新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

サクラソウ:桜草(やはり和風、桜草)

2006-04-30 06:55:02 | 植物観察1日1題
何鉢か持っている日本桜草が咲き始めました。
サクラソウ:桜草(サクラソウ科サクラソウ属)北海道、本州、九州及びアジア東北部に原産、山野の湿地に生える多年草で、江戸中期ごろから園芸化が始まり多数の品種が作られ、いまなお各地に熱心な愛好者がいます。
サクラソウ属は欧米ではプリムラ・マラコイデスとかプリムラ・ポリアンサなどに見られる派手でけばけばしい色と形に改良されて来たのに対し、わが国では、あくまでも原種のよさを生かす形で品種改良がなされてきました。珍しく屋内で撮ったこの写真は「紫式部」の銘がある品種ですが、ご覧のとおり清楚で上品なすがたです。
サクラソウの花は正面から見たとき、筒の中に虫ピンのような頭が見えて、雄蕊は筒の中ほどについている長花柱花(ピン型)と、5個の葯が放射状に並んでいて、こちらは雌蕊の短い短花柱花(スラム型)との2タイプの花が別々の株につきます。送粉者であるマルハナバチが異なる株に移りながらサクラソウの同花受粉の回避を手伝っているのです。その上異なった株でも、同タイプ同士では仮に受粉しても結実しない生理的システムがあり、健全な種の保全のためにに二重の仕掛けを備えているとのことです。
昔は荒川流域に多数あったという自生地が極めて少なくなり浦和市の田島が原が特別天然記念物に指定されていると聞きます。複雑な受粉システムと特定の送粉者の行動に頼ってきたサクラソウですが、マルハナバチの減少という時代の変化につれて、遺伝的に健全な子孫を残そうという仕組みが、反って絶滅への道をたどるという皮肉な状況です。
(普通の園芸では、株分けで繁殖します)


チューリップ:TULIP(花壇の主役)

2006-04-29 07:03:02 | 植物観察1日1題
小学校一年生のとき、先生から自分とお父さんの好きな花をいいなさいといわれて、お父さんは鉢をたくさん持っているから蘭、自分はチューリップといったのを今でも覚えています。山奥育ちで、立派な花壇など見たこともない子供にとっても、チューリップは格別にきれいで華やかな花であったのでしょう。
春の花壇を彩るューリップ:tulip(ユリ科アマナ属)の原産地は中東から中央アジアと考えられており、ヨーロッパには16世紀にトルコから球根がもたらされたとされていますが、このときすでにいくつかの原種の交雑によって園芸種が出来ていたといわれます。
写真は、植物園で見た、中央アジア原産のチューリップ・マキシモウィッチと名札があったものです。原種ではないにしても、面影くらいは残しているかも知れません。
古くからおびただしい品種が作り出され人気を呼びました。中でも有名なのは1634~1637年にオランダで発生したチュリップ投機で、人々は珍しい品種に競って大金を投じ、最後の頃には変わった斑入りの球根1個が最高住宅地の馬車小屋付きの大邸宅を買えるほどの値段がついたといわれます。後世この珍しい品種はモザイク病というウィルスのなせる業であったのがわかったとか。
バブルの熱狂が醒めた後は様々な悲劇が生じるのは洋の東西を問いませんが、オランダはそのときの遺産を生かして、いまもチューリップの世界的な産地であるだけではなく、世界をリードする花卉産業を発展させているので、チューリップバブルもまったくの無駄ではなかったわけです。
チューリップは、開花した後も少しづつ成長し、昼開くときは花弁の内側が伸び、夕刻閉じるとき花弁の外側が伸びることで開閉します。花が最大になり、成長が止まったときは開きっぱなしになります。


カリン:花梨・花櫚(花も忘れないで)

