べんりや日記

住まいのこと、情報発信!

断熱等級6 に魔改造

2023-10-18 22:53:24 | 次世代省エネ基準

ZEH水準以上の「断熱等性能等級・等級6」に魔改造してみます


この記事のポイント
 1.断熱等級6の「基準値」
 2.外皮性能
 3.一次エネルギー消費量の計算
というプロセスを経て、断熱等級6の住宅がどのような水準なのかを見ていきます。


 1.断熱等級6の「基準値」

国交省の発表した資料より断熱等級6の水準を割り出します。



断熱等級6は定義がありますが、一次エネルギー消費量等級は等級6が最大で「ZEH水準」です。すなわち、

 断熱等級6
 一次エネルギー消費量等級6

という建物を想定します。(今後、一次エネルギー消費量等級の最大が更新される場合も考えられます)

実際の外皮性能も国交省の資料より拾い出せます

等級6の各地域での外皮性能


区分5の地域では、

 UAが0.46以下
 ηACが3.0以下

という基準となります。
また、一次エネルギー消費量はZEH水準が最大なので

 BEI≦0.8

と設定します

 2.外皮性能

例のごとく、国交省モデルの各部位を魔改造して等級6を実現していきます。仕様は以下の通りになりました。

各部位に入れる断熱材と熱抵抗R、各部位の熱貫流量率U
 部位断熱材断熱材のR部位別のU
 天井高性能グラスウール24kg品 105㎜を二重6.00.16
 外壁高性能グラスウール24kg品 105㎜3.00.38
 床フェノールフォーム断熱材1種2号CⅡ 66㎜3.30.4
 玄関YKKヴェナートD30 D2 窓なし1.79
 サッシYKK APW330(樹脂サッシ)アルゴンガス入り1.36


高性能グラスウール断熱材の厚みが105㎜を標準として使用することになります。
特に壁の場合は、中空層を設けなければならないため、柱の幅が120㎜(4寸柱)を使う事となり、関東圏のように105㎜や90㎜が主流となっている地域では柱を太くしなければならないハンデが出てきます。
雪国の場合は4寸が標準なので問題ないのですが・・

いずれにせよ、等級6以上のグレードを求めた場合、グラスウール断熱材を用いるのは、このあたりが限界となりそうです。
外張り断熱へ工法を変更したり、断熱材の材質を変更していく検討が必要でしょう。


サッシは、YKKの樹脂サッシ、断熱ドアを用います。
以上で、国交省モデルの部位に数値を当てはめ、UA値を計算すると・・



貫流熱損失qの計算
 部位外皮面積A U 温度差係数H貫流熱損失q 損失率%
屋根・天井67.910.16110.877.76%
外壁140.040.38153.2237.99%
ドア3.511.7915.724.08%
28.711.36139.0527.88%
58.80.400.716.4511.75%
基礎(外)8.65m0.9117.865.62%
基礎(内)8.65m1.140.76.904.93%
 合計308.07   140.07 100%
q=A×U×Hで計算します


上記の表から外皮性能を計算すると

UA=0.45 ≦ 0.46 (5地域 等級6)
MC=6.78
MH=12.16
ηAC=2.20 ≦ 3.0 (5地域 等級6)
ηAH=3.95


UA値が0.45でギリギリクリアしていますが、グラスウール断熱材や樹脂サッシを用いた最大のスペックとなります。
これ以上の性能を必要とする場合は、サッシや断熱材の工法や材質を変更していく必要がありそうです。

それにしても、今までサッシから熱の大半が逃げていったのが、今度は外壁が3割以上を占めるようになりました。
つまり、断熱性能を上げる場合、まず外壁から手をつけていけば良い事になります。
省エネ性能を上げていく時のおおよその手順が分かれば、次のステップに移るのに楽になっていくわけです。

 3.一次エネルギー消費量の計算

上記で求めた外皮性能を使って一次エネルギー消費量を計算します。
まずは、使用する設備機器を選びます。

誘導基準の設備機器を選択
 設備設備器具
 冷暖房設備ルームエアコン(い)
 換気設備ダクト式第一種換気・熱交換
 給湯設備高効率ガス給湯器(エコジョーズ)
 給湯配管ヘッダー方式でない
 ユニットバス高断熱浴槽+節湯式シャワー
 照明器具全室にLED


以上の条件で一次エネルギー消費量を計算すると、




BEIが0.75だったので、基準が0.7以下に設定されてくるとクリアできなくなります。
UA=0.45は等級6でも序の口の仕様なのでしょう・・

それでも一応、断熱等級6はクリアできました。次は等級7か????




U値とは? 一次エネルギー消費量の計算(1) - べんりや日記

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一次エネルギー消費量から見た省エネルギー住宅

2023-10-11 22:57:14 | 次世代省エネ基準

省エネルギー住宅のまとめです


この記事の内容は
 1.世界水準の「誘導基準」
 2.世界各国の一次エネルギー消費量

【結論】断熱性能を上げて、各部屋で冷暖房を選択できるフレキな設計にしておく
です。

 1.世界水準の「誘導基準」

前回、日本の省エネルギー住宅の政策指針の改正により、世界水準を目指していると書きました。

「誘導基準編」を評価する - べんりや日記

「誘導基準編」を「詳細計算ルート」で解析します「ZEH水準」である「誘導基準」を評価してみます。手順は今までと同じです。1.「誘導基準」の外皮性能を求める2.「誘導...

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簡易ツールとして仕様基準ガイドブック「省エネ基準編」「誘導基準編」が用意され、これに沿った住宅を作れば、断熱等級4(省エネ基準),等級5(ZEH水準)の断熱水準が実現できるということになります。
等級5のZEH水準は世界水準と肩を並べる水準であることも分かりました。

世界各国の外皮性能と日本の断熱等級



「仕様基準」を使わず、「詳細計算ルート」で計算すれば基準をリーズナブルにクリアできる事も書いてきました。
世界のトップレベルの水準である等級6、7も詳細計算ルートにて実現が可能になってくると思われます。

 2.世界各国の一次エネルギー消費量

外皮性能で世界水準に達しても、一次エネルギー消費量が世界水準に満たなければ片手落ちです。
ここで、各国の一次エネルギー消費量を計算した資料があります。

各国の外皮性能と設備機器の想定

野村総合研究所 「各国における省エネ基準の動向」より

ドイツではセントラルヒーティングによる暖房・給湯が一般的ですが、効率の良い「ヒートポンプ式セントラル空調システム」を選択してるのはハンデです・・
日本の場合は通常の給湯器に白熱灯の照明・・ハンデがありすぎ・・
これらの条件で、一次エネルギー消費量を計算すると・・・


一次エネルギー消費量(住宅)

野村総合研究所 「各国における省エネ基準の動向」より

何と!日本の通常の外皮性能で「部分間欠運転」をした方が「全館連続運転」するよりも一次エネルギー消費量が少ない!
ええ~?
 どぅゆこと???


次の事が考えられます

 ①3、4地域ではFF暖房、5~7地域ではエアコン暖房のほうが効率が良い
 ②3,4地域では夏場にエアコンを使う時期が短い
 ③5~7地域では夏場にエアコンを使う時期は、連続運転にすれば効率が良くなる
 ④沖縄はエコすぎる!

