べんりや日記

住まいのこと、情報発信!

蛇口が回しずらくなったらレバーハンドルを・・ 

2024-06-18 10:11:29 | バリアフリーを考える

単水栓でもシングルレバーに交換することが可能です



   「蛇口からポタポタと水が止まらない」

・・という問い合わせでお伺いしたお客さんのお宅です。
水栓金具のパッキンの交換を行い、その場で水が完全に止まる事を確認したのですが、後日「やはり水がポタポタと止まらない」と連絡を受けました。
結局、

  高齢となり蛇口を完全に回して水が止められなくなった

という結論に至り、改善策としての「シングルレバーハンドルへの交換」をお薦めし、施工後はスムーズに水が止められるようになったと好評です。



台所の水栓金具ですが、回すタイプのハンドルです。
キュッと最後まで回しきれず、ポタポタと水が滴り落ちる状態でした。


SANEI シングルレバー単水栓上部 PR171-13を取り付けました


シングルレバーだと、水を止めるためのパッキンを「テコの原理」で止めるため、回すハンドルのタイプよりも力が少なくて済みます。



手洗い器の水栓金具も・・


手洗い器の場合でも応用は可能です。
フリーのノズルタイプの吐水口にすれば、手洗いの際に水が跳ねない程度の場所で水を出せるので重宝します。


こういったアイディアは、以前に考案した高齢者用フレキシブル・水栓金具の応用です。
ゾウさんノズル - べんりや日記

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高齢者・身障者の洗い物をサポートする水栓金具です「座って使えるキッチン」を計画した時、座りながら手の届く範囲が限られてくるため、通常の位置に取り付く水栓金具は使...

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「ユニバーサル・デザイン」と俗に言われているのでしょうが、高齢者だけでなく健常者でも扱いやすいので、積極的に導入していこうと思っています。
価格もメーカーが用意するよりも比較的安価で済むのでオリジナルの水廻りの設計に適していると思われます。


べんりや日記 もくじ - べんりや日記

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このブログを開いてから、家づくりや環境、食について様々な想いを書き綴ってまいりましたが、その情報量の膨大さに書いている本人も何処に何を話題にしていたか整理がつか...

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腰に負担を掛けない洗面台(2)

2015-01-20 19:26:36 | バリアフリーを考える
椅子を使って腰の負担を軽減する化粧台プランです


前回、高齢者、身障者を対象にした洗面化粧台を提案しましたがその続きです。詳しくはこちらへ

立ちながら洗顔するには、「前屈み」という、足腰に負担の掛かる姿勢を取らなければなりません。
筋力が落ちたり、足腰が弱くなっている人にとって、この姿勢はかなり辛いものがあります。ぎっくり腰になった人ならば更に激痛が走ります。(経験者は語る・・)

それならば、他の姿勢ではどうかと検討した結果、四つん這い、もしくは座って前傾姿勢になる方法があります。

特殊な手摺を作ったり、浴室やベットの上で洗顔してもらったりと色々考えた結果、「背もたれ付の椅子」を使うだけで、それらの問題が一気に解決したのでした。



背もたれ付の椅子を洗面化粧台の前に設置します。
これだけでOK


洗顔をする時は、椅子の背もたれを使って屈みます


既存の洗面化粧台を使った簡単な方法なので、
大規模なリフォームをする必要もありません。


椅子も工夫次第で色々と用途が広がるアイテムです。
バリアフリー工事と言うと、大掛かりなイメージがありますが、家具や道具で対応できる手軽な方法もあります。

とは言え、

「どこから椅子を持ってくるのだ?」

「収納先は?」

と言われそうなので、椅子を導入した洗面化粧台のプランも考えてました。



椅子付洗面化粧台のプラン



収納量は落ちますが、機能性としては十分だと思われます。
椅子の背もたれの形状に工夫が必要です。専用の椅子に仕上げれば製品化できるでしょう。


このプランで今のバリアフリーのお客さんに提案してみますが、予算が無ければ

「椅子だけでいいですよ」

と提案すればいいわけです。とりあえず、自宅にある椅子を使ってもらって、実験してもらう・・・
そこから次へ繋がります。


こういう方法は作業療法士や住環境コーディネーター、ヘルパーさんの方が知ってそうだけど、他にも色んなやり方があるのでしょう。
「高齢者住宅リフォーム指針」にも掲載されない「かゆい所」でもあります。


