新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ヤノネボンテンカ:矢の根梵天花(なじみのない本名)

2008-07-31 06:56:54 | 植物観察1日1題

いつのころからか庭にあって、自然にあちこちに殖え、芙蓉のような小さい白い花を寒くなるまでつける木の名が、タカサゴフヨウ:高砂芙蓉だとは聞いていましたが、本名が大仰なヤノネボンテンカ:矢の根梵天花(フヨウ科)だと知ったのは最近のことでした。
花は白く、中心部が赤褐色です。細い葉の形が矢じりに似ているところから、ヤノネの名がついたといわれますが、仏教の天部のひとつ梵天の名が後ろについている意味は分かりません。
当初、花木として庭に植えられたのでしょうが、今ではあちこちで野生化したものも見られます。結構身近な花の割には本名が知られていない品種といえます。


キガンピ:黄雁皮(高級和紙の原料)

2008-07-30 06:21:51 | 植物観察1日1題

山地の道端にキガンピ:黄雁皮(ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属)の枝先に薄黄色の筒形花が膨らんでいました。
東海道以西、四国、九州の日あたりのよいやせ地に生える落葉低木で、高さは2mほどになります。葉は対生し卵形もしくは卵形披針形です。
花は夏の初め、花弁はなく、先が4裂したがく頭の長さは8~10mm、7~20個集まってつきます。
樹皮の繊維は非常に丈夫で、良質の和紙(雁皮紙)になることで知られています。
雁皮紙は、ガンピの樹皮を原料とし、ノリウツギまたはトロロアオイの粘液を用いて漉き、表面を刷毛でこすり滑らかにした薄い上品な和紙で、緻密で光沢があり、虫害に強く、防湿性もある優れた和紙です。

ヒメヤブラン:姫藪蘭(姫にふさわしい小花)

2008-07-29 06:18:13 | 植物観察1日1題

寺院の一角の草地にヒメヤブラン:姫藪蘭(ユリ科ヤブラン属)が、見落としそうなくらい小さな花をつけていました。
日本各地に分布し、日当たりのよい芝地などに生える常緑の多年草で、葉は高さ10~20cm、柔らかく根元から出ます。根茎は短く横から長い送出枝を出してふえます。
花は夏、直径1cmほどの淡紫色まれに白色で、花序は決して曲がらず上向きにまばらに咲きます。
小形でやさしい姿からこの名がついたヒメヤブランは、ヤブラン(06年9月18日記事)とは、草の大きさ、花の様子などから、容易に区別できます。

アメリカネナシカズラ:アメリカ根無葛(根も葉もなくても花は咲く)

2008-07-28 06:53:03 | 植物観察1日1題

道端の潅木に絡まった黄色いひも状のものになにやら花が咲いています。
アメリカネナシカズラ:アメリカ根無葛(ヒルガオ科ネナシカズラ属)は、北アメリカ原産で、各地に帰化しているつる性の寄生植物で、葉緑素を欠き、葉は退化して全体に淡黄色を帯びます。
茎は細く、分岐して他の草木に巻きつき、ところどころに吸盤をだします。
昭和40年代に東京で発見され、今では全国的に発生し、害草にもなっています。
7~9月、白い小さい花を固まってつけ、花冠は径約3mm、雄蕊5個は花冠から突き出ます。
在来のネナシカズラとは、花序が固まってつき穂状にならない、雄蕊が花冠より外へ突き出るなどで区別されます。

サフランモドキ:サフラン擬(サフランとは時期も違う)

2008-07-27 05:21:17 | 植物観察1日1題

よそのお宅の庭先に咲いていた一輪の桃色の花、サフランモドキ:サフラン擬(ヒガンバナ科タマスダレ属)です。
西インド、メキシコ原産。弘化2年(1845)に渡来、当時は蛮山慈姑(ばんさんじこ)といったそうです。
観賞用として庭に植えられる多年草で、地下にラッキョウ形の鱗茎があります。
花は夏、30cmくらいの花茎を1本、外側の葉間からだし、1花をつけます。
名はサフランに似てそうではないということですが、渡来時にサフランと誤ったのがこの名の起こりともいわれます。


オニユリ:鬼百合(むかごが特徴)

