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べんりや日記

住まいのこと、情報発信!

土塗り壁について

2015-02-04 12:17:01 | 伝統構法について
昔ながらの土塗り壁についてまとめました


 土塗り壁の基礎知識


土塗り壁とは??


土塗り壁の造り

土壁のリサイクル

呼吸をしている土塗り壁

土塗り壁の耐震性

土塗り壁の防火性能

土塗り壁の断熱性、気密性


 土塗り壁のリフォーム方法

土塗り壁を活かした断熱改修工事には大まかに2通りの方法があります。

 内貼り工法 (外観重視型)

 外貼り工法 (室内環境型)









伝統構法について

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古民家再生

2011-05-14 14:29:34 | 伝統構法について
これまで古民家を再生した事例をご紹介します。

  古民家材料を使った新築物件
  古民家材料+間伐材+伝統構法による新築事例
  新潟県中越地震に耐えました


  1階を車庫に改装
  1階に車庫を取るための補強工事例

  土台のジャッキアップ事例
  地震や長時間経って土台が不等沈下を起こした場合の処理

  ジャッキアップ・サポートアイテム「揚げる君」
  土台揚げの便利アイテムの開発

     実際に使ってみた・・



  イメージボード
  古民家を再生した場合のイメージ


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宮城県にて伝統構法の永住型の復興住宅

2011-05-14 10:59:53 | 伝統構法について
宮城県石巻市に建設される木造住宅の完成予想図
工学院大学提供


伝統を未来へつなげる会より、東日本大震災の復興住宅計画の情報が入りました。
民有地を長期借り入れし、低家賃での住宅を貸し出すというアイディアです。

地元木材を伝統構法による、仮設ではなく長期対応型の地域にマッチした住宅とし、今後コミュニティーの場に生かそうという話です。





こうした動きは、新潟県中越地震の際、山古志村でも復興住宅が計画され、地元の設計士と工務店が活躍しました。
くわしくはこちら



伝統構法とは・・

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大工の棟梁から学ぶ空間認識の習得プロセス

2010-12-24 16:37:16 | 伝統構法について
小川三夫棟梁講演会の様子
「越後にいきる家をつくる会」発足10周年を記念し、
新潟市内「こまくさ保育園」にて講演会を行いました。


新潟の山の木を使って、伝統構法で家をつくり、100年もたせたい・・そんな願いから結成された「越後にいきる家をつくる会」も発足10周年を向かえ、その記念行事として、薬師寺再建等、数々の寺社建築物に携わってこられた小川三夫(おがわみつお)棟梁に、大工の修行の時や、今の大工の養成のエピソードを講演して頂く機会を設けました。
10年以上経った新潟市の「こまくさ保育園」が会場となりましたが、伝統木組みの保育園を建築する際に、小川三夫氏からも応援をしていただいた想い出の建物での講演会です。



自らの体験を語る小川三夫棟梁

西岡棟梁へ弟子入りした時の話から、
「斑鳩工舎」での弟子を育てた経験まで
語って頂きました。


――ノミをひたすら研ぐ

法隆寺再建で有名な西岡棟梁の元で修行された当初は身の回りの掃除や炊事から始まり、ようやく道具を持たせられても、使うことは無く、毎日ノミをひたすら研ぐことだけをしていたそうです。

大工仕事も教えてもらうのではなく、親方や兄弟子の仕事を盗みながら体得していったそうです。


また、「斑鳩工舎」を設立し、社寺建築に関わりながら弟子を養成していますが、代々受け継がれてきた教え方を守り、
初めはノミを研ぐことから始め、削りたいという思いが高まった時に最高の道具で削らせているそうです。
はじめから道具を使わせたり、仕事をさせると、ロクな職人にならない・・
そういった教えを頑なに守り続けています。

