新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ソバ:蕎麦(来年も細く長くと願って)

2005-12-31 07:12:46 | 植物観察1日1題
今日は大晦日、年越し蕎麦の日です。ソバ:蕎麦(タデ科ソバ属)は、冷涼の高地や痩せ地でも育ち、蒔いてから70日くらいで収穫できるなどで昔から救荒作物とされていますが、今では通を称する人も多く、すっかりこだわりの食物となっています。
写真は、時期はずれですが、8月の朝早く信州白馬村で撮ったソバの花です。夏、白または淡紅色の花をつけます。泊まった民宿の主人は白馬村から蕎麦打ちマイスターの称号を許された名人で、皇太子にも献上したというその腕前は、そばの味にうとい私にも流石はと思わせるものでした。
まあ今宵は、そのときの味を思い出しつつ、スーパーで買った年越し蕎麦で我慢することとしましょう。

2月の初め、何気なく始めたブログでしたが、留守の日を除いて毎日投稿を続けることができました。ひとえに多数の皆さんがたのご支援の賜物と感謝しています。
来年もよろしくお願いいたします。
よいお年をお迎えになってください。

トベラ:扉(ねばねばででも鬼退治?)

2005-12-30 07:58:00 | 植物観察1日1題
年末、仲間と白浜温泉でささやかな年忘れをしてきました。
さすが南国のこととて、明るい陽射しがあふれる海岸沿いのあちこちに群生するトベラ:扉(トベラ科トベラ属)に、赤橙色の実がなっていました。
葉や枝に独特の匂いがあることなどで、鬼を払うとして節分に門口に差す風習から、“扉の木”が転じてトベラになったといわれます。
海岸沿いに生えるトベラは、庭木や生垣にも使われる高さ3mほどの雌雄異株の常緑低木で、葉は革質で厚く、乾くと両縁から裏に巻きます。晩春から初夏に枝先にびっしり五弁の花をつけ、こちらは好い香りがします。
(6月16日記事)初冬に黄色く熟する果実は3片に裂開し、中には赤い種子がねばねばした物質に包まれています。

イボタノキ:疣取りの木、水蝋の木(虫から木の名)

2005-12-29 07:13:29 | 植物観察1日1題
山道でイボタノキ:疣取りの木、水蝋の木(モクセイ科イボタノキ属)が黒い実をつけていました。この変わった名前は、樹皮にイボタロウムシが寄生することからきたもので、イボタロウムシから取れるイボタロウは、家具や生糸の艶出しなどに用いられます。
山野の林縁などに生える落葉低木で高さ3mほど、細かく分枝し、若枝に細毛があり、樹皮のところどころに刺を生じます。葉は薄くて先端が丸いのが特徴です。
この仲間のセイヨウイボタノキはプリペットとも呼ばれ、枝が密生し刈り込みにも強いので、最近は生垣用として高い人気です。

サザンカ:山茶花(うっかり焚き火も・・・)

2005-12-28 07:46:23 | 植物観察1日1題
サザンカ:山茶花(ツバキ科ツバキ属)が冬の陽をあびて咲いています。
本来四国、九州、琉球の日当たりのよい山地に生え、中国にも分布しますが、Cmellia sasanqua Thunb の学名があるように、ツバキ(ヤブツバキ)などと同じく日本固有の種です。牧野博士によると、中国では「山茶」はツバキ、サザンカは「茶梅」なので、サザンカを「山茶花」と書くのは誤りだといっています。
花は晩秋、ツバキと異なり、平開しのち花弁はばらばらに散ります。
サザンカの種からとる山茶花油は、椿油より良質との事ですがあまり知られていません。
自生種は白色ですが、ひろく庭園や垣根として植えられる園芸種には種々の色があり八重咲きもあります。
“さざんか、 さざんか、 咲いている、
たきびだ、 たきびだ、 おちばたき・・・“
今年は、懐かしい童謡“たきび”の作詞者 巽 聖歌の生誕100年だったそうです。
時を経ていま、さざんか咲く垣根のそばで焚き火をする風情は、すっかり遠い郷愁となってしまいました。

ユズ:柚子(柚子湯でほっこり)

2005-12-27 08:01:24 | 植物観察1日1題
22日は冬至でした。今でも冬至の日はカボチャを食べて柚子湯に入って無病息災を祈る風習が行われています。ユズ:柚子・柚酸(ミカン科ミカン属)は、果樹や庭木として栽植される常緑小低木で、中国が原産で日本には奈良朝に入ったそうです。枝には長い刺がつき、葉柄には広い翼があります。なじみの深いのは何といっても秋に実る直径4~7cmの果実です。酸味が強く甘みはありませんが、香りがよいので、料理や菓子に用いられ、柚子酢にもなります。
なんでも豊作だった今年は、柚子も例外ではなく、冬至が過ぎた今でもあちこちで枝もたわわに金色の実がなっています。
冬至が過ぎて5日経ちそれとわかるほど日脚も伸びました。冬至は一年中で最も昼間の短い日ですが、実際には大阪での日没時間はすでに12月の5日前後を境として遅くなりつつあります。つまりそれ以上日の出が遅くなるのが続いているということになります。子供のとき聞いた言い伝えに“冬至10日たちゃ阿呆でもわかる”がありますが、昔の人は感覚的によくわかっていたようです。
きのう農家の無人販売で6個入り百円のユズを買って帰り、4日遅れの柚子湯に身を沈めました。