2006-04-28 06:51:38 | 植物観察1日1題
すぐ近所の、背の高い笹群の中にあって長年気がつかなかったのですが、昨秋散歩のとき黄色く大きい実がなっていたので初めてその木がカリン:花梨(バラ科ボケ属)だとわかりました。
中国原産で、日本には平安初期までに入ったといわれるカリンは、高さ8m内外の落葉高木で、樹皮が緑褐色で滑らか、鱗状に剥げ落ちるのでまだら模様になります。
秋に黄色に熟す梨果は直径10cmほど芳香がありますが、生では硬くて酸味があり食用には適しません。輪切りにして砂糖漬け、また煎じて薬用にされたり、芳香剤代わりに玄関に置かれたりします。
花期は4-5月、直径3cmほどの5弁の花をつけます。カリンといえばこの独特の木肌と大きな黄色い果実がよく知られていますが、花のほうはあまり知られていないようです。淡紅色の花びらの間が少しひらいて結構きれいですが、まばらにしか花をつけないので華やかさに欠けるせいかもしれません。図鑑で花梨がボケ属と知りましたが、この木にも鋭い棘があり、花の姿とあわせて納得しました。
和名は、木目がマメ科のカリンに似ているからだといいます。

ザイフリボク:采振り木(花で振る采配)

2006-04-27 07:03:59 | 植物観察1日1題
万博公園日本庭園に前から気になっていた木がありました。
昨秋その木に狂い咲きの白い花がいくつか付いていて、ザイフリボクといういわくありげな名札が立っていたからです。満開になったらどんな姿だろうかと春になって3回も見に行きました。
ソメイヨシノより2週間ほど遅れて咲いたこのザイフリボク:采振り木(バラ科ザイフリボク属)は、本州宮城県以南、四国、九州の山地に生える落葉小高木で、互生する葉は、長さ4~9cmの楕円形、若葉の裏面に白い綿毛が密生しますが後に無毛になります。
花が美しいので庭木としてもよく植えられます。春、前年の枝の節から白い線形5弁の花を総状花序につけます。
この花穂を采配に見立て采振り木の名があり、また玉ぐしなどにつける四手(幣)に見立ててシデザクラの名もあり、さらに楡桜、四手柳などの別名もあります。
夏、直径6mmほどの紫黒色の梨果を熟します。(05年6月29日記事)

カタクリにとまるギフチョウ(見た、撮った)

2006-04-26 07:05:24 | 植物観察1日1題
近所の小塩山のカタクリが今年は遅いと聞いて、辛抱できずに、そこではもう盛りを過ぎているのを覚悟で、丹波の清住まで遠征したのが20日のことでした。(4月21日記事)それからほぼ一週間、去年よりずいぶん遅く小塩山もやっと満開との情報で、昨日行ってきました。
お目当ては、清住で見ることができなかったカタクリを訪れるギフチョウです。
寒い今年の春を象徴するように昨日も冷たい風が吹いていて花にも蝶にも条件はあまりよくありません。
それでも1頭だけギフチョウに出会えました。20日の記事そのままに、ギフチョウはカタクリの用意した太い花茎と反り返った花びらにしっかりつかまり、これも用意された花の下の空間を目いっぱいに使ってて一心に蜜を吸っていました。
ギフチョウに会えたのはよかったのですが、悲しいこともありました。
2~3年前から小塩山で話題を集めていた白花のカタクリの首が落とされていたのです。
みんなに近くで見てもらおうとヴォランチアのかたがたが、わざわざ遊歩道を曲げてまで観察スペースを作っていたのにと、誰かの心無い行為が腹立たしくやりきれない気持ちでした。
花を見ようとここまで登ってきた人なら、こんなばかげたことをするはずがなく、触ったりしているうちに花が折れたのかと思いたいのですが、それならなんで触るんやと怒りはおさまりませんでした。
首をおとされ、花茎と葉だけになった白いカタクリは、何かを必死に訴えているようでした。

カテンソウ:花点草(自ら弾き飛ばす花粉)