しかも、日本では、断熱性能を上げてエアコンの全館連続運転をした方が一次エネルギー消費量が高くなるので、これではかえってCO2の排出量を多くしてしまう傾向になってしまいます。

要は、全館連続運転をしなければ、良いわけです。
断熱性能を上げて熱損失を抑えるのは効果があると思われます。


【結論】断熱性能を上げて、各部屋で冷暖房を選択できるフレキな設計にしておく


「誘導基準」で「住戸全体を冷暖房」と「居室のみを冷暖房」が選択できるのは、国交省が密かに「エコを選択」できるように用意しておいたに違いない!グッジョブ国交省!
いずれにせよ、日本と世界の動向を同時に見ながら省エネルギー住宅について考えていく必要があります。











U値とは? 一次エネルギー消費量の計算(1) - べんりや日記

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U値を補正する 一次エネルギー消費量の計算(2) - べんりや日記

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「誘導基準編」を評価する

2023-10-10 17:56:27 | 次世代省エネ基準

「誘導基準編」を「詳細計算ルート」で解析します


「ZEH水準」である「誘導基準」を評価してみます。
手順は今までと同じです。

 1.「誘導基準」の外皮性能を求める
 2.「誘導基準」の設備機器を選ぶ
 3.一次エネルギー消費量を計算&評価する
 4.誘導基準から読み解ける事
 5.世界水準を目指している日本

です。

 1.「誘導基準」の外皮性能

今まで使ってきた「国交省のモデル」に「誘導基準」の断熱性能を入れていきます。


誘導基準の断熱材


ここで特筆すべきは、壁の厚みです。

壁の断熱材の厚みが105㎜となっています。これに中空層を設けると120㎜の壁厚さが必要となります。
すなわち、関東方面で充填断熱工法を行う場合は4寸角の柱を使わないと難しいということです。

3寸柱や3寸5分柱のままだと、高性能グラスウールやロックウール断熱材ではなく、他のフェノール系(ネオマフォーム)等の仕様変更が必要となります。
また「外張り断熱工法」の採用も視野に入れる必要がでてきます。
 
 

誘導基準の開口



サッシは「YKK エピソードNEO + Low-Eペアガラス」のランクとなります。


以上の仕様から、例のごとくq値を求めていきます。

貫流熱損失qの計算
 部位外皮面積A U 温度差係数H貫流熱損失q 損失率%
屋根・天井67.910.20113.587.59%
外壁140.040.40156.0231.31%
ドア3.512.2717.974.45%
28.712.27165.1736.43%
58.80.520.721.4011.96%
基礎(外)8.65m0.9117.864.40%
基礎(内)8.65m1.140.76.903.86%
 合計308.07   178.91 100%
q=A×U×Hで計算します


上記の表から外皮性能を計算すると

UA=0.58 ≦ 0.6 (5地域ZEH水準)
MC=7.06
MH=12.45
ηAC=2.29 ≦ 3.0 (5地域ZEH水準)
ηAH=4.04

となります。
UA=0.58ですから、ギリギリでクリアしている感じがあります。

 2.「誘導基準」の設備機器

次に、設備機器を選んでいきます。

誘導基準の設備機器



上記の仕様の中から、最低ラインの設備機器を選びます

誘導基準の設備機器を選択
 設備設備器具
 冷暖房設備ルームエアコン(い)
 換気設備ダクト式第一種換気・熱交換でない
 給湯設備高効率ガス給湯器(エコジョーズ)モード熱効率86.6%以上
 給湯配管ヘッダー方式
 ユニットバス高断熱浴槽+節湯式シャワー
 照明器具全室にLED


「最低ライン」といっても、殆ど選択の余地がないくらい高効率の設備が指定してあるのが分かります。

 3.一次エネルギー消費量を計算&評価

以上の外皮性能、設備機器を一次エネルギー消費量計算プログラムに入力し、計算します。

一次エネルギー消費量計算プログラムの結果



BEIが 0.79 ですから、思ったほど高水準ではなさそうです。
「誘導」と言われる所以(ゆえん)でしょう。
逆に当社の標準で十分クリアできる水準です。

当社の標準と比較しますと

 当社   UA=0.59 BEI=0.77
 誘導基準 UA=0.58 BEI=0.79

ですから、UAをもう少し頑張れば達成できるレベルです。

「金属+樹脂サッシ(YKK エピソード)」を「樹脂製サッシ(YKK APW330)」に変更することで達成可能と思われます。

 4.誘導基準から読み解ける事

前述の数値から、「ZEH水準」(誘導基準)はZEHでも序の口のランクと位置付けられるのでしょう。

2030年以降は、この誘導基準が標準となるように準備を進めているようですが、本当のゼロエネルギー住宅となると、この程度のランクでは物足りないくらいだと思われます。
更に高水準だと住宅性能表示・断熱等級6,7のランクが用意されています。
ただし、それだけランクを上げたとしてもエネルギー・ゼロにはなりません。本来のZEHは太陽光発電システムを導入し、創エネルギーを行う必要があります。

将来、ソーラーパネルを導入して
ゼロエネルギーになるように
交換が難しい外皮性能を高めておく


というのが、現在のZEH政策の基本姿勢だと思われます。

2030年からZEH誘導基準が義務付け・・オール・ゼロ・エネルギー住宅までは程遠い道のりです。2050年までに二酸化炭素排出量を産業革命前の1.5%まで抑える事は可能なのでしょうか・・


 5.世界水準を目指している日本

住宅需要の大半を占める「6地域」が「4地域」と同等の省エネルギー水準まで要求され、義務付けされるというのは意味があると思います。

高性能グラスウールや樹脂サッシにしても、寒冷地のみでしか需要が無かったものが、関東方面でも需要が高まるとなると、圧倒的に流通量も多くなって、今まで高価で手が届かなかった製品の価格が下がって来る可能性がある。
実際には、高性能な樹脂サッシ、アルゴンガス入りの複層ガラス、高性能グラスールなどです。





ここからは、世界の省エネ基準の動向についてです。

まず、
 「ドイツって、冷房を使わないから省エネだ」
・・って言われてますが、夏だけ考えれば「正解」です。
でも、冬の暖房に使うエネルギーを考えたら日本よりも多いんです。

家庭用エネルギー消費の国際比較

野村総合研究所 各国における省エネ基準の動向より

ドイツの暖房器具でポピュラーなのは「セントラルヒーティング」です。
地下室にガスのボイラーがあって、高温の熱水を作って全館に回し、パネルヒーターを熱して室内の暖房にしています。
このボイラーを止めることなくガンガン火を焚いて熱水を作り続けることで効率を高めているとされています。
この暖房エネルギーがカウントされていないのです。
おそらく、イギリス、フランスも同様です。

アメリカなんて、石油も安いし、エネルギーが有り余ってるので、ガンガンエネルギーを使いまくってます。



そんな中、日本は真っ正直に、京都議定書の宣言を守るためにZEH政策をかかげて、ひたすら低燃費、高耐震、高耐久の高性能な住宅を目指して邁進しているわけです。

各国の外皮平均熱還流率(住宅)