2008-07-26 07:00:57 | 植物観察1日1題

真夏の日を浴びて、農家の庭先にオニユリ:鬼百合(ユリ科ユリ属)が咲いています。
中国原産で、古い時代に伝来し、鱗茎を食用にするために栽培されてきたものが、逸出して、野生化したものも見られます。
普通の日本産は3倍体で結実しません。茎の上部に葉脇につくむかごや鱗茎片で殖やされます。
花は複生総状花序をなし、15~20花を下向きにつけます。花径は10~12cm、花被は反捲し、朱赤色に暗紫色の大きな斑点をつけます。
和名は粗大な百合の意で、別名の天蓋百合はうつむいた花を天蓋にたとえたものです。

ゴボウ:牛蒡(知られていない花)

2008-07-25 07:08:27 | 植物観察1日1題

散歩道の畑の端で見かけた紫色の花、一見アザミかと見えましたが、よく見ると広い葉が束生しており、ゴボウ:牛蒡(キク科ゴボウ属)とわかりました。
ヨーロッパから中央アジアが原産地として考えられており、日本では野菜として盛んに栽培される多年草です。多肉の主根がまっすぐに地下にのびて品種によっては40~150cmにもなります。
2年目の夏に茎がのび、上部で枝分かれして、丸い紫色まれに白色の頭花がつき、花は筒状花だけで、外側の総苞片は硬くて反り返り、衣服などに引っかかります。
和名は漢名牛蒡の音読みです。

ソクズ:(ニワトコに似る草)

2008-07-24 07:38:45 | 植物観察1日1題

農家の前の道端で、ソクズ(スイカズラ科ニワトコ属)が白い花をつけています。
山野の生える多年草で高さは1.5mくらいになり、地下茎を引いて繁殖し群生します。
葉は大形の奇数羽状複葉で、木本のニワトコに似ているということからクサニワトコの別名があります。
花は夏、茎の先に白い小さい花をびっしりつけ、花序の上部は平らになります。花には蜜がなく、ところどころにある黄色の杯状の腺体に蜜をためて昆虫を呼びます。
葉や根を乾燥したのが漢方の藋(そくだく)といいリュウマチや腫れ物に薬効があるとされ、ソクズの名もここからきているといいます。

ニガクサ:苦草(名前で損の凝った花)

2008-07-23 06:27:00 | 植物観察1日1題

高槻摂津峡の川辺にニガクサ:苦草(シソ科ニガクサ属)が咲いています。
山野のやや湿った林縁などに生える多年草で、茎は方形で直立し、高さ30~70cm、地下に長い匍匐枝をだします。対生する葉は卵状楕円形で長さ5~10cm。
7~9月茎の先に花穂をつくって紅紫色の小形の花をつけます。
唇形花は一風変わっており、上唇は小さくて深く2裂、下唇は3裂し、中央裂片は非常に大きく、舌のように垂れ下がります。上唇の裂片は下唇の側裂片にくっついているので、下唇が5裂しているように見えます。雄蕊と雌蕊は上唇の裂け目から長く突き出ています。
凝ったきれいな花なのに、苦草の名は似つかわしくなく、ためしに葉を噛んでみましたがそれほどの苦味はありませんでした。名前で損をしている一例です。

ニワナナカマド:庭七竈(花に似合わない悪臭)

2008-07-22 07:20:55 | 植物観察1日1題

標高約900mの高野山は、アジサイが花盛りで、麓とは一月ほど季節が遅いようです。
寺院の生垣の一角にニワナナカマド:庭七竈(バラ科ホザキナナカマド属)が咲いていました。中国北部原産の落葉低木で比較的最近日本に導入され、花木として栽培されています。高さ約3m、葉の長さ30cmほどの奇数羽状複葉で、小葉は10対前後、被針形で鋸歯があります。
6月から秋まで、新枝に円錐花序を出し、米粒のような白い花を多数つけます。
ホザキナナカマドの近縁種で、よく似ていますが、雄蕊が花弁より短いか同じ長さで、袋果に毛がないなどで区別できます。
珍至梅(ちんしばい)の別名でも知られ、庭木や花材として用いられます。清楚な花ですが意外に悪臭があります。

ツルマサキ:蔓柾・蔓正木(実ほどには目立たぬ花)

