べんりや日記

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古民家の床下 床が低くても風が通る知恵

2020-03-13 12:03:07 | 床下環境
古民家の床下環境を考えてみました



この記事のポイントは

 1.風の通る豪農や社寺の建物と床下の低い古民家
 2.自然換気の公式をつくる
 3.床下が低いので風が通りやすい古民家の床
 4.古民家の基礎は石積み部分が本体
 5.古民家をリフォームする時、石垣を埋めてはならない

です。


 1.風の通る豪農や社寺の建物と床下の低い古民家


豪農の館や神社、お寺等の建物は床の高さが高く、その下の通気が良いことは想像しやすいと思われます。
自然の風が通り抜けることで湿気を逃がして床下の土が乾き、上屋の保存環境としては最適となるので、200年や300年もの耐久性があるというのもうなずけます。


神社の床下の様子


田の字型古民家



ところが、私の接してきた「古民家」は大半が床下が意外と低いのです。土台の下には石が置かれ、その下は直ぐに土が見える。
地盤と床の高さが30センチも無い建物が多いのですが、それでも100年クラスの古民家があるのです。


床下が低ければ、地面からの湿気の影響を受けやすく、耐久性に乏しいのではないか?

そんな疑問も持っていましたが、床下の換気計算を行うと、意外な結論が導き出されました。


古民家の床下は案外低い





 2.自然換気の公式をつくる

床下の自然の風による換気の式をつくりました。これは現代の一般住宅用に作った基礎パッキンを使った基礎を想定していますが、土台の下の開口部の厚みを12㎝くらいに設定し、床下の高さも30センチと低めに設定すれば古民家の床下への応用が可能です。
この式から床下換気の傾向が割り出せます。


床下の換気回数の式です



ここで、床下の換気回数nは大きいほど空気の入れ替わりやすいという事で、(1)、(2)、(3)の傾向が分かります。それぞれを解説していきます。

床下の換気回数の傾向(1)
基礎が小さいほど空気が入れ替わりやすい




大きな家の床下よりも小さい家の床下の方が空気が入れ替わるという事です。これはすんなり分かると思います。


床下の換気回数の傾向(2)
床下が低いほど空気が入れ替わりやすい




同じ風が吹いたとき、床下の体積が小さいほど空気の入れ替えが行われるという事です。床下の体積は「床下の面積」×「床下の高さ」ですから、面積を一定にした時、床下の高さが低いほど体積が小さくなるので、空気が早く入れ替わるわけです。


床下の換気回数の傾向(3)
風の通る長さが短いほど空気が入れ替わりやすい




風の流れる方向が長いと空気の入れ替わりが悪くなり、湿気が溜まりやすくなるのがこの傾向から導き出されます。これは建物の計画としては意外に重要と思われます。


この(2)の傾向は現代の建築から見て、逆行していると思ったのですが、アッと思ったわけです。


 3.床下が低いので風が通りやすい古民家の床

床下の換気回数の傾向(2)として床下が低いほうが空気の入れ替えが早いという事です。
確かに、古民家の床下は意外に乾燥していて、土がひび割れを起こしているケースもありました。
床下を低く抑えることで風が通り抜けやすくなるのです。






冬の時期は、建物の周囲に「コモ」(稲わらを編んだムシロ)を置いて寒い風が床下に入らない工夫もありました。
ネコやネズミが床下に巣くう場合もありますが、ネズミに関しては蛇が居付く事で穀物などの害獣の駆除に役立っていたわけです。

 4.古民家の基礎は石積み部分が本体

通風性だけを取ってみると古民家の木造部分の床下は低く抑える事で耐久性は増すのでしょうが、床下の湿気防止の工夫は、その下の土の基礎の部分にも及んでいるのに気づきました。
これまでの経験をまとめると、以下の図のようになるのです。



「石積み」がキーポイントだったのです。
家の周りを石を積んで取り囲んで、その内側に土を盛って「基礎」とするのです。
石積みの隙間から、中に土盛りした土にしみこんだ水を効率よく排水しできます。
雨水が石積みの内側の土に極力入らないように、屋根鼻を伸ばす工夫もされています。

この石積みの基礎なしでは、低い床も実現できないと思われます。



屋根の葺き替え中ですが、足元に石積みがあります


左の手前の大きな家も、石積みが施されています。
石積みの上にコンクリート基礎が行われ、換気を妨げているように思えます。


周囲の田んぼよりも高めになるように石が積んであります。
道路は更に高くなって建物の床とほぼ同じくらいに位置しているので、そこからの毎日の出入りは楽だと思われます。
道路と建物の入り口の間には橋が渡されていたかも知れません。