野村総合研究所 各国における省エネ基準の動向より

日本の外皮性能は2013年なので平成25年省エネルギー基準のデータです。
日本は各国に比べると遅れをとっていますが、断熱等級4,5,6,7の政策指針を打ち出して次のような水準を目指しています。


日本の住宅性能表示・断熱等級の比較


ZEH水準になると、世界水準と肩を並べるくらいになることが分かります。
トップランナー水準である等級6,7に関しては世界に類を見ない水準に達する事が見て取れます。

これで10年、20年経ったら、世界でもトップクラスの住宅水準になってるんだろうけれど、あいかわらず「日本の住宅は性能が低いと言われている」と報道され続けてるんでしょうね~。




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U値とは? 一次エネルギー消費量の計算(1) - べんりや日記

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U値を補正する 一次エネルギー消費量の計算(2) - べんりや日記

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当社の標準施工はZEH水準だった・・

2023-10-06 20:27:40 | 次世代省エネ基準
当社は標準施工でZEH水準でした・・(今さら・・)


今まで、熱の大半はサッシから逃げていると書いてきましたが、当社ではサッシの断熱性能を高める方法で省エネルギー性能を上げる方法を採用してきました。
まだまだ改良の余地はありますが、当社が普通に施工していると、いつのまにかZEHをクリアしていたのでした・・
当社の標準施工を「詳細計算ルート」にて計算してみます。

手順は今までと同じです

 1.当社の外皮性能
 2.当社の標準設備機器
 3.一次エネルギー消費量を計算&評価


 1.当社の外皮性能

今まで使ってきた「国交省のモデル」に当社の断熱性能を入れていきます。


貫流熱損失qの計算
 部位外皮面積A U 温度差係数H貫流熱損失q 損失率%
屋根・天井67.910.21114.267.87%
外壁140.040.41157.4231.67%
ドア3.514.07※111.366.27%
28.712.05158.8632.46%
58.80.520.721.4011.80%
基礎(外)8.65m0.8817.614.20%
基礎(内)8.65m1.720.710.415.74%
 合計308.07   181.32 100%
q=A×U×Hで計算します
※勝手口ドアは2.27

窓からの損失を全体の1/3に抑えています・・
天井や床の仕様は殆ど国交省モデルと同じです。床や基礎がやや劣っていますが、サッシで稼いでいるのです。
なので、あまり苦労して断熱を行っているわけではありません。フツーです。

上記の表から外皮性能を計算すると

UA=0.59 ≦ 0.6 (5地域ZEH水準)
MC=7.16
MH=12.56
ηAC=2.32 ≦ 3.0 (5地域ZEH水準)
ηAH=4.08

となります。
雪国住宅で、柱が4寸柱だと100㎜の断熱材を入れるスペースが確保できるのが利点でした。(関東は柱が105㎜なので90㎜の断熱材しか入れられません)
意外にZEH水準の外皮性能のハードルは高くはないのです。
しかも、まだ樹脂製サッシを導入していない・・(樹脂製サッシに仕様変更したら、ど~なるんだろう?)

なぜかと言えば、今まで3~4地域に属していて、「雪国住宅」を施工していたら、急に5地域まで省エネルギー水準が下がってしまったからです。

 2.当社の標準設備機器

次に、当社の標準設備ですが、それほど高効率な設備ではありません。

標準の設備機器です
 設備設備器具
 冷暖房設備ルームエアコン(は)
 換気設備壁掛け式第一種換気・熱交換でない
 給湯設備高効率ガス給湯器(エコジョーズ)
 ユニットバス魔法瓶浴槽+節湯式シャワー
 水栓金具節湯式水栓
 照明器具全室にLED


最近の住宅設備は、標準で高断熱浴槽や節湯式水栓金具が付いてきます。
エアコンも高効率すぎると、色々な機能が付きすぎて壊れやすいという難点もあるので、標準モデルのエアコンをお薦めしています。

 3.一次エネルギー消費量を計算&評価

一次エネルギー消費量計算プログラムに入力すると・・



ZEH水準をクリアしている事が確認されました。

外皮性能がZEHクラスだと、導入する設備機器が高水準でなくても、軽くZEH水準をクリアしてしまうのです。
「仕様基準」を使った場合は、こういった自由度が無いのでコスト高になってしまう傾向にあります。

【結論】設備機器は寿命が短いので、10年~15年後くらいに高効率の設備機器に交換すれば、さらに省エネルギーになります。

次回は、その話に行く前に、「ZEH水準」の話です。


次の記事へ・・



U値とは? 一次エネルギー消費量の計算(1) - べんりや日記

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U値を補正する 一次エネルギー消費量の計算(2) - べんりや日記

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実際の建物では各部位で熱の逃げ方が違います前回は犬小屋を例にU値を求めました。実際の建物の熱の逃げ方は屋根と壁、床で違ってきます。室内では空気の対流が起こり、天井...

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仕様基準(省エネ基準編)を評価する

2023-10-05 11:21:44 | 次世代省エネ基準

「省エネ基準」を魔改造します

この記事のポイントです

【結論】省エネルギー基準で新築し、2030年以降はZEHリフォームで対応 

 1.国交省モデルの外皮性能を流用する
 2.省エネ基準編の設備機器を選んで計算してみる
 3.設備器具のランクを落とす
 4.2030年以降はZEHリフォームを・・
です。

 1.国交省モデルの外皮性能を流用する

前回、国交省モデルが4~7地域の仕様基準「省エネ基準編」の元となっている事が確認されました。
求めた外皮性能を使って一次エネルギー消費量を計算し、適合しているかどうかを判断してみます。

前回求めた外皮性能
   UA  =0.76 ≦ 0.87 (5地域UA)OK
   ηAC =2.33 ≦ 3(5地域ηAC) OK
   ηAH =4.08

 ↓ここで求めています

標準モデルの外皮性能 - べんりや日記

標準モデルの断熱性能を整理し、「省エネルギー基準」について考えてみますこの記事のポイントです【結論】詳細計算ルートを使えば、リーズナブルな省エネルギー住宅を計画...

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 2.省エネ基準編の設備機器を選ぶ

「省エネ基準編」のガイドブックでは、掲載された設備器具の中から、実際に導入する器具にチェックを入れるだけで、詳細計算ルートのような計算プログラムを使う必要がありません。

この中の設備から選びます


この掲載の設備器具の中から、次の設備を選びました。

設備機器を選びます
 設備導入する器具備考
 冷暖房設備ルームエアコン(ろ)
 換気設備ダクト式第一種換気熱交換でない
 給湯設備高効率ガス給湯器エコジョーズ
 照明器具全室にLED

選んだ設備器具で、一次エネルギー消費量計算プログラムに入力し、計算すると・・・



「省エネルギー基準」の評価がクリアできました

仕様基準の「省エネ基準編」の仕様だと「詳細計算ルート」で適合判定を得られました。
まぁ、当たり前と言えば当たり前ですが・・・


 3.設備器具のランクを落とす

外皮性能をそのままにして、設備のランクを落としてみます。
まずは、エアコンを(ろ)から(は)に落としてみます。(中級グレードから最低ランクに落としてみる)

