べんりや日記

住まいのこと、情報発信!

五重塔の考察

2009-04-09 01:06:35 | 山形ツアー
五重塔の構造は、寺社建築物によくある「斗栱(ときょう)」という手法で組まれています。
肘木(ひじき)と枡(ます)の組み合わせによって、柱より軒先を出しながら横架材を組み上げていき、構造でありながら化粧としての要素の強い魅せ方になります。

この「肘木」や「枡」は意外と細かい部材で、この場所で切り倒された材木の細部まで使うことが可能で、無駄の少ない方法でしょう。
また、各パーツは単純なものなので、熟練していなくても地元の大工を起用しながら大人数での作業が可能。
上部へ向かって小さい部材ならば上げるのも楽。


・・と色々な利点が考えられます。

「そこにある木を最大限に活かして大きな建造物を作る」

というのに、合理的な手法だったのでしょう。

ただし、この肘木に関しては、お互いを十字に組み合わせるのに、半分ずつ欠かなければならず、一本一本の強度は落ちてしまう。
4寸くらいの部材が2寸しか残らないので、弱くなる。

雪国仕様の「渡りあご」のような肘木がなかったのかどうか・・・
(たぶん、段差をつけると高さの計算が複雑になるのだろう)

これを補うのに、より多くの部材を組み合わせなければならず、大変な労力だったでしょう。

それでも、組み上げれば、水平剛性と垂直耐力の両方を得ることが出来ます。
渡りあごが主力の民家構造とかけ離れて、独特な世界があったようです。



斗栱の基本形。
肘木は相欠きにしていないと十字に収まらない








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羽黒山にて

2009-03-18 20:54:33 | 山形ツアー
昨年秋に「越後にいきる家をつくる会」の企画で山形・鶴岡の剣持さんの学校を見学した際に寄った山形ツアーの続きです。

湯田川神社にて白ネコと遭遇した奇妙な体験より、すがすがしくなった気分でまず最初に訪れたのが「羽黒山」です。
滞在時間45分しかないのでメインの五重塔までしか見れないと言うことで、足早に要所要所を見学した模様です。



「羽黒山」入り口
鳥居があります。
修験者達が修行をした場所です。




山門脇の天地金神社 修復中




力束
梁の上に人型の束があり、本屋の桁を受けています。
重そう?




山門をくぐると・・




そこは、巨木のそそりたつ別世界だった・・












古しい祠




新しい祠


古い祠も新しい祠もほぼ同じ形をしていますが、組み手や床部分が若干違う。
古いほうが「わび・さび」が出ていますが・・



石橋




赤い太鼓橋




太鼓橋と石橋
橋が二つ並んで、ロケーションが良い。




石橋の先には滝が・・




滝の下に祭られる「不動明王」




「爺杉」樹齢1000年を越すとも言われている
高さ48m、根回り11.5m、目廻り8.3m




爺杉より五重塔を望む


樹齢1000年を越す爺杉を観ていたら、湯田川神社と同様、日が差し込んできました。
神秘的な光景となりました。



国宝 羽黒山五重塔
平将門建立とも伝えられる(1000年前!)
3間真四角。高さ24m




五重塔の軒先


剣持さんもそうなのですが、こういった大規模な建物を実際に建てたのは、すごいことだと思います。
おそらく、何百人ともいえる大工が入り、マサカリやチョウナで部材を刻んで組み上げていったのでしょう。
その場に生えている木を倒し、「地元の木」をその場で使う・・
日本では、そういった家づくりが昔から根付いていたのでした。



山伏が・・


こういった、自然のロケーションを活かした場所を眺めながら、修行して歩いていたのも、ある意味、長期間滞在を飽きさせない工夫だったのでしょうか・・
ざっと観て回っただけでも、いくつか発見があったのですが、それは次の話で・・
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湯田川神社にて・・神の化身?

2009-03-11 00:22:09 | 山形ツアー
さて、山形ツアーの続きです。

樹齢200年以上とも云われる大銀杏に驚かされながら、神社の境内に入ります。
緑豊かで静かな境内に一人、のどかな風景を堪能しながら、賽銭を投げ、神社の建物へ上がりました。



森に包まれた神社(右側に大銀杏)




化粧垂木が美しい神社の軒




向こう側にも杉の木が植わっています
緑が何とも言えず美しい




・・と、そこへ・・一匹の白猫が!