「古民家」というと大工の木組み技術に光が当てられますが、その基礎部分である「石積み」も、日本の建物を考えたときに重要な要素なのだと思われます。



 5.古民家をリフォームする時、石垣を埋めてはならない

石積み基礎の周りは「井川(いがわ)」という溝になっていて、基礎内の湿気を排水するという大事な役割があります。
この溝を埋めてしまうと、建物の床下に湿気がたまりやすくなると思われます。
毎日の使い勝手として、高い基礎を上り下りするのが大変なので、土間コンクリートで埋めてしまうケースがありますが、建物の耐久性を欠いてしまうので注意が必要です。
また、土台回りも、小動物の侵入防止や耐震性向上のためのコンクリート基礎を行う傾向にあるようですが、風の入る場所を塞いでいる弊害が出てくると思います。





石積みまで土間を打ったケース



先人の知恵というのは、知れば知るほど、その奥行きの深さに驚かされます。
長い年月をかけて経験でこういう形になったのでしょうが、現在の科学知識の観点から見ると、実に合理的に作られているのです。
大工だけでなく、石工の技術も加わらなければ、古民家の耐久性は確保できない事が分かりました。
多くの職人が力を合わせ、日本の風土に合った家づくりをしていたわけです。
こういった経験や知恵を現在の家づくりに活かせれば、より耐久性を高め、住みよい空間づくりに役立つのだと思います。



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床下換気と換気回数の計算について

2020-03-10 23:22:08 | 床下環境
当社の基礎はフレキシブルな床下換気を行う事が可能です



この記事のポイントは

 1.換気口の種類(開閉式、開放式)
 2.床下換気扇
 3.自然風による換気回数は1時間に2~3回(計算してみました)
 4.強制換気の換気量の計算方法

です。


最近は温暖化の影響なのか気候が昔と違ってきているようです。
雪国が暖冬だったり、今まで雪の降らなかった地域に大雪が積もったり、大雨による洪水の被害、大型台風による風害、そして真夏の異常な気温上昇です。

これまでの住宅は、長い年月の家づくりの経験や実験によって形作られてきたのですが、それが通用しなくなってきていて、その弊害も出始めています。
当社は出来る限り様々な環境に対応できるようにフレキシブルな構造を心がけてきました。床下の換気に関しても様々な工夫を取り入れています。


 1.床下換気口の種類 ~開閉できる換気口を採用しています

基礎の開口部に取り付ける換気口は二種類あります。

イ.開閉式の換気口
ロ.常時開放型の換気口

です。
イの開閉式は換気口ガラリにレバーが付いていて、操作すると換気口の蓋が開いたり閉じたりできるタイプです。
ロの常時開放型は部屋の換気扇の外壁部に取り付けるタイプのもので、開閉の操作はできません。

当社としては、イの開閉式をお薦めしています。開閉式タイプの換気口を使う事で、季節に合った床下換気を行って頂いています。

・春や秋の乾燥期に換気口を開放し、外気を取り入れる

・梅雨等の外気の湿気の多い時期は換気口を閉じて床下を遮断する


住宅の部屋でいうところの「窓」と同じ感覚で操作していただき、開閉のタイミングに関しては、お客さんの判断に委ねられるところです。

基礎パッキン工法の場合、開放か遮断のどちらかしか選択できません。外気を取り入れるかどうかは工務店の工法の採用によって決定してしまいますが、後に弊害があった場合は改良するのに多額の工事費が必要となります。
当社は、開閉のできる形状によって、環境の変化に対応できると考えています。


基礎に設けられた換気口は開閉が可能です




床下換気口のガラリの形状



ステンレス製の開閉可能タイプ


ステンレス製の換気フード(開放型)




 2.床下換気扇 ~機械による強制換気に対応できます

周囲の環境によって自然の風が通らなかったりする場合が考えられ、その場合は機械による強制換気を採用する事が可能です。
また、建物が大きく、基礎自体が広かったり、基礎の高さが高かったり、風向き方向の建物の長さが長いと床下換気の効率も下がるため、強制換気が必要となってくることもあります。


基礎の換気口は円形となっているので、



排気用換気扇の取り付け

開口部に市販の壁付け換気扇を取り付ければ強制排気が可能です



給気用換気扇の取り付け

給気用の換気扇とする場合は、逆に取り付ける形状に改造します


給気用の換気扇の設置状況



 3.自然風による換気回数は1時間に2~3回 ~換気回数の計算を行いました

建築基準法では基礎に設ける換気口の大きさと間隔が定められています。

建築基準法 第22条
 最下階の居室の床が木造である場合における床の高さ及び防湿方法は、次の各号に定めるところによらなければならない。
 ただし、床下をコンクリート、たたきその他これらに類する材料でおおう等防湿上有効な措置を講じた場合においては、この限りではない。
一 床の高さは、直下の地面からその床の上面まで45㎝以上とすること。
二 外壁の床下部分には、壁の長さ5m以下ごとに、面積300㎝2以上の換気孔を設け、これにねずみの侵入を防ぐための設備をすること。

