新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

トウガラシ:唐辛子(辛くないのも唐辛子)

2008-11-30 07:06:28 | 植物観察1日1題

すでに初霜が降りた畑に、トウガラシ:唐辛子(ナス科トウガラシ属またはナス属)が、赤い実をつけています。近づいてみると、青い実もあり、その下にはまだ薄紫色を帯びた花が咲いていました。
南アメリカ原産の多年草で、コロンブスによってヨーロッパにもたらされ、さらに東洋へ普及したといわれます。熱帯から温帯に栽培され、温帯では1年生、熱帯ではやや低木性の多年草になります。種子や果皮に刺激のある辛味があり、香辛料として世界で使われています。
果実の形や、色、辛味などによって、多くの系統に分けられます。辛味の強い代表がタカノツメや、写真のように果実が上向きにかたまってつくヤツブサ(八つ房別名テンジョウマモリ:天井守)です。辛味のない料理用のがピーマンやシシトウガラシ、ほかに色々な色の果実がつく観賞用のトウガラシもあります。

(明日から1週間ほど休みます)


ハクサンボク:白山木(単なる誤認?)

2008-11-29 07:37:44 | 植物観察1日1題

公園に赤い実をつけた低木がありました。
ハクサンボク:白山木(スイカズラ科ガマズミ属)です。
沿海地の海岸林に多い常緑の低木ないし小高木で、高さ5~6m、全体に無毛で、葉は長さ7~20cmの皮質、滑らかで光沢があります。
3~5月新枝の先に白色の小さな花を散房花序につけます。
10~12月に赤く熟す果実は核果で、長さ7~9mmの楕円形です。
ハクサンボク(白山木)の名は石川県の白山に産すると誤認されてのことといわれています。事実白山とは縁もゆかりもなく、西日本の沿海地の多い木ですから、この名前の由来自体も少々まゆつばものの気がします。

ケヤマハンノキ:毛山榛の木(整う春への準備)

2008-11-27 06:52:25 | 植物観察1日1題

山道でもう来年の花穂を垂れ下げている木に出会いました。
ケヤマハンノキ:毛山榛の木(カバノキ科ハンノキ属)と見ました。
ハンノキに似ていますが、葉幅が広く、長さも大き、まるみを帯びた広卵形で、ふちには欠刻状の重鋸歯があります。葉の裏面や葉柄、若枝にビロード状の軟毛が密生します。全体に毛のないものをヤマハンノキといいますが、中間型もあり、毛の様子は固体によって変異が多いといいます。
雌雄同株で、早春、葉の展開前に開花します。枝先にはすでに2~4個の雄花序が垂れ下がり、その根元には小さい雌花序も見えます。冬の寒さを目前に、早くも春の準備が整っています。

ソテツ:蘇鉄(目立つ赤い実)

2008-11-26 07:00:03 | 植物観察1日1題

“赤い蘇鉄の実も熟れる頃…”は、バタやんこと田端義夫が歌った“島育ち”の一節です。その赤い種子が実っています。晩秋熟れる朱赤色の扁平な種子は、幹とともにデンプンを含みますが、有毒で、南西諸島では飢饉のとき、これを砕き水にさらして毒を除き、非常食としたと伝わります。
ソテツ:蘇鉄(ソテツ科ソテツ属)は、九州南部、琉球の海岸の崖や急斜面などに生え、また観賞用として庭に植えられる常緑低木です。
雌雄異株で、雄花は幹の先に直立し、雌花は球状で胚珠は裸出します。
裸子植物に属し、進化的に見て、シダ植物と被子植物との中間に位置する古い植物で、生きた化石ともいわれ、イチョウとともに種子植物の中で精子を形成する珍しい植物でもあります。そして相前後してイチョウとソテツが精子で繁殖することを発見したのが、いずれも平瀬作五郎、池野成一郎という日本の研究者であったことも有名な話です。
蘇鉄の名は、枯れそうになったとき、鉄釘をさすと蘇生するといわれることによります。
何かと話題の多い蘇鉄ですが、蛇足をひとつ。この写真は、高槻市内上牧の本澄寺の境内で撮影したもので、この寺の四十一世三好竜神の兄が、大阪が生んだ詩人三好達治であり、境内には三好達治記念館が建ち、一隅には達治の墓もあります。

リンゴアザミ:林檎薊(ややこしい名前の色々)