設備機器を変更しました
 基準設備基準の器具変更後
 冷暖房設備ルームエアコン(ろ)(は)
 換気設備ダクト式第一種換気(熱交換でない)そのまま
 給湯設備高効率ガス給湯器(エコジョーズ)そのまま
 照明器具全室にLEDそのまま


以上の条件で入力して、一次エネルギー消費量を計算しました


基準をクリアしています。


まだ余裕がありそうなので、換気設備をダクト式から壁掛け式に変更し、ついでに給湯器もエコジョーズから従来式へ戻してみます。

設備機器をさらに変更しました
 基準設備基準の器具変更後
 冷暖房設備ルームエアコン(ろ)(は)
 換気設備ダクト式第一種換気(熱交換でない)壁掛け式第一種換気・熱交換でない
 給湯設備高効率ガス給湯器(エコジョーズ)従来式
 照明器具全室にLEDそのまま


以上の設備を選んで入力します。



これでもクリアできました。


流石に、これ以上は落とせないでしょう・・・
「国交省の標準モデル」の外皮が如何に性能が高かったかを物語っています。

 4.2030年以降はZEHリフォームを・・

「詳細計算ルート」で評価をすると、設備機器を高効率にしなくても、国交省モデルの断熱仕様でクリアできる事が確認できました。
これは2025年以降も有効で、2030年のZEH水準への引き上げ時期まで利用可能な手法となります。

途中で評価基準が見直された場合は設備機器の高効率化を行えば対応が可能となってきます。
設備器具の場合、建物と違って寿命が短いので、10年くらい過ぎると器具の入れ替えが必要となってきます。
高効率になるほど壊れやすくなるという矛盾点もあります。(複雑な装置になるため、単純な装置よりも壊れやすくなる)

また、国交省モデルの弱点は、

サッシから熱が半分くらい逃げている


と何度か説明をしました。

サッシに関しては、

高断熱サッシに入替えるか内付けサッシを取り付ける

というリフォームでZEH水準まで断熱補強が可能となってきます。

次のように整理します。
部位寿命交換の容易さ対応
①断熱材20年~50年難しい外装工事に伴う大規模改装
②サッシ20年~30年※1やや容易リフォームやや可能※2
③設備機器・家電10年交換が容易リフォームで対応
※1サッシの場合はパッキンの劣化が寿命を左右します
※2後付け二重サッシならば容易に対応できます


断熱材も永久に劣化しないわけではなく、徐々に性能が落ちていきます。
新築時は①を重視し、③は10年サイクルで考え、②の変更が容易なものは後で対応する・・

つまり、サイクルを考えた

ZEHリフォーム

をおすすめします。

【結論】省エネルギー基準で新築し、2030年以降はZEHリフォームで対応する

次回はその話です。

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U値とは? 一次エネルギー消費量の計算(1) - べんりや日記

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一次エネルギー消費量の計算 省エネ住宅エコポイント対応の新築工事の断熱設計 - べんりや日記

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標準モデルの外皮性能

2023-10-03 21:29:23 | 次世代省エネ基準
標準モデルの断熱性能を整理し、「省エネルギー基準」について考えてみます


この記事のポイントです

【結論】詳細計算ルートを使えば、リーズナブルな省エネルギー住宅を計画できる 
 1.外皮性能(UAとη)
 2.断熱材は色々あります
 3.断熱材の熱抵抗Rと各部位のU
 4.サッシの性能
 5.国交省モデルのサッシ性能
 6.省エネルギー基準は国交省モデルのサッシが変わっただけ
 7.省エネルギー基準の外皮性能
です。

 1.外皮性能 ~UAとη

「外皮」は建物の内と外を隔てる外壁や天井、床、サッシ等の「面」を指します。
各部位によって、断熱材の入れ方が異なるので、それぞれの断熱性能を計算し、建物全体の「外皮性能」(熱貫流率UAと日射熱取得率η)を求めます。

外皮のイメージ

天井(屋根)、外壁、床、サッシのそれぞれで断熱性能が違います
各部位の断熱性能を計算して、建物全体のUAとηを求めます


 2.断熱材は色々あります

天井や外壁、床に入れる断熱材には色々な種類があり、厚さや重さによって施工性が違います。
よく使う「グラウウール(GW)」にも重量(10kg品や16kg品)や厚さ(5㎝、10㎝)、普通のGWや高性能GW、固形や吹き付け等の形状の違いがあります。


色々な断熱材



床材に使う断熱材は固形の面材でカットして施工できます。


 3.断熱材の熱抵抗Rと各部位のU

外壁、天井、床の各部位に入れる断熱材の種類が異なり、厚さも違っています。
断熱材の種類や厚さによって、それぞれ熱抵抗Rが決まっています。

 外壁の断熱材R≧2.2

というのは、「Rが2.2以上の断熱材を入れなさい」という指示ですが、これは断熱材自体のRを指しています。
実際には各部位によってボードや下地の違いもあるので、「面」全体としての性能(U)を求めます。
(詳しい計算方法は別の機会に・・)

各部位に入れる断熱材と熱抵抗R、各部位の熱貫流量率U
 部位断熱材断熱材のR部位別のU
 天井高性能グラスウール16kg品 155㎜4.7090.23
 外壁高性能グラスウール16kg品 90㎜2.3680.44
 床押出法ポリスチレンフォーム3種bA2.3210.48


 4.サッシの性能

サッシにも色々種類があります。枠の種類によって断熱性能が違います。
また、ガラスにも種類があり、それぞれ性能が異なります。

サッシの種類と性能



計算が面倒なので、メーカーではひとまとめにして、

 熱貫流率(U値)=1.31

とか表示します。つまり、窓も玄関ドアもメーカーのカタログを見れば一目瞭然なのです。

カタログを見れば熱貫流率が分かります



 5.国交省モデルのサッシ性能

国交省の場合は、特定のサッシメーカーの製品を表示するわけにもいかないので、一般的なサッシの性能を採用しています。

サッシの種類と熱貫流量率U
 場所 材料熱貫流率U
 洋室窓アルミサッシ+複層ガラス(A6)(付属部材:なし)4.65
 和室窓アルミサッシ+複層ガラス(A6)(付属部材:障子)4.65
 ドアスチールドア(ハニカムフラッシュ構造・ガラスなし)4.65


更に、各窓に「庇」が設置されていて、庇を含めてηを計算しなければなりません。(庇の必要性については別の機会に・・・)
それにしても、「U=4.6」というのは大分昔の数値です。現在はU=1.3とかの時代ですから、サッシの性能がかなり低い・・

 省エネルギー基準は国交省モデルのサッシが変わっただけ

仕様基準ガイドブックの「省エネルギー基準編」に関しては、複雑な計算をしなくてもいいように、単純にまとめてありますが、実は、サッシ以外は今までの断熱性能がそのままなのです。

省エネルギー基準のサッシ
 場所 材料熱貫流率U日射熱取得率ηAC
 有効な庇等のある窓金属製建具+複層ガラス(A6)4.7
 庇の無い窓金属製建具+LowーE複層ガラス(A6)4.1η=0.32(日射遮蔽型)
 ドア枠:金属製 戸:金属製フラッシュ構造 二層複層ガラス2.9


「庇」については別の機会に詳しくやろうと思いますが・・要は、


Low-Eペアガラスにすれば庇は要らないし計算が単純になる


という結論に達したようです。(くどいようですが、庇の必要性については別の機会にしたいと思います)

いずれにせよ、

「省エネルギー基準」は今までの国交省の標準モデルの「サッシが変わっただけ」

です。
言い換えれば、今までの国交省の標準モデルがいかに優れていたか・・を物語っているわけです。(ヨイショか?)