とあります。
現在は床下にコンクリートを打ち込んだり、防湿シートを床下に敷いたりして地面からの湿気を軽減するのは当たり前になっていますが、昔の建物は「床下が土」のままの建物が多かったので、地面からの湿気を自然換気によって外部に放出するための換気孔を決めた法律となっています。
床下の換気回数が直接定められているわけではないので、どのくらいの必要回数なのかは計算が必要になってきます。

基礎パッキンは、床下が土の場合でも有効に換気ができるように設計してあるので、このケースを使って自然換気の回数を計算する事としました。



まずは、一般に広く使われている基礎パッキンで考えます


自然の風の平均風速の計算


基礎パッキンの場合の換気回数


以上の計算により、1時間の換気回数が2~3回だという事が分かります。
1時間に2回くらい空気が入れ替われば、床下の土からの湿気を逃がす事ができると考えられていたと推測されます。
床下にコンクリートが打ってある場合は、土からの湿気が軽減されますが、コンクリート自体が湿気を出すため、1時間に2~3回までは必要はないにせよ最低限の換気口は必要と考えています。


 4.強制換気の換気量の計算

機械による強制換気を行う場合は、換気扇の能力を調べれば良いことになります。


換気扇を使った場合の換気回数の計算



基礎の面積がおおよそ50㎡の場合、パイプファン(Φ100㎜)が1台あれば良いことになります。
機械による強制換気を行う場合、2台の設置をお薦めしています。


第3種換気をした場合


注意しなければならないことは、強制換気にしても自然換気にしても「外気が乾燥していなければ逆効果」となることです。
せっかく乾燥している床下に湿気のある外気を取り込み、結露を起こしてしまう原因になります。
換気回数が増えれば増えるほど外気の影響を受けます。


第1種換気(給気、排気共に機械換気)


第1種換気をする場合、給気する方向を乾燥しやすい場所へ自由に設定が可能な点で有利になります。
給気・排気各2台ずつをお薦めしています。
この場合も、換気回数が増えると、より外気の影響を受けやすくなるので注意です。
温度計や湿度計を見ながら適切に管理・取扱いする事が必要となります。

手動でON、OFFを行う方法の他に「タイマー」を使って自動で電源を入・切させる方法もあります。

換気扇とタイマーを併用して時間で作動・停止させる工夫もあります




電気屋さんが大変ですが・・


例えば、この円形の開口部を利用すれば全熱交換型の換気扇を導入することも可能となってきます。
今後の気候変動に対応するには、様々な機器が考えられてくると思われますが、フレキシブルな構造とする事で予期せぬ状況に対応が可能な形状を選んでいます。
住宅へのこだわりは、こういった見えそうで見えない場所にも工夫を盛り込んでいるのです。




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床下 結露(夏型結露)

2006-08-05 10:16:00 | 床下環境


連日、真夏日が続いています。

写真は、梅雨の時期に撮った床下の写真です。
床下地の直下に発泡系断熱材を敷き詰めるのですが、その下に水滴がついているのが見受けられます。
床下全てがびっしょりに濡れて、タルキや大引、束までもが湿って、かび臭くなってきています。

今年の梅雨は特に長く、南西より湿った暖かい空気が絶えず流れてきていたのです。
わが社はベタ基礎の仕様の為、床下に入り込んだ湿った空気は、コンクリートに冷やされ、水蒸気が飽和状態になって水分のみが残され、床下にどんどん留まり、このような状態になってしまいます。
床下よりも外部のほうが気温が高く、湿度が高いために起こる現象です。

このような状態を防ぐためには、床下換気口を閉じて、外部からの空気の流入を遮断することが有効でしょう。
幸い、わが社の換気口は開閉式で、冬は閉じておくことを薦めています。

春に開放して、冬になったら閉じてもらうようにお願いしてきましたが、梅雨に入る前に一度締めてもらうのが、いいのかも知れません。
春と秋に外気を取り入れて湿気を抜くのが良さそうです。

最近、基礎パッキン式の施工が流行していますが、この場合、外部からの空気を遮断できない構造になっています。基礎の全面から外気を取り入れる利点がありますが、外気が高温多湿の場合は床下が蒸れてしまう恐れがあります。



床下の湿気対策について解説しています

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