べんりや日記

住まいのこと、情報発信!

古民家再生

2008-11-26 20:12:08 | リフォーム奮闘記


本日も、晴れ。午前中は少々雨が降りましたが、このところ予報は当たるようで、来週はじめからの晴れの予報を期待して、蓮潟T邸の建て方スケジュールを組みました。
今日の土台敷き後、明日から3日間で建て方の予定だったのですが、どうも明日からの予報はあまり良くないようです。
ここは予報を信じて。来週に変更。あまり材料も濡らしたくない。

仕事は山のようにありますから、中で出来る仕事に振り分けて、晴れ間を待つ。
関東、関西方面がうらやましく思える季節です。
日本海側以外は殆ど晴れているのですから・・・・
関東方面では、乾燥するこれからが建て方にいい時期なのでしょうか?


さて、知人の紹介で小国町の古民家を購入したお客さんの建物を再生しようというプロジェクトが進んでいます。
明治・大正時代に建てられたこの建物は、まさしく伝統構法で建てられ、材料も地元の物を使っているようです。茅葺屋根の平屋建てで中越地震で被災したままの状態で柱が傾いているため、かなり安い値段で(土地付き)購入されたようです。

とりあえず住める状態にしようということで、ライフラインの整備を行います。
また、建物の各所でのジャッキ揚げ作業を行い、内装はお客さんが自分でやりたいとのこと・・
解体費も業者を入れるともったいないので、自力で解体しています。

「できるだけ、小屋裏を見せたい」

ということで、天井を落とす作業を仲間といっしょに行っている最中です。
白い簡易作業衣と防塵マスクをつけてバールやカケヤを振り回す様は、「ダースベイダー」を思わせる異様ぶりだったとか・・
構造的に重要な部分は「壊すな」というアドバイスをしたので、その場所は手をつけないようです。

茅葺屋根は、昔からある民家の造りで、平屋の部屋部分の構造は田の字型がベースとなります。中心に大黒柱を建て、それを囲むように5寸角の柱を配置。柱の中間を「差し鴨居(さしがもい)で固定し(殆どが大断面の再利用材)、その頭を梁で止めます。この梁は根曲がり丸太が多いです。
おそらく、山で切ってきた材料をそのまま使っているのでしょう。
複雑に曲がった丸太を巧みに組み合わせた当時の大工の技術も相当だったようです。

その上に、直に伸びた丸太を拝み型(合掌)組み合わせて荒縄で縛った屋根を形成し、これに茅を葺いていきます。
防虫、防腐のために内部で囲炉裏を焚いて燻していました。
煤(すす)や埃がこびりついて真っ黒くなります。

昔は天井を貼る習慣がなかったため、上を見上げれば小屋組みが見えたのですが、「蚕(かいこ)」を飼うために天井を張ったようです。(この家は蚕は飼っていなかったようです)
雪国では冬季の農閑期の内職として養蚕や荒縄づくりによって収入を得ていました。
昔の生活や大工の息遣いが聞こえてきそうな感じもします。

解体作業が終わったら、今度は大工の出番。
何処まで地震の傷跡を直せるか・・腕の見せ所です。


つづく・・

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正面イメージ 蓮潟T邸

2008-11-25 20:34:58 | 蓮潟町 T邸(越後杉)

先週は、一時的に冬型が強まり、19日に初雪が降りました。
「里雪タイプ」で、平野部に積雪があり、ここ長岡では5センチ程度。
それでも、今年初めての積雪で、スノータイヤに履き替えていない車両が多く、渋滞となりました。
本格的な雪はまだまだ先のようです。


本日は久々の晴れ。この間に蓮潟町T邸の土台敷きを行いました。
ほんの少しの晴れ間が雪国では儲け物です。

イラストは、蓮潟T邸の正面イメージ。
玄関先の丸柱が本屋の棟まで伸び、梁が差さってベランダを形成します。
伝統木組みによる仕口でガッチリと組む予定。
屋根も四角形ではなく、三角にせり出しているので、丁度、船をまん前から見たような感じになります。


三角形のベランダと通し丸太によって、本体の構造の補強を兼ねます。
玄関の上は吹き抜けとなっていて、ベランダから入った光が明るく照らす設計となっています。
更に本屋には中引(なかびき)も入れて小屋裏も補強。

明日も晴れが続くようで、土台敷きを終了した後は、終末の雨と共に工場にて残った加工を終わらせて、来週の月曜日から本格的に建て方を開始する予定です。
わずかな晴れ間をかいくぐっての工程です。




ベランダのイメージ




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工場加工中

2008-11-13 20:44:59 | 蓮潟町 T邸(越後杉)


11月も中旬という季節ですが、晴れ間が続きます。
外部仕事にはうってつけの天気です。
蓮潟T邸の基礎コンクリート打ちも無事終了し、型を外して今月末の建て方を待つばかり・・
とはいえ、肝心の加工がまだ終わっていない・・
高寺の工場にて、丸太やプレカットで対応できない仕口、継ぎ手を加工しています。
(間に合うだろうか??)

