べんりや日記

住まいのこと、情報発信!

雪下ろし用ロープフック(除雪アンカー)

2021-03-29 22:29:42 | 雪国の家づくり講座
屋根の雪下ろし用ロープのフックを試作しました


雪下ろしの事故が多発する中、安全具を装備して作業を進めるため、安全帯を屋根上で使用できる「親ロープ」と、そのロープを架ける「ロープ用フック」の開発が急務となっていました。
当社独自に開発し、現在外装工事が進行中の長岡市の現場にて設置をしてみました。



ロープフックのイメージ

屋根の両脇にロープフックを取り付け、安全帯を使用できる形状です。
製品の製作、設置費は概ね5万円(足場代別、安全具ロープ別)。
長岡市の補助金では最大5万円を受けられる事が3月議会で決定しました。



ポールの取り付け金具です


夏場はこのように下に収納します


冬前に屋根上にポールを引き出します


ポール部分(フック)に親ロープを引っ掛けます


屋根の両側に設置したフックにロープを張ります


親ロープに安全帯のフックをかけます


安全帯を装着して、屋根上の作業を行います


今回は屋上用の形状ですが、屋根によって金具の形状を変える事で対応が可能となっています。


長岡市で最大5万円の補助を受けられる事が3月議会で決定しました。


新潟日報 令和3年3月25日掲載





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これだけはおさえておきたい!雪国の家づくり(4) 雪処理ついて・・

2015-03-09 13:22:50 | 雪国の家づくり講座
雪の処理の解説です


この記事のポイントは

 1.雪下ろしと下した雪の処理方法
  (1)敷地が崖沿い、若しくは水路が隣接している場合
  (2)水路からの水や地下水を張って雪を融かす場合
  (3)スプリンクラーによる消雪
  (4)土間融雪・ロードヒーティング
  (5)積み上げる(機械運搬)

 2.屋根雪処理の方法
  (1)雪下ろし屋根
  (2)屋根融雪
     ボイラー式と井戸水式
  (3)落雪式屋根
  (4)耐雪式屋根

です。

雪下 ろしをして、下ろした雪をそのままにしておくと、更に雪が積もって建物への出入りが困難になります。又、次の雪下ろし用の雪を下ろすスペースを確保するためにも、敷地内に下ろした雪を何とかして処理しなければなりません。

雪の処理方法は各地域に特色が表れます。

 1.雪下ろしと下した雪の処理方法


長岡よりも山間地・・特に魚沼地域では積雪が2mを超える豪雪地帯です。一晩に30センチ以上も積もる事は珍しくないので、ほぼ毎日のように屋根の雪下ろしをします。軽いうちに屋根から降ろしておくのが基本の様で、雪下ろし自体は比較的軽い労働で済みますが、問題は下ろした雪処理です。下ろした雪は、屋根から投げ下ろすため、圧雪になってしまいます。重くて硬い雪の塊となるのです。毎日のように雪下ろしをしていると、その下ろした雪の量はハンパな量ではありません。


(1)敷地が崖沿い、若しくは水路が隣接している場合

山古志地域では、屋根から降ろした雪は直ぐに崖に落せば良いので、建物の周りに下ろした雪をスノーダンプ等で崖まで運びます。敷地に隣接して水路がある場合も同様です。
小千谷市などでは「流雪溝」が張り巡らされていて、時間を決めて、この流雪溝に運び込んで雪を処理しています。

(2)水路からの水や地下水を張って雪を融かす場合

近くの水路からパイプを引いて敷地内に水を張り、プール状にした場所に雪を降ろす方法です。
水路が無い場合は地下水を汲み上げて、家の周りに流して雪を融かす方法もあります。
この方法は、後で説明する「屋根融雪(井戸水)」や「落雪式屋根」と併用で行う事が多いようです。
町場では、融雪道路の消雪パイプまで運んで少しずつ雪を融かして処理する場合もあります。