良く研がれた道具で最高の技で、加工をすることが、大工の仕事であると説いています。
ひたすら道具を手入れすることが肝要だということです。



――大工の空間認識

師匠だった西岡棟梁の話も興味深いところがあります。
毎日眺めている法隆寺の五重塔を指して、

「五重塔の軒は開いて閉じて、開いて閉じている」

という言葉を残したそうです。



法隆寺 五重塔
国内の五重塔のうち、最高のプロポーションであると言われるが、
その寸法には隠された工夫があった。


その後、修復をしたときに実際に計ると、微妙に軒のバランスが交互に閉じて、開いてを繰り返しているということが分かったそうです。

また、木材への墨付けの際に、数十メートル先から曲線に打った墨の狂いを見抜くことができたそうです。

このような神業的な眼力は、宮大工の最高峰である西岡棟梁ならではの特技なのでしょうか・・
その優れた空間認識力を磨くきっかけが、ノミをひたすら研ぐことに起因するのではないかと講演会の最中に気づいたのです。



西岡常一(にしおか・つねかず)棟梁
法隆寺の棟梁で、最後の宮大工棟梁と称されている。
毎日、法隆寺の建物を見ながら、
古代構法の技術力を見抜いていたのでしょう・・


――ノミを研ぐこと

私が直感的に思いついたのは、砥石に向かってノミを一心に研ぐ毎日の動作の中で空間認識能力が自然に身につくという仮設です。





砥石という平面上に角度をつけて、ノミを一定の面に仕上がるように前後に動かし、研いでいきますが、実際、砥石は完全な平面でないことが多く、何度も研ぐことで磨り減って凹状になっていますし、切れるノミの刃先は平面ではなく、凸状になっていたほうが、良く切れます。すなわち、凹状の曲面上で凸状の曲面を研ぎ出すという作業で、最終的には手で触ることで微妙な曲面に仕上げます。



また、ノミの研ぐ面は砥石に向けられ、研いでいる本人からはその研いでいる面を直視することは出来ません。頭の中でどこまで研いでいるのか、手先の感覚で想像することしかできません。

頭の中で、見えない面を描き、全身を使ってノミを研いでいく・・



ノミを研いでいる面は、直接目で見ることは出来ません。
指先と全身の感覚を研ぎ澄まして、
頭の中で、研いでいる様子を思い浮かべます。


こういった作業を繰り返し行うことで、
建物を設計、施工を行う際に重要となる「立体を想い浮かべる」空間認識能力が身についていくのではないかというものです。


更に、建物を組み上げる際には時間要素が加わり、そこに流れる荷重や木の狂いを思い浮かべられるようになり、複雑な木組みの仕口や継手を自分で開発出来る様になります。

設計士が空間的なデザインを行ったり、複雑な構造計算を行う際に最も必要な「空間認識能力」や「直感でおおまかな力の流れをつかむ」能力です。
この能力が養われていなければ、平面的なありきたりな図面やセオリー通りの計算しか出来ません。

クオリティーの高い意匠設計や構造計算を行うには、立体を思い浮かべたり、力の流れがおおまかにつかめなければなりません。
現在は支援ツールとして、CGソフトや構造計算ソフトがありますが、昔の人はそういったものが無い中での作業でした。



五重塔等の社寺建築は大工の技の粋を出し切って建築しますが、
空間認識能力無しでは木組みやデザインは実現できません。


昔の棟梁は3次元CGが無くても、頭の中で立体や動き、荷重の流れを直感でつかむことが出来、五重塔や大規模な社寺建築の設計、施工が可能だったのではないでしょうか?

その能力を引き出すために、ひたすらノミを研いでいた・・
親方は教えてはくれませんが、(ひょっとしたら、教えている親方も分らないかも知れません)修行の中に大工として重要な要素が取り入れられ、気づいたときにはちゃんと、その能力が身についている。
そういった文化が受け継がれてきたのだと、講演会を聞きながら発見し、感動を覚えたのでした。