2006-04-25 07:10:35 | 植物観察1日1題
少し日陰の湿っぽい土地で、小粒の赤褐色のつぼみを柄の先にたくさんつけているのがカテンソウ:花点草(イラクサ科カテンソウ属)です。
本州、四国、九州および中国の暖帯に分布する多年草で、群生することが多く、高さは10~30cm、長さ1~3cmの菱形卵形状の鋸歯のある葉を互生します。
雌雄同株で、花期は4~5月、雄花は上部の葉のつけ根から伸びた柄の先に集まって咲き、雌花は葉のつけ根に小さく固まってつきます。
小さくて目立たない花ですが、見落とせないのは、雄蕊が急激な運動をして、花粉を風の弱い林中でも空中に花粉を弾き飛ばす特技を持っていることです。
直径4mmほどの花の中に、5個の雄蕊が中心に向かって葯を折りたたむように納まっており、中心にあるキノコ型に退化した雌しべの傘状の部分に引っかかっています。(写真Ⅰ・弾く前)
この雄蕊にかすかな動きが見えた次の瞬間、雄蕊は反転して花粉が空中に弾き飛ばされるという仕掛けです。(写真Ⅱ・弾いた後)
林の中は外に比べて風速は1/10という説もあり、自ら花粉を弾き飛ばすことで風媒花として不利な条件に対処しているのです。
カテンソウのほか、クワクサ、アカソ、エノキグサなどもおなじ弾発型の植物です。
道端などでこの花を見かけたときは、しばらく立ち止まって花の動きをじっと観察してください。はじく瞬間、白い花粉を振りまくのを目撃することが出来るはずです。

オキナグサ:翁草(花のころから翁の風情)

2006-04-24 06:53:08 | 植物観察1日1題
先日、山科にある日本新薬の山科植物資料館を訪れました。一昨年秋に続いての再訪でしたが、薬用植物を中心に珍しい草木が植栽されていて、親切で丁寧な案内とあいまって、季節をかえて何度でも訪れたい場所のひとつです。
ここの一角にオキナグサ:翁草(キンポウゲ科オキナグサ属)が咲いていました。
以前はあぜ道などでよく見られたが、最近は激減して滅多にお目にかかれないという、純日本的なこの花は、外国の珍しい草木が多い園の中で健気に咲いている感じです。
本州から九州に分布し、山野の日当たりのよい草地などに生える多年草で、花の頃は高さ10cmほど、花後に30cmくらいになります。全体に白い毛でおおわれていて、根元の葉は2回羽状複葉、茎につく葉は線状に切れ込んでいます。4~5月長さ3cmほどの花をつけますが、花弁はなく、暗赤紫色の6個の萼片が花びらに見えます。
和名の翁草は、果時に長さ3∼cmの多数の花柱が集まって羽毛の塊のような果実をつけるのを翁の白髪に見立てたものといいます。

ヒメウズ:姫烏頭(纏めて撮ればどこかにピント)

2006-04-23 07:11:22 | 植物観察1日1題
スミレなどと一緒に春早くから咲き始めるヒメウズ:姫烏頭(キンポウゲ科ヒメウズ属又はオダマキ属)は、山裾や、道端、石垣の間などに生える多年草で、本州関東以西~九州に分布します。
花が地味で径5mmほどと小さく、茎や葉も細くまばらで、わりあい多く生えているのにあまり目立ちません。
全体に柔らかい感じで、根元の葉は長い柄のある3出複葉で小葉は3つに切れ込み、裏面は白っぽくなります。
萼片は白色でわずかにピンクを帯び、花弁は萼より短く、下部は筒となります。
ウズ(烏頭)とはトリカブトのことで、これに似て小さいことからヒメウズの名があるそうですが、花の感じがまったく違います。オダマキの仲間で似てなくはありませんが、オダマキのような長くて目立つ距はありません。
草も花も小さすぎてオートではなかなかピントが合わず失敗ばかりでしたが、一面に群生してるところに出逢い、えいや!で撮ったら、なんとかピントが合ったところがありました。

ヘビイチゴ:蛇苺(食べられないことで高い知名度)

