新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

アメリカネナシカズラ:アメリカ根無葛(獰猛な外来無宿者)

2011-10-31 15:33:23 | 植物観察1日1題

アメリカネナシカズラ:アメリカ根無葛(獰猛な外来無宿者)10月31日のネナシカズラ(昨日記事)をしのぐ勢いで最近分布を拡大しているのがアメリカネナシカズラ:アメリカ根無葛(ヒルガオ科ネナシカズラ属)です。
北アメリカ原産の1年生草本で、ヨーロッパ、アジアなどに帰化しているつる性の寄生植物です。
昭和40年代後半に初めて発見され、今では全国的に道端や荒れ地などに発生し、他の植物を覆い尽くすようにはびこり、畑や園芸圃場などでは害草として被害をもたらしています
在来のネナシカズラに比べつるが径約1㎜と細く、花序が穂状にならず固まってつくので区別されます。
見た目にはスリムでもネナシカズラを上回る厄介者になっています。

ネナシカズラ:根無葛(究極のパラサイト) 

2011-10-30 07:56:56 | 植物観察1日1題

夏から秋の初めにかけて、総状にのびた花序に穂状に白い鐘形の花を咲かせていたネナシカズラ:根無葛(ヒルガオ科ネナシカズラ属)(10年10月10日記事)が紅色の果実をつけています。根無しといても、芽をだしたばかりのネナシカズラは根を持っていますが、やがて獲物になる生きのよい植物を探り当てると、巻きついて伸びてゆき、もはや必要のなくなった根を捨ててしまって、つるから寄生根を次々に出して獲物の体に食い込ませて栄養分を吸い取ります。
ほかにも寄生木や腐生植物など他人に栄養を依存する植物がありますが、いずれも自分でも光合成したり、根を持つなどが多いなかで、根と葉を捨てて完全に寄生するネナシカズラは究極のパラサイト植物といえます。
獲物が足りないとネナシカズラ同士で共食いをするほど獰猛な植物ですが、アサガオやサツマイモなどと同じヒルガオ科とは意外です。

シロバナサクラタデ:白花桜蓼(白くて清純)

2011-10-29 08:27:05 | 植物観察1日1題

タデ科の中で花が最も大きくて美しいとされるのがサクラタデですが、(07年10月10日記事)サクラタデに似て花が白く、少し小さいシロバナサクラタデ:白花桜蓼(タデ科タデ属)も決して見劣りはせず、その清楚さで人気があります。
水辺や湿地に生える多年草で、高さは50~100㎝になり、雌雄別株、葉は互生し、長さ7~16㎝の披針形で、脈の上やふちに毛があります。サクラタデに似ていますが、花はやや小さく、サクラタデよりよく枝分かれし、茎の先に花穂が数個ずつつくので、半穂が1~2個のサクラタデとは見分けがつきます。

サイヨウシャジン:細葉(?)沙参(壺形の花に長い花柱) 

2011-10-27 11:54:49 | お知らせ」

滋賀県の田舎の田んぼの縁にツリガネニンジンが咲いていました。
目の鋭い観察仲間が、隣り合って咲いている片方の花の形が違うことに気づきました。図鑑で調べてツリガネニンジンではない方は、サイヨウシャジン:細葉(?)沙参(キキョウ科ツリガネニンジン属)ではないかということになりました。
サイヨウシャジンはツリガネニンジンやソバナの母種とされていて、葉は細いもの、やや広いもの、有毛、無毛など変異が多く、細葉とは限りません。
違うのは花の形で、ツリガネニンジンの花冠は鐘形でふくらみがあり、先が5裂、花柱が花冠よりややつきだしますが、サイヨウシャジンの花冠は中膨れで先がやや狭まる壺形となり、花柱が花冠から長くつきだします。

タウコギ:田五加木(今や希少種に近い)

2011-10-26 17:36:20 | お知らせ」

かつては田んぼの強害草であったものが、除草剤などの影響でめっきり減って今や珍しい植物になってしまったものが多くあります。タウコギ:田五加木(キク科センダングサ属)もその一つです。
水田など湿ったところに生える1年草で、高さは20~100㎝、葉は対生し、長さ5~15㎝で、茎の下部の葉は3~5つに深く切れ込みます。
8~10月、黄色の筒状花だけの頭状花が咲き、はじめ直径7~8㎜から次第に大きくなり、直径3㎝ほどになります。
頭花を囲む小形の葉のような総苞片がよく目立ちます。果実はそう果で、先端に2本の逆刺針があり、これで他物に引っ付いて種子散布が行われます。
田に生えて葉の形がウコギに似ているのでこの名があるといいますが、ウコギの葉に似ているかどうかは少々想像力がいるようです。

カワラハハコ:河原母子(生きたままドライフラワー)