伝統構法へ・・



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鎌継ぎの欠点を補う

2010-12-16 17:05:20 | 伝統構法について
古民家で時々見られる「目違いホゾ付き鎌継ぎ」


現在の在来軸組木造で最もポピュラーな継ぎ手は「鎌継ぎ(かまつぎ)」ですが、昔の木工指導書では

「簡易建築物用の簡単な継ぎ手」

として、分類されています。
その理由は、鎌継ぎ自体の強度と耐久性に劣るためで、簡単な加工で済むというコスト面の長所が戦後復興や高度経済成長期の住宅需要の増大と職人不足を補うために、重宝され、現在に至っています。
その流れで、プレカットでも採用され、最もポピュラーた継ぎ手として普及しました。

長期優良住宅は60年の耐久性を目指していますが(一説にはフラット35のローン期間の35年とも言われていますが・・)、それだけの期間が経過すると、木材自体に狂いが生じてくるため、それに対応していない継ぎ手、仕口は何らかの補強が必要となってきます。



「鎌継ぎ」の形状



引っ張りに耐えるのは、鎌部分の噛合わせです。


この赤い部分のみで引っ張りに対応しています。(意外と小さい)実際には、せん断抵抗によるもので、その耐力は意外と小さいものです。よって、あまり力が掛からない小さい開口部の上等に設けます。

これは、建設当初の場合ですが、長時間経過し、乾燥と共に木表側に反ってきます。そうすると・・・


このように、メス側が開いてくる




開いた状態で引っ張りを受けるが、
赤い部分が以前より小さいため、
耐力が小さくなる


鎌継ぎは時間の経過と共に耐力が減少し、しかも継ぎ手自体が緩くなってくるという欠点を持っています。

これを補う方法は、伝統構法にちゃんとあります。昔の人はよく考えたものです。

「目違いホゾ付き鎌継ぎ」


という継ぎ手で、「鎌継ぎ」の欠点を補うために、鎌の両翼に目違いホゾを設けてオス側でメス側が開くことを防止しています。また、下側のアゴによって、部材同士の回転を抑えます。



目違いホゾほぞ付き鎌継ぎ(腰掛付き)


古民家を解体すると、こういった継ぎ手が多用されています。昔の大工は弱い鎌継ぎではなく、より強く耐久性のある方を選択したのでしょう。

こういった継ぎ手は加工が複雑になるので、プレカットでは対応できません。もし、手刻みで在来軸組木造をしている大工さんは、鎌継ぎの形状を変更してみてはどうでしょうか?少しの変更で十分です。
他の大工と差をつけ、より高耐久な住宅が実現し、お客さんに褒められること間違いなし!

「ウチは目違いホゾの鎌継ぎなんだ!」


って、仲間に自慢できますよ!(まあ、金輪継ぎには劣りますが・・)


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市街地内の集会場 イメージ・ボード

2010-12-02 21:19:00 | 伝統構法について
「街中に集会場が少ない」という意見があり、
市街地内の高齢者が集う集会場を設計しました。


吹き抜けからの明るい日差しを浴びた回廊と大広間によって構成される、180㎡の小さな集会場ですが、地域のコミュニティーと介護福祉施設の要素を兼ね備えます。
市街地内で家が密集した中で、自然の風と光を如何に取り入れるか、県産材をふんだんに使えるか、人が集う集会場はどのようなものか・・がテーマです。



上から見た図
1階は大広間、2階は調理スペースとして用います。
高齢者の場合、2階まで階段を上がるのは大変なので、
2階は健常者のボランティアの「炊き出し」用としました。


玄関ホール


正面本屋と雁木の木組み


玄関正面から見た図。
奥に「薬師如来像」が安置されます。
これって・・お寺?




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大工 ~伝統技術について・・

2010-11-24 14:51:59 | 伝統構法について
平成12年に長岡木造振興研究会にて長岡市に提出した、「木」という報告書の内容を基にしています。
もう8年も前ですが、意外と内容がまとまていました。
が、今読み返すと、もう少し補足が必要なようです・・・