私の周りをうろつく白猫


この白猫、何処からともなくやってきて、危険の様子も伺わず、私の方へ近づいて辺りを回って、最後は隣へと座り込みました。
こちらも、まんざらでもなく、旅の友がやってきたなという感じで、しばらく一緒に座っていると、昨夜の酔いも程好く、良い気分に浸っているのでした。
・・すると・・



私たち(私と猫)を先ほどの大銀杏から朝日が差してきたのでした


明るく照らされ、暖かい気分に満たされながら、思わず座禅を組み、丁度「観音様」のように指を組んだりしていたら、この地に住む老人が段を昇ってきたのでした。
いきなり、神社で猫と座禅を組む人物が朝日に照らされていたのにはびっくりしたでしょう。

老人と会うなり、
「ここは良い場所ですね」
と、一言。
相手はうなずいていましたが・・・



神社の周りを散歩している間も猫はついて来たのでした





宮崎アニメに出てきそうな感じの標識の上に生えた木の芽



果たして、あの白猫は神の化身だったのか、私自身に霊感も霊力も無いので、何が起こったのかはわかりません。
でも、これから何か素晴らしいことが起き、発見できるのではないかという期待が湧いてくるのでした。

前日の全国の棟梁の集まった懇親会にて田中棟梁のコメントが思い出されます。
「観光というのは光を見ると書くが、ただ景色を見るのではなく、そこに生きてきた人々やその背景を感じることで、違った景色を見出すことができる。そういう光を見ると、奥深いものとなる。」

心を研ぎ澄ますことで見えてくるものがあるのであろう・・
本日の日程である「羽黒山」や「古民家移築」の見学でも、新たな発見があるのではないかと、嬉しくなってくるのでした。


・・・つづく
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山形ツアー 2日目 湯田川神社にて・・

2009-01-22 09:54:04 | 山形ツアー
山形ツアーでの続きです。
前日の全国の棟梁の集まった懇親会にて

富山の田中棟梁(文化財修理大工にて現在、お寺の修復をしています)のコメント・・

「観光というのは光を見ると書くが、ただ景色を見るのではなく、そこに生きてきた人々やその背景を感じることで、違った景色を見出すことができる。そういう光を見ると、奥深いものとなる。」

お寺の改装をしているだけあって、段々と住職に近い考えを持てるようになったとか・・そんな言葉を思い出しながら、宿泊した「湯田川温泉」をめぐってみることにしました。



この日、宿泊した「ますや旅館」




近くには町営の「足湯」があった


この足湯の建物の前には、町営の温泉があり、銭湯のように一般に開放されています。前の夜には、真っ暗でコンビにも無く、夜中に騒ぐ飲み屋もない、ちっぽけな田舎の温泉街という感じでしたが、朝になって回ってみると、こういった施設や朝市などが開かれ、温泉街にお客を呼び込もうという意気込みが感じられました。

この日、泊まったお客さんたちも、足湯に浸かったり、個々に歩き回って、楽しんでいたようです。
紅葉シーズン前の静かな温泉街のほうが風情があるのかも知れません。




足湯の建物の脇の沿道を行きます




いかにも老舗という感じの「大国屋旅館」




沿道の果てに、「神社」があった




樹齢300年はあろうかという銀杏


この銀杏、御神木となっていて、古幹の一部に「乳根」という空中に根が垂れ下がった形の「空中根」が丁度、乳房のように見えます。この乳根の上部から枝葉が出ています。大自然の不思議というところでしょうか・・

この神社に釣られるようにやってきたのですが・・・

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山形ツアー 2日目 湯田川温泉にて・・

2008-12-19 19:55:10 | 山形ツアー


本日は、前日の予報では雪、でも今日の予報は晴れ。でも、実際は、どんよりとした曇で、北風による寒い日。冷たい雨が降りそうな天気でした。
予報もしづらいのでしょう。西高東低の気圧配置とはいえ、東シナ海には高気圧が張り出し、中途半端な冬型。
来週は雪マークが出ていますが、日本海沿岸に移動性低気圧。これが太平洋発達しながら通過しても、中国の南には高気圧があり、これが移動してくれば、やはり中途半端な冬型。
東北地方のみが西高東低となり、日本列島全体では南に高気圧、北東に低気圧となるので、意外と晴れるかも・・
要は、冬の天気図ではないのです。でも時期としては「冬至」。一番日が短くなっています。よって、大陸は一番冷える時期なのでしょうが、その気配がない。
これって、中国がヒートアイランド現象でも起しているのか???
というか、北極からの寒気団がなかなか南に出るタイミングがないということ?
・・ということは、一気に寒気が流れ出して、局部的な大寒波が到来するとか?
2月頃が危なかったりして。そういえば、中越地震の年がそうだった・・20年ぶりの大雪。その前は7・13水害ですから・・
局部的な気象変化が起こる可能性があるかも。

「異常気象」とか「温暖化」で済ませてしまいますが・・・・

12月末で、晴れが多いというのも、やっぱり異常でしょう。
外仕事にはうってつけなのですが・・「儲かった」というところ。

蓮潟町T邸は、今日も外部工事なのでした。

さて、写真は、10月に山形へ行った時に宿泊した、「湯田川温泉」の山にあった「湯田川神社」での1枚。
木の標識の上に、コケが生え、木の葉が芽吹いている感じです。
こういうのって、宮崎アニメに出てきそうな風景です。
そんな神秘的な場所で、ちょっと不思議な体験をしたのでした。