2011-10-25 15:00:00 | お知らせ」

古琵琶湖の地層の露頭がある野洲川河床への石ころ道に咲いていたのがカワラハハコ:河原母子(キク科ヤマハハコ属)です。
石がごろごろしているような河原に生える多年草で、よく枝分かれして、こんもりした株下をつくり、高さ30~50㎝になり、地下茎をのばして殖えるのでよく群生します。
全体に白い細かな毛におおわれ、とくに葉の裏に毛が多くなります。葉は長さ3~5㎝の線形で縁は少し裏へ巻きます。
花期は8~10月、頭花は白いカサカサした花びらのような総苞片に囲まれて、咲いているときからドライフラワーのような感じになります。雌雄別株。写真は雄花で、筒状の両性花が白い花びらのような総苞片に包まれています。
カワラハハコの母種に山地に生えるヤマハハコがあります。そのうち西日本型といわれるホソバヤマハハコは07年11月5日に取り上げています。


ウツボグサ:靭草(枯れたら有用植物に)

2011-10-24 13:51:20 | お知らせ」

植物名で武士の時代につけられたものには、その時代に日常使われていた道具や器具に例えたもの多くあります。ウツボグサ:靭草(シソ科ウツボグサ属)の名は、花穂の形(06年6月22日記事)が矢を入れるのに使った靭に似ていることから来ています。
この花穂が夏過ぎに枯れて褐色になり始めたものを採取し、天日乾燥したものを夏枯草(かごそう)といい、漢方で消炎、利尿、浮腫、はれ物、腎臓炎、膀胱炎などの薬になります。そんなことから夏枯草はウツボグサの別名にもなっています。
花が終わると、走出枝(ランナー)をだし、その先に新苗を作ります。丈夫で栽培容易な草花です。

(写真はある薬草園でのもので、白花でした)

ラッカセイ:落花生(花は地上に) 

2011-10-23 09:36:32 | お知らせ」

鞘付きを落花生、薄皮付きを南京豆、裸で塩味のをピーナッツと使い分けるという笑い話もあるおなじみの食品のラッカセイ:落花生(マメ科ラッカセイ属)は、種子を食べたり、食用油をとるために世界中で栽培されています。誰でも知っている食品ですが、その種子が地中にできることを知らない人がいないでもありません。
南アメリカ原産で、日本には江戸時代に渡来したといわれる1年草で、和名の落花生は、別名のトウジンマメ(唐人豆)とともに、中国から渡来したことを表しています。
葉は偶数羽状複葉で互生し、小葉は2対、夏から秋にかけて、葉のつけ根に黄色の蝶形花をつけ、受精すると子房の下の萼筒の部分が長くのび、子房を地中にもぐらせて豆果をつくります。豆果には網状の脈があり、種子が1~3個入っています。
ふつうは、殻のまま炒ったものか、殻をむいて炒ったものか、もしくは炒った後にバターなどを絡めたものとして売られたり、いろいろな豆菓子に加工されますが、最近では生のまま塩茹でにしたりして、多様な食べ方がされているようです。

ヤブラン:藪蘭(果実のような種子)

2011-10-22 13:38:32 | お知らせ」

ヤブラン(ユリ科ヤブラン属)緑の実をつけています。表面が光っている実は間もなく真黒に熟します。
ヤブランの果実はさく果ですが、ユリ科(ランの名でもヤブランはユリ科)の中でヤブラン属とジャノヒゲ属だけが、薄い果皮は成熟する前に早々と落ちてしまい、果実のように見えるのはむき出しになった種子だといいます。
写真中央部にある成長中の小さい種子についているのが剥がれた果皮、黄色い小さな球は成長できなかった種子のようにも見えます。
花から種子までどういう具合に進行するのか、もう少し確かめたいのですが、素人の単発的な観察では限界がありました。

コエビソウ:小海老草(わかりやすい日本名があるのに)

2011-10-21 06:07:55 | お知らせ」

庭の木陰に植えっぱなしのコエビソウ:小海老草(キツネノマゴ科ペロペロネ属)が今も花をつけています。
メキシコ原産の熱帯性小低木で草本性にも見えます。花穂の外側に赤い苞が重なり合うようにつき、色も形もエビのようなのでこの名があり、英名でもSurimp Plantですが、一般には属名であるべロペロネ(Beloperone)で呼ばれることが多いようです。
花は白く小さい筒状で、苞から少しだけ姿を現し、舌唇の中央に紫色の班点があります。
ほとんど周年花をつけ、熱帯性ですが耐寒性はいくらか強く、霜が当たらなければ露地でも冬越しできます。

サデクサ:摩草(葉の形で見分け) 

