新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ドクウツギ:毒空木(名の通りの猛毒)

2009-07-31 06:57:35 | 植物観察1日1題

ドクウツギ:毒空木(ドクウツギ科ドクウツギ属)は、本州近畿以東、北海道の川岸や日当たりのよい道端などに生える落葉低木で、別名もイチロベゴロシといわれて、名の通り強力な毒(アルカロイド)を有しています。赤く熟す科実は一見美味しそうに見えますが猛毒で、死亡例も少ないといいます。
葉は対生し、長さ6~8cmの卵状長楕円形で3行脈が目立ち、見極めが比較的容易ですが、これまた生葉24gが致死量といわれるほどの猛毒です。
本科はドクウツギ属1属からなり、日本にはこの1種だけ、世界に約10種がアジアや北アメリカなどに隔離分布することでも知られています。
同様の隔離分布する植物としては、ハエドクソウ、サネカズラ、イワナシ、モクレン科のいくつかなどがあります。これらの隔離分布がどうして生じるかについては、前川文夫博士の「古赤道分布」説が有力ですが謎が残ります。

イセハナビ:伊勢花火(まり見かけない)

2009-07-30 07:19:10 | 植物観察1日1題

植物園で見かけたイセハナビ:伊勢花火(キツネノマゴ科イセハナビ属)は、中国原産で観賞用に栽培され、九州の低山の林内に帰化するやや低木襄の多年草です。
地下茎があり、茎は束生し高さ30~60cm、節は初め短毛がありのちやや膨らみよく分枝します。
夏から秋、枝先に淡紫色で漏斗状の花が穂状に10数個つき、花冠は長さ1.5cm~2cm、先は5つに切れ込みます。苞葉は萼より長く葉状になります。
園芸品種と見られてか本種が載っていない図鑑もあります。

ムカゴソウ:零余子草(己の分身?)

2009-07-29 06:54:48 | 植物観察1日1題

グループで植物観察しているとき、仲間からムカゴソウを見つけたという声が上がりました。
長年「むかご」を自称してきた私ですが、うかつにもそのものずばりの名を持つこの草は初めてでした。
ムカゴソウ:零余子草(ラン科ムカゴソウ属)は、東アジアの温帯から暖帯に広く分布し、日本各地のやや湿った草地に生える多年草で、高さは20~45cm、葉は細長く8~20cmあります。
花は初夏から夏、10~15cmの穂をつくり、淡緑色の唇形花を多数つけます。“唇弁は先が3裂し、中裂片は短い突起となり、側裂片は線形で長く、先はかぎ状に曲がり、距はない”というのが少しややこしい図鑑の説明ですが、写真で見るほうが手っ取り早いようです。
なぜムカゴソウなのか分からず、帰って調べたら、丸い2個の塊根をムカゴに見立てたとありました。
いかにもほっそりと控えめで目立たないこの花、自称むかごに似ていなくもないと、ちょっぴり気に入りました。

ギョリュウ:御柳(年に2度咲く)

2009-07-28 08:20:31 | 植物観察1日1題

以前、葉がギョリュウに似て、花が梅に似るという小さい庭木ギョリュウバイ:御柳を取り上げました (06年3月5日記事)。その名の元になったギョリュウ:御柳(ギョリュウ科ギョリュ属)の花が咲いています。
中国原産で、享保年間(1741~1743)年間に渡来し、観賞用に庭に植栽される落葉小低木で、多数分枝し、細枝は秋に黄色くなり落ちます。
互生する葉は細くて小さく長さ1~3mm。
小さく淡紅色の花は年に2回咲き、春咲く花は古枝に咲き結実せず、晩夏に新枝に咲く花はやや小さいが結実します。
写真は時期的に少し合いませんが、枝の様子から2回目の花と見ました。
和名御柳は漢名に由来し、三春柳、河柳、雨師柳など異名も多くあります。

クマツヅラ:熊葛(不思議な名前)

2009-07-27 07:32:13 | 植物観察1日1題

ムラサキシキブ、クサギ、ハマゴウなどが属するクマツヅラ科の“クマツヅラ”とはどんな草か今まで見たことがありませんでした。
植物園で見たクマツヅラ:熊葛(クマツヅラ科クマツヅラ属)は、科の名称に選ばれている割には地味な花でした。
アジア、ヨーロッパ、北アフリカの温帯から熱帯にかけて分布し、北アメリカに帰化、わが国では本州から琉球の野原や道端に生える多年草で、茎は四角高さは40cmくらい、花長さ3~10cmの卵形でふつう3裂し、裂片はさらに羽状に切れ込みます。
6~9月枝先に30cmに達する細長い花序をだし直径約4mmの淡紅紫色の花をつけます。花穂は下から花が咲くにつれて伸びてゆきます。
漢名は馬鞭草、ベルべナリンを含み皮膚病や婦人病に薬効があります。

