新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ミツモトソウ:水本草(伊吹山初秋⑧

2008-08-31 07:18:23 | 植物観察1日1題

ミツモトソウ:水本草は(バラ科キジムシロ属)は、山地の谷沿いなどに生える多年草で、茎は直立し高さ30~50cm、葉には3個の小葉があり、下部の葉には長い葉柄があります。
花は夏から初秋、黄色で直径1cmほど、茎の上部に多数つきます。
別名はミナモトソウ(源草)で、ミツモトソウとおなじく、水源に咲くという意味からきたものといわれています。

ミツバベンケイソウ:三葉弁慶草(伊吹山初秋⑦)

2008-08-30 07:26:49 | 植物観察1日1題

伊吹山山頂付近の岩の間にミツバベンケイソウ:三葉弁慶草(ベンケイソウ科ベンケイソウ属)が蕾をつけています。
この仲間は、切り取っておいて何日経ってもしおれず、再び土に挿すと容易に活着するので、力持ちの弁慶にたとえて名がついています。
このミツバベンケイソウは葉のつき方の三輪生が目立つことによります。
秋、球形で上部が平らな集散花序をつけ、淡黄緑色の花をつけます。
ベンケイソウ、マンネングサ、サボテン、スベリヒユなど多肉植物の生命力の強さの秘密が最近明らかになりました。いわゆるCAMといわれる植物群で、通常光合成は昼間植物が気孔を開き、そこから二酸化炭素を取り入れ、日光と吸い上げた水で葉緑素がデンプンを作るといわれてきました。このいわば常識が最初にうち破られたのがこのベンケイソウで、日中は気孔が閉じられたままで、夜間に開かれます。
その光合成システムは従来考えられていた方法とは異なり、気体のままの形ではとどめにくい二酸化炭素をリンゴ酸のような成分にして貯え、昼間は気孔を閉じて水分の蒸散を防ぎつつ、葉の内部でリンゴ酸から炭素を得て光合成するのです。
この光合成を最初に研究したベンケイソウ科の学名Crassulaceaeにちなんで、Crassulacean Acid Metabolismを略してCAM、それを行うのがCAM植物となりました。
強い弁慶にはこんな秘密があったのです。


イブキコゴメグサ:伊吹小米草(伊吹山初秋⑥)

2008-08-29 06:41:16 | 植物観察1日1題

伊吹山頂や西南稜の石灰石のがれ場の草地に咲いていたのがイブキコゴメグサ:伊吹小米草(ゴマノハグサ科コゴメグサ属)です。
米粒のような白く小さい花をつけるのでこの名があります。
葉の鋸歯の先は鈍く、がく裂片は先がとがらず、ふちに短毛が密生します。
コゴメグサ属は半寄生植物とありました。


タニタデ:谷蓼(伊吹山初秋⑤)

2008-08-28 06:30:21 | 植物観察1日1題

伊吹山の草の陰にひっそり咲いていたのはタニタデ:谷蓼(アカバナ科ミズタマソウ属)です。
山地のやや湿り気のある林の下などにはえる多年草で、高さは20~50cm、細長い地下茎をひきます。谷にはえ、葉の形がタデに似て、茎や葉柄が紅色を帯びることなどからこの名がありますが、ミズタマソウの仲間で、よく見ると下に白い毛に包まれた果実ができています。
花期は7~9月、花弁は白色または薄紅色ですが、がく片が紅色で花弁より長いので花全体が赤いように見えます。

トモエソウ:巴草(伊吹山初秋④)

2008-08-27 07:17:47 | 植物観察1日1題

いろいろな花が咲く伊吹山山頂で、見れば分かり、名を聞けば納得の花がトモエソウ:巴草(オトギリソウ科オトギリソウ属)です。
日本各地の山や野原の草地にはえる多年草で、茎は直立し高さは60~90cmになります。
花は夏から秋、径5cmくらい、雄蕊は5束になり、日光を受けて開く一日花です。
花びらが巴になっているほかは、庭に植えられておなじみのビヨウヤナギ(美容柳)によく似ていますが、ビヨウヤナギは常緑の小低木であり、トモエソウは多年草です。

イブキレイジンソウ:伊吹伶人草(伊吹山初秋③)