井戸水で雪を融かします




(3)スプリンクラーによる消雪

魚沼地域では普及しているようですが、屋根融雪用に井戸水をポンプアップする途中で、敷地の建物周囲にも散水する方法です。


高床のコンクリート壁に配管します

ノズルから散水して、積もった雪を融かします



この方法は、屋根融雪と落雪式の屋根の雪処理に有効です。


(4)土間融雪・ロードヒーティング

ボイラーで温めた水や地下水で温めた水を循環させるパイプを伏せた土間に雪を運んで融かして処理をする方法です。


(5)積み上げる(機械運搬)

上越市の商店街などでは、一斉に前面の道路に雪を下ろし、一気に機械(ユンボとダンプ)で運搬する方法があります。大昔は、雪を運搬する手だてが無かったため、道路に積み上げたままにして、雁木を歩行者用の通路にしていました。自動車の交通量が無かった時代は、これで良かったのでしょう・・・


敷地いっぱいに積み上げます


ダンプを横積みできる場所は良い方です


重機による廃雪作業



 2.屋根雪処理の方法

屋根の雪の処理方法としては「雪下ろし」が大半を占めますが、他にも方法があります。

(1)雪下ろし屋根

通常の雪下ろしをする屋根です。






(2)屋根融雪

ボイラーによる循環不凍液によって温めて雪を消す方式と井戸水を配管で上げて融かす方式の2種類あります。
灯油が安価だった時代は、ボイラー方式が普及したのですが、灯油が高騰したために、使用を控える方が多くなり、雪下ろしに戻しているようです。

ボイラー式融雪屋根の長岡市東地区N邸

市街地の狭い敷地いっぱいに建てられるのが融雪式屋根の長所です





井戸水による屋根融雪方式の浦佐町「雪国の家」(天然住宅仕様)

屋根上に設けた配管で屋根の雪を融かします



センサー付のポンプによって、降雪が始まると同時に送水し、屋根上の雪を融かします。
屋根の上に雪が残らない様に消す必要があります。
雪が多く積もった状態で送水すると、一気に屋根鼻に雪の塊が押し寄せて、屋根本体を破壊してしまう事があるので注意が必要です。

井戸水による融雪の場合、井戸水の水質に鉄分が含まれていると、屋根融雪で鉄板屋根に井戸水を流すとサビの原因となります。


(3)落雪式屋根

落雪式屋根の高床式住宅



一時期流行った落雪式屋根は高床住宅とセットで導入する必要があります。
落雪する場所は何時雪が落下してくるか分からないので、通行に支障のない計画をする必要があります。

