新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ウラシマソウ:浦島草(長い釣り糸)

2010-04-30 06:53:23 | 植物観察1日1題

ウラシマソウ:浦島草(サトイモ科テンナンショウ属)は、花穂を包んだ仏炎苞の先についた長い糸状の付属体を、浦島太郎の持つ釣り糸に見立ててこの名があります。
山野の木陰にはえる多年草で雌雄異株、地中の球茎は多数の子株をつくり、盛んに栄養繁殖をするので固まって生えることが多いのですが、今では野生のものを見かけることが少なくなっています。
葉はふつう1個根生し、多数の小葉からなる鳥足状複葉となります。
花序の先の付属体は紫黒色で、長さは60cmにもなります。形と名づけの妙で、覚えやすい植物ですが、この釣り糸、ウラシマソウにとってどんな効用を持っているのでしょうか。

オトコヨウゾメ(男っぽくないオトコ)

2010-04-29 07:13:43 | 植物観察1日1題

オトコヨウゾメ(スイカズラ科ガマズミ属)の花が咲いています。
山野の日あたりのよいところに生える落葉低木で、高さは1~3mmになります。
5~6月枝先に散房花序をだし、薄紅色を帯びた径6~9mmの白い花を5~10個ずつ垂れ下がってつけます。花序の柄は長さ2~3cmで、紅色を帯び、基部に葉が一対つきます。ごく小さい三角形の萼片も紅色を帯びます。
この変わった名前の由来は定かではありませんが、ガマズミ類をヨソゾメ、ヨツゾメなどと呼ぶ地方があり、ガマズミ似ていて、本種の果実が細く痩せていて食用にならないことから男を冠してオトコヨウゾメとなったのではないかとの説があるそうです。
冬芽を見るとガマズミが粗い毛に包まれているのに、オトコヨウゾメの芽鱗は無毛ですし、花の形も色合いもガマズミよりも色っぽく、なぜオトコと呼ばれるのかちょっと不思議です。

ヤマコウバシ:山香し(クロモジ属でユニークな)

2010-04-28 06:47:43 | 植物観察1日1題

ヤマコウバシ:(クスノキ科クロモジ属)の花が咲いています。
淡黄色の小さな花の花被片は6個、子房と花柱は花被から突き出ます。
クスノキ科で落葉する仲間が集まっているクロモジ属のなかで、唯一ヤマコウバシだけがひとつの冬芽の中に花芽と葉芽が一緒になった混芽を作ります。雌雄別株なのに、雄株が知られていないこと、春先まで枯葉が落葉せず枝に残ることなど、なにかと不思議の多い植物です。
和名の“山香し”は枝を折るとよい香りをすることから来ていますが、別名にヤマコショウがあり、また葉を噛むと粘りがあり、10割そばのつなぎに使われるという話は、もうひとつの別名モチギと関係がありそうです。昔、若葉を乾燥して保存しトロシバの名で非常食としたというのもこの粘りと香りを利用したということでしょうか。

イヌブナ:犬橅(若葉と芽生えと)

2010-04-27 08:27:47 | 植物観察1日1題


氷ノ山に近い養父市若杉地区の不動滝から流れ落ちる渓谷沿いで、イヌブナ:犬橅(ブナ科ブナ属)が浅緑の若葉つけた枝を、清流の上に伸ばしていました。
材の質がブナより劣るというので犬の名がついています。ブナよりやや低い土地に生え、中部地方以北の多雪地帯にはほとんどなく、主として太平洋側の乾燥したところに多く見られます。
樹皮はブナより黒っぽく、クロブナの別名があります。
あたりのあちこちに、まだ種皮を被ったままのごく幼い芽生えがありました。
おそらくこの芽生えのほとんどが、成木まで育つことなく消えてしまうと思われますが、けなげに芽生えた彼らに、思わず、がんばれよと声をかけたい気持ちになりました。

ツバキもち病 (病菌がつくる餅肌)

2010-04-25 08:34:36 | 植物観察1日1題

ヤブツバキの枝先で、花びらを突き破るように白く膨れた物体を見かけました。
果実になるべき部分が、虫こぶ化しているのかと思い写真に撮って帰りました。
調べてみると、どうやらこれは虫えい(虫こぶ)ではなく、ツバキやツツジなどにつく担子菌に属するカビの仕業ということがわかりました。
葉や芽、花などが肥厚し奇形が生じる“菌えい”で、クロロフィルの生成が阻害されて白化することが多く、病名の通り餅を焼いたように肉厚になり、球状に膨れてきます。病気が進行すると表面は白いカビに覆われ、肥大部はつぶれたように干からびて落葉するそうです。“菌えい”は虫こぶの本にも載っていますから、虫と菌との違いがあれ、両者はよく似た生成過程物をもつものかもしれません。

