Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

トスカーナの休日

2012-08-04 | 映画(た行)

■「トスカーナの休日/Under The Toscan Sun」(2003年・アメリカ)

監督=オードリー・ウェルズ
主演=ダイアン・レイン サンドラ・オー リンゼイ・ダンカン

 ディズニー傘下である配給会社ブエナビスタ、そして84年の「スプラッシュ!」からその歴史が始まったタッチストーンピクチャーズ。僕はハリウッド超大作をやや避けている映画ファンであるが、タッチストーンの映画は別格。ディズニーアニメ同様に根底には異文化に対する寛容さやアメリカ以外の国々に対する好意的な描かれ方がある。例えば「グッドモーング、ベトナム」や「天使にラブソングを・・・」、「いまを生きる」・・・ド派手な視覚効果と見せ場だけのエンターテイメント映画とは一線を画すヒューマニズムに満ちた映画たちだ。そしてこの「トスカーナの休日」もそんなタッチストーンピクチャーズの製作。

 この映画の人を見つめる視線は常に優しい。冒頭でフランシスが住むことになる”離婚者収容所”の人々、ゲイのバスツアーの面々、サンドラ・オー扮するパティは人工受精で妊娠するレズビアン、ポーランド移民の職人たち・・・社会的に少数派である人々であるが、それを物珍しく描くことはしない。それにカルチャーギャップを扱うと相手国を笑いのネタにする映画もあるのだが、この映画はイタリア人との文化や気質の違いも肯定的に描かれているので実に好感がもてる。そういえば、監督のオードリー・ウェルズはハリウッド版「shall we ダンス?」の脚本も書いているとか。日本映画という素材をうまく料理してくれているかもしれない。

 突然の離婚から立ち直る女性の姿をダイアン・レインが等身大で演じている。異国で周りとの関係を避けがちだったヒロインが、次第に心を開いていく様子が何よりも見どころ。コミュニケーションを失ったら人として生きていけない。家族愛にしても男女のことにしても、そうしたコミュニケーションに世界で最も懸命になる気質の国がイタリアだろう。ラストにはフランシスは「愛し合う二人を何故祝福しないの?」とそのイタリア人家庭に訴える。身よりのないポーランド人労働者を”家族だ”と言い放つこの場面は、実に感動的だ。誰もいなかった築300年の家が結婚式でにぎわうラスト。イタリアの美しい風景と古い町並み。この映画は劇場を出る僕らに笑顔と元気を与えてくれる。久々にいいアメリカ映画を観たよ、ウン。

 ★

この文章を書いたのは2003年。80年代にアイドルとして人気があった女優が、活躍するのはとっても嬉しい。ダイアン・レインもその一人。

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