2008-08-26 07:54:36 | 植物観察1日1題

伊吹山頂駐車場を少し下って北尾根への道を入ったところにイブキレイジンソウ:伊吹伶人草(キンポウゲ科トリカブト属が咲いていました。
仲間の中から期せずして「こちらの“麗人”のほうが綺麗」という声が上がりました。レイジンソウというイメージとは違ったつかみどころのない映えない花だったからです。
トリカブトに似た薄紫紅色の花をつけるレイジンソウの亜属の1種で、全体に黄褐色の毛が生えます。
伊吹山の中腹以上の石灰岩地の草原や林下に特産します。
図鑑を見ますとレイジンは“麗人”ではなく“伶人”でした。花の形が雅楽の演奏をする伶人がかぶる帽子に似ているからきた名ということが分かりみんな納得でした。

キバナノレンリソウ:黄花の連理草(伊吹山初秋②)

2008-08-25 07:49:54 | 植物観察1日1題

男女の契りの深いことをたとえて比翼連理(在天願作比翼鳥、在地願為連理枝:白居易、長恨歌)といいます。伊吹山上に咲くキバナノレンリソウ:黄花の連理草(マメ科レンリソウ属)の名はこれからとられましたが、花のことではなくて、小葉が対生して連なる状態に由来します。
古風な名に似合わずヨーロッパ原産で、日本では伊吹山の草原に帰化しています。
花は夏から初秋、濃い黄色蝶形花を総状につけます。
学名のLathyrus pratensisは、非常に刺激するとのギリシャ名で、この草に催淫性があると信じられていたからだそうですが、それが比翼連理につながったかどうかは定かではありません
ちなみに、一方のヒヨクソウ:比翼草も伊吹山で見かけましたが残念ながらこちらは花の後でした。

クサタチバナ:草橘(伊吹山初秋①)

2008-08-24 06:51:41 | 植物観察1日1題

9月22日、初秋の伊吹山を訪れました。何回となく行った山ですが、植物に詳しい仲間のおかげで新しい花たちに出会うことができて、楽しい山行きとなりました。
クサタチバナ:草橘(ガガイモ科イケマ属またはカモメヅル属)は、山地の木陰に生える多年草で、高さ30~60cm、茎は分枝せず直立します。5弁の白い花の形が、ミカン科のタチバナに似ていることからこの名があります。
6-7月に咲くという花には時期が遅く、ガガイモのような細長い袋果ができていて、中を割るともう種髪といわれる白い髭が見えていました。
遊歩道も終わりというところで、一輪だけ花が咲いているのに出会いました。純白の花冠は径2cmくらい、副花冠は雄蕊、雄蕊の集まったずい柱よりも少し短くなっています。
私たちのために咲いていてくれたようなたった一つの花を、大事に大事にカメラに収めました。

コオニユリ:小鬼百合(むかごが無くてもよく結実)

2008-08-22 06:24:14 | 植物観察1日1題

和歌山生石高原(870m)のススキ原のあちこちにコオニユリ:小鬼百合(ユリ科ユリ属)が咲いていました。
日当たりのよい適湿な山地に生える多年草で、高さ1~1.5m、オニユリに似ていますが、花はやや小形で、全体にほっそりしており、葉の付け根にむかごができません。
またオニユリはふつう結実しませが、コオニユリはよく結実します。
大きくて白色の鱗茎は苦味が少なく食用として栽培されることもあります。

ヨルガオ:夜顔(もうひとつのユウガオ)

2008-08-20 07:25:03 | 植物観察1日1題

暗くなり始めると、家の外回りに植えたヨルガオ:夜顔(ヒルガオ科ヨルガオ属)の白い花が開きます。
熱帯アメリカとアメリカフロリダ地方に原生するつる性の多年草で、茎は5~6mほどになり、節から長い葉柄の円状ハート形の葉を互生します。
花径は10~15cm、純白で緑色のひだがあり、筒状部は10~15cmで夜咲く花の常として芳香があります。
夕方から開花し翌朝にはしぼみます。
ユウガオとも呼ばれますが、ウリ科のユウガオと誤りやすいので、ヨルガオの名のほうがよいという人もいます。
ウリ科のユウガオは古くから日本人に親しまれて源氏物語など文学作品にも登場しておなじみですが(06年8月12日記事)、ヨルガオの人気はいまひとつのようです。それかあらぬか、苗についてきた園芸店の標識には、「夕顔」として“ヨルガオ”と振り仮名をしていました。