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腰に負担を掛けない洗面台(1)

2015-01-19 20:13:49 | バリアフリーを考える
要介護認定者、高齢者の場合の洗顔を考えてみました



バリアフリー流しのリフォームを進めていますが、昨日のお客さんとの打ち合わせで、洗面台をどうするかという話になりました。
よくあるのは、車いす専用の洗面台ですが、これを導入すればどうかと提案されました。


車いす専用の洗面台



車いす専用の洗面台は各洗面台メーカーから販売されていまる。TOTOの「フェリアシリーズ」がその最たるものでしょう。
公共施設や病院、医療介護施設でも導入されています。
車いすに乗りながら、手が洗えるという便利な製品です。

しかし、ここで問題になったのは、


洗顔をさせたい



という要望が昇ったのです。

車いす専用の洗面器は、「洗面」と名は付くものの、「手洗い」が主たる用途です。車いすに座りながら洗顔をするには、更に前かがみになる必要がありますが、座ったままで前かがみになるのは、足をふんばって腰を上げる必要があります。足が不自由な人の場合は、難しいでしょう。


健常者が洗顔する時を考えてみます。


健常者の場合の洗顔



洗顔をして、さらに水を床にこぼさないために、「前かがみ」の姿勢になるわけですが、これは膝を曲げ腹筋と大腿筋にかなりの力が必要で、腰に負担がかかる体勢です。健常者には難なくこなせる体勢ではありますが、高齢者や身障者の場合は難しい。腹筋を鍛えてもらうしかありません。

色々と考えたのですが、手摺を設けて前かがみになるまでのサポートをするとか、タオルで顔を拭くとか、水が服に着かない様に「赤ちゃんのスタイ」や「散髪屋さんの前掛け」みたいなモノを使うとか・・・これといった決定策は見出せませんでした。

せめて、腰に負担がかからないような洗面器は、どのような形状か・・・



腰に負担をかけない洗面台



洗面台の上面が85cm~90cmとしたのは、流しのシンクを考えてみた時、高ければ高い程腰に負担がかからないという経験からです。それに、クッションの様なものを取り付けて、前かがみになっても胸や腹部が締め付けられないようにする・・膝の部分も、あまり深くしないで、浅くクッションを設ける・・

更に、壁側に手摺を設けて、サポートできるような・・・

こんな洗面化粧台・・・見た事無い。


この洗面台に一番近い形状は、美容院で洗髪する時のシャンプー台かな~(あれは、後ろに寝ながら洗いますが・・)

ここを参照


バリアフリーは奥の深いモノです。これで良いというものは無い・・
思考錯誤でより便利なモノをチョイスしていく作業の繰り返しなのです。


更に椅子を使った洗顔へ・・

バリアフリーを考えるへ・・
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長岡市 高齢者等対応型モデル住宅

2010-08-05 17:08:24 | バリアフリーを考える
長岡市蔵王2丁目にある、「高齢者等対応型モデル住宅」です。

高齢者住宅や、身障者用のモデル住宅として、段差解消機、階段昇降機、スロープ、バリアフリー対応の浴室、脱衣、キッチン、補助器具等の展示を行っています。

バリアフリーの新築、改修を検討されている方は、この施設を見学して検討してみると良いと思います。

1997年に長岡市の高齢者モデル事業の一環で、長岡建築協同組合が請け負って建設し、現在では、新町コミュニティーセンターの分室に位置していますが、平日は福祉センターと本来のモデル住宅として機能しています。

 アプローチ



玄関にある段差解消機
高低差は43㎝です。
スロープにする場合は
6.5m以上は距離が欲しいところですが、
そのスペースが取れない場合は、
段差解消機を導入するのも一つの手段です。


左:健常者用の階段(手摺付き)
右:段差解消機

段差解消機を設置する場合でも、健常者用の階段は必要です


内部の床と玄関タイルをフラットに仕上げます。
車椅子にて入る場合は、このように床と玄関の床を
平らにする必要があります。


玄関のベンチ
床が平らな場合は、靴を履く時にベンチに座って行うほうが楽です


車椅子対応の住宅の場合、車椅子に付いた泥や砂を取るのに玄関スペースが必要となります。通常の玄関と同様なのですが、特に室内外で同じ車椅子を用いる場合は、部屋の床板を傷めるので、車椅子対応の硬い床板の場合でも、玄関にて車輪を掃除してから入るのが良いと思います。