もくじ


大工技術と道具

木構造の種類

伝統構法

墨付け、加工

長岡の職人技術について


新潟県の古民家を訪ねる

長岡市街地の町屋の特徴

越路町 長谷川邸

高柳町 茅葺集落

塩沢町 野の花館

寺泊町の古民家

寺泊町の古民家の工夫


村上市 町屋の屏風まつり

村上市 町屋の基本構造



関連記事

伝統を未来につなげる会




作品集
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伝統構法の特徴

2010-11-24 14:37:14 | 伝統構法について
 いわゆる「和風」の工法であり、大陸から伝来した建築技術を基にして、1000年もの歳月を経て、徐々に変化成長してきたもので、現在のような形に固定してきたのは、江戸時代300年の鎖国時代です。
 木のもつ特質を積極的に利用し、生地の美しさを魅せるために部材の接合部は極めて簡素な外観ですが、内部は複雑な加工が要求されます。柱が室内に露出し、建具のはまる鴨居、敷居、天井材を支える廻り縁がからみあって構成され、民家の天井に至っては屋根裏の骨組みが全て現われてくるので、構造材の大部分は化粧材となります。

伝統構法の特徴

適材適所

木の狂いを計算する
 大入れホゾ差し、小胴付の原理
 渡りアゴ

束石と込み栓

通し貫と土塗り壁

小屋組で地震に耐える

自然のサイクルに沿った建物造り

かやぶき屋根

又首(さす)構造・合掌づくり

せいがい造り

雁木

斗供(ときょう)

伝統構法を応用する


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伝統構法を応用する

2010-11-24 14:32:34 | 伝統構法について
古民家に使われてきた伝統的な木組みは、自然のサイクルに沿った環境にやさしい家づくりです。
木の性質を一本一本見抜きながら組み合わせることで、強い構造を実現できます。

「根曲がり材」や「アテ材」は近代的な製品ラインに乗らず、山で捨てられてきたり、製材所でゴミとされていますが、そういった「クセ」のある材料でも上手く使えば強いものになります。

伝統的な方法を取り入れることで、現代の住宅も強い建物に仕上げることが可能です。
また、金物に頼らないので、耐久性のある構造でもあります。(金物の場合はサビによって耐用年数が決まります)

昔ながらの構造にヒントを得ながら、どうすれば強い建物になるのか、長持ちをするのか・・そういった工夫を絶えず考えていくことで、丈夫な建物を日々進化させていく・・・そんな家づくりをしています。

   足固めの応用
   浮かせたまま組み立てる(建て方時)

   差し鴨居による補強
   春日町O邸の1階車庫部分の補強事例

   小根柄長ホゾ差しシャチ栓止の応用
   本町K邸のプレカットでの長ホゾ差しボルト止め事例




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「足固め」の方法

2010-11-23 19:20:35 | 伝統構法について
お寺や神社は石の上に柱を立てていますが、
これを住宅で行う場合は、少し特殊な方法を用いなければなりません。


建築基準法上、土台は基礎にアンカーで固定しなければならないので、一度浮かせた状態で組み上げ、全体を下げてアンカーで固定するという方法をとります。



土台を敷きます


土台を浮かせます
(12センチ程度)


柱を立てます


梁をかけます


通し柱を差します


浮いた状態で、2階の構造を組み上げます


全体を落とします


土台をアンカーで固定します


こうすると、筋違(スジカイ)無しでも自立する構造となります。


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木の狂いを計算する(2) 渡りアゴ

2010-11-23 19:11:27 | 伝統構法について
渡りアゴは伝統構法で基本的な木の組み合わせ方です。


渡りアゴも木の狂いを計算して用いると、がっちりと噛合う交差の仕方です。



材木の干割れの入り方
繊維と平行にヒビが入り、
そこに沿って開くように木が変形していきます。


この「開く」ことを計算し、渡りアゴに有効な方向になるように組み合わせます。
すなわち、ヒビが入る面同士が合わさるようにすると・・



お互いが「開く」ことを抑制しあい、
ガッチリと噛合います


さらに、上から大栓を打ち込めば、もっと固定されます。


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木の狂いを計算する(1) 大入れホゾ差し、小胴付の原理

2010-11-17 11:39:41 | 伝統構法について
木材を加工し、端部をPPバンドにて縛っています


刻みが終了してから、建て方まで時間が空く事がありますが、その間に木材のあの乾燥が進み、木が狂ってしまいます。
そうすると、せっかく加工した材料を、また加工しなおさなければならなくなります。

