新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ヒルザキツキミソウ:昼咲月見草(昼咲く花で月見草を想像)

2006-06-16 06:17:03 | 植物観察1日1題
太宰治が“富士には、月見草がよく似合う”といったのは実は黄色い花の(オオ)マツヨイグサであったとか、そのまたマツヨイグサを竹下夢二が宵待草と歌ったとかで月見草がらみの名は混乱しています。
本当のツキミソウ(月見草)は、北アメリカ原産で、嘉永年間に渡来した白色の花ですが、性質が弱かったためか、今ではほとんど見ることができません。これに対し、ほとんど同時に渡来して広く野生化している黄花の(オオまたはメ)マツヨイグサが、今では“月見草”の通称で一般によく知られています。
その代わりかどうか、同じ仲間の多年草で、大正年間に北アメリカから園芸用として日本に入ってきたヒルザキツキミソウ(アカバナ科マツヨイグサ属)は、耐寒性、耐暑性ともに強く、今では野生化したものもあって各地で見られます。
高さ30~60cm、地下茎で伸びてよく茂ります。茎頂の葉脇から蕾が出て、初めは下向きにつき、開花時は上向きになります。花弁は白く4個あり、のちに淡い紅色を帯びます。
日中に花が開くのでこの名がありますが、同種同属とはいうものの、よく考えると少しおかしい命名です。しかしこの名があるおかげで、いまや見ることもない本当のツキミソウの様子を想像することができるともいえます。

オオヤマレンゲ:大山蓮華(裏庭にひそやか)

2006-06-15 06:29:25 | 植物観察1日1題
裏庭にオオヤマレンゲ:大山蓮華(モクレン科モクレン属)が、次々に純白の花をつけています。円錐状の花床の下部に雄蕊上部に雌蕊がらせん状につくモクレン科独特の構造をもち、鮮かな紅紫色の雄蕊(葯と花糸)が目立っています。
互生する葉は長さ7~15cmの広倒卵形で、先は短く尖り、裏面は白色を帯びます。
花は、5~7月、枝先に白い花を下向きまたは横向きにつけます。外側の花被片は3枚の萼状、内側に6~9個の花弁があります。
深い山地の落葉広葉樹林内などに生える落葉小低木で、花木として庭に植えられますが、自生地は少ないといわれます。和名の大山蓮華は、大和の大峰山系に生えていたから、また蓮華は花の様子から来たとされています。
写真は、妻が茶花用に園芸店でオオヤマレンゲとして入手したものですが、花後に選定してやれば、狭い裏庭にもよく収まって、毎年沢山花をつけてくれます。全体としてやや小ぶりですので“姫”
などがついた改良種と思われます。
ホウノキとの雑種でウケザキオオヤマレンゲというのがありますが、花も葉も大ぶりで、名のとおり花が上向きに咲きます。人により好みは違うでしょうが、清らかに白いこの花は、小ぶりで下向きのほうが似合うと私は思っています。

マーガレット(あまりにも園芸的)

2006-06-14 06:52:17 | 植物観察1日1題
玄関先に植えているマーガレット(キク科アルギランテラム属)が、大きく育っていっぱい花をつけ少し通りにくくなっています。
名前を聞くだけで可憐な感じのこの有名なマーガレットを記事に取り上げようと図鑑を調べましたがどこにも載っていません。あまりにも園芸的過ぎて取り上げる価値がないということでしょうか。
アフリカ西部カナリア諸島原産のこの花の名は、ギリシャ語のマルガリーテス(真珠)に由来します。常緑多年草で、暖地では戸外でも越冬し、高さ1mくらいにもなる茎は木質化しよく茂ります。
春先から初夏にかけて盛んに開花し、清らかな草姿と花が好まれ花壇や針植え切花で人気がありま
す。
普通は白花ですが、紅色を帯びたものや黄色のものもあります。
モクシュンギク(木春菊)、オタマギク(お玉菊)、キダチカミツレ(木立カミツレ)などの別名があり、花言葉は“恋の占い”“誠実”。イタリアの国花です。

ツキヌキニンドウ:突貫忍冬(突き出る花茎)