それは・・とても神秘的なお話なんだね・・
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山形ツアー 1日目 東郷小学校

2008-12-18 19:32:24 | 山形ツアー


本日は、昨日までの晴れが続かず、雨ベースのときどき曇。時々、激しい雨が降りました。
移動性低気圧の通過と共に、冬型の気圧配置となり、明日は雨、又は雪の予報です。
それでも、日本海側に高気圧があり、中途半端な冬型で、土曜日には弱まり、晴れ。
来週に入ってから、雪が続くようです。

ホワイトクリスマスか?
スキー場では願ってもない雪です。

湯沢などのスキー行楽地は、年末年始で1年の半分の稼ぎがあるといいます。
町の大半の人たちは、旅館やホテルに関係し、大晦日やお正月なんて返上の大忙しだったとか・・
高速道路や新幹線が整備され、長野方面へお客が流れる傾向とも言われますが、やっぱり「苗場プリンス」は強い。
最近は、空いていたリゾートマンションも団塊世代の人たちが購入し、第二の人生を満喫しているとか・・

湯沢もこれから大忙しというところですか・・
山が潤えば、町場も潤います。
「不況」といえど、楽しむときは楽しむのが今の若い世代。
どんどんお金を落としていってもらいましょう!

ん?円高だから、海外へ行く?ディズニーリゾート程度にしておきましょう!
できれば、国内で回していってほしいところ。
循環経済は持続可能ですから・・



蓮潟町T邸では、こんな天候なので、雨が降れば中。曇れば外部。といった感じで工事が進行しています。今年中に外部をある程度片付けておきたいところです。
同時に、今年、お世話になったお客さんにカレンダーをお配りしています。
150部ほどあったカレンダーも残り30本足らず・・
これが終われば、次は年賀状。
工場も清掃したい・・事務所も整理したい・・
年末は何時もバタバタなのであります。


さて、写真は、10月に山形へ見学へ行った、「東郷小学校」。
「越後にいきる家をつくる会」で冬季セミナー(増田一眞先生講演)を行った際に、山形から遠征に来ていた「剣持さん」が携わった小学校です。



玄関正面の堂々たる雄姿。手前の人のサイズと比べてください。




玄関ホールは伝統木組みをふんだんに魅せつけています。




教室の廊下。吹き抜けからの明かりが照らします。




全国の伝統木造の棟梁によるパネルディスカッション




木製アーチの模型。これで1/6。増田先生の設計により剣持さん作
体育館の屋根になるとか・・
木造の可能性が引き出されます。


全国展開している「伝統木構造の会(増田先生が会長)」の秋季セミナーが鶴岡の東郷小学校で開催されました。
前半は、この小学校の作られた経緯。
後半は、全国の棟梁たちが今の伝統木造を語るパネルディスカッションでした。

現在、国交省と共に進めている伝統木造の実験の報告や、今後の法改正に伴う伝統構法の行方を討論。

「何が本物の伝統構法なのですか?」
という会場の問いに
「大工が命がけで作っているのが本物の伝統構法」
と答えた棟梁は、やはりさすが。

その後は、楽しい懇親会。棟梁たちは酒豪ぞろい。
これから「伝統構法」を盛り上げようという、決起集会でもありました。
全国に、同じ想いで家づくりをしている人たちがいるというのは、心強いものであります。
そして、今、クリアーしなければならない問題に、皆で挑んでいく・・
そういった姿勢が、世の中を動かすのではないかと・・



現在、長岡市の住宅政策マスタープランのパブリックコメントをまとめています。
この中で、「地元産材の活用」と、できれば「伝統的な木造の継承」を盛り込んでもらいたいという要望を出す予定です。

自分に出来ることを地道に行う。
細い糸を、すこしずつ手繰り寄せるような・・そんな気持ちですが、何故か切れない。
長岡の西山に広がる杉の木の山々を眺めると、いつも
「いつか、きっと、あの木を切り出したい」
と願っています。
いままで、県産材を使ってきたのは、儲けるためでも、名声を得るためでもない。
全ては、山の木を活かしたい。ただそれだけ。
そして、温暖化防止に役立てば、これほどのことはないでしょう。

長岡地域森林組合の理事長さんにも賛同してもらえました。
長岡の和島小学校の材料をそろえるのに苦労したとか・・
そういった努力が、いつか報われる日が来る・・
地元の山の木が町に出るチャンスとみていますが、どうなることか・・


そういった、全国での個々の活動が、ひとつのうねりになれば幸いです。
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