木が狂う方向を見定めて、あらかじめ対応する措置をしておけば、建て方で調整することが少なく済みます。



木材が開こうとする


木材は、基本的に木表(きおもて=木で立っている時の表側)が縮み、反ってきますが、それを押えるようにPPバンドを巻いて締めておけば、開きません。


この開こうとする木の性質を利用すれば、柱に差して、それが開こうとする力がかかるので、お互いがガッチリと噛み合うのです。



柱と桁がお互いに噛み合う


伝統構法はこうした木の特性を上手く取り入れています。
特に「越後杉」は「狂い易い」という悪評がありますが、逆に言えば狂うことでお互いががっちりと噛み合う要素が強いワケです。



実際の通し柱と桁の収まり・・
シャチ栓が差し込まれて、彫り込まれた部分は見えません。
何気ない所に知恵は生きています。


今回紹介しているのが、全てではありません。伝統構法の継ぎ手、仕口は無数にあり、それぞれが木を活かす工夫のかたまりです。皆、意味がある。何度も何度も繰り返し刻んでいくうちに、その意味を読み解くことが出来るようになりました。
それを適材適所、あるいは自分で工夫して新しい継ぎ手等を開発していく・・それが伝統構法を駆使する我々の技術です。

「どうすれば強くなるのか、どうすれば長持ちするのか」


そういった事を絶えず考えているからこそアイディアが浮かんでくるのです。

    加工した部分をPPバンドで巻く・・

それは、誰から教わったことでもありません。自然と考えが出てきただけです。



木は生き物


とよく言われますが、山に生えている木は一本一本個性を持っています。乾燥の良し悪しもそれぞれ違います。均一な工業生産品ではなく、乾燥と共に変形してくる。
その特性を理解したうえで利用すれば、耐久性のある強い建物になります。

木と共に暮らしてきた日本人の文化なのです。


200年、300年と建ち続けてきた古民家がその耐久性を証明しています。
最近の住宅政策の目玉である「長期優良住宅」の目指すべきものは、こういった高耐久の伝統建築物でしょう・・
「古臭い」というイメージが先行していますが、現代のデザインに合わせる事は十分可能です。色々な形が作れる可能性を秘めていて、しかも高耐久・・


西洋を手本にした近代的な「在来工法」では金物に頼るだけなので、「噛み合う」という特性は活かせません。むしろ、「空く」ことで弱くなっていきます。金物が錆びたり緩んでしまえば、そこで耐久性が決まります。


地元の木や山と共に生きる


伝統構法を使って、新潟の山の木を最大限に活かしきる・・そういった面白さがあるのです。
そして、地元の木を使えば、省エネルギーで環境負荷も最小で済みます。山の手入れもされ、水もきれいになる・・経済も地元で廻すことができる・・
まさに一石二鳥とも三鳥、四鳥にもなる。

でも、クセのある越後杉です。一朝一夕の技術では使いきれません。
「越後杉」を構造材に使うときは、その特性を十分に理解し、仕口や継ぎ手について、検討する必要があるのです。木と向き合うのに生半可な心意気では負けてしまいます。

よーし!大工技術を磨いてトライしようや!


という意気込みでしょう。


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長岡市街地の町屋の特徴

2010-11-09 16:12:31 | 伝統構法について
長岡市街地の町屋の特徴は・・

 1.間口が狭く、桁行きが長い
 2.妻入り
 3.雁木がある

といった所です。

 1.間口が狭く、桁行きが長い


長岡は城下町で、昔の年貢は間口によって決められた為、間口がなるべく狭いほうが年貢が少なくて済んだので、極力間口の狭い敷地に区切ったそうです。

3間(5.46m)の間口の敷地が多く、そこから1尺5寸(450センチ)ずつ両側を逃げて建てると間口が2.5間(4.55m)になります。
奥行きは、どれだけとっても年貢に制限がないので10間以上の間口の家が少なくありません。