2006-04-22 07:04:01 | 植物観察1日1題
地面に這うように広がったヘビイチゴ:蛇苺(バラ科ヘビイチゴ属)が黄色い花をつけ、もう中心の花床部分が赤く色づき始めています。
日本各地のほか、東南アジアの温帯から熱帯にかけて分布し、山野や道端の日当たりのよい湿った草地に多い多年草です。
蛇のいそうな場所に生えるから、あるいは(人は食べずに)蛇が食べるからこ名があるといわれます。なにやら毒草のような名前ですが毒はありません。食卓に上る果物の苺と同じように花床が巨大化して赤い果実になります(イチゴ状果)が、無毒とはいうものの、甘味とジューシィーさに乏しく決しておいしいものではありません。
葉には3個の小葉があり、長さ2~3cmの楕円形で縁に粗い鋸歯があります。春から初夏、径1.5~2cmの黄色い花をつけます。花後茎が長くなり地を這って節から根を出し繁殖します。
いかにも食べられそうなのに、実際は不味いという、残念な気持ちが、役たたずなのに知名度の高い理由なのかもしれません。

クサイチゴ:草苺(草という名の木苺)

2006-04-21 06:51:26 | 植物観察1日1題
道端にクサイチゴ:草苺(バラ科キイチゴ属が)5弁の真っ白い花をつけています。
本州、四国、九州、朝鮮および中国に分布し、道端や山野の林縁などにはえる落葉低木で、高さ20~30cm、よく分枝して鉤状の棘と蜜毛があり、地下茎は横に這って繁殖します。葉は奇数羽状複葉で小葉は3~5個、下面中肋と葉軸に鉤棘があります。
草のように見えることからクサイチゴの名がありますが、立派な木苺です。
4~5月短い新枝の先に1~2個径3~4cmの白い5弁の花を平開します。
花床そのものが巨大化して甘くなる(クサ)苺と違って、木苺の果実は花床があまり発達せず、多数の子房が肥大して液果に発達します。この液果のひとつひとつの内果皮が堅くなり真果(キイチゴ状果)を形成します。このため実をとると花床から離れて穴ができます。このことからナベイチゴ(鍋苺)な名があり、他に熟期が早いことから早生苺の名もあります。
道端にごく普通に見られるので、あまり人の目を引くこともないようですが、近づいてみると、清楚な白薔薇の感じです。


ハナカイドウ:花海棠(可憐?むしろ濃艶)

2006-04-20 06:59:20 | 植物観察1日1題
ハナカイドウ:花海棠(可憐?むしろ濃艶)2006.4.20
春雨に濡れて、隣家の塀越しにハナカイドウ:花海棠(バラ科リンゴ属)の花が見えます。
中国原産で、日本には元禄年間以前に入ったといわれる落葉小高木で、高いもので約8m、広い樹冠を作ります。4月中~下旬、小枝の先に桃紅色、半八重、径3~4cmを花を4~6個垂れ下げます。
きれいな花が好まれ庭木として植えられますが、小さな木でもよく花をつけるので鉢植えや盆栽に
もなります。
華やかな色の花をつけるので、ミカイドウ(実海棠)に対してハナカイドウの名がついていますが、単にカイドウというときはこのハナカイドウをさすことが多いようです。漢名は垂絲海棠です。
ある本に、うつむいて咲く花を、可憐で恥ずかしげな少女に見立てた記事がありましたが、この花を近くで見るとき、イメージ以上に厚ぼったく濃艶に見える気がします。同じ字がつくはかなげな秋海棠の印象が強いせいかもしれません。
(昨日のタチイヌノグフリ、記事と写真を差し替えています)

タチイヌノフグリ:立犬の陰嚢(目立たずともしっかり受粉)

2006-04-19 19:12:57 | 植物観察1日1題
春の野のいたるところにオオイヌノフグリの青い花が開いています。その辺りにしゃがんでよくよく探して見ると雑草の間に小さいタチイヌノフグリ:立犬の陰嚢(ゴマノハグサ科クガイソウ属又はクワガタソウ属)がひっそりと立っていました。
ヨーロッパ、アフリカからアジアに広く分布し、日本へは明治初期に渡来した帰化植物で、畑や道端に普通に生える越年草ですが、草丈が短く、花も径約3mmと小さくしかも葉の間に隠れるようにつくのであまり目立ちません。そのうえこの花は開花してからわずか2~3時間で閉じてしまうといいます。
オオイヌノフグリに比べて花の大きさでも開花時間でもずいぶん虫媒受粉に不利になっているのです。これをカバーするためにタチイヌノフグリは、花を閉じる前にほとんどの花の雄蕊が花の中心に向かって曲がり、葯と柱頭(雄蕊と雌蕊)が接触して同花受粉をするそうです。
このような雄動同花受粉という形式をとる花は結構多くあり、ハコベ、ネコノメソウなどガソウです。
開花時間が短いので、開いた花にぴったり出会う機会も少ないのですが、晴天で気温も上がった今日、お昼前に見に行くと、ちゃんと花を開いていました。花の下には名前の由来の形のものも確かについています。
(午後、朝投稿した写真と差し替えました)