2006-06-13 05:34:52 | 植物観察1日1題
少し前、あちこちの垣根の上から赤い房のような花が突き出ていました。
北アメリカ原産のツキヌキニンドウ:突貫(突抜)忍冬(スイカズラ科スイカズラ属)は、常緑のつる性低木で、茎の長さは3mにもなりよく分枝します。
対生し裏面が粉白を帯びる葉は、長さ5~9cmの卵型で、花のすぐ下の葉は柄がなく、基部と基部がくっついていて、茎が1個の葉を突きぬいているように見えるのでこの名があります。
初夏、茎頂に何段も花を輪生し、花は黄紅色筒状で長さ3~5cm、筒に内側は黄色で、先端は五裂,
雄蕊5個、雌しべ1個が花冠から突き出ています。
同じ時期、山に咲いている、やはり忍冬の名を持つ日本産のスイカズラ(17年6月7日記事)とは同じ仲間でもまるで違う派手さで、やはりあちらものの感じです。

アヤメ:菖蒲(赤の他人の二つの菖蒲)

2006-06-12 05:40:54 | 植物観察1日1題
愛読者の方から、山野の草木もよいが時には身近なものもとの注文をいただきました。しばらく庭先でもおなじみのものをとりあげます。
室生犀星の愛嬢杏子さんの随筆に、アヤメの花時になると庭に出て根元を指で押さえては花芽がついているかどうか確かめる犀星のことが出てきます。
引越しのとき以前の家から一緒に移ってきた我が家のアヤメも、20年間増えもせず消えもしないながら毎年花数は少なく、今年は1株だけの開花でした。気になって、いつの間にか犀星のまねをしている自分に苦笑しています。
アヤメ:菖蒲(アヤメ科アヤメ属)は、日本列島とその周辺に至る地域に分布、やや乾燥した山野に自生する多年草で、高さ50~60cm、葉は広線型で直立し、幅1~2cmと細長く中肋はありますが盛り上がりません。
5~6月、茎の先に青紫色の花を2~3個つけます。花は直径8cmくらい、外側の3個の花弁(外花被片)は垂れ下がり、基部に黄色と白色の網目模様があります。
この模様を綾目と見てアヤメの名があるという説がありますが、本来古語の分目(あやめ)は葉の並列する様子を意味するもので、古くは端午の節句に使われるサトイモ科の菖蒲(ショウブ)(5月31日記事)の名であったのが、菖蒲をショウブと呼ぶようになってから、この名はもっぱらこのアヤメ科のアヤメ(一名ハナアヤメ)の名になったというのが正しいようです。
今でもアヤメもショウブも菖蒲と書くので、ショウブとアヤメが植物として同じ仲間なのかと考える人もいて紛らわしいことではあります。

ミヤマキケマン:深山黄華鬘(図鑑どおりの場所に咲く)

2006-06-11 05:38:14 | 植物観察1日1題
(白山山麓シリーズ終)
白山スーパー林道沿いの蛇谷という川は、豊かで冷たい雪解けの水をたたえて流下します。その清流を背景に、ミヤマキケマン(ケシ科キケマン属)の群落が今花盛りです。
花が沢山並んで釣り下がった形を仏殿の装飾の華鬘に見立て、黄花で、深山に生えるのでこの名があるミヤマキケマンは、本州近畿以東の山中の崩壊地や谷沿いの砂礫地などに多い越年草です。
束生、斜上し、葉は羽状に切れ込み、柄を持ちやや白っぽい緑で通常紫褐色を帯びます。
4~5月、花は淡黄色の長さ2~2.5cmの筒状で、先は唇状に開き、基部が袋状になってうしろが突き出ます。
仲間にキケマンやヤマキケマンがありますが、図鑑で見ても相違点は微妙で難しく、果の形が、本種では細い線型でやや弓形に曲がり数珠状にくびれる、キケマンはくびれがなく狭長楕円形で種子が2列に並ぶ、ヤマキケマンは細い線形で著しく屈曲する点で区別するのが分かりやすいようです。

ヒメシャガ:姫射干(姫著我)(牢獄の姫君)

2006-06-10 06:11:43 | 植物観察1日1題
(白山山麓シリーズ⑤)
数年前までは家の鉢植えで花を咲かせていたのが、いつしか消えてしまってすこしみしく思っていたヒメシャガ:姫射干(姫著我)(アヤメ科アヤメ属)が、白山スーパー林道の道路脇のそこここに咲いていて、うれしくなりました。
山野草の愛好者に栽培され、日本庭園の石の脇などにもよく使われているヒメシャガですが、主に日本海側の山の斜面に生える多年草で、最近自生地が少なくなっているといいます。
高さ20~30cm、葉は薄く草質で淡緑色、長さは20~30cmくらいの剣状です。
花は淡紫色、花被は全縁、外花被は小楕円形で淡紫色。シャガ(5月1日記事)とは異なり球状の果を結びます。
シャガに似て全体に小ぶりなので姫の名がついています。
写真のヒメシャガの花ですが、落石除けの金網の間から姿を覗かせていました。かわいそうな環境ですが、それゆえにこそみんなの手が届くような場所ででも、悪い人の手にかかることなく立派に咲き続けているのかもしれません。