カジイチゴ:梶苺(大きい葉の苺) 

2010-04-24 07:36:57 | 植物観察1日1題

カジイチゴ:梶苺(バラ科キイチゴ属)の白い花が咲いています。
本州関東から近畿までの太平洋岸や伊豆諸島など海岸地に生え、または人家の庭にも植栽される落葉低木で、高さ2mほどになります。
若枝にとげがあり、葉柄、花序にある腺毛、軟毛も古くなるとなくなります。
花は晩春、径約3cmで横向きに咲きます。果実は初夏に熟し食べられます。
和名の梶苺は、葉の形がカジノキに似ていることによるというのですが、似ているのは苺にしては葉が大きいということくらいで、それほど形が似ているとは思えません。

アオハコベ:青繁縷(花弁を失ったハコベ)

2010-04-22 09:10:39 | 植物観察1日1題

どこかで見ているはずなのに目立たないので気づかなかった草を教えてもらったときは、恥ずかしいような嬉しいような気持ちになります。
最近教わったアオハコベ:青繁縷(ナデシコ科ハコベ属)もそんなひとつでした。
花は春、径8mmくらいの小花を開きます。花に花弁がなく、緑色の萼と雌蕊、雄蕊があるだけで、全体が緑色に見えることからこの名があります。
本州近畿以西、四国、九州の山地に生える多年草で、全体に星状毛があり、茎はやや硬質のつる状で細長く斜上し、花後にのびて地面を覆い、長さ30cm以上になります。

ハルトラノオ:春虎の尾(短い虎の尾)

2010-04-20 18:13:12 | 植物観察1日1題

金剛山の頂上付近でハルトラノオ:春虎の尾(タデ科タデ属)の群落に出会いました。
山地の木陰に生える多年草で、イブキトラノオ(08年9月1日記事)の仲間のひとつで、花が春に咲くのでこの名があります。トラノオの名がつく植物はいくつかありますが、いずれも細長い花穂を虎の尻尾に見立てたものです。しかしハルトラノオの花穂は短く長さ2~3cmです。
花は白色で、花弁はなく、萼は深く5裂し、雄蕊は8個で突き出し、赤色の葯が目立ちます。


スノーフレーク( 春の庭に降る雪片)

2010-04-18 07:58:17 | 植物観察1日1題

冷たい雨が続く今年の4月、庭のスノーフレーク(ヒガンバナ科レウコジェム属)の白い花弁の先に雨滴が光っています。
ひらひらの雪片という意味でしょうが花は雪が消える春になって咲きます。英名はsummer snowflakeだそうです。これなら納得です。
花がスズランに似て球根がスイセンに似ているのでスズランスイセン:鈴蘭水仙の別名があります。よく似た花のスノードロップ(松雪草)(10年3月10日記事が花茎の頂に花を1個だけつけるのに対し、スノーフレーク(大松雪草)は2~5個の花をつけます。
スイセンと同じで一度植えると手入れなしで何年も咲き続けるお徳用な花です。

フサザクラ:房桜・総桜(遅すぎた大悲山)

2010-04-17 09:50:23 | 植物観察1日1題

京北常照皇寺に名物桜(むかごの高槻)を見たあと、花背の大悲山峯定寺へまわりました。
目的は、去年秋川沿いの道で見かけたフサザクラ:房桜・総桜(フサザクラ科フサザクラ属)の花が見られるかと思ったからです。
一度は見たい花だったのですが、行ってみてがっかりでした。山間であり、異常な低温続きで桜の開花期が長かったので、3月下旬~4月という花期に十分間に合うと思ったのに、名前の由来でもある、肝心の房状に下がるという暗紅色の葯はすでに枯れて、赤黒く縮じれてしまっていたからです。わずかに花糸の基部にある柱頭だけが顔を覗かせていました。
花の様子が似ているなどでカツラ科や山車と類縁関係にあるというフサザクラは、谷筋などに多く生えて葉がクワに似ていることからタニグワの別名もあります。
近間では知らないフサザクラ、果たして来年は、タイミングよく見ることができるでしょうか。

シロバナショウジョウバカマ:白花猩猩袴(白い顔の猩猩)

