特許法184条の4(外国語でされた国際特許出願の翻訳文)
第1項
外国語でされた国際特許出願(以下「外国語特許出願」という。)の出願人は、条約第二条(xi)の優先日(以下「優先日」という。)から二年六月(以下「国内書面提出期間」という。)以内に、前条第一項に規定する国際出願日(以下「国際出願日」という。)における条約第三条(2)に規定する明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。)及び要約の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、国内書面提出期間の満了前二月から満了の日までの間に次条第一項に規定する書面を提出した外国語特許出願(当該書面の提出の日以前に当該翻訳文を提出したものを除く。)にあつては、当該書面の提出の日から二月(以下「翻訳文提出特例期間」という。)以内に、当該翻訳文を提出することができる。
※コメント
1.優先日の定義は、PCT2条に規定されています。すなわち、
(xi)「優先日」とは,期間の計算上,次の日をいう。
(a)国際出願が第8条〔優先権の主張〕の規定による優先権の主張を伴う場合には,その優先権の主張の基礎となる出願の日
(b)国際出願が第8条の規定による2以上の優先権の主張を伴う場合には,それらの優先権の主張の基礎となる出願のうち最先のものの日
(c)国際出願が第8条の規定による優先権の主張を伴わない場合には,その出願の国際出願日
優先権の主張を伴う場合は、優先権の有効性を判断することなく、優先日が認定されることになります。この点で、国際調査機関による書面の見解の作成における所定の基準日と概念が異なります。
2.国内書面提出期間
優先日から2年6月の期間を国内書面提出期間といいます。
翻訳文提出特例期間が適用される場合であっても、国内書面提出期間は優先日から2年6月の期間をいい、変動することはありません。
3.翻訳文の対象
(1)国際出願日における明細書
(2)国際出願日における請求の範囲
ただし、PCT19条補正をした場合は、184条の4第2項の例外があります。すなわち、PCT19条補正後の請求の範囲の翻訳文を国内書面提出期間内に提出するときは、国際出願日における請求の範囲の翻訳文を提出することは不要となります。
(3)国際出願日における図面(図面の中の説明に限る。)
図面については、図面の中の説明がある場合に限り、図面の中の説明の翻訳文を提出することが必要となります。図面の線図の部分は、翻訳文の対象から除外されています。
(4)要約の翻訳文
4.ただし書(翻訳文提出特例期間)
国内書面提出期間内に所定の翻訳文を提出できないときは、国内書面提出期間の満了前二月から満了の日までの間に国内書面を提出することにより、当該書面の提出の日から二月(翻訳文提出特例期間)以内に、当該翻訳文を提出することができます。
国内書面を国内書面提出期間内に提出しなかったときは、1項ただし書は適用されません。
かっこ書は、国内書面の提出日以前に当該翻訳文を提出した場合は、ただし書は適用されません。翻訳文の出し直しは認めないということを明確にしています。翻訳文を一度提出すると、わが国の明細書等とみなされることになりますので、その後、その内容を変更するときは、手続補正書又は誤訳訂正書により補正をしなければならないことになります。
第1項
外国語でされた国際特許出願(以下「外国語特許出願」という。)の出願人は、条約第二条(xi)の優先日(以下「優先日」という。)から二年六月(以下「国内書面提出期間」という。)以内に、前条第一項に規定する国際出願日(以下「国際出願日」という。)における条約第三条(2)に規定する明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。)及び要約の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、国内書面提出期間の満了前二月から満了の日までの間に次条第一項に規定する書面を提出した外国語特許出願(当該書面の提出の日以前に当該翻訳文を提出したものを除く。)にあつては、当該書面の提出の日から二月(以下「翻訳文提出特例期間」という。)以内に、当該翻訳文を提出することができる。
※コメント
1.優先日の定義は、PCT2条に規定されています。すなわち、
(xi)「優先日」とは,期間の計算上,次の日をいう。
(a)国際出願が第8条〔優先権の主張〕の規定による優先権の主張を伴う場合には,その優先権の主張の基礎となる出願の日
(b)国際出願が第8条の規定による2以上の優先権の主張を伴う場合には,それらの優先権の主張の基礎となる出願のうち最先のものの日
(c)国際出願が第8条の規定による優先権の主張を伴わない場合には,その出願の国際出願日
優先権の主張を伴う場合は、優先権の有効性を判断することなく、優先日が認定されることになります。この点で、国際調査機関による書面の見解の作成における所定の基準日と概念が異なります。
2.国内書面提出期間
優先日から2年6月の期間を国内書面提出期間といいます。
翻訳文提出特例期間が適用される場合であっても、国内書面提出期間は優先日から2年6月の期間をいい、変動することはありません。
3.翻訳文の対象
(1)国際出願日における明細書
(2)国際出願日における請求の範囲
ただし、PCT19条補正をした場合は、184条の4第2項の例外があります。すなわち、PCT19条補正後の請求の範囲の翻訳文を国内書面提出期間内に提出するときは、国際出願日における請求の範囲の翻訳文を提出することは不要となります。
(3)国際出願日における図面(図面の中の説明に限る。)
図面については、図面の中の説明がある場合に限り、図面の中の説明の翻訳文を提出することが必要となります。図面の線図の部分は、翻訳文の対象から除外されています。
(4)要約の翻訳文
4.ただし書(翻訳文提出特例期間)
国内書面提出期間内に所定の翻訳文を提出できないときは、国内書面提出期間の満了前二月から満了の日までの間に国内書面を提出することにより、当該書面の提出の日から二月(翻訳文提出特例期間)以内に、当該翻訳文を提出することができます。
国内書面を国内書面提出期間内に提出しなかったときは、1項ただし書は適用されません。
かっこ書は、国内書面の提出日以前に当該翻訳文を提出した場合は、ただし書は適用されません。翻訳文の出し直しは認めないということを明確にしています。翻訳文を一度提出すると、わが国の明細書等とみなされることになりますので、その後、その内容を変更するときは、手続補正書又は誤訳訂正書により補正をしなければならないことになります。