新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ヒマラヤザクラ(冬に咲くヒマラヤのサクラ)

2010-12-29 07:33:51 | 植物観察1日1題
関西国際空港の対岸にあるりんくう公園を歩いていると、時ならぬ満開のサクラに出会いました。季節といい、花の様子といい、どうやらヒマラヤザクラのようです。
ヒマラヤザクラは、ヒマラヤ山脈の標高1100~2300mの暖温帯に分布しています。
日本には、ネパールのビレンドラ国王が日本留学中(東大)に熱海市に種子を寄贈され、この種子から育てられた子孫が各地に広がっているということです。
11月下旬から12月にかけて薄ピンク色のオオヤマザクラに似た花を咲かせ、常緑で、正月には若葉がでます。
最近、二酸化窒素の吸収同化能力が優れていることがわかり、緑化関係者から環境浄化木として注目されているとの話もあります。
先年ネパールを訪れた時は、3月で、ウメやスモモに似た花は咲いていましたが、季節が違ったのか、このヒマラヤザクラのような花には出会っていません。
寒期に咲くサクラは概してまばらな花つきなのですが、このヒマラヤザクラは枝一面に咲くうえ若緑の葉が彩りを添えています。冬の景色と爛漫の春が同居するちぐはぐな公園の一角でした。

カンザクラ:寒桜(寒さの中で凛と咲く)

2010-12-27 09:32:56 | 植物観察1日1題

比叡山北西山麓のある寺院に桜が咲いていました。
名札では寒桜となっています。
カンザクラはカンヒザクラとオオシマザクラの雑種とされていますが、冬に咲く桜にはフダンザクラ、ジュウガツザクラ、コブクザクラなどの名の栽培品種がおおく、この寺院の名札は、正しい品種名かどうかはよくわかりません。
薄紅色を帯びた一重のこの“寒桜”は、寒空に凛ととした気品を漂わしていました。

タンキリマメ:痰切豆(鮮やかな2色効果)

2010-12-25 15:46:26 | 植物観察1日1題

季節で分類している植物図鑑では、花より果実が目立つ品種は当然ですが実りの季節に入れられています。タンキリマメ:痰切豆(マメ科タンキリマメ属)もそんな一つです。
山や野にはえるつる性の多年草で、全体に逆向きの軟毛があり、3小葉の葉の幅が中央より上が最も広くなっていることで、類種のトキリマメとは区別されます。
7~9月に葉より短い花序に黄色で長さ8~10㎜の花を10~20個つけます。地味な7花よりも目立つのが秋に実る果実で、真っ赤なサヤが開くと、中に黒光りする種子が2個入っています。
この豆が名前の由来である痰切豆で、豆を食べて、あるいは煎じて、咳止めや痰切りの薬に用いたからだそうですが、単なる俗説とする向きもあります。

カエンボク:火焔木(三大花木の一つ) 12月23日

2010-12-23 08:35:53 | 植物観察1日1題

植物園の温室に、カエンボク:火焔木(ノウゼンカズラ科カエンボク属)が、その名の通り燃えるような緋色の花を咲かせていました。
西アフリカ原産の常緑高木で、樹高は12-25mほどになり、葉は羽状複葉で、若葉のころは象牙色、成長すると光沢のある緑となります。
原産地では1年を通じて、赤みがかったオレンジ色の釣鐘型の大きく派手な花を枝先に円錐花序に多数咲かせます。
ジャカランタ(10年7月6日記事)、ホウオウボクと並んで世界の三大花木といわれていますが、選定の趣旨はよくわかりません。
繁殖力がきわめて強く、ICUN(世界自然保護連合)では、本種を世界の侵略的外来種のワースト100に指定していますが、寒さに弱いところから、日本本土では野生化の心配はまずなさそうです。

ニワウルシ:庭漆(天空に光る)

2010-12-21 06:58:38 | 植物観察1日1題

すっかり葉を落とした高木の梢の先が、初冬の澄み切った空に銀色に光っています。
ニワウルシ:庭漆(ニガキ科ニワウルシ属)の翼果です。
ニワウルシは中国原産で、高さ10~20mの落葉高木、明治初期に渡来し、成長が早く当初並木などに使われたのが今では野生化しているものも多くなっています。ウルシに似た大形の奇数羽状複葉を互生し、小葉は6~2対、長さ10cmほどの長卵形で先は鋭くとがり、基部に1~2対の歯牙があり、その先端に腺があるのが特徴です。
雌雄異株で、6月頃枝先に白色の小さな花を多数つけ、果実は翼果で2-3個の分果に分かれ、長さ4~5cmの狭長楕円形で、中央に直径5mmほどの扁平な種子が入ります。翼果は緑からだんだん赤くなり、熟すと灰褐色となり、葉が落ちた後も枝に残ります。
小間物の店で、この翼果を小瓶に入れて”天使の羽根“の名で売っていたという話を聞きました。英名のTree of Heavenをそのまま訳して、和名でシンジュ:神樹ということに関係づけた命名かもしれません、