俗に言う「鰻の寝床」の家となります。

村上市や京都のような、隣と壁一枚で隔てた隣同士の壁が共通の外壁の無い長屋風の家は見当たりません。

長岡は戊辰戦争、太平洋戦争の空襲によって2度も焼け野原になっているので、本来の古民家である明治時代以前の建物は残っていません。現況で町屋風に立てられている市街地の建物は戦後間もなく建てられたもので、敷地だけは昔の形状を引き継いでいたので、そこに建てられる敷地を最大限利用した建物と言ったほうが良いでしょう。

築50年余りの建物が多いのが長岡市街地の町屋風民家の特徴です。



長い廊下が特徴です



 2.妻入り


道路沿いに妻壁が見える「妻入り」の建物が大半です。
間口が3間とほぼ均一で、高さが殆ど18尺でなので、概ねの建物は同形状でした。屋根の高さがほぼ一定で、統一性があります。
道路から妻入りの三角屋根の建ち並ぶ美しい町並みだったようです。

上空から見ても、妻入りの長い棟が並ぶ美しい光景が見れたことでしょう。(現在は3階建てやビルが点在するので、町並みの美しさは観れません)

ただし、この形状での欠点は多々あります。
雨仕舞いは、両隣同士の屋根鼻がぶつかる「イガワ」という敷地の境界の狭く長い場所に流され、そこは常に湿気のある暗い空間となります。
床下が低い戦後の家は、土台が腐りやすく、シロアリが発生しやすい状況にあります。
昔のように、敷居が高く、縁の下の空間が確保されなければ、耐久性が悪い建物となります。

また、積雪時の「雪下ろし」が極めて難しい屋根形状でもあります。
斜めの屋根に、直行して雪を前の道路まで運搬するのは大変です。街場ではクレーンを使って雪下ろしをする家もあります。

 3.雁木がある


雪国の町並みの特徴である、「雁木(がんぎ)」が全面道路に連続で連なっています。
冬場はもちろん、雨風や強い日差しから通行人や物品を守る雪国版のアーケードです。

現在は、建て替えと共に姿を消して、連続性も失われてきていますが、コミュニケーションの場としての雁木の可能性は、地域の集会の場として最適な空間だと思い、これを残すように心がけています。

道路に新設する場合は、条例によって「不燃材料」であることが定められているので、コンクリート造又は鉄骨造でなければなりません。
最近の性能規定による耐火、準耐火の概念がまだ浸透していないので、中心市街地での雁木の木造、木質化は難しいようです。木造の雁木を残す場合は、リフォームのみです。

これは、「新潟大火」時に、火災時に雁木内を火が走ったことの教訓によるところが大きく、避難通路としての雁木が火災時に全く役立たなければ意味を成さない構造物となることを待避するためでもあります。

ただし、耐久性から言えば、鉄骨造の場合、錆の問題がついて回り、結露によって、錆の進行が早く、足元の錆と屋根裏の錆によって見た目より強度が落ち、塗装や補修のサイクルを早めなければならない欠点があります。

木造の場合は、足回り根継ぎや屋根代えは容易に出来るのに対し、鉄骨造の場合は切断、溶接の作業となります。錆の進行度によっては、溶接が不可能な場合に陥ります。



妻入りの建物と連続した雁木通りが長岡の代表的な町並みです。



 4.間取りの特徴


間口が狭く、桁行きの長い建物の形状なので、長い廊下が続き、その廊下沿いに部屋が続く間取りとなります。
道路沿いの1階と2階の一部屋は窓が設けられるので、そこからの明かりが期待できます。
1階よりも2階のほうが明るく、2階の道路側の部屋は「客間」として用いています。



1階は暗くなりがちです。
雁木もあるため、どんどん暗くなっていきます。


2階の道路面に面する部屋は明るく、
客間として使われます。
長押が取り付けられたり、天井も竿縁になり、
造作のランクが上がっています。



補強工事 伝統構法の応用による町屋の補強 - べんりや日記

伝統構法の応用による補強台風14号の通過後、発達した低気圧の通過と共に、冬型の気圧配置となり、大荒れの天気が続いています。時々晴れ間がありま...