クマヤナギ:熊柳(ぴんと来ない名前)

2009-07-26 07:54:54 | 植物観察1日1題

クマヤナギ:熊柳(クロウメモドキ科クマヤナギ属)は、各地の山野に生えるややつる性の落葉低木で、高さは5mほどになり、樹冠は傘形に広がり他の樹木を覆います。
茎は細く長く滑らかでときに紫色を帯びます。
互生する葉は長さ4~6cmの卵形~長楕円形で裏面は白色を帯びます。
花は7~8月、枝先と枝先近くの葉腋から総状花序をだし、黄緑色の小さな花を多数つけます。果実は緑から赤くなり翌年夏に黒く熟し、甘味があります。
昔、この枝で馬のむちを作り、会津地方ではお茶の代用にしたといわれます。
和名熊柳は茎が強いのを熊にたとえ、若葉をヤナギの花に見たてたものといいますが、少し無理がありそうです。

ベニバナ:紅花(末摘む花の)

2009-07-25 12:21:45 | 植物観察1日1題

植物園で見たベニバナ:紅花(キク科ベニバナ属)の花です。
エジプト原産といわれ、日本には4~5世紀ころ渡来したといわれる有用植物で、花は染料、切り花、種子は搾って紅花油に利用されてきました。とくに江戸時代には最上紅花といわれて、山形県での栽培が盛んで、いまも山形県の県花となっています。
もっとも、近年科学的に合成された染料の普及によって、国内での紅花の生産は急速に衰え、今では観光用などにわずかに栽培されています。
高さ1mくらいの2年草で、花は夏、頭花は径2.5~3cm、はじめ鮮黄色から徐々に赤くなります。小花を摘んで陰干しにし、生薬、染料とします。
種子から絞る油はリノール酸を多く含み高品質で健康によい食用油(サフラワー油)として人気があります。
スエツムハナ(末摘む花)というきれいな別名がありますが、こちらは紫式部のおかげで少々損をしているみたいです。

ホルトノキ  

2009-07-23 05:36:43 | 植物観察1日1題

ホルトノキ(ホルトノキ科ホルトノキ属)は、常緑樹なのに、一年中赤く色づいた古い葉が枝に残り、順次落葉する特徴があることで知られています。
(06年2月9日記事)平賀源内が紀州でこの木の実を見て、当時ポルトガル油といわれていたオリーブと勘違いしたことから、ポルトガルの木といったのが転訛してホルトノキと呼ばれるようになったなどの俗説もあります。
枯れ葉の様子と名前の由来が有名ですが、今の時期咲く花の形も面白いものです。7~8月、葉腋に長さ4~7cmの総状花序をだし、白色の花を15~20個つけます。花弁の先は糸状に細かく裂け、雄蕊は多数、雌蕊は1個です。


カゴノキ:鹿子の木(幹ほどには目立たない)

2009-07-21 13:39:51 | 植物観察1日1題

箕面の山を歩いていると、この時期にしては珍しい赤い実をつけた木を何本か見かけました。
新枝の葉腋には、花芽のようなものもついています。これなら、赤い実と花と同時に見えるはずです。道路の上から見ていて、なんという木かとずいぶん考えましたが浮かんできません。
道を下って、そのうちの太い幹を見てなんだと思いました。
樹皮がまだらにはげ落ちて、特徴ある鹿の子模様になるカゴノキ:鹿子の木(クスノキ科ハマビワ属)でした(07年1月28日記事)。雌雄異株で、夏、葉のつけ根淡い黄色の花を密につけ、翌年の秋、太短い果柄の果実を赤く熟します。
名前の通りカゴノキは、幹を見て判定するのがいちばん確かのようです。


ヒカゲノカズラ:日陰蔓(鬘)(神代より遥かに古い)

2009-07-18 04:25:36 | 植物観察1日1題
(あめ)の宇受売(うずめ)の命(みこと)、天(あめ)の香山の天の日陰(ひかげ)(ヒカゲノカズラ)を手(た)次(すき)に懸(か)けて、天の真析(まさき)(ツルマサキ?)を鬘(かつら)として・・・(古事記)天の岩戸に隠れた天照らす大御神を呼び返そうと激しく踊る天の宇受売命が襷にかけていたのはヒカゲノカズラ:日陰蔓(鬘)(ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属)でした。
日陰の名がありますが、日本各地の比較的明るいところに生えるシダの仲間の常緑多年草です。
茎は緑色で、地上をはって2叉分枝し長さ2~3mにもなり、葉は線状で細かく密生します。
夏、細茎を分枝し頂に数個の胞子嚢穂をつけます。
この仲間は、原始陸上植物が海から上陸して間もないころ(古生代デボン紀)に出現した極めて古い植物といわれています。
胞子は黄色で、石松子といわれて薬用になります。テングノタスキ、カミダスキ、キツネノタスキなどの別名があります。