2008-11-25 06:52:04 | 植物観察1日1題

公園で紫色の薊のような花を見かけました。今は消えましたが何年か前まで庭で咲いていた花で、妻はキクアザミといっていました。
帰って図鑑やネットで調べても出てきません。もう一度妻に訊くとセントラセラム プンクタータムともいうといいます。
調べるとありました。学名がCentratherum punctatum で、和名がリンゴアザミ:林檎薊(キク科ケントラタータム属)、別名ムラサキルーシャンでした。
西印諸島~中南米原産のキク科の多年草で、花が薊によく似ていて、葉を揉むとリンゴのような匂いがするのでリンゴアザミ(林檎薊) と呼ばれます。
 もう一つの別名がキクアザミ(菊薊)で、こちらは園芸店が売っている流通名ですが、本当のキクアザミ(菊薊)は別種のトウヒレン属でかなり紛らわしいことになっています。
比較的寒さに強いらしく、我が家ではそのまま冬越しし、こぼれ種で翌年も芽生えたりして何年も楽しめたことを記憶しています。

コモチシダ:子持羊歯(TOW WAY繁殖法)

2008-11-24 07:20:38 | 植物観察1日1題

コモチシダ:子持羊歯(ウラボシ科コモチシダ属)が、名のとおり葉の上に子どもをつけています。崖や斜面から垂れ下がって生える常緑の多年草で、根茎は粗大で横にはい、斜面の上から下へ成長します。葉には長い柄があり束生します。
葉面に多数の無性芽を生じるのが特徴です。胞子は別に葉裏につきますので、二通りの方法で繁殖することになります。葉面に生じる無性芽はショウジョウバカマやコダカラベンケイなどでも見られます。

ブラシノキ:カリステモン(枝上で好機を待つ種)

2008-11-23 08:37:34 | 植物観察1日1題

鮮紅色や白色の長い雄蕊をもつ房状の花序が、ビンを洗うブラシのように見えるのでこの名がついたブラシノキ(フトモモ科ブラシノキ属)は、オーストラリア原産の常緑の小低木で、美しい雄蕊というギリシャ語から来たカリステモンという名でも呼ばれます。
特徴ある花の形はおなじみですが、花の後に長く枝に残る直径1cmほどの果実も特徴があります。この果実は花の後もずっと成長を続けて、数年間は枝に残り、極端な乾燥や山火事のときに鋭く裂けて中の種子が飛び散って拡散します。そして山火事で裸になった土地で真っ先に芽をだし、一帯の優先種となるというのです。
ユーカリとよく似たこの種子のはたらきは、オーストラリアという原産地の気候風土に巧みに適応したものなのです。

カラタチ:枳殻(まろいまろい金の玉) 

2008-11-22 06:22:15 | 植物観察1日1題

「からたちも秋はみのるよ まろいまろい金のたまだよ…」
白秋の詩「からたちの花」で歌われた、カラタチ:枳殻(ミカン科カラタチ属)の黄色い実がなっています。
秋黄色に熟する果実は、直径3~5cmの球形みかん状果で、表面に軟毛があります。
果肉は黄色で香りがよいのですが、苦くて種が多く、橘実と呼ばれ薬用にされるものの、食用には適さないといます。
鋭い棘の中に潜むこの実を撮影するのに難儀をしました。この棘は葉の変化したものと見られています。食用に適さないというこの実を守るには少し過剰防衛気味です。
・カラタチの花(06年5月13日記事)

スイカズラ:吸葛・忍冬(光る碧玉)

2008-11-21 06:18:56 | 植物観察1日1題


初夏、芳香ある花を金銀綾なしてつけていたスイカズラ:吸葛・忍冬(スイカズラ科スイカズラ属)が(05年6月7日記事)青黒い実をつけています。
果実は液果で、9~12月に黒く熟し、直径5~6mmの球形で2個ずつ並んでつきます。種子は長さ約3mmの広楕円形です。
この実は一度取り上げたことがありますが、黒く熟す前の果実をよく見ると、光沢ある緑色に瓜のような縦縞があり、結構奇麗だったので再度の登場となりました。
このスイカズラ、日本でこそあまり庭には植えられませんが、ツュンベリによってヨローッパに紹介されたのが1700年代後半、外国ではJapanese Honeysuckleなどの名前で観賞用に庭園などに植えられ、やがてそれが野外に逸出帰化し、今では駆除困難な強害草になっているといいます。
ナイヤガラの滝付近では野生化したスイカズラが一面に水辺を覆っているのをご覧になった方も多いと思います。海外の気候風土が適したのか、本国よりも盛んに繁殖している出国植物の例です。

ユリオプシスデージー(冬に咲き続けるアフリカ原産種)

2008-11-20 06:31:10 | 植物観察1日1題

公園の花壇にユリオプシスデージー(キク科)が黄色い花をつけています。
南アフリカ原産の半耐寒性の多年草で、一重のキク状の花を、11月から翌年4月ごろまで次々に咲かせます。
園芸種の常としてあまり情報は多くありませんが、アフリカ原産というものの、うまく我が国の冬に適応したのか、比較的寒さに強いようで、冬中黄色い花を咲き続けています。


