新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

サワギク:沢菊(沢筋に咲く菊)

2006-07-31 06:39:05 | 植物観察1日1題
高槻・川久保渓谷から沢をつめてポンポン山へ至る道のあちこちに咲いているのがサワギク:沢菊(キク科キオン属)です。
別名ボロギク(襤褸菊)は、花が終わったあと、そう果の冠毛が伸びて襤褸切れのように見えるためです。
湿り気のある木陰などに生える多年草で、沢沿いに多いところからこの名があります。高さは30~100cm、葉はまばらに互生し、薄くて羽状に全烈します。ロゼット状の根生葉は、花時には消えます。
6~8月、枝の先に黄色の頭花が多数つきます。頭花は直径1cmほどで、細い舌状花が7~10個あります。花期が比較的長く夏の間中、山歩きの目を楽しませてくれます。

コジキイチゴ:乞食苺(乞食ならずとも食べたかった)

2006-07-30 07:48:22 | 植物観察1日1題
川久保渓谷の林道から、谷を隔てた対岸に黄色い楕円形の実をいっぱいにつけた低木が見えました。
コジキイチゴ:乞食苺(バラ科キイチゴ属)です。
本州中南部、四国、九州、などに分布する落葉低木で、高さ1mくらいになり、全体に腺毛を密生し、かぎ状に曲がったとげをまばらにつけます。互生する葉は長さ10~20cm羽状複葉で、1年目の葉は、花の付く枝の葉より多くなります。
このような羽状複葉を持つのはこの仲間では珍しく、ことに黄色く長楕円形の実は、他の木苺類と著しく異なります。
図鑑によると、美味しくはないが食べられるとあります。乞食しか食べないからこの名があるのでしょうか。
遠目にも目立つ黄色い大粒の苺は乞食ならずとも味わってみたかったのですが、梅雨時の増水で対岸に渡れず残念でした。
(またまた友人からご教示をいただきました。コジキイチゴの名は、実が集合果で中が空洞になっている形が甑(コシキ:米を蒸す底に穴の開いた器)に似ていることからコシキイチゴ、これが転訛してコジキイチゴなったとのことです。地方によってはフクロイチゴと呼ばれているそうです)

ムラサキニガナ:紫苦菜(ニガナでないニガナ)

2006-07-29 06:05:41 | 植物観察1日1題
高槻、川久保渓谷沿いに咲いていたのはムラサキニガナ:紫苦菜(キク科アキノノゲシ属)です。
少し高い山地に生える高さ60~120cmの多年草です。
ニガナの名がついていますが、ニガナとは別の属でアキノノゲシの仲間になります。写真では写っていませんが、互生する葉は茎の下部で普通羽状に切れ込み、上へいくほど小さくなって、次第に披針形になります。茎は中空で茎も葉も切ると白い乳液が出ます。
6~8月直径約1cmの細長い頭花が下向きに多数つきます。頭花は紫色の舌状花だけでできており、総苞も紫色です。あまりさえない花ですが、よく見ればこの紫色は重厚な深みがあり、渓流の上で結構存在感を示していました。

カラスビシャク:烏柄杓(ほんとはやさしい)

2006-07-28 05:22:36 | 植物観察1日1題
高槻市北東部川久保渓谷の入り口で見かけたカラスビシャク:烏柄杓(サトイモ科ハンゲ属)です。
緑紫色の仏炎苞とそれから糸状に伸びた付属体の形を柄杓に見立ててこの名があります。
畑の雑草として普通に生える雑草で、3小葉の葉を根生し、葉柄の途中と小葉の基部につくむかご(珠芽)でも増えるので、駆除が難しい厄介者とされていますが、そのわりには、いたるところで見られるというわけでもないようです。
花茎は葉より高く20~40cmで、マムシグサなどテンナンショウ属と同様に、花穂は仏炎苞に包まれていますが、こちらは、花穂は顔を出さず、下部が仏炎苞にくっついていて、上に雄蕊だけの雄花、下に雌蕊だけの雌花がつき、雌花先熟です。テンナンショウの仲間は最後に送粉者を苞内に閉じ込めて命を奪うことで知られていますが、カラスビシャクは花粉の運ばせ方は同じでも、昆虫の扱い方はやさしく、受粉が終わった頃、苞の下に隙間ができていったん閉じ込めたハエなどを解放するといいます。
雀の柄杓、杓子草などの別名があり、球茎はハンゲ(半夏)と呼ばれ漢方で重用されます。