 スロープの長さ

スロープの長さは基準法上は12分の1ですが、15分の1以上が望ましいとされています。
10㎝上るのに1.5mが必要で、この建物の場合は43㎝なので、6m45㎝以上は欲しい所です。
この建物は7.28mが確保されているので、17分の1近くになっていて上りやすいスロープだと思います。




外部から寝室の窓まで通じるスロープが設けてあります


全長は7.28mで17分の1の勾配です。
途中までコンクリート製なのですが
中間から木製のスノコになっています。
これは、基礎内の通気とサッシの雨仕舞いのための工夫です。


部屋の床高さと平らにスノコにてベランダが作ってあります。
このようにサッシの収まりに工夫が要ります。



 いす式階段昇降機








 ホーム・エレベーター





 電動昇降キッチン

車椅子対応の電動式昇降型流しです(サンヨー製・・今は無い?)。
低い位置で72㎝、高い位置で90㎝まで電動で上下します。
車椅子だと、80㎝前後が使い易い高さでしょうか・・





 手動式昇降テーブル






 車椅子対応トイレ

車椅子対応の場合のトイレ寸法は1.5m×1.8m(壁芯)です。
ただし、このトイレのように便器の直前に手洗器があると使いづらいです。便器の前は車椅子を置いて、手を使って奥の便器に自分で座る人もいるので、そういった使い勝手は使っている人に意見を聞いてレイアウトしたほうが良いでしょう。




 天井走行リフト付浴室

寝室から、天井走行リフトを使って隣のトイレ付脱衣室、浴室まで行けるレイアウトになっています。
このようなレイアウトの場合、なるべく動線を短くしたほうが移動にもコスト的にも有利になります。
また、レールがカーブするとその分コスト面がかかるだけでなく、故障し易くなるので注意が必要です。



浴槽の天井にレールが延びています
介助者が2人必要な場合は、窓側にスペースを設けたい所ですが、
この大きさでは難しいところです。(1.25坪 2.2m×1.8m壁芯)
本格的に寝たきりの人の介護を行うには4.5帖は必要です。


浴室入り口とリフトのレールの納まり
このように、天井とレールを平らにして、
入り口枠とたいらにすると、すっきりします。
天井高さ2.2mが理想です


浴室の脇のトイレまでリフトが伸びています。


レールの切り替え部分
この部分が傷みやすい


寝室側から浴室まで・・
このように、入り口が並ぶと使い易いです。


走行部本体
昇降は電動ですが走行が電動のものと手動のものがあります。
充電式なので、使わない場合は充電位置に戻す必要があります。



 手動昇降手洗器

手動ですが、車椅子対応の昇降式手洗い器もあります




 各種福祉器具の展示

2階には各種福祉器具が展示されています。1階は建物の新築、リフォームに役立つハード的なものですが、2階はソフト面でレンタル等で使用できるアイテムが揃えています。
介護用ベットが3台、簡易昇降機、車椅子2台、歩行器具2台等・・色々あるので利用されると良いと思います。



















長岡市には、このような高齢者モデル住宅が建設され、一般の人や専門家に広く見学してもらい、介護や介助の役に立てればと思います。
現在は新町コミュニティーセンターに所属しているため、福祉的な使われ方や倉庫としての用途に使われているため、本来の高齢者モデルとして機能するには、あらかじめ予約をして事前に準備をしておく必要があります。

それでも、これだけの設備が整っているモデル住宅が長岡市内にあるのはもったいないので、高齢者対応や身障者対応のバリアフリーを検討している人は是非活用していただきたい施設です。

特に、福祉機器専門店やケアマネージャーに積極的に活用してもらいたいところですが・・



新町コミュニティーセンター分室福祉センター
(高齢者モデル住宅)
TEL 0258-39-8360

開館日 平日 9:00~4:00
    (土日・祝日 休み)

見学前日に連絡をお願いします。
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いす式階段昇降機 ミニベーター1000(アビリティーズ・ケアネット株式会社)