2008-07-21 07:04:59 | 植物観察1日1題

岩に絡みついたツルマサキ:蔓柾・蔓正木(ニシキギ科ニシキギ属)が薄緑色の花をつけています。各地の山野の林内などに普通に見られる常緑のつる植物で気根をだして樹上や岩にによじ登ります。
花は6~7月、葉脇から集散花序をだし、直径5mmほどの小さい花を7~15個ほどつけます。
花弁、萼片、雄蕊は4個の4数性。花盤が発達し、雄蕊は花盤のふちにつきます。
10~11月、直径5~6mm球形の果を熟します。熟すと4裂し、橙赤色の仮種皮に包まれた種子が顔を出してよく目立ちます。(07年11月10日記事)


コイケマ:小生馬(あちこち違う小さいイケマ)

2008-07-20 06:11:35 | 植物観察1日1題

コイケマ:小生馬(ガガイモ科カモメヅル属またはイケマ属)の黄色い花が咲き始めています。イケマよりやや小型だからこの名があります。
山地に生えるつる性の多年草で、高さは30~60cmになり、葉は広卵形で長さ10~17cm、茎の先に集まって対生します。花は夏、緑褐色で、花序の柄は葉柄よりやや短く、花冠は5裂し、反り返らないところなどがイケマと違います。

マルミノヤマゴボウ:丸実の山牛蒡(がんばる在来種)

2008-07-19 06:46:40 | 植物観察1日1題

何につけ外来種がはびこっているなかで、在来種が健気に育っているのを見ると、なにやらほっとします。ヨウシュヤマゴボウ(昨日の記事)に対するマルミノヤマゴボウ:丸実の山牛蒡(ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属)もその例です。
山地の木陰などに生える多年草で、高さ1mくらい、全体に緑色で無毛、葉は大型で柔らかく、太い牛蒡状の根があります。
花は夏、葉の付け根に淡紅色の花を総状に多数つけます。果穂は直立し、ヤマゴボウと違って8個の心皮が合着して丸くなります。これが名前の由来です。
先年、山でこの草を見かけ、花時に行ったら、きれいに堀り盗られていてがっかりしたことがあります。仲間のヤマゴボウは中国原産で、かつては根を薬用にするために栽培されたそうです。観賞用に植えるような草とは思えませんから、多分薬用としての連想でマルミが盗掘されたのでしょう。

ヨウシュヤマゴボウ:洋種山牛蒡(いかにも外来種的)

2008-07-18 05:36:15 | 植物観察1日1題

ヨウシュヤマゴボウ:洋種山牛蒡(ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属)は、よく分岐して背が高く、赤い茎と葉柄、黒紫色に熟す果穂で、いかにも外来種らしいすがたで、夏の野山や道端で目立っています。
アメリカヤマゴボウとも呼ばれる北アメリカ原産の多年草で、南米、豪州、アジアなどに帰化し、日本には明治年間に渡来し今では全国に普通に見られます。
夏に葉脇に長さ15cmほどの花序を出し、花弁はなく、直径5mmほどの淡紅色のがく片を穂状につけます。果実は扁球形で直径8mmほど、黒紫色に熟して、果穂は下垂します。
早い花から実ってゆくので、時期により花、青い実、熟した実を同時に見ることができます。

チョロギ:草石蚕:千代呂木(多い漢字表記)

2008-07-17 06:49:26 | 植物観察1日1題

チョロギと聞いて、正月料理に使われる捩れた小さい根を思い出す人は結構いると思いますが、この草がどんな花を咲かすかを知っている人は少ないと思います。
チョロギ:草石蚕:千代呂木(シソ科イヌゴマ属)は中国原産で、塊茎を食用するために栽培される多年草です。茎は4角形で直立し、高さ30~60cm、稜には下向きの毛があって
ざらつます。
夏から秋にかけて茎先に紅紫色の唇形花を数段つけます。
地下茎の先に塊茎を作り掘り取って食用にします。この形が蚕に似ていることから草石蚕とかかれますが、昔から「丁呂木」と書かれ、これが「長老木」「長老喜」「長老貴」「千代呂木」と縁起をかつがれる漢字表記となって、正月料理などに使われるようになりました。
正月用に売られるのは、多くはシソの入った梅酢などで赤く着色されています。