Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ゼロの焦点

2023-12-16 | 映画(さ行)


◼️「ゼロの焦点」(1961年・日本)

監督=野村芳太郎
主演=久我美子 高千穂ひづる 有馬稲子 南原宏治 西村晃

2023年12月13〜17日の北九州国際映画祭で上映された旧作。
https://kitakyushu-kiff.jp/

映画祭では北九州出身の松本清張原作の映画が3本上映。セレクトしたのは、清張フリークでもあるみうらじゅん。そのうち1本がこの「ゼロの焦点」(1963)である。クライマックスで能登半島の断崖が登場し、緊張感ある謎解き場面となっている。現在の2時間枠サスペンスドラマの原型という意味でも観て損はない。みうらじゅんはこの作品で崖好きになって、グッとくるグッドクリフを探して(みうらじゅん「いい崖出してるツアー」歌詞より♪)、あちこち旅をすることになる。そんなきっかけとなった作品。

謎解き場面の回想を除いて、失踪した夫を探す新妻の姿を、カメラはとにかく捉え続ける。彼女と共に能登半島の寒空を歩いているような没入感。95分の尺で余計な情報がない映画だから、なおさら集中できる。モノクロの映像が日本海の曇った空や荒れる波をさらに冷たく感じさせ、クライマックスの崖で気持ちが高まってしまう。

物語に描かれた頃はお見合い結婚が主流だったし、駐留していた米国兵の相手を生業としていた女性たちがいた時代。過去や素性を深く知らずに結婚することはよくあることだったに違いない。ヒロインは夫の謎を追うことになるけれど、物語は女性たちの過去も紐解いていくことになる。

ラストに漂う悲壮感。やっぱり清張ものは面白い。






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