2010-03-17 13:24:22 | バリアフリーを考える
階段昇降機の取り付けには
階段幅が100㎝(内寸)は欲しいところです。
椅子の昇降と共に介助者や通行の
妨げにならないスペースも必要なためです。




電動昇降椅子はセンサーの固まりでもあります。
少しでも負荷が掛かると停止するように設定してあります。




2階が主階となった場合、高齢者や障害者には階段の昇り降りが最大の障害となります。
2階で生活しているには問題ないのですが、外出等でどうしても1階に下りなければならない場合もあります。

最近では家庭用エレベーターも安価になってきましたが、手っ取り早いのは「階段昇降機」を取り付けることで階段使用のサポートができます。




下からの全景
レールを段板に沿って取りつけるだけの施工になります。


「ミニベーター1000」は昇降椅子への乗り降り時に、
こちら側へ回転することで安全性が増します


椅子の収納状態
通常の階段幅を確保し、通行の妨げにならない
スペースが必要です。


当社に設置しているミニベータは充電式で、停電時にも使用が可能な点で優れています。充電ポイントが決められているので、使用しない場合は定位置で停止させ、充電しておきます。(何年か使わないとバッテリーが劣化してくるので時々点検する必要があります)

電源モーター式の場合は、単純機構なので故障する危険が少ないのが特徴です。

どちらも、安全装置が至るところに取り付けられているため、少しでもセンサーに触れると動かなくなるようになっています。それゆえ、価格も安全装置の分だけ高価になります。(このモデルで120万円程度)
介護者の安全には替えられないものですが・・・・


こうした介護用品は、国産が少なく、殆どが輸入製品です。
部品が故障した場合、新品を注文した場合は時間が掛かってしまいます。

医療機器の開発が遅れたのもありますが、安全面でのリスクを回避する日本企業の体質もあると思います。
また、受注生産に近く、大量に在庫も置けないので、割りに合わない製品なのでしょうが、こういった医療関係にも積極的に日本のメーカーが開発に着手していって欲しいところです。



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木造3階建て



「バリアフリーを考える」へ・・



CGは「六角大王Super5.5」(メガソフト)を使用し、「PictBear」(フェンリル)にて加工しています。ダウンロードはこちら
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段差解消機(リフト用)

2010-03-09 20:50:32 | バリアフリーを考える
中島町H邸の玄関に設置した車椅子用昇降機です
階段3段の段差45㎝を解消します


 スロープを設けるスペースがない場合・・・


車椅子にて玄関からアプローチをする場合、基礎の高さと床面を考慮すると概ね45㎝の段差解消が必要です。
健常者の場合は、玄関の上框が18㎝として、残りの30㎝弱を階段2段にて上り下りできるのですが、車椅子の場合は2㎝の段差でも引っかかってしまいます。
スロープを使う手もありますが、通路長さが必要となり、それだけの敷地に余裕がない場合は「段差解消機」を使うのが得策です。



車椅子に乗りながら、リフトによって昇ります


この昇降機によって地盤面から一気に1階床面まで上がることで、車椅子で玄関に入ることが容易になります。
電動昇降機の場合、昇降面のプレートの大きさは色々あるので、車椅子の大きさが予め分かっていれば、それに応じた大きさのものを選ぶ必要があります。

あまり大きい場合は、健常者用の通路部分が狭くなってしまいます。
中島町H邸では、通路幅を7尺(芯々212㎝、有効幅195㎝)とし、昇降機の幅が90センチ、残り105㎝が歩行者用通路となっています。
車椅子がスムーズに通れるように、サッシの開口部分と、昇降機を直線に並べて動線が最小限になるように配置しています。

玄関サッシも、1間用の引き違いサッシだと開口幅が狭いので、3枚戸とすることで、105㎝の開口幅で車椅子が入って、方向転換も余裕で出来る広さにしています。
ただし、3枚戸の場合は、断熱サッシが不可能なため、その外にサッシで囲って「風除室」とすることで断熱性を高めています。
風除室に入るサッシも3枚戸としているので、車椅子の通路としては十分な設計にしています。