2011-10-20 06:41:39 | お知らせ」

淀川河川敷鵜殿の葦原道にサデクサ:摩草(タデ科タデ属)が赤い実をつけていました。
沼地などの水辺に生える1年草で、高さは30~100㎝、には下向きの鋭い刺があります。
花期は7~10月、枝先に白い小さな花を数個ずつ集まってつけます。いまはほとんど花は終り、花被が紅色になって褐色のそう果を包んでいます。
花より葉に面白みがあり、長さ3~8㎝、幅2~7㎝の鉾形の葉は、基部が耳状に左右にはりだし十字槍のようになります。写真でははっきりしませんが、托葉鞘の形も変わっていて上部が葉状に広がり、先が粗く切れ込みます。
変わった名前ですがサデの語源は不明です。

エンジュ:槐(有用な尊い木) 

2011-10-19 13:09:48 | お知らせ」

夏の盛り、淡黄白色の花(06年8月8日記事)を一面につけていたエンジュ:槐(マメ科クララ属)が、枝一面に種子の間がくびれた数珠状の豆果をつけています。
中国原産で日本へは仏教伝来と同時に渡来したといわれ、街路樹や庭木として植栽される落葉高木で、一般にそれほど知られていませんが、中国では高い位を槐位というくらいで尊貴の樹として尊ばれています。
エンジュの蕾や花はルチン含むので漢方で槐花とよばれ、槐葉とよばれる葉とともに高血圧、止血などの薬になり、この豆果は槐角と呼ばれて同様に漢方薬となるほか、黄色の染料につかわれます。
エンジュはめでたいだけではなく有用な木でもあります。

サンパラソル:マンデビラ(秋なのにサンパラソル) 

2011-10-18 08:45:59 | お知らせ」

最近町のところどころで、鮮やかな色のラッパ型の花をつけたつる植物を見かけます。
たまたまサントリー山崎蒸留所へ行ったときこの花が咲いていてサンパラソルの名札がついていました。どうやらこれもサントリーが品種改良して売り出した花のようです。
サンパラソルはサントリーの商品名で、キョウチクトウ科マンデビラ属に属する非耐寒性常緑つる性植物で、ピンク、白、赤などの鮮やかな花色があり、花期は7月から10月ごろまでと遅くまで咲くので、秋風が吹くころにこのトロピカル風の派手な花を見ると、少なからぬ違和感を覚えます。

フォックスフェイス:角茄子(化かされそうな形のなす)

2011-10-17 08:25:46 | お知らせ」

黄色いキツネ顔が雨に濡れていました。
日本名でツノナス:角茄子(ナス科ナス属)と呼ばれるナス科の植物の果実ですが、特徴ある形がキツネに見えるので、フォックスフェイス、キツネナスや、カナリアが止まっているようにも見えるのでカナリアナスなどとも呼ばれます。
ブラジル原産の多年草ですが、日本など高緯度の地域では1年草として栽培されます。
葉は心臓形で、花は星形、果実は黄色の卵形で角状の突起があります。
写真は狐によく見えるのを選んで撮ったものですが、必ずしもすべてが狐の形とはいえず、英語では、Titty Fruit やCow's Udder などおっぱいを連想するものや、Apple of Sodomといったすこし怪しげな語感の名前もあります。

ホップ:セイヨウカラハナクサ:西洋唐花草(ビールに欠かせない) 

2011-10-16 08:39:23 | お知らせ」

ビール醸造時に添加して独特の香りと苦みをつけるホップ(クワ科カラハナソウ属またはアサ科) が薬用植物園で毬花と呼ばれる松かさに似た花のようなものをつけていました。
この毬花が乾燥されてビールの原料になりますが、未受精の毬花が用いられます。毬花には、ルプリンと呼ばれる黄色の粒子が存在し、これがビールに香りを付与する物質や苦味を付与います。
多年生つる草で茎は他物に絡まって十数メートルに伸び、葉は深く三または五裂し、茎、葉ともに毛を密生します。雌雄異株で、雄花は淡緑色で、円錐花序に多くつき小さく、雌花は長さ約3センチ、楕円形の松かさ形の花穂となり、淡緑色で長い柄で垂れ下がります。各花は鱗状の包葉に包まれ、各包葉の基部に、多数の黄色で微小なホップ腺とよぶ分泌器官があります。包鱗ごとに小さい2個の痩果が秋に結実しますが、栽培上は雌株のみを植えるので、結実することはないそうです。
ホップの大部分はヨーロッパなどから輸入されていますが、北海道や東北地方でも栽培されています。
全国の山地に自生する非常によく似た植物にカラハナソウがあり、しばしばホップと混同されますが、ホップの変種で、ホップに比べて苦み成分が少ないのが特徴です。本来のホップは日本国内では北海道の一部にのみ自生するそうです。