タチイヌノフグリ:立犬の陰嚢(目立たずともしっかり受粉)

2006-04-19 07:00:34 | 植物観察1日1題
春の野のいたるところにオオイヌノフグリの青い花が開いています。その辺りにしゃがんでよくよく探して見ると雑草の間に小さいタチイヌノフグリ:立犬の陰嚢(ゴマノハグサ科クガイソウ属又はクワガタソウ属)がひっそりと立っていました。
ヨーロッパ、アフリカからアジアに広く分布し、日本へは明治初期に渡来した帰化植物で、畑や道端に普通に生える越年草ですが、草丈が短く、花も径約3mmと小さくしかも葉の間に隠れるようにつくのであまり目立ちません。そのうえこの花は開花してからわずか2~3時間で閉じてしまうといいます。
オオイヌノフグリに比べて花の大きさでも開花時間でもずいぶん虫媒受粉に不利になっているのです。これをカバーするためにタチイヌノフグリは、花を閉じる前にほとんどの花の雄蕊が花の中心に向かって曲がり、葯と柱頭(雄蕊と雌蕊)が接触して同花受粉をするそうです。
このような雄動同花受粉という形式をとる花は多くあり、ハコベ、ネコノメソウなどの例があります。
この日はあいにく曇り空でしたが、仮に晴天でも、それだけ開花時間が短いとあれば開いた花にぴったり会うことが難しいわけで、花がつぼんだだままの写真となりました。

カタクリ:片栗(儚い春の使者を追って)

2006-04-18 06:54:35 | 植物観察1日1題
植物観察をする人は年に一度はカタクリ:片栗(ユリ科カタクリ属)見に行かないと気がすまないらしく、季節になると、会うたびに、メールを交わすたびに開花状況の情報が飛び交います。
近郊で人気のある京都西山にある小塩山のカタクリは、去年は15日ごろは満開だったのに今年はずいぶん遅く、16日の日曜日でも開花は2~3輪とのこと、辛抱しきれずに昨17日、丹波旧氷上町の清住へ遠征しました。
大阪では散りはじめたソメイヨシノが篠山城では超満開でしたが、氷上のカタクリは1週間前が盛りだったとか、桜とカタクリの開花の時差の違いは何故なのでしょうか。
春を告げる花として人気のあるカタクリは、古名のカタカゴ(堅香子)からカタコユリ、カタクリと変化したものといわれています。
北海道から九州の落葉樹林や雑木林の林床に群生する多年草で、長楕円形の葉には暗紫色の斑紋がり、紅紫色、5弁の花は基部に近く濃紫色の斑点、開けば強く反捲します。
種子が芽生えてから開花まで8~10年もかかるといいます。
日が当たり気温が17℃以上になると花を開くのは、花の周囲の気温が20℃以上になるとやってくるハチやチョウの習性に合わせているそうです。カタクリは、大きく反り返った花被の下に長く伸びた花糸の先に葯を、やはり長い花柱の先に柱頭をつけています。濃紫色の花粉は粘着力があり鱗粉に覆われたチョウの体にもよくくっつきます。長くしっかりした花柄も、チョウが止まったり、下で飛行できるための心配りでしょう。
落ちた種はアリによって巣の近くに運ばれ、アリは種子についた脂塊(エライオゾーム)を食べたあと周辺に抛り出すことによって種子撒布がなされます。
氷上のカタクリは、文字通りの群生で栄養十分、スプリング エフェメラル(春の儚い命)というには元気がありすぎの感があり、好みではないという人もいますが、それはそれでなかなかのものとみました。