風除室の入り口も3枚戸なので、
全開すれば105㎝程開くので
車椅子の出入りが容易です。




玄関とホールの段差も解消しておきます




玄関から居間への入り口は折戸となっているので、
全開すれば、車椅子の回転もスムーズです。



玄関サッシから玄関に入り、ホールに至るまで段差を極力抑えることで、車椅子で部屋へ楽に入る工夫もされています。
この辺りは、吉田町T邸にて経験済みです。
注意する点は、タイルと木部、上框の接点で、ここが直接タイル面に接していると水分を吸収してカビたり腐ったりしてシロアリの餌食になってしまうということ。
防水紙やフェルトを用いて縁を切る必要があり、コーキングにてシールして埃が入らないように仕上げます。

上框が平らになっていると、健常者でも入るのが楽ですが、靴を脱いだり履いたりするのにベンチがあると更に便利になります。

 昇降機設置の様子



部屋の床面と水平付近まで玄関土間を打ちます
コーンの置いてある部分はフタになっていて、
ここに昇降機の機械を入れます。


昇降機の入る部分は、土間よりも低くしておきます(ピット)
中島町H邸では5センチの深さでした。


ピット内の土間を打ち込んだ様子。
奥に電源の配線が見えます。
中央手前に水抜き穴があります。
ここに水が入るように土間に勾配がとってあります。
ポーチの下に開口がありますが、ここに機械が収納され、
上のフタから点検が出来るようになっています。


昇降機を設置する前にタイルを貼っておき、
機械の絡む場所だけタイルを抜いています。
タイルの目地に沿って機械を設置してから残ったタイルを貼ります。
車椅子は、実際に昇降機を使った場合に支障がないか確かめるために用意しました。



昇降機のベースの設置
かなり薄くなります。
土間の上にパッキンを置きながら高さを微調整しています。
土間と機械の間に水が溜まらないように、排水口から放射状に溝がほってあります。(土間コンクリートを打ち込んで半乾きの状態でコテで溝をつけました。)


昇降版の設置
タイルの目地に平行に機械を設置しています。
昇降版の下はジャバラにて覆われます。


点検口の中に、本体が収納されます。



遠隔操作用の手元スイッチの施工
このジャバラコードは、実は園芸用ホースの中に、4芯線を通した私の手製なのでした・・・
長いコードを収納するとき、コイル式ならば邪魔にならないとのアドバイスがあり、色々探し回ったのですが、何処にも無く、最終手段で自作する破目に・・・
4芯線とホースの内径はほぼ同じなので、ここに通すのは至難の業でした。まずホースの中に針金を通して、その針金に4芯線を付けて通したのですが、針金を通す工程で、ホースが曲がっていて、その摩擦でなかなか入らず、潤滑スプレーを吹き付けながらの作業で、滑ってホースから針金が全て抜けるという事態が何度かあり、

「辞めようか・・」

とか思ったりして、何とか通したのですが、針金が通っていも、今度は4芯線もぎりぎりのサイズなので、なかなか入らず、やはり潤滑スプレーをかけながらじわじわと通していったのでした。潤滑スプレーをかけると、やはり、すべるので、手から抜けてしまうことも何度かあり・・半日係でようやく線を通したのですが・・・
お客さんに

「色が気に入らない」

と言われたときには、ショックでした。

「色でも塗ってくれ・・・」

そういった、思い出の品でもあります。


車椅子を実際に乗せてみます


更に、実際に乗ってみて支障がないか調べます


機械の廻りの残ったタイルを貼ります。


こうして設置した昇降機は、乗り降りの段差も殆ど無く、スムーズに使うことができます。タイルも一気に貼らずに2工程にすることで、機械の位置との微妙な調整が可能です。
昇降機を一つ設置するのにも、細心の注意を払いながら施工しなければ、良いものは出来ません。


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外部スロープ

2010-03-09 20:02:41 | バリアフリーを考える
車椅子用のスロープの勾配は標準が1/12以上
理想は1/15以上です


中島町H邸でのスロープの例です。
玄関用の車椅子用段差解消機の使用もおすすめですが、こちらは寝室の掃き出し窓へ直接行き来ができる通路も設けています。
掃き出し窓のサッシの高さまでスロープで昇っていきます。

