新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

キハダ:黄膚(伝統の名薬陀羅尼助)

2009-11-30 06:55:58 | 植物観察1日1題

樹皮の内皮が鮮やかな黄色であることからこの名があるキハダ:黄膚(ミカン科キハダ属)は、奈良大峰山の伝統的な和薬陀羅尼助の原料として有名です。
日本全土に広く産する高さ20mにもなる落葉高木で、長さ20~40cmの奇数羽状複葉の葉を対生します。雌雄別株で、5~7月、枝先に円錐花序をだし、小さな黄緑色の花を多数つけます。
9~10月に黒く熟す果実は、核果で直径約1cm、中には5~6個の核が入っています。
有名な陀羅尼助は、役の行者が大峰山で修行する修験者の持薬として、このキハダの皮を煎じて飴状に仕上げた薬を用いたものを授けのたのが始まりと伝えられています。
キハダの樹皮の黄色はアルカロイドであるベルベレンという成分で、極めて苦味に富み、健胃、吐瀉剤のほか赤痢、チフスなどに対する抗菌作用が知られています。
腹痛一切、眼病、打ち身、筋違いなど万病に効く妙薬として売られてきた陀羅尼助ですが、今では薬事法の規制で、胃腸専門の薬に限定して扱われてているそうです。

ヌルデ:白膠木(塩味の果実)

2009-11-29 13:52:58 | 植物観察1日1題

幹を傷つけると滲みだす白い樹液を器具などに塗ったことからこの名がついたというヌルデ:白膠木(ウルシ科ウルシ属)は、また「五倍子」と呼ばれ、薬用や染料さらにはかつては鉄漿(おはぐろ)用いられたにヌルデシロアブラムシが作る虫こぶでも知られます。(08年8月1日記事
そして秋、大きな複葉の葉が見事に紅葉するころ、直径約4mmの偏球形の核果を房状につけて、黄赤色に熟します。この果実はやがて白い物質を分泌し、酸味の混じった塩辛い味がします。地方によってはこれを味付けにすることもあったそうですが、塩分ではなくリンゴ酸カルシュウムという成分だそうです。
ウルシの仲間ということで、この実を舐めるには少し勇気がいりますが、かぶれたという話は聞きません。

クサボケ:草木瓜(地面近くに生るナシ)

2009-11-28 07:35:32 | 植物観察1日1題

地下茎状に横に伸びた幹から枝を出すので、幹が群がって上向きに伸びるボケと区別されるクサボケ:草木瓜(バラ科ボケ属)は、高さ30~80cmの落葉低木で、バラ科に珍しく両性花に雄花が混じります。雄花の下位子房はやせ、雌花のは肥厚して、秋、径3~4cmの果実になり黄色く熟します。ナシ状果で果肉は木化してかたく、生では食べられませんが、香りはよく、塩漬けや果実酒にされます。
別名にシドミ、ジナシがあります。ジナシとは地面近くに生る梨という意味でしょうか。そういえば仲間のボケの名は中国の木瓜(モッカ)の転訛といいますから、ボケもクサボケも名前の上では花より果実のようです。

ヤマシャクヤク:山芍薬(種子かシイナか、赤色の謎)

2009-11-27 07:16:57 | 植物観察1日1題

花のときは遠くまででも見に行きたいヤマシャクヤク:山芍薬(ボタン科ボタン属)(08年5つき14日記事)ですが、果実を見るのは初めてでした。
図鑑では、果実は袋果で、熟すと割れ、黒紫色の種子を出すが、紅色の不稔の種子が混じり派手な彩りになるとありました。そうするとこの赤いものは不稔種子か、あるいはまだ未熟の種子で、中に黒い実が入っているのか、このことが分かっていれば、この赤い袋を破って中身を確かめたのにと、ちょっぴり残念です。

ヒメユズリハ:姫譲葉(日御碕で出会った草木④)