ヤツデ:八つ手(長短の手で日光を受ける)

2010-12-19 07:53:01 | 植物観察1日1題

あちこちのお庭でヤツデ:八つ手(ウコギ科ヤツデ属)が大きな円錐状の花序を立て、白い小花が集まったボール状の花をたくさんつけています。
本州関東以西から琉球にかけて暖温林内に生える常緑低木で、大きな手のような葉で福を招き寄せるということから縁起を担ぎ門の脇などによく植えられています。
和名は、大きい掌のような分裂葉が多数あるのを八で表現していますが、実際には切れこみは7、9、ときには11など奇数で、八つに裂けることはありません。
木の全体を上から眺めると、大きな切れ目のある葉が、下から上までほとんど重なることなく
広がっているのに気づきます。葉柄の長さが上へ行くに従い短くなって、すべての葉にまんべんなく日光を受ける仕組みです。八つ手の名は、八つに切れ込んだ葉のことというより、いろいろな手をのばしている千手観音のような手からきているのではないかと思えてきました。
雌雄異花で、雄蕊だけの花と両性花があります。枝の脇につくのが雄蕊だけの花で、両性花は枝の先端につき、咲きはじめは雄性で5枚の花弁と雄蕊がありますが、やがて雌蕊が伸びてきて花弁と雄蕊が落ち、柱頭が雌性となる雄性先熟という形です。雌蕊は雄蕊が落ちてから3~4日たってから出てきます。
花には香りがあり、冬にもかかわらず、晴れた日などには20種類ものハエ、アブが集まるそうです。ハチがいない冬に咲くヤツデは、蜜源を浅い位置に設けて、ハエのような短い口吻しか持たない虫たちにも来てもらうように工夫しているといいます。

オオオナモミ:大オナモミ(周到な戦略)

2010-12-17 07:00:28 | 植物観察1日1題

すっかり葉を落としたオオオナモミの茎にびっしりついた赤茶けた果実が目立ちます。
北アメリカ原産の1年草で、日本には昭和の初期に入り、今では全国的に広がり、在来種のオナモミよりはるかに目立つようになっています。
実を包んだイガ(果包)の棘で衣服などにつくいわゆるヒッツキムシの代表格です。
棘の突起は総苞をつくる葉が変化したものと考えられ、突起の先はJ状になっていてよく引っかかります。
オオオナモミの壺状の果包の中には必ず大小2個の種子がはいっています。大きい種子はできた翌年に発芽しますが、小さい種子は多くの場合2年目に発芽します。これは気候変動や、増水、乾燥などに対する適応だと考えられており、一つ目の種子の発芽に失敗しても、あとの一つで発芽する一種の保険といえます。

スズメウリ:雀瓜(白い卵)

2010-12-15 08:52:07 | 植物観察1日1題

葉の落ちたスズメウリ:雀瓜(ウリ科スズメウリ属)の蔓に、鈴なりになった白い果実がぶら下がっていました。
カラスウリに似ていて小さいから、あるいは実が雀の卵に似ているからこの名がついたという両説があります。青いときにはかすかに縦縞が見えて、小さいながらもウリの仲間に見えましたが、(05年9月18日記事)灰白色に乾燥したような晩秋の果実は、雀の卵と見えなくはない感じです。
スズメウリはカラスウリと同様に、秋になるとつるが垂れ下がって地中に潜り、肥大して塊根をつくり越冬する特性を持っているそうです。そうであればこのたくさんの果実はそれほどあてにされていないのかもしれません。

サネカズラ:実蔓(和菓子の鹿の子に似る)

2010-12-13 07:05:25 | 植物観察1日1題

サネカズラ:実蔓(モクレン科(またはマツブサ科)サネカズラ属)の真っ赤な果実が秋の陽に光っています。和名の実蔓は秋の果実が美しいことからきています。
古くからサナカズラとも呼ばれ、詩歌にもうたわれてきました。蔓が分かれてまた会うということから“会う”にかかる枕詞にもなっています。百人一首の「名にしおはば 逢坂山のさねかずら 人に知られで来るよしもがな」も同様の意味合いからでしょう。
別名のビナンカズラはつるや葉を水に浸して出る粘液を、男の整髪に用いたので美男蔓の名があるといいますが、実際には男女を問わず用いられたようです。
トロロカズラ、フノリカズラ、ビンツケカズラなどの別名もこの粘液からきています。
雌雄異株で、赤く熟した集合果は、餡玉のまわりに小豆や栗をつけた和菓子の“かのこ”を想像させます。
ためしに一粒とって口に含んでみましたが、ただ青臭い味がして、いただけない味でした。

