先日までの雪もピークが過ぎ、本日は晴れ間が広がっています。
今朝は工場に積もった雪をフォークリフトにて除雪。
20センチくらい積もっていましたが、屋根から落ちた雪は硬く、1mくらいの山になっていました。
今週は、週末に雪が降るらしく、今年も彼岸を過ぎても本格的な春にならないような感じがします。
山に雪が降ったので、水不足の心配もなくなりましたが、スキー場はいまさら降ってもお客が来るわけでもなく、中途半端でもあります。
国産杉材、県産杉をめぐる動きがあわただしくなってきました。
住宅金融公庫でも、国産杉や県産杉を推奨する動きがでてきました。
本日の、午前中に、土合町K邸新築現場に公庫が取材に来ていました。
いままで、材料に関してはあまり問わなかった公庫の仕様ですが、循環社会や環境考慮も視野に入れ、国産杉、県産杉材をうたうそうです。
住宅金融公庫といえば「金物」です。
実を言えば、新潟県産材に関しては、金物の使用に関しては注意が必要です。
さらに、住宅品質確保に関しても問題のある材料です。
「狂う」「すく」「やわらかい」の3拍子そろった材料を的確に使うには、高度な技と根性が必要です。
「県産杉材使用マニュアル」みたいなものを造ってやらないと、おそらくクレームだらけの品になる。
全くのシロウトがうかつに手を出して、粗悪な材料だという悪評を流してもらうのが最悪のシナリオです。
お客さんから震災復興支援制度を利用することを告げられ、しぶしぶ越後杉を使ったら、とんでもない材料だったという感想を良く聞きますが、それは技術も根性も無い自分の未熟さを露呈しているようなものです。
さらに、材木屋さんや森林組合を呼んで責任を取らせるなど言語道断。
だったら、はじめから使うなと言いたい。
そういう材料を、なぜ使うのか、その根本をよく理解してほしいものです。
具体的に、改善することを挙げておきましょう。
1.ベタ基礎の場合はパッキン工法をやめる。
2.柱のホゾ穴は土台を貫通して、柱ホゾを基礎に到達させる
3.柱の上下のホゾは長ホゾを採用する。
4.ホールダウン金物をなるべく使わない設計上の工夫をする。
5.羽子板ボルトは引き寄せ金物にして、外側にナットを使わず、中にナット締めにして後で締め直せるようにしておく。(そのまま化粧とする。緩んだらお客さんが締める。)
6.梁の上下に金物。
7.通し柱に掛かる桁や梁のホゾを小根柄などにして、反対側の材料に通して内側からナットで締める。
8.小屋組みに中引(なかびき)を入れる。5寸角を小屋梁に渡りあご等で結ぶ。
9.耐力壁に筋違いを使わない。(筋違いプレートのビスに材料が負ける、さらに筋違い自体が反るので壁が曲がる)面材の採用。通し貫にして土塗り壁にする根性の無い方はダイライトや構造用合板など・・
10.2階根太を極力やめる(厚めの構造用合板)
解説
1.に関しては県産材に限らないのですが、床下の通風を調整できないと、梅雨時期の湿気が床下内にたまり、かぶれてしまいます。
基礎に断熱をしても、おそらく解消できないでしょう。内部結露の防止とは全くメカニズムがちがいます。
2~8まではプレカットでも十分対応が可能です。
2.は土台のめり込みによる影響を解消できます。
3.は6センチ以上のホゾがあればよい。
中越地震でプレートに打った釘が構造材を裂いて、短ホゾの場合は構造材から抜けてしまった例がありました。
4.はコーナー部に耐力壁を設けなければよい。
上下階の耐力壁を市松配置するのが理想。
5.は、メンテナンスができる。
6.は、金物の配置をちゃんと理解していない人が多いので念のため。
化粧梁の場合、下に金物が出てこないと、離れてしまいます。
7.は、通し柱に掛かる材料が(特に短い)短ホゾで、ただ刺さっているような場合が多いためです。通し柱の断面欠損を問題にしているのでしょうが、上下に違えるとか工夫をしてほしい。
8.は、中越地震の経験上からです。
9.10に関しては、杉が反りやすいため、短期間の工期で引き渡した場合、後で狂ってクレームになります。乾燥期間を十分に取って、狂いを修正してから仕上げれば解消できます。
これだけの工夫をするだけで、格段のバージョンアップが可能です。
我が社の場合、まだまだ工夫をしているのですが、これくらいにしておきましょうか・・
伝統構法に切り替えなくても、少しの工夫で県産材が使えるようになります。
さあ、明日からあなたも、県産材住宅に切り替えましょう!
そして、循環社会の構築と環境問題への貢献をしましょう。