補強工事 伝統構法の応用による町屋の補強 - べんりや日記

 


大工~伝統技術について・・
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補強工事 伝統構法の応用による町屋の補強

2010-11-02 16:18:47 | 伝統構法について
伝統構法の応用による補強

台風14号の通過後、発達した低気圧の通過と共に、冬型の気圧配置となり、大荒れの天気が続いています。時々晴れ間がありますが、激しい雨が降りはじめるという始末・・
今週の木曜日以降は晴れの予報だったのですが、この調子だと、雨が続きそう・・

外部工事が終了した春日町O邸で、内部造作工事が進んでいます。
このO邸のテーマは「町屋型古民家を現代風にアレンジする」です。

       町屋を現代風・・

全く、相反する生活スタイルなのです。
昔(と言っても戦後間もない時期)は自動車が殆ど無く、雁木通りに面して間口が狭く、奥行きが長い敷地に部屋を極力取ることが課題となっていました。

現代では車社会となり、駐車スペースが必要となります。

昔も今も共通しているのは、

「狭い敷地をどれだけ有効に使えるか」

ということです。

現在にアレンジする場合、駐車場の問題をクリアするのに、1階部分の補強が不可欠です。
計画当初、3点ヒンジにして、アーチ型の補強を行おうとしたのですが、間口が狭く、アールが1.5mで、湾曲集製材の製作域を超えてしまい、不可能という回答が帰ってきたため、伝統仕口を応用した「差し鴨居」による補強を行うことにしました。




中断面集製材の梁(差し鴨居)と柱
一応、越後杉です。


方杖は2本を組み合わせて(相欠き)湾曲させ、
下の駐車に邪魔にならない形状に工夫


現場に搬入した補強材


スパンを飛ばす場所に補強材を設置。
ジャッキ揚げをしながら入れ込んでいます。


方杖部分の組みあがり
アーチ状になってますが、2本の組み合わせという、
単純な構造です。


柱の根っこはホールダウン金物で固定。
実際、この下の基礎部分のほうが時間がかかりました。
(土台のある状態で浮かせてベースを打ったため・・)


さらに、面材で補強します。
「これでもか!」てところ・・
集成材を見せたほうが面白いのですが、補強を重視です。


伝統木組みが応用できるので、どんな難題でもクリアできる気がします。


OGPイメージ

長岡市街地の町屋の特徴 - べんりや日記

長岡市街地の町屋の特徴は・・1.間口が狭く、桁行きが長い2.妻入り3.雁木があるといった所です。1.間口が狭く、桁行きが長い長岡は城下町で、...

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野の花館 古民家再生の展示館

2010-08-17 16:03:34 | 伝統構法について
外山康雄氏の作品が所狭しと並べられた店舗内

本日も気温が38℃を超す真夏日でしたが、この天気は明日も続くようです。今年の熱中症による死者が280人を超しています。そのうち80歳を超す高齢者は40%を占めています。

中には、送電を切られたりと、諸事象もあるようですが、もともと、お年よりはエアコンを付ける事を嫌い、水も飲まない我慢をする性格のようですが、水分の補給と塩分の補給、そして我慢しないで涼を取ることも忘れないでほしいものです。

新潟は先の台風と前線の通過によって、やや涼しくなっています。
お盆をすぎてから、朝と昼の温度差が出てきました。
朝晩は過ごしやすい気候になっていますが、日中はまだ暑い日が続いています。熱中症に気をつけて、夏を乗り切りたいところです。



お盆休みに南魚沼市にある「野の花館」を訪ねました。
この建物は、築200年以上のこの地区の古民家を移築し、改装したものです。



古民家の廃材を利用したオブジェ

「渡りあご」と「蟻落とし」の仕口が見えます。


長い年月、大雪に耐えてきた家の構造は、雪国での長期優良住宅のお手本みたいなものです。どういったところに当時の大工が工夫をしたか、その息遣いが聞こえてきます。



野の花館



大工~伝統技術について・・
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