2009-11-26 08:33:57 | 植物観察1日1題
ユズリハより葉が小さいのでこの名があるヒメユズリハ:姫譲葉(ユズリハ科ユズリハ属)は、暖地の海岸近くに生える常緑高木で、高さは5~12mになります。
葉は枝先に集まってつき、長さ6~12cmの狭い長楕円形で、先は尖ります。
表面は光沢のある深緑色で全縁、裏面は緑白色、側脈は8~10対あり、ユズリハに比べ網状脈が目立ちます。
雌雄別株で、5月、葉のつけ根に小さい花を多数つけ、秋から冬、長さ8~9mmで楕円形の核果を藍黒色に熟します。
果序が上向きになることも、垂れ下がるユズリハと異なります。
(06年1月11日記事参照)

ハマビワ:浜枇杷(日御碕で出会った草木③)

2009-11-25 08:22:38 | 植物観察1日1題

ハマビワ:浜枇杷(クスノキ科ハマビワ属)は暖地の海岸近くに生え、葉の裏面が黄褐色の綿毛におおわれビワの葉に似ているのでこの名がある常緑高木です。
葉は枝先に集まって互生し、長さ7~15cmの長楕円形で厚くて硬く、表面には光沢があります。
雌雄別株で、10~11月に葉のつけ根に黄白色の花が固まってつき、翌年の春から初夏にかけて碧紫色に液果を熟します。
写真は葉芽で、若木のためか花芽は見当たりませんでした。

ハマヒサカキ:(日御碕で出会った草木②)

2009-11-24 06:51:39 | 植物観察1日1題

日御碕で見たヒサカキ(ツバキ科ヒサカキ属)、ちかごろは公園などでよく見かけるからか、浜に生えていて当然のこの木を浜辺でみると不思議に新鮮さを覚えます。
本州千葉県以西、四国、九州の海岸地に生え、庭木にもされる常緑低木~小高木で高さ1.5~6mになります。
互生する葉は厚くつやがあり、長さ1.5~3cmの倒卵形で、ふちにやや浅い鋸歯があり、葉先はまるく、ふちは裏に反り返ります。
雌雄異株で、花は晩秋から翌春、葉腋に直径2~6mm、淡黄色の鐘形の花を下向きに1~4個束生します。
ヒサカキと同じように強い臭気があります。(写真は雄花)

サケバヒヨドリ:裂葉鵯(日御碕で出会った草木①)2009.11.23

2009-11-23 17:26:00 | 植物観察1日1題

11月初め山陰路を旅しました。出雲大社から日御碕灯台へまわり、例によって遊歩道沿いでいくつかの植物に目を止めました。
ヒヨドリバナに似て、少し紅色が濃いのでサワヒヨドリかと思ったのですが、3つに裂けた葉の形は初めて見るものでした。
帰宅して図鑑をあたるとサケバヒヨドリ:裂葉鵯花(キク科フジバカマ属)というのが見つかりました。
山地に生える多年草で、高さは0.5~1mになり、葉は深く3裂する。頭花は普通5個からなる筒状花で密な散房状につき、総苞は長さ約5mm、色はやや濃い。とあります。
自信はありませんがぶんこれであろうと見当をつけました。

ヒメリンゴ:姫林檎(姫もいろいろ)

2009-11-22 06:25:22 | 植物観察1日1題
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高槻市古曾部地区の街路樹は珍しいヒメリンゴ:姫林檎(バラ科リンゴ属)です。
今、秋空の下、小さいた赤い林檎が鈴なりになっています。
エゾリンゴと中国原産のイヌリンゴとの雑種ともいわれる落葉小低木で、庭木や鉢植え、盆栽などに用いられます。
5~6月、直径3~4cmの花をつけ、はじめ淡紅色でやがて白くなります。
果実は直径2~3cmで、濃紅色から暗紫色に熟します。この街路樹のヒメリンンゴ、一つ失敬して食べてみましたが、リンゴの風味がするという程度のものでした。
果物屋の店先に、これより大きく直径4~5cmのリンゴが、同じヒメリンゴの名前で出ていたのを見つけ買って帰りました。街路樹のよりはましでしたが、普通の林檎には到底およばない味でした。

イタチノシッポゴケ:大尻尾苔(納得できる名前ですが)