 7.省エネルギー基準の外皮性能

以上を踏まえて、外皮性能の計算を行ってみます。

貫流熱損失qの計算
 部位外皮面積A U 温度差係数H貫流熱損失q 損失率%
屋根・天井67.910.23115.626.71%
外壁140.040.44161.6226.47%
ドア3.512.90110.184.37%
28.714.101117.7150.58%
58.80.480.719.768.49%
基礎(外)8.65m0.4413.801.63%
基礎(内)8.65m0.670.74.051.74%
 合計308.07   232.74 100%
q=A×U×Hで計算します

それにしても、未だに熱の半分が窓から逃げています・・
↓ q=A×U×Hの式はここで説明しています
U値を補正する 一次エネルギー消費量の計算(2) - べんりや日記

U値を補正する 一次エネルギー消費量の計算(2) - べんりや日記

実際の建物では各部位で熱の逃げ方が違います前回は犬小屋を例にU値を求めました。実際の建物の熱の逃げ方は屋根と壁、床で違ってきます。室内では空気の対流が起こり、天井...

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気になる外皮性能の計算です。

UA=232.74 ÷ 308.07=0.76 ≦ 0.87 (5地域UA)OK
mc=7.19
mH=12.60
ηAC=7.19 ÷ 308.07 =2.33 ≦ 3(5地域ηAC) OK
ηAH=12.60 ÷ 308.07 =4.08

となり、基準をクリアしている事が確かめられました。

この外皮性能が求められれば、「精密計算ルート」での計算が可能となってきます。
例えば、サッシを高性能に上げて、設備機器のランクを落とす・・という自由度が出てくるのです。

「仕様基準」を使うと、どうしても安全側になってしまいコスト高になってしまいますが、「詳細計算ルート」を使えば


性能は確保したままで、リーズナブルな住宅の設計が可能


となるわけです。
次回は、それをやってみましょう。


次の記事へ・・



U値とは? 一次エネルギー消費量の計算(1) - べんりや日記

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U値を補正する 一次エネルギー消費量の計算(2) - べんりや日記

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一次エネルギー消費量の計算 省エネ住宅エコポイント対応の新築工事の断熱設計 - べんりや日記

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詳細計算ルート

2023-10-01 22:31:46 | 次世代省エネ基準

詳細計算ルートの評価手順です


このブログは一般の消費者の方々が参考にされるのと同時に、専門家も見られているらしいので、省エネ講習会の「おさらい」程度で説明を行いたいと思います。
一般の方は「こういう方法で計算をしている」程度の予備知識でとどめておいてください。実際に計算・評価を行うのは資格のある設計士や評価機関となります。

ここでは、「詳細計算ルート」の手順を説明します。

 1.標準モデル
 2.外皮性能を計算する
 3.UA値の計算と判定
 4.日射熱取得量 mC、mHの計算
 5.平均日射取得率 ηAC、ηAHの計算と判定
 6.一次エネルギー消費量の計算
 7.評価方法

以上の流れで評価を行っています。

 1.標準モデル

国交省の省エネルギー説明会で良く使われるプランです。今回はこのモデルを使います。

標準モデル

1階面積 67.90㎡  2階面積 52.18㎡  床面積合計 120.08㎡


居室の分類ごとに面積を求めておきます。(分類によって冷暖房の使う時間帯を変えているため。)
部屋面積
 居室の分類面積(㎡)
 主たる居室29.81㎡
 その他の居室51.35㎡
 非居室38.92㎡


主たる居室は、人が昼間と夕方にかけて暮らしている可能性が高い部屋。
その他の居室は、寝室等の夜に使う可能性が高い部屋。
非居室は、1日に何時間も居ない可能性が高い通路や水廻り、納戸など・・

 2.外皮性能を計算する

外部に面する壁や屋根、床、サッシの面積と各部位の熱の逃げやすさを計算します。

貫流熱損失qの計算
 部位外皮面積A U 温度差係数H貫流熱損失q 損失率%
屋根・天井67.910.23115.626.25%
外壁140.040.44161.6224.62%
ドア3.514.65116.326.53%
28.714.651128.6851.49%
58.80.480.719.767.91%
基礎(外)8.65m0.4413.801.52%
基礎(内)8.65m0.670.74.051.62%
 合計308.07   249.90 100%
q=A×U×Hで計算します


貫流熱損失qは各部位の熱の逃げやすさです。
窓が51.49%ですから、建物全体のほぼ半分がサッシより逃げていることが分かります。サッシの断熱性能を見直すことが省エネ設計の第一のポイントです。

↓ q=A×U×Hの式はここで説明しています
U値を補正する 一次エネルギー消費量の計算(2) - べんりや日記

U値を補正する 一次エネルギー消費量の計算(2) - べんりや日記

実際の建物では各部位で熱の逃げ方が違います前回は犬小屋を例にU値を求めました。実際の建物の熱の逃げ方は屋根と壁、床で違ってきます。室内では空気の対流が起こり、天井...

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 3.UA値の計算と判定

UA(外皮平均熱貫流率)の計算を行い、適合するかを判定します。


UA= q(貫流熱損失の合計) ÷ ΣA(外皮面積の合計)


で求められるので、


UA=249.90(W/K) ÷ 308.07(㎡)=0.82 (W/㎡・K)


東京都は6地域なので、最高UA値は0.87となっているため、

 UA=0.82 ≦ 0.87 OK

基準値以下なので、UA値はクリアするのが確かめられました。

 4.日射熱取得量 mC、mHの計算

次に各部位から太陽光からどのくらい熱を受けるかを示す、「日射熱取得量」を計算します。日射熱取得量は各部位ごとに季節(冬と夏)、方向、角度によって異なるので複雑な計算となります。

 mc:(夏の)冷房期の日射熱取得量= 6.33  W/(W/㎡)
 mH:(冬の)暖房期の日射熱取得量= 11.82  W/(W/㎡)

が計算で求められます。(別の機会に解説を行いたいと思います。)

 5.平均日射取得率 ηAC、ηAHの計算と判定

平均日射取得率η は日射熱取得量mを外皮面積Aで割った値で、冷房期と暖房期の両方を求めておきます。

 ηAC:(夏の)冷房期の平均日射取得率 = mc(冷房期の日射熱取得量) ÷ ΣA(外皮面積の合計)
 ηAH:(冬の)暖房期の平均日射取得率 = mH(暖房期の日射熱取得量) ÷ ΣA(外皮面積の合計)

 ηAC =  6.33  W/(W/㎡) ÷  308.07(㎡)= 2.1
 ηAH = 11.82  W/(W/㎡) ÷  308.07(㎡)= 3.8

このうち、 ηACに関しては、6地域において最大値(2.8)が定められていたため、

 ηAC = 2.1 ≦ 2.8 OK
基準値以下となるのでクリアできる事が確かめられました。

これで、「外皮性能」は基準を適合することが確認され、次のステップに移る事になります。
ここまでは、電卓を使った手計算よりもEXEL等の表計算プログラムを使えば容易に作業が進みます。

