昨日まで乾いた日が続きましたが、今日は曇ベースの時々雨・・
入梅も近いのでしょうか?(明日はまた、晴れるらしい)
丸専デパート跡地に建築する予定の店舗(平屋)の確認が難航しております。
防火地域内なので準耐火建築物(45分耐火)にしなければなりません。
またダイライトや強化石膏ボードのオンパレードとなります。
こちらは、予算の都合で地元杉の率は非常に少なくなります。(柱くらいか?)
しかも、金物だらけとなります。
普通の工務店ならば、そこは気にしないのでしょうが、地元杉にこだわっている私にとっては無念の限り・・
(まあ、どのみち木の現しになるところは全く無いのですが・・)
全国建築組合連合(全建連)の長期優良住宅(200年住宅)の仕様がまとまってきたようで、その説明会に参加しました。
説明会は東京・箱崎にて行われました。
写真は新幹線の道中にて撮ったものです。
場所は本庄あたりで、トウモロコシ畑が延々と続いていた様子(観ずらいですが・・)
熊谷あたりでは水田。稲が育成中・・
首都圏といっても、少し離れれば、田園地帯が広がります。
アメリカやブラジル等で、それまで飼料用に栽培されたトウモロコシ畑からバイオ燃料の原料用の作物に農地転換したため家畜用の餌が不足。
トウモロコシの値段が上がるばかりでなく、輸入量も減少。
そのために、国内の鶏卵や牛乳の蓄農場が経営難に陥っています。
輸入品は、国産材よりも「高い」という印象でしたが、輸入品が高くなれば、逆転してくるはず・・
国内の農家にとっては、またとないチャンス?
トウモロコシに目を付けたのでしょうか?首都圏ならば輸送コストもかからないし、高く買ってくれれば農家も育成する甲斐があります。
食料自給率39%という実情を打開するいい機会だと思います。
原油高騰による輸送費の値上げや中国向けの輸送が増え、日本に送られてくる品が不足する事態となっています。
(コンテナが中国やドバイに押さえられ、日本に向けたコンテナが手配できないとのこと・・)
木材も同様で、輸入材が徐々に値を上げてきています。
アメリカのサブプライムローン問題により、住宅着工戸数が激減したため、アメリカ国内の木材需要が減り、木材は値を下げているとのこと、ただし原油高騰や輸送手配の困難化から、輸送コストは上がり、米松関連は値が変わらないか、徐々に上がったくらい・・
アメリカ景気が持ち直して住宅着工戸数が上がれば、木材も値が上がり、今度は日本の国産材よりも高くなる現象が起こるでしょう。
中国、ロシアの需要が上がればなおさらのことです。
食料、木材、等の輸入品が上がる一方で、国産はどうかというと、卸値は下げ止まり。
組合を通すと、どうしても値を上げられない状態が続いているようです。
引き取り価格が上がらない限り、生産しても赤字が続くようでは経営が破綻してしまう。
いか釣り漁でも、燃料の高騰により、船を出して漁をする度に赤字で、休業に追いやられている状態が続いているとのこと・・
消費者が高く買ってくれれば、いいのですが、給料も上がらず、税金は上がる一方で、余裕はない。やはり輸入に頼るのか?
でも、安全性とかどうなのだろう?
食の安全と安定を考えれば、少し高くても国産を・・という思考になるのだろうか?流通面の改善を願います。
日本の国土と生活を支えている一次産業が衰退するかどうかの瀬戸際で、何とか流通しそうな農産物にシフトしていく強かさが見受けられます。
どの業界も今がふんばりどころ・・
そんな思いを胸に、新幹線の車窓から広大な農村地帯を眺めていたのでした。
で、200年住宅。
私の伝統構法は「伝統構法」の中でも、最低レベルのランクに当たる。
技術もそんなにあるわけでもない。
最低限の木組みによって、耐震性、耐雪性を確保する。
在来木造の刻みをやっていた大工さんならば、そのコツがわかれば直ぐに移行できるはずだ。
そして、3年前の新潟県中越地震の際に、その真価が発揮された。
間違いなく、これでいけると確信した。
金物を使わない構造の目標は100年。
「地元に100年生きた木を100年活かす」
のそために、努力と改善を積み重ねている。
200年住宅構想は、その年月を更に伸ばす工夫が要ると思う。
伝統構法でも200年もたせるには努力が必要だろうし、ましてや在来軸組工法では金物を使うわけだから、更に努力と工夫が要るはずである。
全建連の提案している構造材は、土台が4.5寸(13.5センチ、通常は4寸)の桧、1階、通し柱は4.5寸(13.5cm)の杉。いずれも国産で、100%使用。
下地材や仕上げ材にも国産材100%という目標をかかげた。
「国産材」というのは賛成だ。
全国の大工さんのレベルに合わせるために金物を使用。まあ、これは仕方ないことだ。
でも、200年もたせるには、金物の使い方に工夫が要るはず・・
何年か後、若しくは地震後に緩んだ金物を締める必要がある。
それが容易に出来る工夫が必要だと思う。
外壁を解体せずに、ボルトを締める方法を考えればいい。
ボルトを外側から内側へ通して、内側で締める方法。
羽子板ボルトではなく、「引き寄せ金物」に変える方法。
横架材の外側に、霧除けを設けて、軒裏を解体する(防水面は壊さない)方法等・・色々と工夫が必要だ。
基礎に関しても、コンクリートの寿命は50年。
地盤改良、杭地業に関しても、地盤保証会社の保障期間は10年。
10年以降の不等沈下に関しては誰も保障しない。
しかも、地震等の天災に関しては免責(支払われない)である。
200年の間に、大地震は2回くらい、中規模地震は5回くらいはあるであろう・・
不等沈下は避けては通れないと思う。
それゆえ、土台を上げて、床を平らに直せる工夫も必要だと思う。
新潟県中越地震の復興の際に、下がった土台をジャッキ揚げするのに、基礎と土台の間に隙間があると、とても便利だった。換気口にジャッキの爪を入れ、土台を容易に持ち上げることが出来る。
現在よく施工される、土台パッキン工法や○穴通気だと、基礎は丈夫になるが、将来的なジャッキ揚げに関しては、一部削って爪を入れるしかない。
国産材を使う。
とてもいい響きだが、それを使いこなす技術も必要。
全く使ったことが無い人が、輸入材の変わりに導入すればクレームだらけの住宅となる。
工務店側も注意が必要だが、住まい手も「国産材の特性」を十分知っておく必要がある。
(割れ、狂いがある、弱い、色が悪い等・・)
将来的な、メンテナンスや改修、模様替えのしやすさも考慮すべき・・
隠蔽部分(※隠蔽工作ではない)を後世に伝えておくために、無数の写真を残しておく。そのデータも分散。お客と工務店、保証会社に分散しておけば、どこかで滅失、紛失してもカバーできる。
200年先の生活リズムに対応できる「間取り」「デザイン」は設計士の腕の見せ所か・・・
そういった、重要なところが、意外と抜けていたりする。
現行の優良住宅が少しレベルアップした程度に考えているようだが、
「200年後に住んでいる人」
のことを考えると、もっときちんとしておく必要がある。
100年の更に上を行く工夫・・
どんどん提案していく必要がありそうだ。