外部スロープとするため、コンクリートにて施工。斜面のスベリ止めに「刷毛引き仕上げ」としています。
雁木屋根として、雨の日でも使用ができるようになっていて、夏の日除けも兼ねています。
6尺程屋根が伸びているので、寝室に夏の日差しが入るのを防止し、冷房の効きも良いようです。




スロープと基礎の間には溝があります
溝は勾配が取ってあり、水が入っても出てくるようになっています




寝室のサッシの高さまでスロープを上げています



コンクリートのスロープと、木造本体の縁を切るために、20センチほど溝を空けています。これは、基礎内の通気を確保するために床下換気口を塞がないようにしているためです。
溝に入った水は、外に流れるように勾配がとってあり、その上に木製の蓋をして、間違って足を踏み入れて怪我をしない工夫がしてあります。



建物とスロープの間の溝を塞ぎます
まず、桧のコマの下に土台パッキンを敷いて置きます




その上に杉のスノコを貼って行きます




だいたい塞ぎ終わりました。


寝室から直接外部に出れるので、
晴れた日などは、ここから出て散歩をしているとか・・・



スロープの勾配は緩いほど上りやすく、基準法では1/12以上の勾配とされていますが、理想では1/15以上とりたいところです。(医療施設ではこちらを採用しています)

1/15の勾配ということは、40センチ上がるのに、

   40㎝×15=6m

通路の長さは6m必要ということです。
敷地に余裕がなければ、取れない長さです。

スロープを設置するバリアフリー住宅の設計は(建物の)床の高さを極力低く抑える努力が必要です。
あまり低くしてしまうと、床下通気が十分でなくなります。また、床下の点検も難しくなります。
基礎高さは最低でも30センチは確保したいところなので、概ね45センチが限界でしょう。スロープの長さは7m近くになります。

7mの通路を確保するために、間取りの工夫が必要になります。
敷地に余裕が無い場合は、踊り場を設けて折り返す必要も出てきます。車椅子が折り返す場合、最低でも1.5mは必要です。

通路幅も1.5mは取りたいところです。(この家の場合は1.8mとってあるので、90度曲がって部屋に入るのもスムーズに行えます)


何気ない、雁木のような通路なのですが、バリアフリーの実現のために様々な工夫が凝らしてあるのです。


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バリアフリーについて考える

2010-03-03 20:43:13 | バリアフリーを考える

「バリアフリー」と一口で言っても色々な方法があります。
その人の障害によって様々なケースが考えられます。

介護される人、介助する人・・それぞれの使い勝手があり、
障害・介護のレベルによっても千差万別です。
バリアフリー設計のヒントとなれば幸いです。



新着情報

座って使えるキッチン

腰に負担をかけない洗面台(1)

腰に負担をかけない洗面台(2)




目次



通路・動線


階段昇降機

  いす式階段昇降機
  階段を昇降するための椅子式階段昇降機の紹介です

車椅子用アプローチ

  木製スロープ
  サッシの段差を解消する木製スロープを自作(中島町H邸)

  外部スロープ
  外部から部屋へのアプローチとしてのスロープ(中島町H邸)

  車椅子用昇降機
  外部から部屋へのアプローチとしての段差解消機(中島町H邸)


手摺の設置


浴室

  ユニットバスに取り付ける手摺の位置
  入浴時の手摺の使い勝手



水廻り


キッチン

  座って使えるキッチン
  キャスター付の椅子で使えるキッチンのプランです


浴室

  シャワーキャリーとリフト
  浴室内のリフト設置(中島町H邸)

  天ぷら風呂
  機械浴の検討(中島町H邸)

  タンカリフト
  リフトを2台使用した入浴支援システムの提案(却下案 中島町H邸)



洗面脱衣室

  洗濯流し
  洗面化粧台の替わりに洗濯流しを・・(宮本町M邸)





新築住宅


車椅子を中心としたプラン

  旧吉田町 T邸
  円形屋根の家です

完全介護のプラン

  中島町 H邸
  長岡市の市街地にある完全バリアフリーを感じさせないバリアフリー住宅




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祝 バンクーバー五輪終了 パラリンピック開催!