クルマバナ:車花(車状に咲く)

2008-08-18 06:57:32 | 植物観察1日1題

和歌山生石高原(870m)の遊歩道沿いに、クルマバナ:車花(シソ科トウバナ属)咲いていました。
山地の草原に生える多年草で、花が輪生するのでこの名があります。
葉は対生し、卵形または長卵形で、長さ2~4cm、基部は丸く、ふちには鋸歯があります。
8~9、枝先の花穂に淡紅色の唇形花を数段車状に輪生します。上唇は小さく下唇は大型で3裂します。
派手な花ではありませんが、かたまって咲いている姿は結構きれいに見えました。


ヒオウギ:檜扇(会えた自生のヒオウギ)

2008-08-17 08:22:38 | 植物観察1日1題

紀伊平野を見下ろす生石高原(870m)の広いススキ原のところどころに倒卵形の果実が見えます。
何かと思って近づいてみると、赤い花も見えます。ヒオウギ(アヤメ科ヒオウギ属)でした。
別名、烏扇、射干ともいわれ、前回((05年8月5日)取り上げたときには、“本州以南、中国、インド北部の山地にも自生する多年草ですが、観賞用として庭でも栽培されています。”
と書いたものの、庭などでは見ても、自生のものは初めてです。
高原を渡る初秋の風に揺れるオミナエシの足元に咲き残った一輪のヒオウギにしばし見とれていました。

チゴザサ:稚児笹(花に色あるイネ科)

2008-08-16 07:45:17 | 植物観察1日1題

前回のアリノトウグサに混じって、赤褐色のごく小さいビーズ玉のような果実をつけていたのが、チゴザサ:稚児笹(イネ科チゴザサ属)です。
あまり小さいので写真を撮るのに難儀していましたが、ところどころに花をつけているのがあり、こちらは何とか撮影できました。小穂は長さ2mmくらいで、花時には淡紫色の柱頭が顕著に見えます。
水田や溝、湿地などに群生する高さ30~50cmの多年草で、茎は長くはった地下茎より立ち上がりまばらに分枝します。
稚児笹の名は、葉が笹に似て、小さく可愛いということでしょうが、この小さい花を見ていると名づけた人の気持ちが分かるような気がします。

アリノトウグサ:蟻の塔草(ツバメが運んだ?)

2008-08-14 05:45:15 | 植物観察1日1題

真夏で水の減った沼の縁にアリノトウグサ:蟻の塔草(アリノトウグサ科アリノトウグサ属)が赤く色づいています。
山野の日当たりのよいやや湿ったところに生える多年草で、茎は4稜形で細長くしばしば赤褐色を帯び、基部は地面をはい、上部は直立し高さ12~25cmになります。
花は夏から秋、茎の上部に点々とつき下向きに咲きます。風媒花にしては珍しく雄性先熟で、雄性期花弁は反り返り、葯は細い花糸の先にぶら下がり、雌性期に移ると柱頭は紅色で羽毛状になります。
あまりにも小さい草で、写真を撮るのに難儀をし、この珍しい花のディテイルを観察できなかったのは残念でした。
ツバメなどの鳥によって南方から運ばれたという話が伝わっています。

ルリマツリ:瑠璃茉莉(無精者用の花木)

2008-08-13 08:02:52 | 植物観察1日1題

庭のルリマツリ:瑠璃茉莉(イソマツ科ルリマツリ属)が水色の花をつけています。
南アフリカ原産の常緑の小低木で、高さ1mくらいになります。葉は長楕円形または多少へら形で、
長さ5cmくらい、互生します。
花は穂状花序で花筒部は長く、5片に分かれて開き美しい青空色です。開花期は夏から秋と長く、どうかすると冬にも咲いています。
性質は強く、暖地では戸外でも越冬し、枯れたかと思っても春になると芽生えたりします。
花期が長く、手入れも楽で、不精なガーデナーにうってつけです。白色花の品種もあります。
ルリマツリのマツリは祭のことかと思っていましたが、どうやらジャスミンの1種で、モクセイ科常緑小低木の茉莉花(マツリカ)のことのようです。どこが似ているのかは分かりません。