“オトギリソウ”(二つのオトギリソウ)

2006-07-27 06:23:33 | 植物観察1日1題
昨日仲間と生ハムと肉が美味しくて安いというS屋でランチを食べました。食事はそれなりのお値打ちと見ました。
そこの入り口に活けられていた紅色の丸い実をつけた花木は何だろうと話題になり、よく見ると名札があってヘプリカムと書いてありました。
ヘプリカムと聞いて一寸待てよ、最近聞いた語ではないかと思い浮かびました。それにその花材は、以前から家にある、むかし園芸店でオトギリソウの名で買いもとめたものとよく似ていたからです。
帰って図鑑を調べると、やはりヘプリカムはHypricumでオトギリソウ科を示す学名でした。
そうなると、オトギリソウの仲間であることはまず間違いないにしても、“オトギリソウ”( あるいはHypricum)という名で売られているこの木本性のものはいったい何者かという疑問が生じます。
少し前に撮っていた、家の”オトギリソウ“の写真を引っ張り出してご高覧に付し、この木の正しい名前は何なのか、昨日に引き続きお教えを乞うしだいです。
活けられていた花材は、紅色で楕円形の実でしたが、我が家ので見ると花の横に見える丸くて少し赤みを帯びている実がそれにあたります。この実は熟すと黒く色づきます。
(昨日に続き、別の方からすぐご教示をいただきました。我が家の”オトギリソウ”は、コボウズオトギリ:小坊主弟切でした。園芸店でヘプリカムの名で売られており花材としても使われています。花材としては花よりも色付いた実が重用されているようです。
勉強不足の”むかご”めですが、しっかりしたサポーターのお蔭で何とかやれています。今後ともご支援のほどをお願いします)


ミズオトギリ?:水弟切?(この花何の花?)

2006-07-26 07:19:58 | 植物観察1日1題
万博公園日本庭園の蓮池の脇に咲いていたこの黄色い花、名札にはミズオトギリとありました。
たまたまこの“むかご”がオトギリソウの小シリーズになっていたので、これは見逃せないと無理をして水辺に近づいて写真を撮ったのはよいのですが、よくみると去年信州の親海湿原で見たミズオトギリ(オトギリソウ科ミズオトギリ属)とまったく様子が違います。図鑑で調べても、ミズオトギリは、花は淡いピンク色、平坦な葉は部分的に赤みを帯び、葉面、縁に油点が点在するとなっており、これに対し万博公園の“ミズオトギリ”は黄色で、油点がなく、オトギリソウ科特有の目立つ長い雄蕊もありません。何よりも湿地面を横に這う形で広がっていたのが気になります。オトギリソウの学名(属名)のerectum は、直立するという意味で、この仲間の多くは直立するはずだからです。
天下の万博公園に間違いは無いはずと思いつつ、近縁種にこれらしいのがないか図鑑で調べましたが結局分かりませんでした。
綺麗な花だったので没にするのも惜しくてとりあげましたが、たぶん間違いであろうという名で投稿するという変なことになりました。
どなたかこの草の本当の名をご存知の方がいらっしゃったらご教示いただければ幸甚です。
(早速ある方からご教示をいただきました。写真の花は、ミズズキンバイ(アカバナ科チョウジタデ属)でした。池や沼になどに生える多年草で、水中に生え花がキンバイソウに似ていることからこの名があります。泥中に地下茎を延ばし水面を覆うように群生することが多いそうです。
直径3cmほどの黄色い花の花弁は4~5個あり、先端が少しへこんでいるのが特徴です。
機会があれば万博機構に名札の訂正を申し入れようと思っています)


コゴメバオトギリ:小米葉弟切(外来種でも名は和風)