ヒメウツギ:姫空木(卯の花よりも白く)

2006-06-09 05:28:26 | 植物観察1日1題
(白山山麓シリーズ④)
大阪では今、卯の花(ウツギ)が満開を迎えていますが、ここ白山山麓は1月から半月ほど季節が遅い様子で、卯の花より花期が早いというヒメウツギ:姫空木(ユキノシタ科ウツギ属)がちょうど咲き始めたところでした。
本州関東以西、四国、九州の日当たりのよい山地の岩間や谷沿いに生える落葉低木で、高さは1mほどになり、ウツギより小型なので姫の名がついています。
花は直径1.5cmほどで、白色です。卯の花(ウツギ)は、白い花の代表のようにいわれていますが葉の両面、花柄、萼などに星状毛が多く生えていて、どこか褐色を帯びるように見えるのに、このヒメウツギは葉にも花にも星状毛は少なく、その分だけ卯の花より白さが勝る感じで、萌えるような若葉の中でよく目立っていました。

ノビネチドリ:延根千鳥(漢字で覚える)

2006-06-08 05:27:26 | 植物観察1日1題
(白山山麓シリーズ③)
同行した友人の一人は、ことのほか昆虫に関心が深く、この日も大きな捕虫網をもってあちこちふりまわしていましたが、その分とても目が早く、手が届かない高いところに咲いているきれいな蘭を目ざとく見つけて知らせてくれました。
何でもその友人が去年上高地で探しまわったのに見つからなかったとかで大喜びしていたのは
ノビネチドリ:延根千鳥:(ラン科テガタチドリ属)です。
山地の湿ったところに生える多年草で、沢沿いの草地や樹林の中などに多いといいます。
高さは30~60cm、葉は5~10個互生し、長さ7~15cm、幅2~6cmの楕円形で、ふちは細かく波状に縮れます。
花期は5~7月、茎の先に径1cmほどの薄ピンクの花が固まってつきます。
和名は、根が延び走る千鳥草の意で、チドリソウの根が手の形をしているのにたいし、そういう根を持たないことを表しているそうです。最初聞いたときなかなか名前を覚えられず、何回も聞き返したのですが、図鑑でこの字と意味を知ってからはすっかり覚えてしまいました。

ルイヨウボタン:類葉牡丹(葉だけ似る牡丹)

2006-06-07 05:20:09 | 植物観察1日1題
(白山山麓シリーズ②)
白山スーパー林道のウオーキングを始めてすぐのところで、特徴ある葉のうえにあまり目立たない黄色い花が咲いているのを見つけました。
たぶん分からないだろうなと思いつつも、とりあえず写真を撮って帰り、図鑑をパラパラめくっていると、偶然にもこの葉の形の草がすぐ見つかりました。
ルイヨウボタン:類葉牡丹(メギ科ルイヨウボタン属)です。葉の形が牡丹に似ているから付いたというこの名には誰でもすぐ納得です。
日本各地や近隣の温帯に分布する深山の林下に生える多年草で、茎高は40~70cm、根茎は横に這い古い茎の基部を連ねます。
茎葉は2~3回3出複葉で葉柄はほとんどなく、小葉柄が長いので3個の葉が輪生するように見えます。黄緑色の花は径8~10mmと小型で、6個の花弁と見えるのは内側の萼片、花弁は雄蕊に接して小線状についています。
花こそ目立ちませんが、この葉の形と名前を結びつければ、覚えやすい草のひとつといえます。

キクザキイチゲ:菊咲一華(3ケ月振りの再会)

