Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

地球最後の男 オメガマン

2010-06-26 | 映画(た行)

■「地球最後の男 オメガマン/The Omega Man」(1971年・アメリカ)

監督=ボリス・セイガル
主演=チャールトン・ヘストン ロザリンド・キャッシュ アンソニー・ザーブ ポール・コスロ

地球最後の生き残りとなった男を描くリチャード・マシスン原作の「アイ・アム・レジェンド」。このチャールトン・ヘストン主演版が2度目の映画化である(ウィル・スミス主演作は3度目の映画化)。映画のタイトルバックは、誰もいなくなった街をチャールトン・ヘストンがオープンカーで走り回る場面。突然襲いかかる黒服の人々に躊躇なく彼は銃口を向ける。そのまま死体の始末もそこそこに、自宅に戻ってチェス盤に向かう人形に笑顔で話しかけている・・・。な、なんじゃこりゃ。問答無用のこのオープニングにやや唖然。「猿の惑星」もそうだけど、ヘストンは世界の終わりを描いたSF出演が好きなのか・・・。

謎の伝染病によって人類はほぼ死滅。生き残ったわずかな人々は体の色素を失い、光を恐れて暮らす体になっている。彼らは世界を浄化する目的で、失われた文明の道具(車や銃)をあやつるヘストン扮する主人公を殺そうとするのだ。主人公はこの伝染病のワクチンを開発した人物なのだ。やがて生き残った若者たちと出会い、彼のワクチンで一人の黒人少年を病魔から救うことに成功する。少年がそのワクチンで敵対する人々を救おうとするのだが、これがきっかけで主人公と黒服の集団は最終決戦を迎える・・・という何とも重いテーマのSF作品。

ストーリーや設定は確かに面白いのだが、何とも居心地の悪い映画だ。理由はいくつかある。ひとつは主人公のキャラクター。科学者(医者?)なのに敵対する人々を病魔にやられた人とは考えずに「害虫だ」と憎んでいたり、最後の生き残りであることにどこか優越感を感じている。残された一人だという孤独感は感じられない。そしてもう一つは映画全体が人種偏見を感じさせるところだ。病魔によって光を失い、危ない新興宗教めいた行動をとる人々は、なぜか大半が白塗りの黒人。一度主人公を捕らえることに成功した黒服の一団は、主人公をみこしの様な物で担いで連行するのだが、このとき主人公にはKKK団を思わせる白くて長い三角帽子が被せられている。血清を作る場面でもヘストンは自分の血を採りながら、「純血のアングロサクソンだぞ」とか言うし・・・。そしてラストシーンでは、キリストを思わせるような最期を迎える。うーん、やっぱり最後までいけ好かない主人公だ。

「007/死ぬのはやつらだ」のロザリンド・キャッシュが出演しているのが嬉しいね。誰もいない映画館で「ウッドストック」を観る場面。そこはちょっと好き。




コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画の中の父親たち | トップ | ラスト・ブラッド »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (imapon)
2010-06-26 16:43:10
こんにちわ。
古い映画ですね。40年近く前・・・
当時ガキだった私は地元の3番館(もちろん、今は無くカラオケ屋になってる)で友達と「猿の惑星シリーズ」なんかを見に行ったりしてSF映画に目覚めかけていた頃。この作品も面白そうなので行こうと楽しみにしていたのですが、何故か公開時期途中で打ち切りに・・・私にとって幻の作品です。それにしても打ち切りの理由って何だったんだろう。
返信する
imaponさんへ (tak)
2010-06-28 20:03:55
コメントありがとうございます。

70年代のSF映画って、幼い頃に観るとトラウマになってしまいますよね。それくらいに暗いし、衝撃的だし。僕はこれ初見でしたが、なーんとも後味の悪い映画でありました。

僕にとってもトラウマ70年代映画は、
・「ウエストワールド」
・「SF/アンドロメダ・・・」
・「アラン・ドロンのショック療法」
・「ソイレントグリーン」 あたりかな。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。