2006-07-25 05:59:27 | 植物観察1日1題
高槻の奥、中畑地区のバス終点で見かけたこの花は、オトギリソウに似ていると思いながら、見るからに外来植物風で風情に欠けていて関心はいまひとつでしたが、ともかくと写真を一枚だけ撮りました。
帰って図鑑を当たると、オトギリソウの仲間ですが、やはり帰化種で、母種がセイヨウオトギリの、1934年三重県で発見されたコゴメバオトギリ:小米葉弟切(オトギリソウ科オトギリソウ属)とわかりました。東京湾の埋立地などに見られるというこの草がどうして高槻の山奥に1株だけ生えているのか不思議な感じでした。
5月ごろから直径約2cmの黄色い花を次々に沢山咲かせます。花弁の縁には一列の黒点が目立ちます。写真ではよく分かりませんが、名前の由来になった長さ1~1.5cm、幅0.3cmの楕円状披針形の小さい葉には多数の明点があり、縁にわずかの黒点があります。
わが国では弟切草の名にまつわる古い話が有名ですが(17年8月17日記事)、帰化種のこのコゴメバオトギリには、この話はしっくり来ない感じです。外国ではオトギリソウを何と呼んでいるのでしょうか。

ヨツバムグラ:四葉葎(苦労のピントⅡ)

2006-07-23 06:27:20 | 植物観察1日1題
京都御苑で見つけた小さい葎、昨日の記事のように数多いヤエムグラの中のどれに当たるか判定するのは難しいことです。
写真では大きさは分かりませんが、実物はごく小さく、花の径も2mm程度です。
輪生する4個の葉や、花の形から無理やりヨツバムグラ(アカネ科ヤエムグラ属)としましたがこれも自信はありません。
苦労の末撮った、ルーペででも見るような花の写真に免じて、不確かな同定をお許しくださるとともに、昨日のヤマムグラを含め、正しい種名をご存知の向きはご教示賜れば幸甚です。

ヤマムグラ:山葎(苦労のピントⅠ)

2006-07-22 05:45:17 | 植物観察1日1題
ある程度気を入れて観察を始めて一年余り、以前は見落としていた、ごく小さい花が目につくようになったのはよいのですが、手持ちのコンパクトデジカメで写真を撮ろうとするとなかなかピントが合わず難儀しています。
ヤマムグラ:山葎(アカネ科ヤエムグラ属)と見立てたこの草もそうでした。摂津峡の道の傾斜地に咲いていたもので高さ10~40cmで、茎が細く、葉は4個輪生しています。
枝先に径3mmほどのごく小さい花を数個つけています。20回ほども試みてやっとピントが合った一枚をみると、花冠は4裂し、外側にはっきりした棘毛が鮮明に写っていて大満足でした。
この花弁の棘毛と、輪生する4枚の葉の一対ずつが大きさが異なることからヤマムグラと見立てたのですが、手許の図鑑でもヤエムグラ属は16種も載っており同定にはまったく自信がありません。
(小さいので、拡大画面でご覧ください)
ごく小さい花、明日明後日と取り上げます。

ミル:海松・水松(憶良のボロ衣)

2006-07-21 07:03:46 | 植物観察1日1題
7月13日、この日の天神岬は、台風の余波で、高波が黒い岩礁に白く砕けて、うだるような真夏の太陽が照りつけていました。ちょうど大潮で、黒く広い岩礁が姿を現し、前日海の中だった灯台のある丸山まで歩いて渡れました。
潮が引いた岩礁に、緑色の細長いチューブのような草が打ち上げられています。ガイドの方に尋ねるとミルだといいます。あれっと思って、昔の歌に出てくる“海松のごと”のミルですかと質問したのです反応はありませんでした。
あの海松に違いないと、帰宅してすぐ古語辞典で調べてみるとやはりそうでした。“みる:海松・水松、海草の一種。浅海の岩石に生える緑藻で食用に供する。みるめ、またみる。”とあって、
山上憶良の貧窮問答の歌“綿も無き 布肩衣の 海松(みる)の如(ごと) わわけさがれる・・・” (万葉集巻5-892)の例が引かれていたのです。
ミル:海松・水松(ミル科ミル属)は、日本の全沿岸だけではなく、広く汎太平洋全域に分布する普遍種で、浅所から30mの深所に生える多年藻。濃緑色、フェルト状の手触りに丸紐状枝が数回二又分岐をくり返して散房状に広がり、体長10~40cm、内部は非細胞組織で、最末分枝は大きくふくらみ、葉緑素を含んだ胞のうとなって表面を包みます。
憶良が、みすぼらしく擦り切れた己の衣服を嘆いて例えたのがまさにこの海松(ミル)だったのです。高校時代に習って、なぜか永く気になっていたこの“海松”、半世紀以上経て初めて対面できたことだけでも天神岬への旅は大満足でした。(写真は同行のK女史のご提供によりました)