ハゼノキ:黄櫨(紅葉が美しい)

2008-11-19 07:02:03 | 植物観察1日1題

公園にハゼノキ:黄櫨(ウルシ科ウルシ属)が美しく紅葉しています。
本州関東地方南部以西、琉球、中国、さらにはタイ、インドネシアなどに分布し、核果から蝋を採るために栽培される落葉高木で、高さは7~10mになり、野生化しているものあります。
ヤマハゼに似ますが、芽の鱗片以外まったく無毛であることで区別されます。
秋の紅葉が美しく、ウルシ科としては珍しく公園や庭に植えられることがあります。
単にハゼまたはリュウキュウハゼの別名があります。

ゲッケイジュ:月桂樹(実もまた香る)

2008-11-18 06:11:47 | 植物観察1日1題

月桂樹(クスノキ科ゲッケイジュ属)が黒い実をつけています。
地中海沿岸原産の常緑高木で高さは12mぐらいになります。
日本への渡来は1905年ごろ、日露戦争の勝利の記念樹として各地に植えられたといいます。
ギリシャ神話では、太陽神アポロンは、おっかけっこの末、ゲッケイジュに化したニンフのダフネを愛し続けます。
そして、年中緑を保ち、浄化の力を持つこの木の枝で作った月桂冠を、優れた詩人や、競技の勝利者に贈るようになります。
葉や花にシオネールなどの精油を含むので芳香があり、乾燥した葉はローリエまたはぺイリーフと呼ばれ、肉料理などに使うポピュラ-なスパイスになっています。
雌雄別株で、日本には雌株が少ないそうですが、万博公園の世界の森で実をつけた木に出合ったので、花より先に実の登場になりました。

ホドイモ:塊芋(確かに豆です)

2008-11-17 07:05:37 | 植物観察1日1題

夏、日当たりのよい林縁で、黄緑色の房状花で、ピンク色の小型の翼弁が目立つていたホドイモ(マメ科ホドイモ属)が、豆莢をつくっていました。
北海道から九州にかけての山野に生えるつる性の多年草で、茎は細長く伸びて他物に絡みついて伸びて行きます。
地下に紡錘状または球形の内部が白い塊根ができ、これを焼くなどして食用にすることからイモの名がついていますが、れっきとしたマメ科の仲間で秋には長さ6~8cmの豆果をつけます。単にホド(塊)とも呼ばれ、漢名に休子洋、山紅豆花などがあります

ホソバ)アキノノゲシ:細葉秋の野罌粟(枯野に残る)

2008-11-16 07:16:32 | 植物観察1日1題

秋の花もあらかた終わった野原や道端で、まだ薄黄色の花をつけているのがアキノノゲシ:秋の野罌粟(キク科アキノノゲシ属)です。
日当たりのよい荒地や草地に生える高さ0.6~2mの1~2年草で、茎や葉を切ると白い乳液が出ます。茎の下部のはが切れ込むのをアキノノゲシ、葉の幅が狭くまったく切れこまないのをホソバアキノノゲシといいます(写真)。ともに、茎の上部に淡いクリーム色の頭花を円錐状に多数つけます。頭花は舌状花だけで、太陽が出ていると開き、夕方や、曇り・雨の時は閉じます。暖かい地方ではほぼ1年中花が見られます。


ノジギク:野路菊(兵庫県の花)

2008-11-15 07:28:23 | 植物観察1日1題

万博日本庭園の入口に、ノジギクが今咲いていますと、写真入りで案内が出ていました。
兵庫県の県花として知られるノジギク:野路菊(キク科キク属)ですが、初めてなので早速見にゆきました。
ノジギクは1884年に牧野富太郎が発見し命名したとされ、牧野はこれを栽培菊の原種と考えましたが、逆に栽培菊が野生化したとする異説もあるそうです。山道で発見されたのでこの名がありますが、実際には海岸の崖や傾斜地に多く、海岸の開発などにより最近はめっきり減っているようです。
高さ60~90cmの多年草で、葉は互生し、長さ3~5cm、5つまたは3つに切れ込み、表面は緑色裏面は灰白色の毛に覆われます。
花期は10~12月、頭花は直径3.5cm~5cm、縁に並ぶ舌状花は白色で後に赤みを帯びます。
帰って図鑑を見ると、ノジギクのほかに、セトノジギク、アシズリノジギク、サツマノジギク、オシマノジギクなどいろいろ載っています。いずれもノジギクと区別しにくいとありますので、ここは素直に、万博公園の案内どおりノジギクと見立てました。