2010-03-03 19:06:59 | バリアフリーを考える
バンクーバーオリンピック
私の注目した場面のみをピックアップしてみました
色々・・・あったね・・・


全世界を感動の渦に引き込んだバンクーバー冬季オリンピックも無事終了しました。
色々なエピソードがあり、日本選手の活躍に注目が集まった2週間でした。
結果は銀3、銅2でしたが、各競技を見てみると、実力は紙一重といったところ。世界は遠いようで近い!またの機会に期待しましょう。


いつも楽しみにしているのは、この後に開催される「パラピンピック」です。
オリンピックほど華やかではなく、TV放映も殆どされないのですが、ついつい応援してしまうのであります。

開催期間は3月12日~21日で開会式はバンクーバーのBCプレイス・スタジアム、閉会式はウィスラーのセレブレーションサイトにて行われる予定です。

競技はスキー(アルペン、クロスカントリー、バイアスロン)、アイスホッケー、カーリングの64種目。障害の重度によって区分けがされます。



パラリンピックの日本選手団!
みなさん、頑張って下さい!
太田渉子選手(中央左上)、新田佳浩選手(中央右上:主将)
大日方邦子選手(中央左下)、中島洋治選手(中央右下)
後列両サイド 中北浩仁監督(アイスレッジホッケー)中森邦男団長


日本の選手団は、

アルペンスキー
大日方邦子さん、青木辰子さん、森井大輝さん、鈴木猛史さん、狩野亮さん、三澤拓さん

クロスカントリー/バイアスロン
太田渉子さん、新田佳浩さん、久保恒造さん、鹿沼由理恵さん、長田弘幸さん、瀧上賢治さん、佐藤圭一さん、出来島桃子さん

車いすカーリング
中島洋治さん、市川勝男さん、比田井隆さん、斉藤あや子さん、小川亜希さん

世界の舞台に立つのって、大変なことです。みなさん頑張って下さい。



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ユニットバスに取り付ける手摺の位置

2010-01-28 19:41:42 | バリアフリーを考える
新築時のユニットバスの選定や、リフォームの再に取り付ける「手摺」の位置で悩むことが多々あります。
各メーカーで手摺の提案はだいたい次の通りです。



ユニットバスに取り付ける手摺のプランは・・・


鏡の脇に取り付ける縦手摺

洗い場から浴槽に入る時に用います。
これ一本だと、入りずらい気がします。



浴槽の反対側に取り付ける横手摺

浴槽の反対側の壁にとりつける場合は、
風呂フタの開閉に邪魔にならない高さに設置します。
鏡脇の縦手摺と併用して使うか、
単体の場合は浴槽の縁につかまりながらの出入りとなります。



洗い場に取り付けるL型手摺

ほとんど意味がありません。
本来は浴槽の、鏡と反対側に取り付ければ、
洗い場から浴槽に入るためには一番便利だと思います。

ただし、そこには風呂フタを立てかけるスペースとなるため、
ほとんど採用されません。


基本は上記の通りですが、ちゃんと使えるのかどうか実際に使ってみないと分からない場合があります。
窓際に取り付ける横手摺を例にとってみてみましょう・・・



まず、浴槽をまたいで中に入り
窓側の横手摺をつかむ動作からはじまりますが、
ここで浴槽の中の足を滑らせないように気をつける必要があります


この体勢までに足を滑らせないように・・・
両足は浴槽の底についているので、滑りやすい。


窓側の手摺に体重を移動させながら、
腰を落としていきますが、体重をかけると、
足のほうに浮力が生じるため、転倒しやすい・・

同時に左手を浴槽の縁にかけようとします。


浴槽の両端に手をやり、支え、
ようやく座ることができます。


この動作までが転倒しやすい場面で、まだまだ手摺の位置の検討が必要だと思います。
健常者の場合は良いのですが、高齢者や要介護者の場合は、この一連の動作が難しくなってきます。
手摺につかまりながら、「座る・立つ」の動作をシュミレーションしながら手摺の位置や長さ、形状を決定していく必要があります。
時には浴槽の形状、入る位置を変えてみなければならないと思います。
前述のL型手摺が一番便利だとは思いますが、風呂フタを収納するスペースを考えなければなりません。

そういう意味で、実際に体験できるショールームの活用は有意義だと思います。
実際に設置する前に、何回も打ち合わせをしたほうが良いでしょう。


「バリアフリーを考える」へ・・


ゆったりとした対面キッチンの奥行



座って使えるキッチン










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