ユウスゲ:夕菅(夜目にも鮮やか)

2006-07-20 06:26:00 | 植物観察1日1題
天神崎初日の観察を終えての帰り道、まだ夏の陽も高い4時というのに、もう鮮やかなレモンイエローのユウスゲ:夕菅(ユリ科ワスレグサ属)の花が開いていました。
山地の草原や林縁に生えるというこのユウスゲですが、南紀の浜辺でも少しも場違いな感じはしません。
花が夕方に開き始めるのでこの名があり、スゲは葉の形から来ています。夜中に満開になり、朝日が昇る頃にはしおれ始めます。
花は初夏、高さ1mほどの花茎が先で二股状に分枝し、次々と花を開きます。花は長さ10cmほど、雄蕊は6個で、長く突き出しているのが雌蕊です。
夜のとばりが降りるころ、幻想的に浮かび上がる淡黄色の花弁は、夜訪れる虫たちにとってこの上ない目標になることでしょう
翌日お昼ごろ、磯辺の観察に同じ道を通りましたら、当然ですが、花はすっかりしぼんでしまっていました。

ヌマトラノオ:沼虎の尾(垂れないしっぽ)

2006-07-19 06:13:46 | 植物観察1日1題
天神岬の廃田跡が「天神崎大切にする会」の皆さんの手で、ビオトープとしての湿地として保全されています。珍しいトンボたちが舞い遊ぶ湿地の脇にヌマトラノオ:沼虎の尾(サクラソウ科オカトラノオ属)が白い花をつけています。
湿地や流れのふちなどに群生する多年草で、高さ40~70cm、茎の基部は赤みを帯びます。
葉は互生し、長さ4~7cm、幅1~2cmで、長楕円形または倒披針形で先が尖ります。
花期は7~8月で、茎の先に直径5mmほどの白い小さな花が長さ10~20cmの穂になってつきます。花穂はオカトラノオ(6月30日記事)よりほっそりしていて垂れ下がらず、まっすぐに立っています。
ヌマトラノオの写真、いまひとつでしたので、埋め合わせ(?)に、沼で飛んでいたキイトトンボをおまけに載せます。

ハマボッス:浜払子(払子よりも数珠球?)

2006-07-18 07:01:39 | 植物観察1日1題
ハマボッス:浜払子(払子よりも数珠球?)2006,7,18
海辺の道端に、丸くて先が尖がった赤い実が固まってついている草があり、その所どころに咲き遅れた白い花が残っていました。
ハマボッス(サクラソウ科オカトラノオ属)は、海岸の岩場や崖などによく見られる2年草で、茎は赤みを帯びることが多く、根元でよく分枝して、高さ10~40cmになります。
5~6月茎の先に白い花を多数つけます。花は直径1cmほどで、葉のように見える苞の脇に1個ずつつきます。
果実は直径5mmほどの赤い朔果で、先端に花柱の跡が残り、基部の苞は指輪の立て爪のように見えます。果皮は硬く、熟すと尖った先端の小さな穴から稜のある楕円形の種子を放出しますが、そのあとも枝にそのまま残ります。
和名は浜払子で、全体の様子を仏具の払子に見立てたというのですが、ぴったりといった感じではありません。

ツルナ:蔓菜(国際的な食用草)

2006-07-17 07:22:34 | 植物観察1日1題
茎が蔓のように這って広がり、葉が食べられることからこの名があるツルナ:蔓菜(ツルナ科ツルナ属)は、別名もハマジシャで、よく食べられていることがわかります。
北海道西部から九州、中国、東南アジア、オーストラリア、南アメリカに分布し、海岸の砂地に生え、時には食用に栽培もされる多年草です。
高さは40~60cmほどになり、互生する葉は三角状卵形で長さ4~6cm、厚くて柔らかく、細かい突起があってさわるとざらつきます。
花は黄色で葉の付け根に1~2個ずつつき、4月から11月ごろまで次々に咲き続けます。花弁はなく萼片が花弁状になっています。
キャプテンクックがニュージーランドから持ち帰りイギリスで栽培されたことからNew Zealand Spinach(ホウレンソウ)の名があるといい、日本でも古くから食用にされている国際的な食用草です。
漢名は番杏です。