2010-04-16 06:10:32 | 植物観察1日1題
この時期、少し湿ったところにショウジョウバカマ:猩猩袴(ユリ科ショウジョウバカマ属)が咲いているのをよく見かけます。
赤い花を猩猩に、地面に広がった葉を袴に見立ててこの名があるといいます。しかしショウジョウバカマは)の花色には淡紅色から濃紅紫色、さらには薄紫色、白色まで結構変化があります。(写真2
猩猩は中国の想像上の獣で、毛は長く朱紅色、面貌紅にかしげ人に類し、酒を好む、とされます。能の猩猩も好きの代表格として描かれており「市毎に来たり酒を飲む者の候が、杯の数は重なれども、面色はさらに変わらず候ほどに…」となっています。いくら酒を飲んでも顔色には変化がなかったようです。
ところで、先日岩湧山山麓で見たのは白い花ばかりのショウジョウバカマ(写真1)の群落でした。どうやらショウジョウバカマの変種で、シロバナショウジョウバカマと名がついているもののようです。図鑑では葉がショウジョウバカマよりやや薄く、縁はしばしば細かく波立つ。花が開く頃には新葉のロゼットが伸び始める、とあります。岩湧山のそれも確かに花茎のそばに若緑の新葉が伸びていました。





チャルメルソウ:チャルメルソウ:哨吶草(目立たない花弁のおしゃれ)

2010-04-15 07:00:44 | 植物観察1日1題
谷の水辺でチャルメルソウ:哨吶草(ユキノシタ科チャルメルソウ属)が花茎をのばし目立たない花をつけています。
果実の開いた形が中国の楽器のチャルメラに似ていることからこの名がついたといわれます。和名の哨吶草の哨吶(さない)は、清楽に使われるチャルメラに類する管楽器のことだそうです。
目立たない花ですが、近寄ってみると面白い形をしています。何本もの手を広げたような形のものは花弁が裂開したもので、種類によって3裂かから11裂もあり、葉や托葉の形などとともに同定の手がかりにもなるそうです。
各地で見られるこの草ですが、地域性が強くて近縁種が多く、なかなか同定が難しくて、仲間の総称としてチャルメル草が用いられることがあるようです。


ヤワゲフウロ:柔毛風露(やはり外来ふう)

2010-04-13 17:55:59 | 植物観察1日1題

岩沸山山麓で見かけた花です。
ヤワゲフウロ:柔毛風露(フウロソウ科フウロソウ属)と教わりました。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、1977年と比較的新しく確認されたとかで、普通の図鑑にはまだ載っていません。
草丈は10~50cmで茎や葉に柔らかな毛が密生し、葉は丸味のある切れ込みを持ちます。
花は直径約10mmの紅紫色で花弁の先は切れ込みます。
ミカン畑の有機肥料に趣旨が混じって広がったと考えられており、大阪府、和歌山県、香川県などで確認されており、大阪府では特に南部で広がっているといいます。
かわいい花ですが、一見して在来のものではないバタ臭い(古い!)雰囲気があります。

アマナ:甘菜(昔は食べるほどあった?)

2010-04-12 09:48:37 | 植物観察1日1題

名前をよく聞く割にはあまりお目にかかれなかったのに、先日背割堤で、今回岩沸山でと、最近連続して会うことができたのがアマナ:甘菜(ユリ科アマナ属)です。
地中にできる鱗茎の白い肉に甘みがあり食用になることから甘菜の名があります。別名もムギグワイ:麦慈姑で鱗茎の形が食用にされるクワイに似ていることからきています。
本州福島県以西、九州に分布し、日当たりのよい草地や畑の畦などに生える多年草で、葉は、長さ15~25cm、幅5~10mmの線形で根元に2個つきます。
花は3~5月、高さ15~20cmの花茎にふつう1個つきます。花の直径は2~3cm、花弁は6個で白地に紅紫色の筋が入ります。
食用を意味する“菜”がついているアマナですが、いまでは食べるほどは生えていないようです。


サツマイナモリ:薩摩稲守(同じ山で見た2種のイナモリソウ)

2010-04-10 22:26:27 | 植物観察1日1題

岩湧山麓の道を歩いていて、深い谷川の縁に白い花をつけた草の群落が見えました。遠目にもなじみのない花のようだったので、少々無理をして谷底まで降りました。
花は長さ1.5cmほどの漏斗型で、花柄の片方に数個偏ってつき、白い5弁の花にはやわらかい毛があります。
初めて見るサツマイナモリ:薩摩稲守(アカネ科サツマイナモリ属)でした。
暖地の林下のやや湿ったところに生える常緑の多年草で高さは10~25cm、茎は細く地をはって広がります。花期は非常に長く12月から翌年の5月ごろまで咲き続けます。
和名の薩摩稲守は、薩摩に産する稲守草の意で、イナモリソウは、三重県の稲守谷で最初に発見されたのでその名が付いたといわれます。奇しくもそのイナモリソウを初めて見たのも、この岩湧山でのことでした。(05年6月27日記事)植物観察に興味を持ち始めた頃のことで、イナモリソウをよく覚えています。そしてこのサツマイナモリも、同じ山で、それも苦労して見に行っただけに忘れられない花になりそうです。