べんりや日記

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長岡市街地の町屋の特徴

2010-11-09 16:12:31 | 伝統構法について
長岡市街地の町屋の特徴は・・

 1.間口が狭く、桁行きが長い
 2.妻入り
 3.雁木がある

といった所です。

 1.間口が狭く、桁行きが長い


長岡は城下町で、昔の年貢は間口によって決められた為、間口がなるべく狭いほうが年貢が少なくて済んだので、極力間口の狭い敷地に区切ったそうです。

3間(5.46m)の間口の敷地が多く、そこから1尺5寸(450センチ)ずつ両側を逃げて建てると間口が2.5間(4.55m)になります。
奥行きは、どれだけとっても年貢に制限がないので10間以上の間口の家が少なくありません。

俗に言う「鰻の寝床」の家となります。

村上市や京都のような、隣と壁一枚で隔てた隣同士の壁が共通の外壁の無い長屋風の家は見当たりません。

長岡は戊辰戦争、太平洋戦争の空襲によって2度も焼け野原になっているので、本来の古民家である明治時代以前の建物は残っていません。現況で町屋風に立てられている市街地の建物は戦後間もなく建てられたもので、敷地だけは昔の形状を引き継いでいたので、そこに建てられる敷地を最大限利用した建物と言ったほうが良いでしょう。

築50年余りの建物が多いのが長岡市街地の町屋風民家の特徴です。



長い廊下が特徴です



 2.妻入り


道路沿いに妻壁が見える「妻入り」の建物が大半です。
間口が3間とほぼ均一で、高さが殆ど18尺でなので、概ねの建物は同形状でした。屋根の高さがほぼ一定で、統一性があります。
道路から妻入りの三角屋根の建ち並ぶ美しい町並みだったようです。

上空から見ても、妻入りの長い棟が並ぶ美しい光景が見れたことでしょう。(現在は3階建てやビルが点在するので、町並みの美しさは観れません)

ただし、この形状での欠点は多々あります。
雨仕舞いは、両隣同士の屋根鼻がぶつかる「イガワ」という敷地の境界の狭く長い場所に流され、そこは常に湿気のある暗い空間となります。
床下が低い戦後の家は、土台が腐りやすく、シロアリが発生しやすい状況にあります。
昔のように、敷居が高く、縁の下の空間が確保されなければ、耐久性が悪い建物となります。

また、積雪時の「雪下ろし」が極めて難しい屋根形状でもあります。
斜めの屋根に、直行して雪を前の道路まで運搬するのは大変です。街場ではクレーンを使って雪下ろしをする家もあります。

 3.雁木がある


雪国の町並みの特徴である、「雁木(がんぎ)」が全面道路に連続で連なっています。
冬場はもちろん、雨風や強い日差しから通行人や物品を守る雪国版のアーケードです。

現在は、建て替えと共に姿を消して、連続性も失われてきていますが、コミュニケーションの場としての雁木の可能性は、地域の集会の場として最適な空間だと思い、これを残すように心がけています。

道路に新設する場合は、条例によって「不燃材料」であることが定められているので、コンクリート造又は鉄骨造でなければなりません。
最近の性能規定による耐火、準耐火の概念がまだ浸透していないので、中心市街地での雁木の木造、木質化は難しいようです。木造の雁木を残す場合は、リフォームのみです。

これは、「新潟大火」時に、火災時に雁木内を火が走ったことの教訓によるところが大きく、避難通路としての雁木が火災時に全く役立たなければ意味を成さない構造物となることを待避するためでもあります。

ただし、耐久性から言えば、鉄骨造の場合、錆の問題がついて回り、結露によって、錆の進行が早く、足元の錆と屋根裏の錆によって見た目より強度が落ち、塗装や補修のサイクルを早めなければならない欠点があります。

木造の場合は、足回り根継ぎや屋根代えは容易に出来るのに対し、鉄骨造の場合は切断、溶接の作業となります。錆の進行度によっては、溶接が不可能な場合に陥ります。



妻入りの建物と連続した雁木通りが長岡の代表的な町並みです。



 4.間取りの特徴


間口が狭く、桁行きの長い建物の形状なので、長い廊下が続き、その廊下沿いに部屋が続く間取りとなります。
道路沿いの1階と2階の一部屋は窓が設けられるので、そこからの明かりが期待できます。
1階よりも2階のほうが明るく、2階の道路側の部屋は「客間」として用いています。



1階は暗くなりがちです。
雁木もあるため、どんどん暗くなっていきます。


2階の道路面に面する部屋は明るく、
客間として使われます。
長押が取り付けられたり、天井も竿縁になり、
造作のランクが上がっています。



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