ウグイスカグラ:鶯神楽(鍔の元は葉)

2009-07-16 06:52:49 | 植物観察1日1題

何回か登場したウグイスカグラ:鶯神楽(スイカズラ科スイカズラ属)は、山道を歩いていると結構よく目につき、比較的分かりやすい木です。
なかでも特徴があるのが、すっと伸びた徒長枝の節につく鍔状のものです。
一見、枝の一部が成長した翼のようにみえますが、新しい徒長枝を見るとそうでないことがわかります。対生する葉の基部が広がり、対になっている葉柄の基部と合着して鍔状になり、葉が落ちてもその部分が残っているのです。
徒長枝だけに生じる現象で、花序枝にはつきません

アリマウマノスズクサ:有馬馬の鈴草(名前の由来は)

2009-07-14 06:42:23 | 植物観察1日1題

神戸森林植物園で、アリマウマノスズクサ:有馬馬の鈴草(ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属)が実をつけていました。
図鑑では、ウマノスズクサの花はよく見るが、果実はめったに見られないとあり、珍しいものを見たといったんは喜びましたが、べつに食草にしているジャコウアゲハの幼虫が若い果実を食べたり茎を切ってしまうので少なかったり、形が面白くてよく知られているつぼ型の花ほど注目されないからで、本来それほど珍しいものではないという見方もあります。
和名のウマノスズクサの由来は、この果実が馬の首につける鈴の形に似ていることから来ているとされていますが、なぜ面白い形の花ではなく、珍しいとされる果実の形からとられたのか一寸不思議です。
果実ではなくて細長い葉の形が馬の顔に似て、花の形が馬の鈴に似ているとことから名づけられたという説もあるそうです。
葉にしても、花にしても、果実にしても、いろいろ例えられて、覚えられやすい名の草になっています。

サンショウバラ:山椒薔薇(サンショウより多い棘)

2009-07-12 05:58:03 | 植物観察1日1題

公園にサンショウバラ:山椒薔薇(バラ科バラ属)が青い実をつけていました。
ハコネバラともいわれ、静岡、神奈川、山梨など富士・箱根地方の特産で、分布域は狭いのですが、直径5~6cmと野生としては大きく、淡紅色の花が美しいので、広く庭や公園に植栽されています。
葉の形や、棘が多いことがサンショウに似ていることからこの名があります。
特に花の萼筒は扁球形で棘が密生します。果実は偽果で直径2~3cmほどの扁球形、針状の棘がそのまま多数つき、先端に萼片が残ります。
まだ若い果実の萼片の内側には、花のあとが残存していまし

オオバノトンボソウ:大葉の蜻蛉草(トンボの目と胴?)

2009-07-10 07:25:51 | 植物観察1日1題

高槻北部の山地にオオバノトンボソウ:大葉の蜻蛉草(ラン科ツレサギソウ属)の花が咲いています。
本州福島県以南・四国・九州の暖帯に分布し、低山や丘陵に生える多年草で、高さ30~60cmになります。茎には葉の裏面の主脈につづく稜角があり翼にまで発達しています。
花は初夏から夏、長さ10~25cmの花序につき、黄緑色、真ん中に距に続く穴、その上にずい柱があり、左右に開いている葯室には淡黄色の花粉塊が入っています。子房より長い距は下垂します。
トンボソウに似て大型の葉だからこの名があるといいますが、どうしてトンボなのか、花のクローズアップを見ているとわかってくるような気がしました。

ゴマギ:胡麻木(ずばりゴマの香り)

2009-07-07 06:41:01 | 植物観察1日1題

食生活が豊かになり、また化学製品に触れることが多くなったせいか、近頃の子供の嗅覚は少し変化しているようです。クサギやヘクソカズラでさえも良い匂いとか、様々なものの匂いに似ているという答えが返ってきます。
主として防衛物質として匂いを持つ植物の多い中で、名の通り食品の香りを持つのがこのゴマギ:胡麻木(スイカズラ科ガマズミ属)です。枝や葉を傷つけると誰でもわかるゴマの香りがします。
各地の山野で湿潤地に好んで生える落葉低木で、高さは2~5m、対生する葉は長さ5~13cmで、表面にはしわが多いが光沢があり、ごわごわした感じがあります。
晩春、若い短枝に散房花序をつけ、小さい白い花を多数つけ、果実は8月ごろから赤くなり、完全に熟すと黒くなります。