 6.一次エネルギー消費量の計算

外皮性能の各計算が終わったところで、今度は設備器具を使った時に、どれだけのエネルギー損失となるのかをシュミレーションするのが「一次エネルギーの計算」となります。
詳細計算ルートではWEB上に用意されたプログラムを用いますが、その際に先ほど求めた外皮性能値の他に、実際に使うエアコンや給湯設備、換気扇や照明器具、発電システムも入力の対象となります。
省エネ対応の設備機器を使えば、よりエネルギー効率が良くなるのです。

住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム
↑のサイトを開くと、計算プログラムが出てきます

一次エネルギー計算プログラムの表紙


このプログラム上で、今まで計算した外皮性能の値や一般のエネルギー効率の設備器具を選んで「計算」すると・・

計算結果




上記の結果が出てきます。
この結果を用いて、評価を行います。
 7.評価方法

省エネルギー基準やZEH水準をクリアするかどうかの評価の方法を解説します。

評価方法

 ①設計一次エネルギー消費量 ≦ 基準一次エネルギー消費量

 ②BEIを計算し、
   省エネルギー基準 BEI≦1.0(一次エネルギー消費量 等級4)
   ZEH水準     BEI≦0.8(一次エネルギー消費量 等級6)

であることを確かめます。

前述の結果の評価は・・・



で、省エネルギー基準はクリアできていますがZEH水準はクリアできていません。
それもそのはずです。一回目は「標準の設備機器」を選んでいたためです。

今度は、設備機器を高効率のものに選び直して再計算します。





今度は、省エネルギー基準もZEH水準もクリアできました。

このように、設備機器の効率を選びながら基準をクリアできるかどうかを入力し、評価を繰り返すことで、基準をクリアする方法を探っていく作業となります。


詳細計算ルートを使うことで、「省エネルギー基準」や「ZEH水準」をクリアしているかどうかを確かめる事ができます。
次回は、「仕様基準ガイドブック」を用いて、「省エネルギー基準編」や「誘導基準編」の仕様内容を確かめてこうと思います。


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平成30年(令和元年)省エネルギー基準の地域区分  外皮性能の基準値 - べんりや日記

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省エネルギー基準、ZEH水準の正体

2023-09-30 13:17:12 | 次世代省エネ基準
省エネルギー基準とZEH水準の解説です


この記事のポイント

 1.国交省・小委員会の資料「最近の動向」
 2.省エネルギー基準とZEH水準の正体
 3.省エネルギー基準、ZEH水準
 4.誘導仕様基準

です。

 1.国交省・小委員会の資料「最近の動向」

建築物の省エネルギー基準は国交省の委員会で議論されています。建築物エネルギー消費性能基準等小委員会
会議の中で「最近の動向」が報告され、ここで住宅の省エネルギー政策の流れを掴むことができます。
 

 2.省エネルギ基準とZEH水準の正体

住宅性能表示制度の断熱等級で
 
 等級4 省エネルギ基準
 等級5 ZEH水準
 
だという事がわかります。



 
国としては
 
 ① 2025年に断熱等級4を義務化
 ② 2030年に断熱等級5(ZEH水準)
 
まで引き上げようというスケジュールとなっているわけです。

その理由としては、

北米等の先進国に比べると、日本は出遅れているため


という大義名分があげられます。
断熱等級6,7はドイツの断熱水準に匹敵すると考えられます。
 
ZEH水準の次は断熱等級6,7が控えていると思うとゾッとします・・なにせ、等級6は関東で北海道クラスの断熱性能を実現しようという数値なのですから・・
 
 3.省エネルギー基準、ZEH水準
地域区分(1~8)ごとに省エネルギー基準、ZEH水準の断熱性能が定められている事が表から読み解けます。



 断熱等級4が省エネルギー基準の断熱性能
 断熱性能5がZEH水準の断熱性能

で、各地域区分ごとに数値が設定され、そのまま表の値が採用されているのです。
 断熱等級6,7の上位水準も記載されているので、次はこの基準に推進していく展開が予想されます。
断熱等級6の「6地域」のUA値は0.46で、断熱等級4(省エネルギー基準)の「1地域」のUA値0.46に匹敵するので、

関東で北海道クラスの断熱性能を要求される

というのが断熱等級6の世界だということになります。2030年以降の話だと思われますが・・

 4.誘導仕様基準を新設 ZEH水準の仕様ルート
基準をクリアしているかどうかは、UA値、ηは求める必要があり、実際には「詳細計算ルート」を使います。それだと複雑な計算を行わねばならないため、もっと簡易的な方法の「仕様ルート」で合理化を図ろうという提案がされています。


「ZEH水準」の仕様ルートが「誘導仕様基準」です。


決められた仕様の断熱材やサッシ、設備機器を選択することで、ZEH水準のクリアができる簡易的な方法です。ガイドブックが「省エネルギー基準編」と「誘導基準編」の二種類が用意されていて、今後はこの仕様書を用いるのが主流になると思われます。



 
二種類の基準編ガイドブックが用意されています


「誘導基準編」はZEH水準なので、より断熱性能が厳しく設定され、断熱材やサッシ、設備機器の仕様が高度になっているのは言うまでもありません。
このガイドブックのチェック表に実際建物に使うものをチェックして確認検査機構に提出すれば良いわけです。
計算もパソコンも必要ないので、手軽な仕様書です。

私の場合は、基準データの割り出しと数値の確認に使える便利なアイテムになっています。(まともに使う気は全くない・・)
次回は、この仕様書を用いて、「魔改造」を行っていきたいと思います。


次の記事へ・・




平成30年(令和元年)省エネルギー基準の地域区分  外皮性能の基準値 - べんりや日記

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一次エネルギー消費量の計算 省エネ住宅エコポイント対応の新築工事の断熱設計 - べんりや日記

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平成30年(令和元年)省エネルギー基準の地域区分  外皮性能の基準値

2023-09-29 22:29:03 | 次世代省エネ基準
平成30年(令和元年)の省エネ基準では地域区分1~8地域が見直されました


この記事のポイント

 1.省エネ基準では地域区分が見直された
 2.微妙に違う地域区分        
 3.4~7地域はひとくくりの仕様基準
 4.断熱費用がかかる時代に

です。
これからの住宅の新築・増改築のご検討にお役立てください。

 1.令和元年からの地域区分 ~ 2025年4月(予定)から省エネ基準適合が義務化に


平成30年(令和元年)省エネ基準の地域区分

細かい地域は市町村単位で決められています。


外皮平均熱貫流率UAと冷房期の平均日射熱取得率ηACの最大値が各地域区分によって定められています。

各地域区分の最大UA値(W/m2・K)最大ηAC
地域区分 1  2  3  4  5  6  7  8 
UA0.450.460.560.750.870.870.87-
ηAC----3.02.82.76.7※
※令和2年4月に3.2から6.7に見直されました

