるかを問わず、9条1項又は2項は適用しないこととした。


 基礎意匠とは、当該関連意匠に係る最初に選択した一の意匠をいう。すなわち、基礎意匠とは、関連意匠にのみ類似する意匠について関連意匠の意匠登録を受ける場合に「本意匠」とみなされた関連意匠を除き、本意匠に類似する意匠について関連意匠の意匠登録出願をする場合の「本意匠」を意味する。


・8項(3条1項1号又は2号の適用除外)


 3条1項1号又は2号に該当するに至った自己の意匠のうち、基礎意匠に係る関連意匠と同一又は類似のものは、関連意匠の意匠登録出願についての3条1項又は2項の適用については、3条1項1号又は2号に該当するに至らなかったものとみなすこととした。
 自己の公知意匠等によっては、関連意匠の意匠登録出願が3条1項又は2項により拒絶されないこととしたものである。


 「当該基礎意匠に係る関連意匠」の後のかっこ書は、関連意匠の意匠登録出願が特許庁に係属しなくなったとき、関連意匠の意匠権が消滅した後は、10条8項を適用せず、関連意匠の意匠登録出願について、パブリックドメインとなった自己の公知意匠等を引用して3条1項又は2項により拒絶することとするものである。




代々木塾の講座案内


代々木塾HP Https://www.yoyogijuku.jp/


2023口述逐条問題集


2024塾長短答講座(通信)全33回 7月~3月
2024塾長論文講座(通信)全33回 7月~3月


2024論文事例問題講座
2024特許法逐条講座
2024パリ条約逐条講座
2024PCT逐条講座


2024短答答練会(通信)2024年1月~3月
2024論文答練会(通信)2024年1月~3月


2025論文短答入門コース(通信)2024年5月~12月
2025論文入門コース(通信)2024年5月~12月
2025短答入門コース(通信)2024年5月~12月