忘却への扉

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見舞いの部屋で

2006-05-22 | 日々
 長い間申し訳なく思っていた見舞いに、やっと行くことができた。一番上の階まで歩いて上がるとすぐの部屋の奥に顔が見えた。
 ちょうど昼食の終わったころで、まず短い言葉を交わす。交替の付き添いは娘でもある妻の日で、窓際の椅子に腰掛けている。
 高齢にしては思ったよりも元気そうでホッとする。話をしたいことは幾らでもあったのだが、長い入院に少し弱気のようにもみえあまり話すのは遠慮する。
 相部屋で他に三人の患者さんがいっしょにいる。時には世間話でもするのだろうか。そんな気持ちがあればよいのだが。付き添いのいない向かいのベッドの人に妻が話し掛けたら、すごく元気な話が返ってきた。話のできる相手を待ち焦がれているかに見えた。
 義母も母に似たところがある。身体の不自由になった自分のために、人にできるだけ心配や迷惑をかけたくない。頼んでいいのに我慢する。
 みんなのためにと精一杯働き通してきた。子供や孫や曾孫たちをいつも気遣ってくれた。これからは子供や孫たちに笑顔で甘えてもらいたい。

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