各地域でのUA値、ηACは上記の数値以下にする必要があり、2025年4月(予定)には義務化されます。


 2.微妙に違う地域区分 ~長岡市は冬から夏の対応にシフトチェンジ

実は改正前と外征後の地域区分が微妙に異なり、これまで4地域だったのが5地域に変更になったケースもあります。
その場合、UA値は甘くなるのですが、ηACの最大値の判定を行わなければならず、夏場の日射取得の制限を受けてしまいます。



平成25年、平成28年省エネ基準の地域区分(参考)





微妙に地域が違っています


実は、当社の位置する長岡市では4→5地域になったケースに当てはまります。
即ち、今まで、UA値は0.75以下だったのが、0.87以下に変更になりました。(それで良いのか????)
その代わり、冷房機の日射取得率ηACの制限を受けるようになったわけです。
つまり、

冬→夏を考慮した住宅にせよ

というお国からのお達しです。気候変動対策もいよいよ佳境か~・・2030年がタイムリミットって言われてますしね・・

 3.4~7地域はひとくくりの仕様基準  ~今までの5~7地域の基準が厳しくなった

5地域の場合、UA値は0.85以下の設定ですが、それは「詳細計算ルート」を採用した場合の話で、計算の必要ない「仕様基準」を採用した場合は、4地域と同様の断熱仕様となります。(サッシは4地域で基準が厳しくなります)


2025年省エネ基準 仕様基準ガイドブック

4~7地域まで断熱材の仕様が同じです


逆に言うと、今までの5~7地域の住宅が4地域並みに厳しくなった・・という事です。
つまり、


九州や関東地域でも、今までの(新潟県)長岡市並みの断熱基準の性能が要求されるようになった


という事になります。
いや~。地球温暖化もいよいよ佳境じゃのう~。


  4.断熱費用がかかる時代に  ~詳細計算ルートのすすめ

2025年の法改正だと、4号特例の廃止も同時に行われます。構造計算書の提出やZEH対応が迫られるため、建築費用に跳ね返ってしまい、更に省エネ基準に対応となるとダブルパンチになってしまいます。
仕様基準を採用した場合、4地域並みの断熱性能が要求されるので、既存の5~7地域ではコストアップにつながっていきかねません。

詳細計算ルートは、建物の各部位を細かく拾って計算する手法で、大変な作業を伴いますが、地域に合った断熱性能を選択できる方法です。
計算の不要な仕様基準を採用するかどうかは、工務店なり、施主さんなりに残された選択肢でもあります。

省エネに徹すれば、エネルギー効率が上がって、冷暖房のランニングコストは減るし、環境にも貢献できるのですが・・
(2030年にはZEH基準が義務化されるので、それまでの経過措置となります)



このブログでは、省エネ基準の解説やZEH対応の解説も同時に行っていきたいと思います。


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詳細計算ルート
省エネルギー基準、ZEH水準の正体 ~住宅性能表示 断熱等級4,5


平成25年省エネルギー基準の地域区分  外皮平均熱貫流率UAの基準値 - べんりや日記

平成11年省エネ基準ではⅠ~Ⅵ地域に分かれていた地域区分が平成25年省エネ基準では1~8地域になりました平成25年省エネ基準の地域区分細かい地域は市町村単位で決め...

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一次エネルギー消費量の計算 省エネ住宅エコポイント対応の新築工事の断熱設計 - べんりや日記

一次エネルギー消費量の計算方法の解説です新築工事で省エネ住宅エコポイントの申請を行う場合、一次エネルギー消費量の検討で等級4以上の性能が必須となります。平成25...

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次世代住宅ポイント制度 まとめ

2019-04-11 14:22:25 | 次世代省エネ基準
窓・ドアのリフォームでポイントがもらえます!


この記事のポイント

1.消費税率10%への引き上げ(10月施行)に伴い住宅需要が落ち込まない対策として「住宅ポイント制度」が用意されています
2.新築・リフォームに対してポイントが発生します
3.若者・子育て世代の中古住宅購入&リフォームには最大60万ポイント
4.来年3月末までに引き渡しが必須です
5.今年の3月以前に請負契約をしていた場合は消費税8%で更に住宅ポイントが発生しますが、10月まで着工できません
6.ポイントは現金支給ではなく、商品との交換で行います
7.申請は6月1日以降となります



1.住宅ポイント制度の概要
2019年10月の消費税率引き上げに備え、良質な住宅ストックの形成に資する住宅投資の喚起を通じて、税率引き上げ前後の需要変動の平均化を図るため、税率10%で一定の性能を有する住宅を取得する者等に対して、様々な商品等と交換できるポイントを発行する制度が創設されます。*本制度の実施は平成31年度(2019年度)予算成立が前提となります。予算額は1300億円となっています。


2.新築・リフォームに対して住宅ポイントが発生します
(1)住宅の新築 発行ポイント数一戸当たり上限35万ポイント
(2)住宅のリフォーム 発行ポイント数一戸当たり上限30万ポイント



クリックすると拡大します


クリックすると拡大します



3.若者・子育て世代の中古住宅購入&リフォームには最大60万ポイント
若者・子育て世代が既存住宅をリフォームする場合は45万ポイント、若者・子育て世代が中古住宅を購入してリフォームする場合は最大60万ポイントが発生します。

4.来年3月末までの引き渡しが必須です
来年3月までに工事の引き渡しが終わっていないと対象外になります。


5.4月以前に請負契約をしていた場合、10月まで着工できません

2019年3月までに請負契約を締結している場合は、現行の8%です。更に10月から翌年3月までの着工の場合は住宅ポイントが発生するお得なケースとなります。これは10月前に駆け込みによって工事が集中するのを避ける目的の為です。10月まで着工はできません。それ以前の着工は対象外です。


6.ポイントの利用の方法
今まで省エネルギー・エコポイントと同様、「商品」と交換できる制度です。
「商品」はカタログやHP等に掲載され、選択する方法がとられます。よく利用されていたのはCGCJCB等の商品券との交換で、通常の生活費への補填で消費税率の引き上げ分を解消するというところでしょうか。

7.申請は6月1日以降となります
3月の法案が通り、予算付けされたようですが、まだ受付機関や申請様式、交換商品が定まっていません。申請も6月1日以降です。




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U値を補正する 一次エネルギー消費量の計算(2)

2015-02-19 09:52:04 | 次世代省エネ基準
実際の建物では各部位で熱の逃げ方が違います



前回は犬小屋を例にU値を求めました。
実際の建物の熱の逃げ方は屋根と壁、床で違ってきます。室内では空気の対流が起こり、天井に近い方から熱が逃げやすいし、床面からの損失は少ない・・壁も風が当たる場所だと熱が逃げるし、外壁で覆ってワンクッションあれば熱は逃げにくい・・

建物の「部位」によって熱の逃げ方が違います。



建物の部位によって熱の逃げ方が違います


「表面熱抵抗」(Ro、Ri)を設定することで、各部位の熱の伝わり方を表現します。





前回の犬小屋の表面熱抵抗値は内外で一律 0.11 と計算していましたが、各部位ごとの熱抵抗Rを求め、熱貫流率Uを求めます。





前回の熱貫流率Uは3.29(W/㎡・K)でしたが、今回の屋根、壁、床共に数値が上がっていますが(3.658~4.688)、外気に接していると熱が逃げやすい・・という事を現わしています。