2006-06-06 06:16:19 | 植物観察1日1題
(白山山麓シリーズ①)
世にウォーキング愛好者は多く、その一人に誘われて、6月4日、白山スーパ-林道除雪後の本格開通前の限定ウォーキングツアーなるものに参加してきました。道路の雪こそすっかり消えていましたが、ところどころの谷筋には、まだ残雪が道路から見ると山側、谷側に大きな雪のトンネルになって残っています。その左右はつい最近まで雪が残っていたことを示すようにまだ草が生えていない黒い土肌がありました。
そこに、何株かのキクザキイチゲ(またはキクザキイチリンソウ):菊咲一華(キンポウゲ科イチリンソウ属)が咲いています。
3月、まだ名残りの雪が降る丹波篠山で見たキクザキイチゲは冬空のもと蕾んだままでした。(3月18日記事)
3ケ月ぶりに再会した白山山ろくのキクザキイチゲは紫の色も涼やかに、雪渓から流れ出る冷たい風に揺れています。写真ではうまくでていませんが、残雪の縁に近い花ほど紫が濃く、遠ざかると白っぽくなっています。咲き始めの花の色は濃く、日がたつにつれて白くなってゆくようです。
場所を変えての懐かしい再会に、もう一度記事に取り上げてしまいました。

サルナシ:猿梨(キーウイの本家筋)

2006-06-05 06:18:08 | 植物観察1日1題
ニュージーランドの国鳥に似ているからキーウィと呼ばれる外国生まれのフルーツは今ではすっかりおなじみです。その原種をたどれば日本の山野に自生するサルナシ:猿梨(マタタビ科マタタビ属)の仲間と知れば一段と親しみが増すというものです。。
サルナシは、コクワ、シラクチヅルなどとも呼ばれ、山地に生える落葉つる性木本です。木や岩に絡んでジャングル状の藪を作るところからマント植物といわれています。
つるは丈夫で、筏を組んだり吊り橋に使われ、中でもこれで作られた四国祖谷渓のかづら橋は有名です。
互生する葉は長さ5~12cmの広楕円形で先は尖り、葉柄は赤みを帯びます。
雌雄別株または同株で、花は初夏、雄花は集散花序、雌花は単生で柱頭は放射状に多数に裂けます。
液果は秋に熟し香りがよく、甘酸っぱくて、そのまま食べたり、果実酒にされたりします。
写真は雄花です。


カラタネオガタマノキ:唐種小賀玉の木(バナナの香り)

2006-06-04 00:45:52 | 植物観察1日1題
万博公園日本庭園の中央休憩所の東側に、バナナそっくりの香りがする花をつけているのがカラタネオガタマノキ(またはトウオガタマ):唐種小賀玉の木(唐種招霊の木とも):(モクレン科オガタマノキ属)です。
神社によく植えられ、枝を神前に供えて、神霊を招く・招霊(おきだま→おがたま)から名がついたといわれるオガタマノキの中国原産版で、オガタマノキよりは小型の常緑小高木です。
花も径3cmと小ぶりですが、ちゃんと、軸を中心に、雌蕊が上にらせん状に、少しはなれて雄蕊が下につくモクレン科特有のつくりになっています。
遠くからでもそれとわかる強い香りは、バナナの匂いで、この香りからバナナツリーの別名もあります。

シライトソウ:白糸草(シンプルな色のこみ入った花)

2006-06-03 06:56:48 | 植物観察1日1題
穂全体に白い糸状の花被が水平状に伸びる様子からこの名があるシライトソウ:白糸草(ユリ科シライトソウ属)は、秋田県以南の山地や木陰、谷沿いなどの生える多年草です。
倒披針形の根出葉をロゼット状に叢生し、5~6月、15~50cmに伸びた花茎に細い小葉を多くつけ、
上部は穂状花序となり多くの純白小花が芳香を漂わせて清らかに咲きます。
小花は花披が6個、この中の4個だけが発達して長さ約1cmの細長いへら状線形となります。
雄蕊は6個、この中の3個の花糸は長く、他の3個は花披の残りの2個とともに短くなっています。
図鑑を照らし、なるほどと頷きながらルーペで見るのが楽しい花です。

シナアブラギリ:支那油桐(時移りよみがえる花)

2006-06-02 06:17:59 | 植物観察1日1題
戦後まもなく、物資不足のなかで、田舎での稼ぎ頭は、先ずシュロの山持ちでした。シュロの幹を巻く繊維が高値で売れたのです。次いで誰かが山一面にアブラギリを植えて、搾油工場を作り桐油を絞りました。戦後の混乱が収まりいろいろな工業製品が出回りだすといつの間にかそれらの山は荒れはて、工場も廃止になりました。
そのシナアブラギリ:支那油桐(トウダイグサ科アブラギリ属)が今、底紅の白い花をつけています。
昔栽培されていたものが放置され野生化してあちこちに群落を成しているといいます。
油をとるときは顧みられることもなかったこの花が、今見る人に思いがけない美しさでよみがえっているのです。