渡りアゴ加工はプレカットで対応できるということで、残る通し柱に差す「長ほぞ差し鼻栓打ち」部分はこちらで刻みます。
大まかな部分をプレカット、特殊な部分は手刻みという手法で、加工手間を一気に短縮しようというもの。
これまで墨付けで1ヶ月以上かかっていた部分が短縮できるし、高さの間違いも無いので楽です。
込み栓に関しては、角栓ではなく、丸栓になってしまうのが心残りですが・・



本格的な刻みをすれば2ヶ月近くは掛かってしまうので、年内の建て方は不可能。
雪の降る前に建てて、外部を塞ぎたいところです。
とはいえ、同時に外装工事1件、ユニットバス工事を1件挟んでいるため、思うように刻みが進まないので気ばかりが焦る。


写真は、プレカット後に工場に搬入した通し柱の先端。
「重ホゾ」という形状で、ここに2本の横架材「梁」と「桁」が差さります。
まず、「梁」が通る部分は通常の平たいホゾとなっていて、その上に差さる「桁」部分は梁と直行しているため、3センチ角の棒状になっています。
梁と桁は渡りアゴにて止まるので、通し柱が中から突き通されることで、堅固になります。更に、梁と通し柱を「込み栓」にて緊結。
これを「折置(おりおき)」と言い、伝統的な小屋組みの一つの手法で、耐震に優れた方法です。

在来木造では、平ホゾのみで桁に差さり、金物で固定。さらに桁に梁が乗り、これも金物で固定をするのが一般的です。


そして、小屋組みだけでなく、2階台輪、土台も通し柱に長ホゾが差さる加工を施すことで、通し柱が自立する骨組みを目指します。
今回は、3間×4間の建物(総2階建て24坪)で6本の通し柱です。
普通は4本なのだろうけれど・・5寸だし・・しかも、玄関先に丸太は立つし・・
屋根形状のデザインもかっこいいという・・・
造形大学の学生さんたちとか、通学しているみたいだから、木造の可能性とか追求するいいきっかけになるカモ。


プレカットがどこまで出来るか、一通り試した中で、問題点とか把握できたので、更なる発展型を思案中です。(全建連の200年住宅はまだまだ先かな~金物仕様にレベルを落として土台を4.5寸に上げれば200年住宅仕様ですから・・オール県産材だから国産材は十分クリアーしてます。)




通し柱の下は、土台が差さるようにプレカット済み
通常は土台に柱が差さるのですが・・全く逆です。
その効果は??・・・・絶大です。柱が自立します。(建て方は大変です)




通し柱に差さる伝統仕口は、自前で墨付け
長ホゾ差し鼻栓打ち(左)、小根柄シャチ栓打ちメス側(右)
右奥はプレカットの鎌継ぎ(メス)
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妻入り雁木(がんぎ)通り 外装工事

2008-11-01 19:21:24 | リフォーム奮闘記


この2~3日は、曇から晴れ間がのぞき、雨で荒れた週頭に比べればいい天気となりました。でも着実に冬が近づいています。

もう、1週間まるまる晴れるということは期待できないでしょう。
全国の天気を見ても、ここ日本海側だけが雨模様で、太平洋側は晴れ。
全くうらやましい限りです。

さて、妻入りの町並みの一角にて行っていた外装工事も終盤を迎えています。

この辺りは、昔からの雁木(がんぎ)通りで、商店が軒を連ねていた場所で、今で言うアーケード街で冬は雪の心配もせずに通行し、買い物ができてにぎやかだったのですが、移転や店じまいなどで雁木も虫食い状態となりました。
建物も、妻入りの美しい家屋が点々と残り、他は駐車場や洋風の家が建っていたりします。

昔の町並みを残すのも、地元工務店の役割だと思っています。

既存の外壁は、丸波鉄板で、その下は土塗り壁でした。
この鉄板のみを解体し、防水紙を貼って、現代風の鉄板サイディングにする工事ですが、昔の建物の趣を壊したくない意向があり、腰と壁を杉の幕板によって見切っています。また、普通ならば壊してしまう雨戸の戸袋も化粧として残そうと思っています。

化粧には、極力「杉」を使いたい。(当然、下地はオール県産材)

そして、極めつけは、妻の破風板です。
今まで軒桁と母屋は露出になっていて、木口が鉄板巻きとなっていましたが、これだと耐久性も劣ってしまう。
思い切って、イメージチェンジで「破風板」をまわしてみました。
棟部分は1尺2寸(36cm)、軒先部分は7寸(21cm)と、先細りにしてあります。
同じ寸法だと、ズドンとした感じで「不恰好」。

また、妻壁の上にも広めの幕板を廻しています。
こうすることで、妻壁の形状のバランスをとっています。
妻壁は、白壁に似せて、3×10版の窯業系サイディングを弾性塗装する・・
(よくやる方法です。)

あとは、妻に飾りをつけるかどうか?
細い縦格子とか付ければ最高の出来となるでしょうが、ちょっとくどくなるかも・・
下屋の上に出窓、戸袋と霧除けという立派な化粧があるので、これ以上加えるとシンプルさが無くなる。

古いようで、現代風。そういう外装で、古い町並みを甦らせたい。
新築でなくとも、その地域の「顔」ができてしまうという・・私の姿勢は何時も同じ。
(でも、少し時間がかかりすぎていたりする・・大変ご迷惑をおかけしております)
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