2009-11-21 07:18:29 | 植物観察1日1題

嵯峨野に半日の紅葉狩りをしました。
祇王寺の庭の青い苔に落ち葉が散り敷いていました。
面白い形の苔があり、寺の名札ではイタチノシッポゴケとありました。
シッポゴケ科の中の一つと思われますが、この種名で図鑑やネットで検索しても、いずれも祇王寺の訪問記の中でのもので、寺の名札を見てのものと思われ、種としての説明はどこにも見当たりませんでした。
正体はわからずじまいでしたが、この苔を見ていると、名前としては納得できるものでした。

コンテリクラマゴケ:紺照鞍馬苔(紺色に光る)

2009-11-20 08:33:49 | 植物観察1日1題

コンテリクラマゴケ:紺照鞍馬苔(イワヒバ科イワヒバ属)は中国原産で、明治初年にヨーロッパまたはアメリカから輸入され、観賞用に主に温室内で栽培され、南関東以西では露地でも越冬する常緑多年草です。
茎は地面をはい、50cmにもなります。側葉は3~4mm、背葉は1~2mm。胞子穂は長さ1.5cmで代償2種の胞子嚢をつけます。
和名の紺照鞍馬苔は、クラマゴケに似て、葉に藍色の光沢があることからきています。

クラマゴケ:鞍馬苔(本場近くで見た)

2009-11-19 08:27:47 | 植物観察1日1題

京都北山花背の里で見たクラマゴケ:鞍馬苔(イワヒバ科イワヒバ属)です。
鞍馬山で初めて発見されたとかでこの名がありますが、実際には本州、四国、九州に分布し、山林下にはえる苔状の常緑多年草です。
茎は地上を長くはい、分枝して広がります。葉は鱗片状で左右の側面と背面にそれぞれ2列につき、長さは側葉が3mm、背面葉が1mm、春、長さ5~15mmの胞子穂を小枝の先につけます。
鞍馬にさほど遠くない花背で見たクラマゴケは鮮やかな緑色でした。

ミズキ:水木(赤と黒の果実)

2009-11-18 08:34:17 | 植物観察1日1題

花背の谷筋にミズキ:水木(ミズキ科ミズキ属)黒い果実を枝いっぱいにつけていました。
すっかり葉を落としていましたが、クルマミズキという別名の通り、幹を直立し、枝を水平に広げる独特な樹形からミズキとわかります。
早春に枝を切ると樹液が滴り落ちるのでこの名があり、高さが10m以上になる落葉高木です。5~6月ごろ枝先にごく小さい白い4弁の小花を固まって咲かせるので遠くからでもよくわかります。(05年6月18日記事)果実は核果で、直径6~7mmの球形で、はじめ赤く、完熟すると黒くなり、果序の枝も赤くなります。
谷の上に水平にのびた枝にびっしりついた黒い果実と赤い果柄はなかなかきれいなものでした。

サツマノギク:薩摩野菊(大形の野菊)

2009-11-17 13:48:58 | 植物観察1日1題

京都のあるお庭で見かけたサツマノギク:薩摩野菊(キク科キク属)です。
九州南部の海岸付近に生える多年草で、南限は屋久島です。分布域が狭いですが、個体数は多いといいます。
茎は銀白色の毛におおわれ、高さ20~50cm、葉は長さ4~6cmの広卵形で、葉の裏面も銀白色の毛でびっしりおおわれ、表面も白く縁どられます。
花期は11~12月、頭花は直径4~5cmと大きく、頭花のふちに並ぶ舌状花は白色で、最盛期を過ぎると赤みを帯びてきます。

ホソバコンギク:細葉紺菊(細い葉が特徴)

2009-11-16 06:43:23 | 植物観察1日1題

ホソバコンギク:細葉紺菊(キク科シオン属)は川岸に生える多年草で、本州神奈川以西に分布します。
茎は高さ0.5m~1mになります。葉は披針形で、長さ8~10cm、名のとおり幅1~1.5cmで細いのが特徴です。
頭花は少数つき、直径2~2.5cm、総苞片は2列、冠毛は帯白色。
ノコンギクよりも繊細な感じです。