Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

赤い風車

2021-07-31 | 映画(あ行)



◼️「赤い風車/Moulin Rouge」(1952年・アメリカ)

監督=ジョン・ヒューストン
主演=ホセ・ファーラー コレット・マルシャン シュザンヌ・フロン ザ・ザ・ガボール

2010年に「ロートレック・コネクション パリを彩った画家たち」と題された美術館の展示を鑑賞した。ムーラン・ルージュのポスターやロートレックの代表作の数々、同時代の画家ミュシャの作品なども観ることができて、満足できる催しだった。

そのロートレックの伝記映画であるジョン・ヒューストン監督の「赤い風車」。トゥールーズの伯爵家を出て、パリで絵を描いていた時期から映画は始まる。バズ・ラーマンの映画が念頭にあると、ムーラン・ルージュは絢爛豪華なキャバレーのイメージだろうが、映画冒頭から出てくる店のイメージはちょっと違う。踊り子たちが脚を蹴り上げ尻を揺らすダンスや、看板ダンサーたちの見せ物も猥雑な感じ。ロートレックのポスターが評判となって名が知れ渡り、高級店となる前のムーラン・ルージュ。ヒューストン監督は、当時の生き生きとしたパリの様子を再現する方針でこの映画を撮った、と冒頭で宣言する。男臭い映画が多い印象のヒューストン作品だが、80年代にはミュージカル「アニー」も手がけているんだもの、決して踊りや歌を撮らせて下手なはずがない。店の様子が生き生きと描かれて、思った以上にこの場面が長い。

そしてロートレックにとって脚の障害がどれだけコンプレックスになっていたのか、娼婦マリーに抱いた恋心、いや執着と言ってもいいくらいに、思いがいかに深いものだったのかが語られていく。また、後に交際することになるミュリアムから自分を卑下する発言を幾度となくやめるように言われるの場面も切ない。自分を肯定できない気持ちが、身近に本当の彼を見てくれる存在を曇らせてしまう悲しさ。ヒューストン監督作に出てくる男性像は、狂信的に物事に執着し貫く男たち。ロートレックもその一人なんだろう。

リトグラフでポスターを作る場面にも、当時の様子を再現しようとしたスタッフのこだわりを感じる。同時代の画家たちの交友関係も、この手の伝記映画では押さえておきたいポイント。

爵位をバックに働かない父とは違って、障害があっても自ら働いて人に認められることを貫いた主人公の姿。死の間際でイメージで蘇ったのは、在りし日のムーラン・ルージュ。このラストシーンは胸にくる。

追記
映画後半、ミュリアムに言い寄る紳士が登場する。「スターウォーズ」のターキン総督、ピーター・カッシング!若い頃の出演作、ホラー映画以外で見かけたのは初めてかも。クリストファー・リーも出てるらしいけど、気づかなかった💧


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