堤卓の弁理士試験情報

弁理士試験に関する情報を提供します。

2019年6月26日 弁理士試験 代々木塾 意14条2項 趣旨

2019-06-26 17:41:09 | Weblog
2019年6月26日 弁理士試験 代々木塾 意14条2項 趣旨

【問題】意匠法14条2項
 意匠法第14条第2項において「前項の規定による請求をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した書面を…又は第四十二条第一項の規定による第一年分の登録料の納付と同時に特許庁長官に提出しなければならない。」と規定することとした趣旨について説明せよ。

【解答】
 平成18年改正前は、意匠登録出願に係る意匠が審査から意匠権の設定登録を経て意匠公報により公示されるまでには相当の期間を要していたため、その間に出願人等が当該意匠に係る物品の販売等を開始する場合が多く、自らが意図しないうちに意匠公報が発行され公開に至る事態は問題とならなかった。
 しかし、近年、意匠権の早期権利化の要請から審査の迅速化が実現したことに伴い、出願のタイミングによっては、商品の販売前にもかかわらず、意匠公報の発行によって意匠が公開されることがあり、商品の広告、販売戦略等に支障が出る場合が生じている。このような場合、秘密意匠制度(14条)を利用することができるが、秘密意匠の請求は意匠登録出願と同時にしなければならないとされているため、審査が出願時の予想よりも早期に終了した結果秘密意匠の請求の必要が生じたような事態には対処できなかった。
 そこで、平成18年改正において、審査が終了した後にも秘密意匠の請求を可能とする必要があることから、秘密意匠の請求をすることができる時期的要件について、現行法において認められている出願と同時にする場合に加え、意匠登録の第1年分の登録料の納付と同時にする場合も認めることとした(14条2項)。

2019年6月26日 弁理士試験 代々木塾 意14条 趣旨

2019-06-26 14:14:44 | Weblog
2019年6月26日 弁理士試験 代々木塾 意14条 趣旨

【問題】意匠法14条
 秘密意匠制度(意匠法第14条)を設けることとした趣旨について説明せよ。

【解答】
 秘密意匠制度とは、意匠登録出願人の請求により、意匠権の設定の登録の日から3年を限度に登録意匠を秘密にすることができる制度をいう(14条)。
 意匠法は、意匠権が独占排他権であることから(23条)、権利の内容を意匠公報に掲載して、第三者に公表することとしている(20条3項)。
 しかし、意匠は物品の美的外観であり(2条1項)、模倣されやすく、流行に左右されやすいものもある。したがって、実施化がまだ先の場合に、登録意匠の内容を公表しないで、まず先願権(9条1項)を確保しておく必要がある。また、将来の流行を予測してストック意匠を準備しておく必要もある。一方、意匠には累積進歩という面が少なく、公表しないことによる第三者の不利益は小さい。
 そこで、意匠法は、出願人が意匠の実施時期と公表時期とを調整することができるように、秘密意匠制度を採用することとした(14条)。

2019年6月26日 弁理士試験 代々木塾 意13条5項 趣旨

2019-06-26 11:52:43 | Weblog
2019年6月26日 弁理士試験 代々木塾 意13条5項 趣旨

【問題】意匠法13条5項
 意匠法第13条第5項において「特許出願人は、その特許出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その承諾を得た場合に限り、第一項の規定による出願の変更をすることができる。」と規定することとした趣旨について説明せよ。

【解答】
 特許出願を意匠登録出願に変更すると(13条1項)、もとの特許出願は取り下げられたものとみなされる(13条4項)。
 しかし、もとの特許出願に仮専用実施権者があるときは、特許出願のみなし取下げによって、仮専用実施権者は、将来の専用実施権者としての地位を失うこととなり(特34条の2第6項)、甚大な不利益を被るおそれがある。
 そこで、もとの特許出願について仮専用実施権を有するものがあるときは、当該仮専用実施権者の承諾を得た場合に限り、その特許出願を意匠登録出願に変更できることとした(13条5項)。