堤卓の弁理士試験情報

弁理士試験に関する情報を提供します。

著作権法 第29条(18.5.14)

2006-05-14 10:09:56 | Weblog
(映画の著作物の著作権の帰属)
第29条

第1項

 映画の著作物の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属することになります。
 すなわち、著作権が著作者に原始的に発生すると同時に、その著作権が映画製作者に移転することになります。著作者人格権は譲渡することができませんので、著作者に残っています。財産権としての著作権のみが映画製作者に移転します。

 15条1項の規定の適用を受ける映画の著作物(ニュース映画等)については、著作者が法人等(映画会社)となりますので、本項の適用をする必要がありません。したがって、本項の適用除外となっています。
 29条2項又は3項の規定の適用を受ける映画の著作物(放送用映画又は有線放送用映画)については、放送事業者又は有線放送事業者に帰属させるべき権利を放送又は有線放送に関係するものに限定する必要がありますので、本項の適用除外となっています。

 映画の著作物の著作者が映画製作者に対してその映画の著作物の製作に参加することを約束していることが必要となります。文書による契約でも、口頭による約束でも差し支えありません。
 本項の適用となる映画の著作物とは、主として劇場用映画のような商業的作品を意味します。

第2項

 本項は、映画の著作物に関する放送事業者の有する権利について規定しています。

 もつぱら放送事業者が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物について本項が適用されます。
 もつぱら放送事業者が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物とは、テレビ放送するために固定したテレビドラマのような映画の著作物をいいます。

 15条1項が適用される映画の著作物については、本項は適用されません。例えば、放送局がそのスタッフのみで製作する報道番組のような映画の著作物は、15条1項により放送局が著作者となりますので、本項を適用する必要がありません。
 もっぱら放送事業者が製作するものであることが必要ですので、放送事業者と映画会社とその他のプロダクションとの共同製作の場合には、本項の要件を満たさないこととなります。

 もっぱら技術的手段として製作するものであることが必要ですので、市販カセット化を予定しながら放送に使用する映画の著作物や、生放送をしながら固定した映画の著作物は、本項の要件を満たさないこととなります。

第1号
 もっぱら放送事業者が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物の著作権のうち、その著作物を放送する権利及び放送されるその著作物を有線放送し、又は受信装置を用いて公に伝達する権利は、映画製作者としての当該放送事業者に帰属することになります。
 すなわち、放送事業者は、テレビ映画を放送する権利、有線放送する権利、テレビジョン受像機によって公衆に伝達する権利を有することになります。

第2号
 もっぱら放送事業者が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物の著作権のうち、その著作物を複製し、又はその複製物により放送事業者に頒布する権利は、映画製作者としての当該放送事業者に帰属することになります。
 すなわち、放送事業者は、テレビ映画を複製する権利、複製物をその他の放送事業者に頒布する権利を有することになります。
 頒布先は、その他の放送事業者に限定されていますので、一般の第三者に頒布する権利はありません。したがって、第三者に頒布したときは、著作者の頒布権の侵害となります。


第3項

 本項は、映画の著作物に関する有線放送事業者の有する権利について規定しています。

 もつぱら有線放送事業者が有線放送のための技術的手段として製作する映画の著作物について本項が適用されます。
 もつぱら有線放送事業者が有線放送のための技術的手段として製作する映画の著作物とは、有線放送するために固定した有線放送用テレビドラマのような映画の著作物をいいます。

 15条1項が適用される映画の著作物については、本項は適用されません。例えば、有線放送局がそのスタッフのみで製作する報道番組のような映画の著作物は、15条1項により有線放送局が著作者となりますので、本項を適用する必要がありません。
 もっぱら有線放送事業者が製作するものであることが必要ですので、有線放送事業者と映画会社とその他のプロダクションとの共同製作の場合には、本項の要件を満たさないこととなります。

 もっぱら技術的手段として製作するものであることが必要ですので、市販カセット化を予定しながら有線放送に使用する映画の著作物や、生の有線放送をしながら固定した映画の著作物は、本項の要件を満たさないこととなります。

第1号
 もっぱら有線放送事業者が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物の著作権のうち、その著作物を有線放送する権利及び有線放送されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利は、映画製作者としての当該有線放送事業者に帰属することになります。
 すなわち、有線放送事業者は、テレビ映画を有線放送する権利、テレビジョン受像機によって公衆に伝達する権利を有することになります。
 ただし、有線放送事業者には、放送する権利は認められていません。有線放送用テレビドラマについて放送できる権利を認めることは、広範な利用を認めることになりますので、適切ではないからです。

第2号
 もっぱら有線放送事業者が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物の著作権のうち、その著作物を複製し、又はその複製物により有線放送事業者に頒布する権利は、映画製作者としての当該有線放送事業者に帰属することになります。
 すなわち、有線放送事業者は、有線放送用テレビ映画を複製する権利、複製物をその他の有線放送事業者に頒布する権利を有することになります。
 頒布先は、その他の有線放送事業者に限定されていますので、一般の第三者に頒布する権利はありません。したがって、第三者に頒布したときは、著作者の頒布権の侵害となります。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 著作権法 第16条(18.... | トップ | 著作権法 第51条(18.... »

Weblog」カテゴリの最新記事