ヒマラヤスギ:ヒマラヤ杉(杉の名を持つ松) (写真1)

2005-12-26 07:08:43 | 植物観察1日1題
公園や庭園でお馴染みのインド西ヒマラヤからアフガニスタンの海抜1100m~4000mの原産の常緑針葉大高木で、杉の名がついていますがれっきとしたマツ科(ヒマラヤスギ属)です。神の木の意味の学名があり、現地では聖樹として崇められているといいます。高さは30~50mにも達し、主な枝は水平に広がりやや下垂し、よく分枝して全体に円錐形になります。わが国では建築材として用いられることは殆どありませんが、世界的には重要な建築材となっているそうです。
老木になると晩秋に花をつけ、1年後、とても大きな松ボックリをつけます。牧野図鑑では雌雄同株となっていますが、万博公園で観察したかぎりでは、50年くらいまではすべて雄木で、その後雌木に変わるものが出てくるという説が正しいようです。
写真(1)は雌花。写真(2)は雄花です。雄花に触れると煙のように大量の花粉が飛び散ります。雄花の先端にⅠ~2本の葉の先のようなものが見えます。花は葉の変化したものということの証なのでしょう。

ヒイラギモチ:柊黐 (“聖”ではないクリスマスの木)

2005-12-24 08:21:39 | 植物観察1日1題
クリスマスにあわせるように鉢植えのホーリーが赤い実をつけています。
園芸店ではホーリー(holly)の名で売られていますが、ヒイラギ(柊)に似た葉を持つことから別の和名セイヨウヒイラギの名でも知られています。しかしヒイラギはモクセイ科であるのに対し、こちらはモチノキ科モチノキ属で異なる種です。因みにヒイラギは対生、合弁花、細長く黒紫の果実。セイヨウヒイラギは互生、離弁花、果実は丸くて真っ赤です。
ヨーロッパ中南部、アジア西部原産で、果実を鑑賞するために庭に植えられる常緑高木で、互生する葉は革質で強い光沢があります。
ヨーロッパでは、クリスマスの装飾に使われてきたこの木、最近では日本でもすっかり顔馴染みです。
ところで、錯覚しそうですが、このホーリーという名は英語ではhollyで、セイヨウヒイラギという木を意味し、クリスマスで使われるからといって聖(holy)なる木ではありません。同様に映画のメッカ、ハリウッドはholly woodで、柊の森であり、これを日本語で“聖林”と書くのは間違いです。

センダン:栴檀(名の由来千団子?)

2005-12-21 07:17:45 | 植物観察1日1題
葉を落としたセンダン:栴檀(センダン科センダン属)の枝先に、黄色い実が冬日を浴びて黄白色に光っています。
5月中ごろ、薄紫の花をつけていたのが核果となり落葉後も枝に残っているのです。(5月26日記事)センダンはこの記事のように話題の多い木ですが、“センダン科のセンダンになぜ栴檀なる漢名が当てられるようになったか。大津の三井寺に、千個の団子を供える千団子祭り、別名栴檀講というのがあり、秋にセンダンが黄色い実を枝一面につけている様をこれに関連づけたのではないか” というセンダンの名の由来に、この鈴なりの団子のような実を持ってきた深津 正氏の説も、この実を見ればうなずけるような気がしてきます。
学名の種小名には毒の木という意味があるそうですが、核果は漢方で苦楝子といって薬用になります。いつもならこの時期小鳥たちに食べ尽くされているのですが、今年は他の木々も豊作だったせいかそのまま残っています。
(お断り:都合により22日、23日と休載します)

ツルウメモドキ:蔓梅擬(夏は目立たずとも)

2005-12-20 07:01:18 | 植物観察1日1題
緑の葉が茂っていた頃は気がつかなかった柿の木の高い枝に、ツルウメモドキ:蔓梅擬(ニシキギ科ツルウメモドキ属)が絡まって、黄と赤の2色で綺麗な実をつけています。
南千島から日本全土、朝鮮、中国の山野に分布する雌雄異種のつる性の落葉高木で、茎は左巻きで長く延び、他物に絡みつき相当高いところまで上ります。
5~6月についた緑色の花は、秋、径7mmほどのさく果となり、黄色く熟し、果皮が割れると赤い仮種皮包まれた種子がのぞきます。
黄色と赤橙色の取り合わせが美しいので、盆栽、生け花、クリスマスのリースなどに人気があります。
葉が一見ウメに似ていることからこの名があり、別名として蔓擬(ツルモドキ)、仲間に仮種皮の黄色いキミノツルウメモドキもあります。

ナナミノキ:七実の木(七実か斜めか)