アオモジ:青文字(生駒山に群落)

2010-12-11 09:53:28 | 植物観察1日1題

生駒山南面元山上「千光寺」周辺を歩いていて、珍しいアオモジ:青文字(クスノキ科クロモジ属)の群落を見かけました。
黄葉した長楕円状披針形の葉の陰、枝いっぱいに花芽が膨らんでいるのが見えます。多くは山中に自生していますが、中には短く剪定されて栽培されているような木もあります。そういえば、先日、花財としてこの蕾のついた枝が家へ届いていました。
アオモジは、暖地の山地に生える落葉小高木で、高さは3~7mになります。
雌雄別株で、3~4月葉が開く前に淡黄色の花を開きます
6年近くまえ“むかご”を開設したころ、屋内で咲かせた花を取り上げ、山で咲いているのを見たいものだと書いたまま、まだ見ていないことを思い出しました(05年2月26日記事)。南生駒のアオモジの群落は、あらためて花期には見にゆきたい気持ちにさせるものがありました。

ナンキンハゼ:南京黄櫨(白い蝋を被った種子)

2010-12-09 14:26:30 | 植物観察1日1題

赤、黄、紫など豊かな色彩の紅葉が散ったあとのナンキンハゼ:南京黄櫨(トウダイグサ科シラキ属)の枝に白い種子が目だっています。
中国原産で、この白い蝋質の仮種皮から和蝋燭のロウをとるとことからこの名があります。
トウダイグサ科には、双子葉植物としては珍しく、3数性のものが多く、ナンキンハゼもその一つで、写真で見るように、3つの稜をもつ果実が熟すと3つに裂開し、中から白いロウに包まれた3個の種子が顔を出します。
20年ほどもまえに、ナンキンハゼの木だか樹皮だかに発がん物質が含まれているという報道が流れ、各地の公園の担当者が議会で質問されるなど騒ぎがありました。
若葉も紅葉も美しく、種子は鳥にも好まれ、自然工作の材料になるなど結構有用なナンキンハゼ、発癌物質のうわさで公園樹や街路樹に植えられなくなるとしたら少しさびしい気がします。

ウド:独活(不思議な漢名)

2010-12-08 06:54:58 | 植物観察1日1題

半ば枯れ葉となったウド:独活(ウコギ科タラノキ属)に、黒い実がついています。
夏、球状の散形花序が多数円錐状についた大型の花序を出し、淡緑色小さな花を多数つけます。花穂は上部に両性花、下部に雄花がつきます。
当たり前ですが、果期の穂は、両性花のあった枝先に果実が付き、側面にあった雄花序は落ちてしまいます。
ところで、和名のウドは宇登呂の意味で茎が中空であるためという説があり、漢字のほうは難しい読みの割にはよく知られている独活ですが、漢方から来たことはわかるにしても、漢字そのものの由来は定かではありません。
風もないのに自分から動いているように見えるので“独活“という説もありますが、少々無理がありそうです。

トリトマ:シャグマユリ:赤熊百合(かやぶきの里に咲く) 

2010-12-06 08:53:15 | 植物観察1日1題

秋も深まった美山かやぶきの里に紅橙色のトリトマ(ユリ科シャグマユリ属)咲いていました。
アフリカ西部に約70種の仲間が自生しているとされ、そのうちのウーリア種を母体としてできた品種が一般にトリトマ(和名、シャグマユリ:赤熊百合)の名で栽培されています。
エキゾチックな色彩と形が好まれ、花壇植えのほか切り花にも用いられます。
春から夏にかけて地際から長い花茎をだし、先端に多くの花をつけ松明状になります。
円筒状の花は下から咲きあがり、写真の花は少し季節外れではっきりしませんが、上端の蕾は深紅色で、開花すると黄色になり、花穂全体を見ると2色になります。
和名のシャグマユリのシャグマは“赤熊”と書き、赤く染めたヤクの毛のことで、キッコウハグマの白熊(ハグマ)に対する古い言葉です。
色彩の乏しい晩秋のかやぶきの里に、和風の名を持つ異国風のトリトマは違和感なく目立っていました。

ミズタマソウ:水玉草(陽射しに光る)

2010-12-03 18:31:09 | 植物観察1日1題

秋の夕日に白く光るものを見ました。
近づいてみると、ミズタマソウ:水玉草(アカバナ科ミズタマソウ属)の、枯れた果実でした。
果実は堅果で、直径3~4㎜の広倒卵形、かぎ形に曲がった毛が密生します。露などに濡れると、まるで水玉のようになるので水玉草の名で知られていますが、枯れた果実も陽射しを受けてこのようにきれいに光ることを知りました。
ミズタマソウの花については、8月10日に取り上げています。