屋根に昇る作業は無くなりますが、落ちてきた雪が固く締まってしまうので、雪下ろしをするよりも処理をする方が大変な作業となります。

また、敷地に余裕がないと、隣地へ落雪した雪が押し寄せて行くので、鉄製の塀で防がなければならなくなってしまいます。

前出の井戸水に寄る散水で処理するのが有効です。







(4)耐雪式屋根

番外としては、最大積雪量を計算して、一冬分雪が積もっても耐えるだけの強度を持たせた屋根の構造にする方法です。
屋根鼻から出る雪庇対策が必要となります。

雪庇対策としては、雪庇防止アングルが有効だと思われます。




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   株式会社 藤川建設は・・・

  長岡市で注文住宅を手掛けています

  越後杉で家づくりをしています。







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雪下ろしの注意点

2015-03-08 22:08:08 | 雪国の家づくり講座
雪下ろし作業に使う道具です


○ヘルメット

 必需品です。
 必ずかぶりましょう。

○安全帯

 命綱を張って作業をする場合に使います。
 作業効率は著しく落ちますが、危険な場所では必需品です。


○スノーダンプ

 屋根に上がる時の屋根鼻の雪庇落し用に使用します。
 スコップよりも作業性は上がりますが、雪を遠くに飛ばしたい時は使えません。
 「雪トイ」を使う方が断然楽です。


○アルミスコップ

 主に、このスコップを使います。長岡の雪は重くて硬いので、このスコップは必需品です。
 雪が氷の様に硬い場合は鉄製の「剣スコップ」を使う事も・・・


○アルミ製・長スコップ

 軽い雪用。新雪の屋根雪など、柔らかい雪に使います。硬い雪に使うと、アルミ面が割れてしまいます。




雪下ろし作業時に注意する点。



雪止めアングルの位置を確認します



雪止めアングルの上に足を乗せ、常に安定した状態を保ちながら作業を行います。
雪を全て下ろして屋根葺き面を露出させると滑りやすいので、少し屋根に残しておきます。


瓦屋根は特に滑りやすい



瓦屋根は勾配が強く、さらに焼き瓦でツヤの有るモノは滑りやすいので注意が必要です。


勾配の強い瓦の場合は「安全帯」を・・・



瓦屋根で滑る危険性が高い場合は「安全帯」を用いて作業をします。
命綱を片手で持ちながら、足をしっかりと雪を抑えつけて立ち、もう片方の手でスコップによる除雪作業をする重労働となり、作業効率は著しく低下してしまいます。

命綱を掴まないで、滑って宙づりになると、腰が締め付けられて重傷を負う場合もあります。命は助かりますが半身不随となる事もあるので、作業は慎重に行う必要があります。



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これだけはおさえておきたい!雪国の家づくり(3) スガモレについて・・

2015-03-08 21:50:04 | 雪国の家づくり講座
屋根の雪が凍ったり融けたりした時に起こる雨漏り現象です


瓦屋根の勾配を弱くしすぎると「スガモレ」現象を起こす危険性があります。
屋根に積もった雪が凍り、急激に融けて「つる雪止め」や「雪止めアングル」にひっかかって塊になり、その上に雪の融けた水がプール状になり溜まります。

そのプールの水が瓦の隙間に入り込んで瓦桟の上に溜まると、釘穴から小屋裏に水が漏れてくるのです。


雪の積もっていない状態では、この現象は起きませんが、雪が積もって雨っぽくなった時期・・春の頃に起こりやすい現象です。
また、最近は急激に気温が冷えたり、春の様な暖かい気温になったりと寒暖の差が激しく、1月でも雪の積もった状態で雨が降る事もあり、昔からの経験も通用しなくなっています。

このスガモレ現象は、瓦屋根だけでなく、長尺鉄板横葺き(AT式葺き)の屋根でも起こります。

注意の必要な現象です。


スガモレを防止する方法


スガモレを食い止めるには、雪下ろしの際にアングルより下の方に水が抜ける場所を確保して、水が溜まらないようにしなければなりません。瓦屋根の場合、屋根鼻の雪を落すのは危険な作業となるので、安全帯を用いて慎重に落とす必要があります。

この辺りは、作った業者の責任と言うよりも、住む人の管理になります。



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これだけはおさえておきたい!雪国の家づくり(2) 屋根勾配について・・

2015-03-07 10:14:57 | 雪国の家づくり講座
雪国の家の屋根勾配の注意点です



雪国特有の習慣(?宿命??)として「雪下ろし」で屋根に上がらなけばなりませんが、雪の積もった状態で作業するための屋根勾配が自ずと決まってきます。

屋根勾配が緩ければ雨漏りの原因となり、強すぎれば足元が滑って危険な屋根になります。



各種の屋根の勾配




○瓦屋根

 瓦は「ツヤ有り」だと特に滑りやすいため、「ツル雪止め瓦」か「雪止めアングル」を設置します。
 勾配は4寸が標準で、5寸以上になると滑りやすいので注意が必要です。


○長尺鉄板横葺き「AT式葺き」

 勾配は3寸が標準で、4寸以上になると滑りやすくなります。
 1.5m間隔で「雪止めアングル」を水平に設置して、雪下ろし時の足かかりにします。

○長尺鉄板「瓦棒葺き」

 勾配は2寸を標準とし、雪止めアングルを設置します。





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これだけはおさえておきたい!雪国の家の設計(1) 雪下ろしを考えた配置計画