更に熱の伝え方の補正として温度差係数Hを用います。




各部(屋根、壁、床)の面積を求めます




各部(屋根、壁、床)の熱貫流率を求め、全体の熱損失量qを求めます




全体の熱損失量q(外皮熱損失量)は4.07(W/K)と、前回求めた3.29(W/K)よりも大きくなっています。
外気に接した環境だと、それだけ熱損失が多くなってしますのです。

ここで求めた外皮平均熱貫流率UAは省エネルギー基準の重要な数値です。


犬小屋のU値を求めるへ・・

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室温を一定に保つには・・ 省エネの方法

2015-02-18 14:42:59 | 次世代省エネ基準
室温を一定に保つには、
放熱量と同等の加熱(冷却)をします


外皮を伝わって逃げる熱量を計算し、その熱量と同じ分だけ加熱(暖房)若しくは冷却(冷房)をすればよい事になります。




省エネの方法は・・



建物の外皮に関わる省エネルギーの手法としては・・

1.室内と外気温の温度差をなるべく少なくする

  暖房の温度設定を下げる(冬場は18℃)
  冷房の温度設定を上げる(夏場は28℃)


2.断熱性能を上げる

  外皮の熱貫流率U値を下げる

があげられます。(他にも設備の効率を上げる、日射の利用等があります)




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平成25年省エネルギー基準の地域区分  外皮平均熱貫流率UAの基準値

2015-02-16 15:32:49 | 次世代省エネ基準
平成11年省エネ基準ではⅠ~Ⅵ地域に分かれていた地域区分が
平成25年省エネ基準では1~8地域になりました




平成25年省エネ基準の地域区分



細かい地域は市町村単位で決められています。

外皮平均熱貫流率UAの最大値が各地域区分によって定められています。


各地域区分の最大UA値(W/m2・K)
地域区分
UAの最大値0.450.460.560.750.870.870.87-


各地域でのUA値は上記の数値以下にする必要があります。



この省エネ基準をクリアすると、どのような住宅になるでしょうか?
区分5の地域に建てる100㎡(約30坪)程度の家を想定して、計算してみます。



外皮平均熱貫流率UAは次の式で求められているので、

 A=q/ΣA

  A:外皮平均熱貫流率 (W/m2・K)

  :外皮熱損失量(W/K)

  ΣA:外皮等面積の合計(m2)


式を変形し、qを求める式にします。


 q=UA×ΣA

外皮面積に区分毎に定められている最大UAをかけると、その住宅の外皮熱損失量qが求まります。
とは外皮からエネルギーが逃げて行く量です。一定の温度を保つには、qと同じエネルギーを供給し続けなければなりません。これが冷房(暖房)能力に相当します。
qを求めれば、必要な冷房(暖房)能力を求める事ができるのです。


室温を一定に保つには・・



それでは、qを求めてみましょう。

まず、ΣAは外皮面積の合計です。


100㎡の規模だとだいたいこんな大きさです



外皮面積の合計は概ね260m2とします。

最大UAは前出の表で、区分5~7 ・・・最大UA=0.87(W/m2・K)

だったので、これに外皮面積をかけてやると、外皮熱損失量qが求まります。

外皮熱損失量qは・・




区分5~7のUAの基準値で断熱計画をすると、

100㎡の住宅だと、6帖用のエアコン1台でまかなえる計算になります。(外気と室内の温度差10℃とした場合)



外皮の各部のU値の最大値の決め方のコツ

外皮の各部分のうち広い面積を有する部位(屋根、外壁、床等)の熱貫流率U(W/m・K)は、この各区分ごとに定められたUAの基準値値以下に抑えておかないと全体の平均UA値をクリアするのが難しくなります。

例えば区分4の地域でのUAは0.75(W/m2・K)なので、外壁の熱貫流率Uは0.75(W/m・K)以下に設定すると、全体の外皮平均熱貫流率UAが基準値をクリアするのに楽になります。




上図の場合、一般的な大壁でグラスウール(16K×100㎜を充填)を入れた壁のU値は0.73(W/m・K)で、区分4のUA値0.75(W/m2・K)をクリアするのは楽ですが、土塗り壁の場合のU値は2.43と、かなりオーバーしているので他の部位で補うか断熱補強するかのどちらかの方策を取らなければクリアが難しくなります。




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U値とは? 一次エネルギー消費量の計算(1)

2015-01-25 21:10:08 | 次世代省エネ基準
U値とは熱の逃げやすさを表す値です


省エネ住宅エコポイントの新築に関して、U値計算が必要となります。


U値(旧Q値)は建物の外皮(屋根、外壁、床)から逃げる熱量を表し、エネルギーがどのくらい消費されるかを計算しています。
ここでは犬小屋を例に、U値を計算してみましょう。



犬小屋を使ったU値計算をしてみます


犬小屋の内側は20℃、外気が10℃です。外の温度の方が低いので、このままの状態だと外に熱が流れて犬小屋の中の温度がどんどん下がり、いずれ外気と同じ10℃となります。
犬小屋の中の温度を20℃に保つには、流れ出す熱量と同じ量の熱量の暖房が必要です。どれだけのカロリー数が必要でしょうか・・・



まず、犬小屋を展開します



この展開された「面(屋根、外壁、床)」が「外皮」です。
ここでは、展開された面の合計面積が1m2で全て1センチの厚みの木材で作られているとします。


「外皮」から逃げて行く熱量(エネルギー)は次の式で計算されます。


熱損失量の式



犬小屋の外皮面積「A」は1m2、厚み「d」は0.01m(1センチ)でした。では熱伝導率λはどのくらいでしょう・・
熱伝導率は材料によって決まっています。


主な材質の熱伝導率λ



熱伝導率は「熱の伝わりやすさ」を現わします。厚みが1mの時にどれだけの熱量を伝えるかという値で、大きい程熱を伝えやすい。
木材が0.12で、アルミが210だと、アルミの方が木材の1750倍もエネルギーが流れる事になります。

今回の「犬小屋」の場合、木材の厚みが1センチ(0.01m)の材料を使っているという事で、熱損失量は・・





単純計算だと、500calが必要となります。外気が10℃で犬小屋の内側を20℃に保つ場合、500calの暖房器が必要と言う計算になります。
が・・実際には、もう少しメカニズムが働きます。




実際には、表面熱抵抗が材料の内外に発生するので、ここで少し緩和されます。


熱抵抗を計算する式です


全体の熱抵抗は各熱抵抗を合計した値になります



犬小屋の場合の木材1センチの熱抵抗を計算します



外皮の熱抵抗が求まったので、いよいよU値の計算です。



U値の計算式です


U値と熱損失量qをまとめると次のようになります





では、犬小屋の場合のU値を計算してみましょう・・・


犬小屋のU値が求まりました。U値は「外皮」1m2当たりの熱損失量なので、外皮の表面積(A)をかけて、全体の熱損失量を計算します。



U値、q値を求めると、どれだけの熱量が必要なのかを計算する事ができます。


熱損失の基本的な考え方は、犬小屋と同じです。


U値の補正へつづく・・

一次エネルギー消費量の計算へ・・


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