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2021年7月18日 その4 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

2021-07-18 06:41:19 | Weblog
2021年7月18日 その4 弁理士試験 代々木塾 審判便覧

審判便覧 51―08 無効審判の請求の不備と補正

4.その他の不適法な手続の却下

 審判請求書以外の審判事件に係る手続に方式不備がある場合には補正を命じ、指定した期間に補正がされなかったときに審判長により決定をもって手続を却下し(特§133、実§41、意§52、商§56①)、また、審判請求書以外の不適法な手続であってその補正をすることができないものについては、却下理由通知による弁明の機会を経た後、却下の決定をする(特§133の2①、実§41、意§52、商§56①)。

5.審判長・合議体の裁量

(1)補正命令、却下
 請求の理由の記載要件の方式審理は職権調査事項であり、記載要件違反を発見した場合には、審判長はその審判請求書について補正を命じる。補正命令は、記載要件違反の解消の機会を保障するためのものであるから、最終的に決定却下しないものについては補正を命じる必要はなく、補正を命じるかどうかについては、審判長の裁量である。

 補正命令の結果、補正によっても記載要件違反が解消しないときは、「決定をもってその手続を却下することができる」(特§133③、実§41、意§52、商§56①、§68④)とされていることから、最終的に決定をもって却下するかどうかは審判長の裁量である。

 審判請求書に著しい記載要件違反が存在し、かつ、補正により解消することができないものは、審決をもって却下することができるが(特§135、実§41、意§52、商§56①、§68④)、審決をもって直ちに却下するか、補正を命じるかについては、審判合議体の裁量である。

 したがって、記載要件違反がごく軽微であって、実質的な問題がないようなときは、審判長・合議体は、補正命令・決定却下や審決却下をしなくても差し支えない。
 同様に、補正を命じた事項の一部のみが補正により解消されていないときは、違反の重大性等を考慮して、決定をもって却下するかどうかを判断する。

(2)要旨変更補正がされた場合の取扱い
 審判請求書の副本を特許権者に送達する前における請求の理由の要旨を変更する補正は、本案審理前の段階のものであるから、それにより大幅な審理の遅延が生じないこともあり得る。そこで、審判請求書の副本を特許権者に送達する前において記載要件不備の補正を命じた場合において、それに応答する補正が、請求の理由の記載要件違反を解消するものであり、しかも著しく要旨を変更するものでないときには、補正を認めても差し支えない(→51―16 の1.)。

 他方、請求の理由の要旨を変更する補正を禁止する原則を維持した趣旨に鑑みれば、本案審理後における請求の理由の補正については、本案審理前に比べて、要旨変更禁止の規定をより厳格に判断することが適切である。

6.不服申立て

 特§135による審判請求の却下審決、特§133③による審判請求書の却下の決定について不服があれば、東京高等裁判所(知的財産高等裁判所)へ訴えを提起できる(特§178①、実§47①、意§59①、商§63①)。

 一方、その他の手続の却下について不服があれば、行政不服審査法§2による審査請求ができ、又は地方裁判所へ訴えが提起できる。


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