2015-03-05 18:34:48 | 雪国の家づくり講座
雪国(長岡市)の場合の配置計画です


雪国における建物の形状、配置計画で一番重要な要素は、「雪下ろし」を考えた屋根の形状建物の配置計画です。これをおろそかにして設計をして、施工をしてしまうと、屋根雪処理に労力を費やし、維持費がかさむ欠点を背負います。



市街地に良くある住宅




市街地で良く見かける住宅の形状と配置です。大通り沿いに雁木があり、屋根が切り妻の昔ながらの形状です。
間口が狭く、奥行きの長い敷地いっぱいにウナギの寝床の建物を建てる様式ですが・・・この配置計画、屋根形状は雪下ろしに厄介な建物で、前面道路に雪の捨て場所が無い場合はトラックによる雪の運搬もしなければならず、費用が莫大にかかってしまいます。

これに似た新築の設計をした場合でも同じ事が起こるので、注意が必要です。



市街地の切妻屋根の雪下ろし風景


雪下ろしの様子へ・・

雪下ろし最盛期へ・・




市街地に建てる場合は片屋根に・・




屋根の傾斜を前面道路に向けた屋根形状にすると雪下ろしにかかる労力は少なくなります。
雪トイを傾斜側に並べて、奥の方から雪を滑らせるのが楽になります。


この形状は、長岡市に切妻屋根の建物が建て並ぶ前の時代の街並みの形状で、少し古いタイプの屋根形状です。村上などの町屋と同じで、昔は雪下ろしを主体としたのでしょう。

なぜ妻入りの形状になったかは、おそらく街並みの美しさと材料が少なくて済むという理由からだと思われます。



町屋風の構造を現代風にアレンジした春日町F邸








郊外の場合の屋根形状と配置計画





この形状と配置は一例ですが、雪下ろしを考えた計画だと、雪下ろしに費やす労力が少なくて済みます。



雪下ろしを考慮した配置計画の左近町N邸


こんな配置計画、屋根形状だと雪下ろしがしやすいです




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  屋根形状の説明へ・・



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雪庇(せっぴ)防止アングルの効果

2011-02-09 11:40:01 | 雪国の家づくり講座
雪庇防止アングルの紹介です
雪庇が出ない分、屋根鼻を痛めず雨樋の損傷も抑えられ安心です


2001年に竣工した長岡北地区H邸は当社の3×9パネル工法にて施工した住宅です。今年は雪の量が多く、前面道路が1台しか通れなくなり、駐車場も雪で埋まってしまい、車を駐車するスペースも無くなってしまった為、機械による除雪を行いました。

建物自体は、伝統構法に切り替える前の「在来工法+3×9パネル」工法だったので、積雪には十分耐える構造なのですが、道路から玄関までの通路が埋まってしまうという事態になってしまいました。



道路側から見たところ・・・
完全に雪に埋もれています


ユンボを導入して、除雪しました


圧雪なのでスコップでは歯が立たず重労働なのですが、
機械だとあっという間に除雪していきます。
4tトラック4台分の雪を捨てました。


ようやく駐車できるようになりました。



伝統構法に切り替える以前でも構造は強くしようというポリシーがあったので、屋根の雪に対して配慮をしていました。現在同様2mの積雪でも十分ですが、屋根鼻だけは雪庇対策の必要があります。

雪庇の重量が軒先や雨樋を痛めてしまうので、これを早めに落としてしまうか、雪庇自体を防止する対策が必要です。

H邸では、雪庇が出来ないように、「雪庇防止アングル」が設置してあります。



全景
雪庇が出ていません


雪庇防止アングル


雪庇防止アングルは、屋根鼻部分に取り付ける網状の金具です。
雪は、こういった網状の部分に付着せず、風によって溶けるという性質があり、それを利用した構造になっています。
ビルの屋上にある手摺部分の外側に雪が溜まらないのと同じ原理です。

こういったアングルを取り付けることで、雪庇を防止して、屋根鼻の痛みや雨樋の破損を抑えることが可能です。




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このブログを開いてから、家づくりや環境、食について様々な想いを書き綴ってまいりましたが、その情報量の膨大さに書いている本人も何処に何を話題にしていたか整理がつか...

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