コウヤコケシノブ:高野苔忍(コケシノブ科コケシノブ属)は水が滴るような湿った岩場などに密生して着生する常緑性多年草です。根茎は長く横にはい、葉は根茎からまばらにでて長さ4~6cm、胞子のう群は裂片の末端につきます。
和名の苔忍は、生える場所があたかもコケが生えるような湿った場所が多く、葉が小型でコケのようでもあり、形がシノブに似るところからきていますが、れっきとしたシダの仲間です。
単にコケシノブとも呼ばれます。
木肌が白いのでこの名があるシラキ:白木(トウダイグサ科シラキ属)(06年7月10日記事参照)
(06年7月10日記事)がきれい紅葉しています。
よく見かける渓沿いのこの木の秋はいつも黄白色なのに、図鑑では秋の紅葉が美しいと不審に思っていましたが、やっときれいに色づいたシラキに出会いました。
太陽の光が当たるところは鮮やかに紅葉し、葉が重なって日光が遮られた部分は黄色とはっきり色わけされていました。
図鑑は間違いありませんでした。いつも見ていたのは、日陰の木だったのです。
秋が深まったというのに、道端にヒメツルソバ:姫蔓蕎麦(タデ科)が桃色の金平糖のような花をたくさんつけています。
ヒマラヤ地方の原産で、熱帯から温帯にかけて各地で観賞用に栽培されている多年草です。
茎はよく分岐して地を這ってひろがり、長さ50cmほどになります。先端の尖った卵形の葉身には紫色の斑点が入ります。
夏、暖地では周年、茎の先端に淡紅紫色の花被片の小花が直径1cmほどの球形に固まった花序をつけます。
明治年間に花卉として輸入され、しばしば逸失して野生化しています。
庭の片隅や道端に忘れられたように咲いているこの花も、近づいてよく見るとなかなか可憐です。
ばしょう:芭蕉(バショウ科バショウ属)が、長い花茎に、緑色のバナナのような果実をつけています。中国原産で、観賞用として暖地で植栽する多年草です。室町中期、金春禅竹がつくった能楽に「芭蕉」があることから、古くに渡来していたと思われます。
根茎は塊状で、次代の根茎が側生し、直立する幹は偽茎で、重なり合う葉鞘で出来上がっています。高さ5m、径10cmくらいで、若い葉は2mくらいで、巻いて出て、直立し開くと四方にひろがります。株が成熟すると偽茎の中心から花茎がのび、バナナに似た黄白色の花が咲きます。
故郷の紀州の山奥では、鯖や鮎の「なれ寿司」を芭蕉の葉で包みます。葉の香りが寿司に移って味を引き立たせます。
幼いとき、隣家の庭に広げた筵に奇妙な形のものをたくさん干していました。
いま思うと、あれがケンポナシ(クロウメモドキ科ケンポナシ属)の果実だったのだとわかりましたが、何ために干していたのかは今もわかりません。
山野や谷沿いに生える落葉高木で高さは20mほどになります。互生する葉は長さ7~15cmの広卵形で3本の脈が目立ちます。
6~7月枝先に淡緑色の花を多数つけます。
面白いのは秋に黒紫色に熟す果実で、先端の果実が熟す頃、果実の柄がふくらんで地上に落ちるのが特徴です。この肥大した柄はすこし渋みがありますがあまくナシのような味がして食べられます。
この落ちた小枝がタヌキやテンなど動物の餌となることで種子散布がされると考えられています。
和名は手棒梨の訛化でないかといわれます。
写真は、ケンポナシに似て、本州西部と四国に分布する葉裏や枝、果序などに毛が多いケケンポナシではないかとおもわれます。
材は木目が美しくて狂いが少ないので家具や器具に使われます。
アカネ:茜(アカネ科アカネ属)が、黒い実をつけています。
8~10月、直径4mmほどの黄白色の花を数個ずつ集まって咲いていたのが、秋になって直径5~7mmの球形の果実を黒く熟しています。(06年8月4日記事)この草が茜染めの原料として昔からよく知られた名前ですが、茜染がセイヨウアカネに取って代わられたこのなどで最近では関心を呼ぶことがないようです。緑の葉に黒い実のアカネは名前から想像できない地味な草となっています。
高い木に這い登ったヤマブドウ:山葡萄(ブドウ科ブドウ属)が黒紫色に熟しています。
以前からノブドウは食べられないがヤマブドウは食べられると聞いてきたのに、なぜかよく目につくのは食べられないほうのノブドウばかりでした。
このヤマブドウも高いところに実をつけていて、残念ながら望遠で写真を撮るだけでした。
秋に熟す果実は直径8mmほどの球形で、そのまま食べたり、ジュースやジャムにします。
樹皮は丈夫で、籠などを編むのに利用され、長さも幅も10~25cmほどの葉は秋に美しく紅葉します。
気象異変のせいでしょうか、河原沿いに這うテリハノイバラ:照葉野薔薇(バラ科バラ属)が、赤い実のあいだの所どころに白い花をつけています。
葉の表面に光沢があるところからテリハの名がついています。
日当たりのよい海岸や河原に多く、山の草地にも見られる落葉低木で、茎は地面を這ってのび、まばらに棘があります。6~7月、枝先に直径約3cmの白い花を数個ずつつけます。
花はノイバラより大きくて平開し、芳香があります。
園芸種のバラの接木の台木になっています。
万博公園で、ユーカリ(フトモモ科ユーカリ属)の木が白い花をつけています。和名のユーカリは学名のeucalyptus(よい蓋の意)の短縮形からきています。写真に見るように蕾時の花弁と萼片が合着したものが開花と同時に落ちて、淡黄白色の雄蕊が目立ちます。学名はこの蕾を蓋と見立てたとか、よく育って乾燥地を覆うところから来ているとかの説があります。
オーストラリア、タスマニア島に主に分布し、500種、変種を入れれば100種にもなるといわれています。(万博の品種はユーカリ グロブロスとありました)
コアラの主食として知られていますが、葉からとる精油は殺菌、抗菌、鎮痛、鎮静の薬効があり、最近ではアロマテラピーや健康茶としても利用されています。
葉は成木では互生、幼木では対生、樹皮は滑らかで、長いひも状に剥がれます。森林火災に強く、種子は火事にあって初めて芽生えるなど話題の多い樹木です。