2005-12-19 07:01:14 | 植物観察1日1題
光沢ある濃緑の葉の間に真っ赤な実を沢山つけているのが、ナナミノキ(モチノキ科モチノキ属)です。本州中部以西の暖かい地方の山地に生える常緑高木で、高さは10m以上になります。雌雄異株で、花は6月に咲き、秋、長さⅠcm足らずの少し楕円形の赤い果実をびっしりつけます。
美しい実を沢山つけるからナナミノキ(七実の木)とする説と、枝を折ると一様に斜めに割れるのでナナメノキ→ナナミノキになったという説があり定かではありません。
初夏、集散花序についた花の数を数えてみたら、綺麗に七個ずつ付いていたので、これが名前の由来ではないかと思ったりしましたが、実のつき方は7つずつでありませんでした。


ハナツクバネウツギ:花衝羽根空木(花期の長いお徳用種)

2005-12-18 07:40:41 | 植物観察1日1題
霜も何回か降りたというのに、いまなお道路脇の植え込みで白い花をつけているのがハナツクバネウツギ:花衝羽根空木(スイカズラ科)です。19世紀末、中国産の、母は落葉性、父は常緑性の両親から交配により作り出された雑種で、日本には大正中期に導入された半常緑性の低木です。新梢に頂生する花は、淡桃白色の筒状鐘形で、初夏から12月にかけて分枝、伸張、開花を繰り返します。
挿し木で容易に繁殖し、刈り込み、公害、病虫害にも強く花期が長いなど多くの利点があり、生垣や、公園、道路などの植え込みによく用いられます。
一般にはアベリアの名で知られていますが、ハナゾノツクバネウツギの別名もあります。
日本のツクバネウツギやコツクバネウツギ(5月23日記事)に似て、果実の頂に宿存する萼片が羽根突きの羽根に似ていることからこれらの名が来たものと思われます。
写真は、年末も近い万博公園で見かけたもので、はっきりと桃色でした。

クコ:枸杞(出来なかったクコ酒)

2005-12-17 07:12:45 | 植物観察1日1題
道端に赤い実をみつけました。クコ:枸杞(ナス科クコ属)です。周囲の草は霜枯れ、落葉樹の葉はほとんど散り終えているというのに、クコの葉だけは、みずみずしい緑色でよく目立っていました。あれっと思い、帰って図鑑を調べましたが、やはり落葉低木で、北海道から琉球、および台湾、中国も温帯から亜熱帯に分布し、原野、川べり、道端に普通に生えるとありました。このところの厳しい寒さの中、いまなお緑鮮やかな落葉木とは不思議な感じでした。
7月14日にクコの花をとりあげたとき、秋になったらこの実で枸杞酒でも造りましょうと書きましたが、お酒にするほどの実はついていなかったのが残念でした。


ヤツデ:八つ手(八つには裂けないヤツデ)

2005-12-16 08:36:27 | 植物観察1日1題
花の色も少なくなった庭にヤツデ:八つ手(ウコギ科ヤツデ属)が大きな円錐状の花序を立て、25個ほどの白い小花が集まったボール状の花をつけています。
和名は、大きい掌のような分裂葉が多数あるのを八で表現していますが、実際には切れこみは7、9、ときには11など奇数で、八つに裂けることはありません。
本州関東以西から琉球にかけて暖温林内に生える常緑低木で、大きな手のような葉で福を招き寄せるということから縁起を担ぎ、門の脇などによく植えられています。
雌雄異花で、雄蕊だけの花と両性花があります。枝の脇につくのが雄蕊だけの花で、両性花は枝の先端につき、両性花の5弁の花弁が開くと、折りたたまれていた雄蕊が伸びだし花粉を出す、雌蕊は雄蕊が落ちてから3~4日ってから出てくる、と本にはありますが、なかなか複雑で、一寸見の観察では確認できませんでした。
花には香りがあり、冬にもかかわらず、晴れた日などには20種類ものハエ、アブが集まるそうです。ハチがいない冬に咲くヤツデは、蜜源を浅い位置に設けて、ハエのような短い口吻しか持たない虫たちにも来てもらうように工夫しているそうです。
(ブログいもむしうんちは雨の音のaclerisさんに教えていただきました。)

ヒイラギ:柊(老成すれば取れる角)

2005-12-15 06:58:18 | 植物観察1日1題
ヒイラギ:柊(モクセイ科、モクセイゾク)の小さい白い花がよい香を放っています。
本州関東以西から琉球、台湾の温帯に分布し、山地に自生しますが、庭木にもよく植えられる常緑の小高木で、雌雄異株です。対生する葉は、硬く、長さ3~5cm。縁は鋭いとげ状の鋸歯があるのが特徴です。和名の柊はひらぐ(痛む)の意味で、疼木ともいい、この刺からきたものです。このことから、古くから邪鬼を払うとされ、玄関脇に植えられたり、節分の行事に使われます。鬼の目突き、鬼刺しなどの別名もあります。
50年以上もの老木になると、この鋭い鋸歯が消え、角が取れるので、人間もかくありたいなどとよくいわれます。刺の無くなった老木に生った種を蒔いても、苗には刺がありますが、老木の枝を挿し木すると葉に刺のない苗ができるそうです。
写真の木よく見れば刺のない葉が見えます。相当の古木なのでしょうか。