忘却への扉

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逃げ道の必要

2009-11-29 | 共に
 洗面所のカガミに写った自分の顔を見て、やわらかい表情だと思う。これが遠い過去のふだんの顔だったはず。いつの頃から眼に鋭さを持つようになったのかは忘れてしまった。
 環境の変化の影響が原因ではあるだろう。鏡を見なければ真実を知らずに済むかも知らないが、自分の表情はのんびりしたやすらぎの部分を維持して行こうと心がけては来たつもり。
 今回孫が娘に叱られる横にいて、つい私も一言を出してしまった。『私が叱ってるんだから黙っていて!逃げ道の無い叱り方は駄目なの!』聞いて、叱る言葉ではなかったつもりだったので一瞬驚く。
 相手に対し逃げ道を残した叱り方ができるかどうかは、叱る側の人格を問われる課題なのか。そういえばその前に母親が子供を叱った時にはすぐ父親が間に入り止めてから、再び母親が抱きしめて子供の気持ちを聞き治めていた。
 耳を押さえられない怒りの大砲の近くで、長くその音を聞き続けて来た。周りには同じ立場の人々がいて、逃げ道や助け合う仲間が自然にできた。逃げ道の見つけだせない人には声かける人たちがいた。
 個人的には友がいて、趣味を持ち、家族はもちろん、宗教に頼る人まで。酒好きで体を壊し短命の人たちも、想い出には笑顔だけを見せる。互いの人格を認め合う人間味のある人々。
 逃げ道の体験が人を育てると孫たちに教わった。私もまだ献体に行くまでには、柔らかな顔が取り戻せるとの望みを捨てていない。